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2016.04.04

サプライズ! Bunkamuraの‘国芳 国貞展’

Img     歌川国芳の‘水瓶砕名誉顕図’(1856年)

Img_0002     歌川国芳の‘江戸ノ花 木葉渡 早竹虎吉’(1857年)

Img_0003     歌川国貞の‘東都両国橋 川開繁栄図’(1858年)

Img_0001     歌川国貞の‘春夕美女の湯かゑり’(1833年)

渋谷のBunkamuraでは現在‘ボストン美蔵 俺たちの国芳 わたしたちの国貞’(3/19~6/5)が行われている。Bunkamuraで浮世絵の展覧会!?というのが正直なところ。この美術館に期待するのは質のいい西洋絵画でヒット確率が非常に高いブランド美術館というのが一般的なイメージ。

その美術館がどういう風のふきまわしかボストン美の浮世絵コレクションをずらっと並べてきた。しかも、色がよく残ったクオリティの高い歌川国芳(1797~1861)と歌川国貞(1786~1864)が次々と登場する。流石、ボストン美と関心するが、同時にBunkamuraでこのようなわくわくする浮世絵展をみたということが強く記憶に残る。

今回の主役は国芳と国貞、国貞のほうが一回り上の世代で3代目の歌川豊国を継いだから浮世絵師としては最も高いところにいる。広重と同じ年に生まれた国芳は広重が亡くなった3年後に64歳で人生を閉じる。年長の国貞は長生きし、死んだのは第一次長州征伐があった1864年、享年78。時代が江戸から明治へと移るのはその4年後の1868年。

海外の美術館から浮世絵が里帰りするとなんとしても出かけようと思うのはまだお目にかかったことがなく保存状態の抜群にいい作品に数多く遭遇するから。今回、またガツンとやられた。こんないい国芳、国貞があったのか!という感じ。プラスαがこれほど登場すると浮世絵の虜になる。

国芳で長くみていたのは合戦絵の‘水瓶砕名誉顕図’、目が点になったのは中央の豪傑の強さ、画面の上のほうに敵の武将たちが宙に放り投げられている。よく見るとそこには刎ねられた首や胴体が、なんだか岩佐又兵衛の絵巻に描かれた血が飛び散る戦いの場面をみているよう。

江戸の軽業師、早竹虎吉の芸を描いたものをみたのははじめて。体を地面にむけてのばしひとりの子どもの足首を持っているのはまあ理解できる。だが、もう一人の子の着物の衿のところをもつことができるのだろうか?このパフォーマンスは大喝采を受けたにちがいない。

2年前大田記念美で国貞の回顧展をみたが、そのときなかった作品がいくつもでてきた。画面の隅から隅までみたのが花火の絵。画面構成がじつに上手い、手前に男女や子どもを横一列に大きく描き、その向こうにある屋台の賑わいを中景として人物の大きさを3分の1くらいに縮小、さらの橋の上をギュウギュウづめになって花火をみている人たちを点々でびっちりうめている。やはり国貞の腕前は半端じゃない。

そして国貞のシュールな絵にまた出会った。それは提灯から漏れた光が大きな三角形をつくり通りを行き交う人々をシルエットで映し出す‘春夕美女の湯かゑり’、これは参った!

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コメント

作品数が多く疲れましたが充実した展覧会でした。

全体として江戸時代の風俗がよくわかり、とても楽しめました。潮干狩り、歌舞伎の舞台裏、川開きなど引き込まれてしまいました。舌の汚れを取っている女性の絵などはユーモアもあって、顔の筋肉がゆるみました。

作風としては、国芳の豪快さはハリウッド映画のCGでも見るような思いです。こういうエンタメ的スペクタクルを描いた画家は、ちょっと他にはいませんね。この創造性は日本の誇れる大きな才能ではないでしょうか。

国貞の『春夕美女の湯かゑり』はおっしゃるようにシュールで、見とれました。強い光の投影で分割される構図は独創性があって、やはり際立っていました。

投稿: ケンスケ | 2016.04.05 22:17

to ケンスケさん
国芳はスケールの大きさ、多様性では北斎を上回る
かも知れませんね。とにかく新しいものを生み出す
パワーは特大ですし、西洋絵画の吸収にも貪欲です。

そして国貞の確かな技術もすごいですね。またあの
シュール感覚、二人の組み合わせが浮世絵のもって
いる可能性をひろげてくれました。

投稿: いづつや | 2016.04.06 00:51

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