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2016.03.23

驚愕のリアリズム カラヴァッジョとベラスケス!

Img_0002  カラヴァッジョの‘キリストの鞭打ち’(1607年 カポデイモンテ美)

Img_0001_2 ベラスケスの‘教皇インノケンテイウス10世’(1650年 ローマ ドーリア・パンフィーリ美)

Img_2 カラヴァッジョの‘エジプト逃避途上の休息’(1595年 ドーリア・パンフィーリ美)

Img_0003     ベラスケスの‘鏡をみるヴィーナス’(1651年 ナショナル・ギャラリー美)

スペインの首都マドリードにはパリのルーブルのように多くの観光客が足を運ぶ美術館がある。ご存知、プラド美、ここでもっとも有名な絵はベラスケス(1599~1660)の‘ラス・メニーナス’、この絵によってベラスケスは絵を描く特別な才能に恵まれた宮廷画家というイメージができあがる。

ところが、ローマにあるドーリア・パンフィーリ美という邸宅美術館に飾れている肖像画をみると、ベラスケスが本当に描きたかった絵というものがわかるような気がする。その絵はベラスケスがローマに滞在しているときに制作した‘教皇インノケンティウス10世’。みた瞬間、教皇と会っているような気持になった。じっさい教皇はこんな厳しい顔をしていたのだろう。ベラスケスはフェリペ4世の肖像を描くときとちがって脚色なしで素の教皇の姿を描いている。

この人物描写にみられる驚愕のリアリズムは腹の底からスゴイなと思う。宮廷画家としての立場を離れるとベラスケスの絵筆は究極の写実主義につきすすむ、教皇の気難しそうな顔をじっとながめているとカラヴァッジョ(1571~1610)の‘キリストの鞭打ち’に登場するキリストをいためつける強面の刑吏が重なってくる。そして、ベラスケスはラ・トゥール同様、カラヴァッジョの生まれかわりではないかとつい想像をふくらましてしまう。

二人を強く結びつける作品の組み合わせがもうひとつある。ロンドンのナショナルギャラリーが所蔵するベラスケスの傑作‘鏡をみるヴィーナス’、そしてカラヴァッジョの作品は‘エジプト逃避途上の休息’。‘鏡をみるヴィーナス’もベラスケスがイタリアへ派遣されたときに描いたもの。モデルは現地で愛した女性といわれている。

スペインであれば絶対描けない裸婦、でもここは絵画の本場イタリア、ティツィアーノだって裸婦を手がけているのだから俺だって描きたいように描くぞとベラスケスは思ったにちがいない。絵筆の力は超一流だからこんな魅力的な裸婦像に仕上がった。この肌のやわらかさやふくらはぎの生々しい表現は思わず脈拍数があがるほど見事なもの。この女性の肌の描写がまたカラヴァッジョの絵を連想させる。中央でバイオリンを弾いている天使の肌の生感覚がとてもよく似ている。

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コメント

『教皇インノケンティウス10世の肖像』は、最初のローマ訪問の時の一度だけですが、ドーリアパンフィーリ美術館を訪れて見ました。西洋絵画史上でも、技術的に、そして内面描写の点で最高の肖像画ではないでしょうか。リアリズムもここまでくると、ただ感嘆するばかりです。

ドーリア・パンフィーリ美術館はすばらしい17世紀の絵画が豪華に飾られていてタイムスリップしたような思いをしましたが、ベラスケスの作品は一室に飾られているので、やはり至宝なのですね。

『鏡を見るヴィーナス』は、カーテンの紅色、シーツの紺色の対比も実に美しく、ベラスケスはやはりあらゆる点で天才だと思います。

投稿: ケンスケ | 2016.03.24 22:40

to ケンスケさん
ベラスケスも大きな画家ですね。カラヴァッジョの
リアリズム表現に感動しますが、ドーリア・パンフィーリ美
の特別室に飾られている教皇の絵をみたら、ベラスケス
の画才もとびぬけているなと思いますね。とくに若い
ころ描いた風俗画などびっくりするほど上手いですね。

カラヴァッジョ、ラ・トウール、レンブラント、
フェルメール、ルーベンスといった才能あふれる画家
たちがどっと登場し、新しい絵画を発展させますから
目に力が入ります。

投稿: いづつや | 2016.03.25 01:33

ベラスケスのエピソードで思い出したのですが、ベラスケスが宮廷画家になった時、フェリペ四世から特別に重用されたので他の宮廷にいた画家が嫉妬して、王に「ベラスケスは人間の顔しか描けない」と侮蔑的なことを言ったそうです。

そのことを王から聞いたベラスケスは、「光栄でございます、閣下。私は、これまでに人間の顔を描いた画家というものを知りませんから」と答えたそうです。

『インノケンティウス十世』やフェリペ四世の宮廷の道化師たちの肖像は、とりわけ人間の内面が抉りだされているように思います。

私の好きな作品は、『道化カラバシーリャス』です。目が不自由で白痴、そしてアルコール中毒者だったという道化師の目は深みがあって、優しそうで、ベラスケスが人間愛を持って、描いたことを感じさせます。

投稿: ケンスケ | 2016.03.27 20:42

to ケンスケさん
ベラスケスは自分の技術に自信をもっていたので
しょうね。フェリペ4世は自分をよくうつるよう
に描いてくれるベラスケスに感謝していたに違い
ありません。

一方、脚色をする必要のない道化とか教皇はその
ままに描く。ご存知だと思いますがMEYにある
ローマに連れて行った従者の肖像も精神性のよく
でた傑作ですね。ベラスケスはやはりスーパー
画家です。

投稿: いづつや | 2016.03.28 01:19

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