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2016.06.22

ヴェネツィアからも2つの祭壇画がやって来た!

Img_0001 ‘来世のヴィジョン 天国(左)楽園(右)’(1505~1515年 グリマーニ美)

Img ‘来世のビジョン 煉獄(左)地獄(右)’(ヴェネツィア グリマーニ美)

Img_0002     ‘聖女の殉教’(1495~1505年 グリマーニ美)

Img_0003  ‘エッケ・ホモ’(1485~95年 フランクフルト シュテーデル美)

Img_0004  ‘聖アントニウスの誘惑’(1505~10年 ネルソン・アトキンズ美)

ボスの画集を何度となくみているから、画集に載っている作品がどこの美術館にあるかはすぐいえる。好きな画家を追っかけるといっても全部がスイスイいくわけではない。今、残っているのはツアーを利用して対面のチャンスをうかがうことが難しいもの。

ヴェネツィアを観光すると必ずなかに入るドウカーレ宮殿、ここにボスの絵が3点あることは知っていたが、これまで縁がなかった。ところが今はパラッツオ・グリマーニ美に展示されていることになっている。この、グリマーニ美が一体どこにあるのかよくわからない。ネットを読んでもいまいち場所のイメージがわかない。

そのグリマーニ美が所蔵する祭壇画‘来世のヴィジョン’と‘聖女の殉教’が目の前に現れたので安堵した。‘隠者’もみたかったがこれはまたヴェネツィアへ行ったときのお楽しみとした。ネットの情報でこの2点は修復作業が終了した後スヘルトーヘンボスのボス展に出品されたことがインプットされていたが、たしかに色がよくでていた。

とくに惹きこまれたのが‘天国’の場面、とてもリアルに表現された天国へ向かうトンネル、青の濃淡によって奥行きができそこにさしこむ光が救われた人々を天国へ誘っている感じ。ここまで来れたらもう安心だろう。これに対し、煉獄や地獄では罪深い者たちは怪物から容赦ない拷問を受け続けている。あまり長くみていると夢でうなされるのでほどほどにしていた。

人物の赤い衣装が強い印象を与える‘聖女の殉教’も長くみていた。ボスがとりあげる聖人は男性がほとんどだが、この絵だけは聖女が十字架にかけられる姿で登場する。こういう殉教の場面がこれまでみたことがなかったので絵としてはとても新鮮。

キリストの受難を題材とした作品のなかでずっと気になっていたのがフランクフルトにあるシュテーデル美が所蔵する‘エッケ・ホモ(この人を見よ)’、フランクフルトは旅の優先順位が低いので対面はかなわないと思っていたが、人生何がおこるかわからない。やった!やった!と心のなかで叫んだ。

‘彼を十字架にかけよ’と下で叫んでいる群衆は皆強欲で悪意に満ちた顔をしている。聖書を読むだけではまわりにこんな人間しかいなかったキリストの悲しい運命は実感できない。その意味で絵画という表現方法は人々がものごとのイメージを深めるのに大きな役割を果たしている。

今回画集で一度もみたことのない作品が登場した。それはアメリカのカンザスシティに存在するネルソン・アトキンズ美がもっている‘聖アントニウスの誘惑’、この絵がこの度真筆に昇格したことはネットで知っていたのでひそかに期待していた。聖アントニウスが大きく描かれているのでプラド蔵の同名の絵より聖人の存在感が強い。そして池のなかにいる魚や漏斗を被った男がまたぐさっと胸に突き刺さる。

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コメント

You Tube で見ました(!)が、今回は、ウィーン美術造形アカデミーの『最後の審判』以外、ほとんどの真筆が集まっているようですね。どうして代表作の一つであるウィーンの『最後の審判』が出品されていないのか、とやや腑に落ちない気がしますが。

さてヴェネツィアのグリマーニ美術館所蔵の『来世のヴィジョン』と『聖女の殉教』は、見事な修復を受けたようですね。私は実見したことがありませんが、ヴェネツィアは湿気が多いからか、かつては絵具が剥げ、退色していましたね。今ではボスの名品であることがよくわかります。

ヴェネツィアのボス作品は、アカデミア美術館に移してくれたら見に行きやすいのですが・・・。イタリアの歴史尊重主義は素晴らしいのですが、同時に重要な美術品が分散しすぎていて、見づらい感は否めません。

ネルソン・アトキンズ美術館の『聖アントニウスの誘惑』は、ミニチュアの化物がかわいらしいですね! ボスは、うんと楽しみながら描いていたのでしょうね。

投稿: ケンスケ | 2016.06.23 22:31

to ケンスケさん
‘最後の審判’はウイーンにあるものは出てま
せんが、ブリュージュの市立美が所蔵している
ものが並んでます。

これは2011年に現地でみたときは工房作か
追随者の作品となっていた記憶があるのですが、
オランダの調査グループはネルソン・アトキ
ンズ蔵の作品と同様に真筆に昇格させましたね。
ですから、今回でてきた祭壇画は豪華なライン
ナップです。興奮しっぱなしでした。

投稿: いづつや | 2016.06.24 00:50

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