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2016.03.17

カラヴァッジョ VS ラ・トゥール! 暴力

Img カラヴァッジョの‘キリストの鞭打ち’(1601年 ナポリ カポデイモンテ美)

Img_0002 カラヴァッジョの‘キリストの捕縛’(1601年 ダブリン アイルランド国立美)

Img_0003    ラ・トゥールの‘楽士たちのいさかい’(LA ポール・ゲッティ美)

西洋絵画をみる機会が多くなると、ときどき強烈な存在感を発揮する人物と出くわす。強い目力をもった女性とか、悲しみに打ち震えているキリストの使徒、暴力性をむき出しにした男など。

カラヴァッジョの絵にも体がフリーズするほど怖い顔をした人物がでてくる。それはローマであった大回顧展(2010年)でお目にかかった‘キリストの鞭打ち’、キリストをこれから痛めつけようとする左の刑吏は暴力的なのは生まれもった性分とうそぶきそうな憎たらしい顔をしている。この男の残忍性を驚くべきリアリズムで表現できたのはカラヴァッジョが街で激しい喧嘩をたびたび繰り返していたからかもしれない。

回顧展に出品された作品のなかでアメリカのキンベル美にある‘いかさま師’同様、大きな収穫だったのがダブリンのアイルランド国立美が所蔵する‘キリストの捕縛’、ダブリンの美術館まではなかなか行けないのでこの絵がローマでみれたのは幸運だった。

どどっとやって来た兵士たちに無抵抗のまま捕えられるキリスト、その前にいるのがユダ。そして、キリストの後ろで口を開け恐怖におののく姿をみせているのは弟子のヨハネ。この絵をじっとみているとラ・トゥールの‘楽士たちのいさかい’がダブってくる。

二つの絵は人物の配置などが似ているのでラ・トゥールはカラヴァッジョを意識したにちがいない。左端でわなわなと震えている老女は真ん中の男にやっつけられているヴィエル弾きの女房、この弱い老人がカラヴァッジョの絵のキリスト、そして正面を向いている女房が逃げているヨハネに対応している。

もう一つのピースはキリストの捕縛を右で見ているカラヴァッジョ自身と仲間の喧嘩を‘こいつらすぐ熱くなるんだから’と笑い顔をみせている男。
ラ・トゥールの風俗画をみるたびにラ・トゥールはカラヴァッジョの生まれ返りではないかとつい思ってしまう。

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