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2016.04.01

カラヴァッジョ、ベラスケスとつながるマネ!

Img_0002     カラヴァッジョの‘いかさま師’(1595年 フォートワース キンベル美)

Img     マネの‘ラテュイユ親父の店’(1879年 トゥルネ美)

Img_0001  ベラスケスの‘鏡をみるヴィーナス’(1651年 ロンドン ナシュナルギャラリー) 

Img_0003    マネの‘フォリー=ベルジェールのバー’(1882年 ナショナルギャラリー)

好きな絵を何度も何度もみていると、よく似た絵がでてくるとつい2つの絵を結びつけたくなる。カラヴァッジョ(1571~1610)の初期の作品、‘いかさま師’に大変魅せられている。2010年ローマで大回顧展があったとき、意を決して出かけようと思ったのは普段はアメリカのキンベル美(テキサス州 フォートワース)に飾られているこの絵が出品されていたから。

それほど思い入れのあるこの絵にちょうど同じころ日本でみたある絵が最接近してきた。その絵は三菱一号館美の開館記念として行われたマネ(1832~1883)の回顧展にベルギーのトゥルネ美からやって来た‘ラテュイユ親父の店’。

2つの絵をしばらくみているうちにマネは‘いかさま師’を下敷きにして描いたんだと直感した。素直にみたらカラヴァッジョとマネは結びつく。‘いかさま師’に描かれたトランプを後ろに持っている右の男の横顔がマネの絵の椅子に座りテーブルの上に手を置いている女性の顔と非常に似ている。そして、その女性を恋心丸出しでみているいる男のぎょろっとした目がこれまた‘いかさま師’の純真な若い男の持ち札を教えている武骨な男と重なってくる。マネに‘カラヴァッジョを意識したのでは?’と聞いたら、‘そうだよ、気がついた’と応えるにちがいない。

マネの作品にはもうひとつ先達の作品がインスピレーションを与えたのではないかと思わせる絵がある。ロンドンのコートールド美にある晩年の傑作‘フォリー=ベルジェールのバー’、この絵はちょっと複雑な構図になっている。中央の寂しげな表情をした給仕娘と右奥にいる男の客に対応している後ろ向きの女は一見すると別人のようにみえる。

ところが、じつは同じ人物。正面を向いている女の後ろに鏡がありそこにこの女の後ろ姿が映っているのである。説明書きなしでこの絵をみると10人いたら10人が2人の給仕女が描かれていると思うだろう。鏡に映る後ろ姿をトリックのように描くアイデアはどこからきたのか?

それはマネが敬愛していたベラスケス(1599~1660)の作品ではないかと勝手に想像している。その絵はロンドンのナショナルギャラリーにある‘鏡をみるヴィーナス’。ベラスケスは2度目のイタリア滞在のときスペインでは御法度の裸婦図を描いた。モデルはこちらをむかせずその顔をキューピッドが持つ鏡でちらっとみせている。ローマにいるからといって裸婦をティツイアーノのように大胆には描けない。で、ベラスケスはこういう構図にした。その気持ちはよくわかる。

マネはベラスケスが小道具に使った鏡を自分の絵にどんと持ち込んだが、ぱっとみると鏡に映った女が主役の女とはみえないような描き方はした。鏡により人物をトリック的に変容させる表現がとてもおもしろい。

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