近代日本美術の煌き! 1930年(昭和5) その二
世の中には芝居を観ることを趣味にしている人が大勢いる。歌舞伎座や新橋演舞場の前で演目をみているとこれから楽しみでしょうがないという顔をした女性たちがいそいそと中へ入っていく。たまにはそういう人たちに交じって芝居観賞もいいかなと思うが、チケットを購入するまでにはいたっていない。
日本画には歌舞伎や能の演目を題材にして描かれたものが多いから、歌舞伎座に通うことになったら絵の見方に幅がでるかもしれない。小林古径(1883~1957)の‘清姫’はご存知の紀州の道成寺伝説を描いたもの。額八面のなかで、体が思わずフリーズするのが‘日高川’と‘鐘巻’。
安珍が忘れられなくなった清姫、黙って去っていった安珍を‘もう許さないからね!’とばかりに猛スピードで追っかける。後ろになびく長い髪が清姫の必死さを表している。そして、清姫は恐ろしい目をした蛇に変身し怒り狂って鐘に巻きつく。なかにいる安珍は可哀想に焼き殺されてしまった。
鏑木清方(1878~1972)も清姫を描いている。双幅の‘道成寺・鷺娘’はとびっきりの傑作、これは回顧展にはこれまででたことがない。だから、鎌倉の大谷記念美でしかみれない。はじめてみたとき着物の赤と白の輝きに目を奪われた。清方の美人画をたくさんみてきたが、完成度の高さではこれが一番。美術館が外に出さないのがよくわかった。
葉山にある山口蓬春記念館は7、8年前よく通っていた。洋画家としてスタートした山口蓬春(1889~1971)は途中から日本画に移った。作域は広く、いい水墨なども手がける。そしてこの‘扇面流し’のようないかにも琳派といった作品もある。蓬春は琳派の華麗な装飾美に惹かれていたのだろう。宗達が‘扇面流し’をみたらきっと‘蓬春はん、お上手でんな!’というにちがいない。
| 固定リンク

































![中村 元: バウッダ[佛教] (講談社学術文庫)](http://ecx.images-amazon.com/images/I/514wv3dXo3L._SL75_.jpg)











![ダン アリエリー: 予想どおりに不合理[増補版]](http://ecx.images-amazon.com/images/I/51q-TKsPGOL._SL75_.jpg)














コメント