« カラヴァッジョ VS ラ・トゥール! 暴力 | トップページ | 二度目のカラヴァッジョ展! »

2016.03.18

カラヴァッジョ VS ラ・トゥール! 光

Img カラヴァッジョの‘聖マタイの召命’(1600年 サン・ルイジ・デイ・フランチェージ大聖堂)

Img_0002  カラヴァッジョの‘洗礼者ヨハネの斬首’(1608年 サン・ジョヴァンニ大聖堂)

Img_0001  ラ・トゥールの‘金の支払い’(1624年 ウクライナ リヴォフ美)

Img_0004     ラ・トゥールの‘羊飼いの礼拝’(17世紀 ルーヴル美)

これまで世界の主要都市で美術館や聖堂をまわり絵画や彫刻をあれこれみてきた。そのなかで用意した感動袋がぱんぱんに膨れ上がったのはローマへでかけたとき。目を楽しませてくれたのはカラヴァッジョとベルニーニ。

それ以来、まわりにいる美術好きと会うたびにこの二人のスゴさを熱く語ってきた。このローマで多くのカラヴァッジョファンがまず目指すのがナヴォナ広場の近くにあるサン・ルイジ・デイ・フランチェージ大聖堂、みんなのお目当てはカラヴァッジョ(1571~1610)の出世作、‘聖マタイの召命’。

この絵にはとにかく200%ガツンとやられる。そして思う。この画家と一生つきあっていこうと。この絵が心を大きくとらえるのは光の描写、暗い部屋の壁が画面のほぼ半分をしめているが、窓からさしこむ光に照らされたところが強く印象づけられる。映画ではこういう光景をカメラがゆっくりパーンしていくシーンがよくでてくる。

これほど強く明暗をきかせて描かれた部屋が聖マタイの召命というドラマチックな場面の舞台、右にイケメンのキリストが立ち、テーブル㋨まわりには着飾った若い男たちとひげをはやした年配の男がいる。よくみると光のさしこむラインにそってキリストの右手と中央の男の手が描かれている。この手の動きは普段の生活のなかでも違和感がないものだから、絵のなかにすっと入っていける。だから、この絵はほかの画家の描く宗教画とは異なり80%は風俗画の感覚でみてしまう。

まだ縁のない‘洗礼者ヨハネの斬首’も外からの光が斬首されるヨハネと処刑人の姿を浮き彫りにする。この絵はマルタ島のヴァレッタというところにあるサン・ジョヴァンニ大聖堂へ行かないとみれない。なんとか段取りをつけて出かけようと思っているが、さて実現するだろうか。

ラ・トゥール(1593~1652)はカラヴァッジョ以上に光の画家というイメージの強い画家、そしてその光源はろうそくただひとつ。多くの作品が画面の中心にろうそくがあり人物の顔や体をてらしている。このより内面をうつしだす光の表現に惹きこまれる。

‘金の支払い’と‘羊飼いの礼拝’はほかの作品にくらべて光の量が多く明が暗を上回っている作品。生まれたばかりのキリストがみんなから祝福される‘羊飼いの礼拝’をみて連想するのはかぐや姫の物語。山へでかけたおじいさんが光り輝く一本の竹を見つける場面。キリストがかぐや姫にみえてしょうがない。

|

« カラヴァッジョ VS ラ・トゥール! 暴力 | トップページ | 二度目のカラヴァッジョ展! »

コメント

サン・ルイージ・デイ・フランチェージ教会のコンタレッリ礼拝堂は、コインを入れるとしばらく明りに照らされ、カラヴァッジョの作品が幻想的に浮かび上がってきますね。それ自体神秘的経験だったので、33年前に訪れたのによく覚えています。

カラヴァッジョの宗教画はいつも画面の外に光源を設定していますが、それは神による光を表しているのですね。一方、ラ・トゥールは光源としてロウソクをよく描きますが、宗教画ではやはり神による光を象徴しているのでしょうか。

マルタ島まで行くのは大変ですが、もし行くならシチリアをいっしょに訪れて、カラヴァッジョ晩年の作品をまとめて見るのが一番いいかもしれませんね。

なおリヴォフの『金の支払い』もルーヴルの『羊飼いの礼拝』もプラドのラ・トゥール展に出ています。このラ・トゥール展は真作ばかりに限定して、31点も出ているそうですよ!夢の展覧会ですね。

投稿: ケンスケ | 2016.03.20 22:33

to ケンスケさん
カラヴァッジョやラ・トゥール、そしてレンブラ
ントの描く宗教画は風俗画という意味合いが80%
だとみています。

そのため、光は神聖の意味もありますし、劇的な
物語を表現する舞台の設定や人物の精神性や内面を
浮き彫りにするのに欠かせない装置とも考えられます。

マルタ島とシチリアをセットにした個人旅行を組ま
ないと夢の実現は叶いませんね。

プラドにラ・トゥールの真作が31点も結集して
いますか!嬉しいですね。1月には思ってもみな
かった展開です。

投稿: いづつや | 2016.03.21 00:22

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)


コメントは記事投稿者が公開するまで表示されません。



トラックバック


この記事へのトラックバック一覧です: カラヴァッジョ VS ラ・トゥール! 光:

« カラヴァッジョ VS ラ・トゥール! 暴力 | トップページ | 二度目のカラヴァッジョ展! »