近代日本美術の煌き! 1949年(昭和24) その一
鳥取県の境港市で写真館を営みながら豊かな感性でシャッターを押し続けその名を世界にとどろかせた植田正治(1913~2000)、最も気に入っているのが‘パパとママとコドモたち’、この写真を回顧展でみたとき家族の幸せ感をこれほど雄弁に語れる写真の力はすごいなと思った。
妻と4人の子どもたち、そして本人の立ち位置は感心するほどうまく演出されており、このまま劇場の舞台に場を移して家族物語のパート2を演じたとしても違和感は感じない。家族一人々の素のままの姿が作品の魅力を支えている。
東近美へ出かけるとよくみかけるのが北脇昇(1901~1951)の気になる絵‘クオ・ヴァディス’、シュルレアリスムの作品だから不思議な空間に引き込まれるのはいいとして、ここは一体どこなのだろうか、帽子を被った後ろ向きの男はこれからどけへ行こうとしているのか、そして横にある大きな貝、小さな行先板と赤い花は何の象徴か?
倉敷市に生まれた池田遙邨(いけだようそん 1895~1988)は山口蓬春(1893~1971)同様、はじめは洋画を描いていた。そのため転向した日本画では意表をつく視点から画面を構成する独特の画風が特徴となっている。鳴門の渦潮を描いたこの絵はセザンヌの静物画のようにいくつもの視点からダイナミックな渦潮を表現している。白い渦がたくさんできている部分は真上からみて、左の岩を波がどどっと流れ落ちるところは横から力強い曲線をひいている。海の複雑な面の交わりを長くみているとクラクラしてくる。
明るい色合いとシンプルな構成が西洋画の静物画そのものという印象を与えるのが蓬春のアジサイの絵。マティスがこの絵をみたらきっと言葉を失うだろう。
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