近代日本美術の煌き! 1934年(昭和9) その二
東近美によく通っていたころ、必ず立ち止まってみた絵がある。安井曾太郎(1888~1905)というとまず思い出す絵、‘金蓉’。この絵は岸田劉生の‘麗子’や黒田清輝の‘湖畔’同様、‘THE洋画’として多くの人に愛されてい傑作。
中国服が似合う日本人がいても不思議ではないが、これほど自然に着こなしているところをみるとこの女性の心は半分以上が中国に染まっていたのかもしれない。安井は肖像画をたくさん描いたがモデルの存在感では青色の中国服が印象深いこの‘金蓉’が一番。ふと椅子に座った本人を横から見ているような錯覚を覚える。
2006年、渋谷の松濤美で思い出に残る展覧会が開かれた。飾られていたのは台湾の女性画家、陳進(1907~1998)の作品。日本が台湾を統治していたころ陳進は日本に留学し、鏑木清方や伊東深水などに日本画を学んだ。
そして、1934年の帝展に台湾女性として初入選した。その絵が27歳のときに描いた‘合奏’、この絵の前に立ったとき瞬間的に頭をよぎったのは鈴木春信の浮世絵美人画、モデルは陳進の姉で月琴を奏でる姿と笛を吹く姿を別人のように仕立てて描いている。忘れられない一枚。
上村松園(1875~1949)の‘母と子’は母親の母性が強く心をうつ作品。子どもを描いた作品には髪型が唐子のような幼児がよくでてくる。ちょこっと残った髪がじつに可愛い。
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