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2016.03.08

ダ・ヴィンチの‘糸巻きの聖母’!

Img      ‘糸巻きの聖母’(1501年 スコットランド国立美)

Img_0002     ‘花の研究’(1505年 ヴェネツィア アカデミア美)

Img_0001     ‘鳥の飛翔に関する手稿’(1505年 トリノ王立図書館)

江戸東博で現在開催されている‘レオナルド・ダ・ヴィンチ 天才の挑戦’(1/16~4/10)、ここに展示してある‘糸巻きの聖母’はどうしても見逃せないので遅くなったが足を運んだ。

昨年は東京富士美でダ・ヴィンチ(1452~1519)の‘アンギアーリの戦い(タヴォラ・ドーリア)’が公開された。当初は出かけるつもりだったが遠くの美術館であることがちょっとおっくうでとりやめた。いずれまた展示されるはずだからそれまでお預け。

‘糸巻きの聖母’はダ・ビンチ本に必ず載っている作品ではないから、東京富士美のときのような思いがないでもない。でも、両国に行かなくてはとなるのはこの絵が聖母像だから。後生の画家が加筆した背景のところは目をつぶって優しい聖母の表情と糸巻き棒を手にもって遊んでいる幼子キリストの姿を目にやきつけた。

聖母の表現でとても気になるのが手の裏側をこちらにせる右手の描き方。これはロンドンのナショナルギャラリーとルーヴルにある‘岩窟の聖母’に描かれた聖母の左手にもみられる。じつはこの手とある絵が関係している。それは今西洋美に展示されているカラヴァッジョの‘エマオの晩餐’(ブレラ美)。

中央のキリストが右手をこちらにむけているのはカラヴァッジョがダ・ヴィンチの‘岩窟の聖母’を意識しているから。カラヴァッジョはダ・ヴィンチ、ミケランジェロ、ラファエロの絵から多くのことを学んでおり、作品にその影響がみられる。天才はいつの時代でも過去に描かれた傑作を消化したうえで独自の画風を確立していく。カラヴァッジョもその例にもれない。

収穫だったのはヴェネツィアのアカデミア美からやって来た花などの素描、‘鳥の飛翔に関する手稿’同様、興味深くみていた。普段はデッサンに時間をかけてみないが、ダ・ビンチのものとなると見るぞ!モードにスイッチが入る。最後の部屋にダ・ヴィンチの発明品の模型がいくつか並んでおり、これをみて今回のダ・ヴィンチ物語は終わりとした。

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コメント

私も1月に行ってきました。『糸巻きの聖母』はレオナルドの古い画集や本には弟子の作と書かれていて、私も以前は注目していませんでした。聖母子と手前の迫真性ある岩の描写が今では、レオナルド作という見方が出ているとのことですが、賛同しています。

いろいろな弟子たちの作品も展示されていましたが、やはり質的に明らかに高いと思いました。スフマートの表現もレオナルド的ですね。弟子の手が入っているにしても下絵や制作のかなりの部分は真筆なのではないでしょうか。

投稿: ケンスケ | 2016.03.09 21:52

to ケンスケさん
‘糸巻きの聖母’だけの列ができているとは思って
ませんでした。土日に行くと絵の前にたどりつく
のに時間がかかりそうですね。

この絵は純な真筆ではないですが、肝心の聖母は
ダ・ヴィンチが描いたものですから、しっかりみと
きたいですね。何といってもダ・ヴィンチは特別の
存在ですから見逃せません。

投稿: いづつや | 2016.03.10 00:50

レオナルド・ダ・ヴィンチの『白貂を抱く貴婦人』がチャルトリスキ氏のコレクションとともにポーランド政府によって買い上げられたというニュースを今日、ネットで読みました!

コレクションはレンブラントやルノワールも含んでいて、2400億円以上の価値だそうですが、120億円ほどでポーランド政府に「寄付」同様に売却されたそうです。今後クラクフに新しい美術館が開館するのでしょうか。

『白貂を抱く貴婦人』は実見したことがないのですが、素晴らしい作品ですよね。ぜひ見たいのですが、今後が気になります。

ところで、いづつやさんがプラドでご覧になったフラ・アンジェリコの『ザクロの聖母』は、イギリスの美術・文化雑誌アポロ(Apollo)で、2016年に世界の美術館が新たに収蔵した作品のベストワンに選ばれたそうです。こちらも、数年内に見に行きたいです。

投稿: ケンスケ | 2016.12.30 21:37

to ケンスケさん
日本に一度やってきたダヴィンチの‘白てん’が
ポーランド政府に買い上げられましたか。まさに
国の宝になりましたね。

プラドでみたフラ・アンジェリコの聖母は忘れら
れない一枚です。ベストワンに即納得です。

投稿: いづつや | 2016.12.31 00:14

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