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2016.03.24

カラヴァッジョとレンブラントの光、感情表現!

Img_0001 カラヴァッジョの‘聖マタイの殉教’(1600年 サン・ルイジ・デイ・フランチェージ聖堂)

Img_0002    レンブラントの‘目を潰されるサムソン’(1636年 シュテーデル美)

Img     カラヴァッジョの‘イサクの犠牲’(1601年 ウフィツィ美)

Img_0003    レンブラントの‘ガニュメデスの略奪’(1635年 ドレスデン国立絵画館)

現在、西洋美でカラヴァッジョ(1571~1610)のビッグな回顧展が行われているが、今から12年前には京博で大レンブラント展があった。西洋絵画と長くつきあっていると‘大事件’という表現を使いたくなるようなすばらしい展覧会と遭遇する。

このとき200%心を奪われたのがフランクフルトにあるシュテーデル美からやって来た‘目を潰されるサムソン’、この傑作が日本でみれたのは生涯における幸運だったかもしれない。レンブラント(1606~1669)の絵にMyランキングをつけると別格扱いの‘夜警’が文句なく1位で、2位はこの‘サムソン’。

この絵がカラヴァッジョの‘聖マタイの殉教’と光の描写や構図がよく似ていることを気づかせてくれたのは、あるレンブラント本。それは何年か前アムステルダムの空港にある書店で手に入れた‘アートブック レンブラント’(DK社 1999年 英語版)。

サムソンの力の源泉である髭を切ったデリダが左手のその髭を持つ姿はカラヴァッジョの絵で大きく口をあけて何かをさけんでいる子どもの手ぶりを思わせるし、サムソンの目を思いっきりつぶしている兵士は聖マタイをにらみつけている若い刺客を連想させる。レンブラントはカラヴァッジョの絵を意識していたにちがいない。

レンブラントの秀でた才能のひとつが人物の感情表現。いつも感心しながらみているのが幼児が泣いている絵、‘ガニュメデスの略奪’、この男の子は鷲がよほど怖かったのか大泣きしおしっこまでもらしている。子どもがこういう風に激しく泣く光景にはよく出くわすから、この絵にはすっとはいっていける。

一方、カラヴァッジョの‘イサクの犠牲’でもアブラハムに押さえつけられたイサクが恐怖のあまり顔をゆがめている。いくら親とはいえナイフをちらつかされたら体がちじこまるほど怖いだろう。これほどリアルに人間の感情を表現できるのは日頃から人をよくみていることの証。ダ・ヴィンチ同様、カラヴァッジョとレンブラントは人間観察の達人である。

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コメント

『目を潰されるサムソン』は画集でしか見たことがありませんが、迫力はレンブラント作品の中でも群を抜く出来栄えですね。

『ガニュメデスの略奪』は、2005年のドレスデン国立美術館で見ましたが神話画なのに、どこにでもいるような子供のガニュメデスが恐怖でオシッコをしているところがリアルで、引き込まれます。

レンブラントの光は幻想的で、カラヴァッジョとはまた違いますね。私は、アムステルダム国立美術館にある『エルサレムの滅亡を嘆くエレミヤ』のような個人の内面を照らし出しているような作品が特に好きです。

投稿: ケンスケ | 2016.03.27 20:32

to ケンスケさん
レンブラントの自画像や肖像画もいいものが多い
ですね。聖書や神話の物語に想を得た作品で
はサムソン、のぞき見されるスザンナ、そして
エレミアなどがお気に入りです。

レンブラントの技でおもしろいのは観る者の視線
が集まるところはしっかり描きますが、そうで
ないところはささっと描くところです。こうした
画面に密度の差があるのがまた味わい深いところ
です。

カラヴァッジョの感情表現はストレートで緩急を
つけてますが、レンブラントは複雑な内面にもふれ
ているような気がし、それを光が演出している感じ
です。

投稿: いづつや | 2016.03.28 01:07

東博の『黒田清輝展』に行ってきたのですが、黒田清輝はレンブラントに魅せられていたのですね。

『厨房』には明らかなのですが視線が行くモデルのマリアの顔は精緻に描かれているのに周囲はピンボケしたように描かれています。おっしゃるようにレンブラントの様式です。

ベラスケスやフェルメールも同じ描き方をしているところを見ると、画家たちは人間の視覚というものをよく理解していたのですね。

投稿: ケンスケ | 2016.03.30 12:27

to ケンスケさん
黒田清輝とレンブラントがコラボしていましか、
はじめて知りました。

仰るようにベラスケスもレンブラントも視覚の科学
を知っていてこれを計算して構図をつくっていった
のでしょうね。

むろさんからありがたいオフ会の提案がありました。
4/2(土)をお受けしようと思いますが、ケンスケ
さんは都合がつきますか?もし先約があれば仕方が
ありませんが。

投稿: いづつや | 2016.03.30 20:51

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