期待通り質の高い‘ラファエロ前派展’!
ミレイの‘いにしえの夢ー浅瀬を渡るイサンブラス卿’(1857年)
渋谷のBunkamuraでは現在‘英国の夢 ラファエロ前派展’(12/22~3/6)が行われている。昨年1月、森アーツセンターであったビッグなラファエロ前派展はテートのコレクションだったが、今回公開されているのはリバプール国立美の所蔵作品。
はいってすぐミレイ(1829~1896)の‘いにしえの夢-浅瀬を渡るイサンブラス卿’が出迎えてくれた。これはミレイの画集には必ず載っている作品、今回ミレイはこの中世的な騎士が2人の子供を馬に乗せて進むという物語性を感じさせる傑作のほか‘春’や‘ブラック・ブランズウイッカーズの兵士’も含まれている。
2008年にBunkamuraは質の高い作品を集めたミレイ展を行っているが、今回出品された8点はそのときに欠けていた主要なピースをもってきた感じ。おそらくこれで‘ミレイのいい絵は全部おみせしました!’という思いだろう。すばらしい。
ロセッティ(1828~1882)の‘シビラ・バルミフェラ’もラファエロ前派ファンにとっては嬉しい一枚。理想をいえばウォーカーアートギャラリーにある‘ダンテの夢’をみたかったが、これは強欲というもの。イギリスを訪問する機会がまたあればロンドンから高速鉄道に乗ってリバプールをめざしたい。
リバプールにあるバーン=ジョーンズ(1833~1898)は手元の画集に載っている2点を期待していたが、出品されていたのはこれではなく水彩画の大作‘レバノンの花嫁’、昨年は森アーツセンターで‘愛に導かれる巡礼’に出会い、今年はボストン美でも‘希望’と再会した。一歩々コンプリートの道を進んでいると思えるのが嬉しい。
日本ではなかなかみることができない耽美主義派のムーア(1841~1893)、これまでみたのは1人の女性を描いたものだったが、目の前に現れたのは横に並んだ4人の群像画。絵をみているというより古代ギリシャの大理石彫刻をみているような気分。
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コメント
今日、ラファエル前派展に行ってまいりました。かなりの人でしたが、それでも十分に観賞することができて、よかったです。
私としては、お気に入りのアルマ・タデマの作品をもっと見たかったのですが、そのぶんミレイやウォ―タ―ハウスの代表的な作品(私には特に『エコーとナルキッソス』がよかったです)が複数あって、一昨年森アーツセンターギャラリーであった『ラファエル前派展』に劣らぬ充実した内容だと思います。
ムーアの『夏の夜』はよかったですね。三菱一号館の『ザ・ビューティフル展』でムーアの『真夏』を見た時より魅惑されました。
今年一年も、いろいろな作品のご紹介ありがとうございました! どうかよいお年をお迎えください。来年もまた貴ブログを拝見させていただくのを楽しみにしております。
投稿: ケンスケ | 2015.12.30 18:12
to ケンスケさん
ラファエロ前派展にミレイの‘いにしえの夢’が
出品されていたことは美術館について知りました。
本当にいい作品をもってきてくれました。
Bunkamuraは美術本に載っているような作品を
どんと展示してくれるのでいつも感心してます。
来年あたりお気に入りのオキーフの回顧展をやって
くれないかと密かに期待しています。
アメリカ美術館めぐりは年が明けましたら後半に
入ります。目いっぱいいい絵を紹介するつもりです。
ケンスケさんとの美術談義はいつも楽しいです。
いいお年をお迎えください。
投稿: いづつや | 2015.12.31 00:22
大晦日に行って来ました。いづつやさんブログの お陰で、この展覧会も 見る前に情報が増えて、何倍も楽しめました。
油彩なのに陶器のような質感だったり、額縁が立派で金庫の扉のようだったり。賑わっていましたが、細かな部分も間近で じっくり見られて大満足でした。
ギリギリになってしまいましたが、いづつやさんも よいお年をお迎え下さいね。
投稿: みどりがめ。 | 2015.12.31 23:20
to みどりがめさん
あけましておめでとうございます。今年も
よろしくお願いします。
Bunkamuraはラファエロ前派を得意として
ますね。ミレイの‘いにしえの夢’が目の前に
現れたのでびっくりしました。これぞ油絵と
いう感じの比類なき写実描写にぐっと惹きこま
れます。
投稿: いづつや | 2016.01.01 00:37