待望の村上隆の‘五百羅漢図’!
期待していた村上隆の‘五百羅漢図’(展示は10/31~3/6)をみるために六本木ヒルズの森美へでかけた。ここで企画展をみるのは久しぶり。以前はコインロッカーが少なくチケット代は高いのにサービス精神の欠如が目立つ好感度のよくない美術館というイメージが定着していたが、これが少しは改善されておりコインロッカーがスムーズに使えた。
展示室のレイアウトが不慣れなので最初はおどおどしていたが、村上隆(1962~)が今年制作した作品がどどっと現れたのでだんだん見るぞ!モードにある。画集ではみたことのある‘たんたん坊’や‘DOB君’、そして銀色の小型版‘大仏オーヴァル’などか夢中にさせる。おなじみのキャラクターがでてくる最新作が全部で何点でていたのかは出品リストも図録もない(12月下旬発売)のでよく覚えてない。こうした前菜を食べたあといよいよ目的の‘五百羅漢図’と対面。
この大壁画が2012年中東のカタールで公開されたとき、‘芸術新潮2012年5月号’がその全容を誌上で見せてくれたので描かれている内容はわかっている。本物と会ってわかったことがいくつもあった。100メートルもある壁画は4つのパートにわかれている。
最初は‘白虎’、4つあるなかではこれが一番‘五百羅漢図’らしい。天地3mの画面に羅漢たちは大きさで3つにわけられ横にずらっと配置されている。大半は正面をむいているが、一部の羅漢は横向き。大物羅漢の着物の柄でおもしろかったのが金魚、顔の特徴としては長い々まゆ毛が気を惹く。ここに登場する白虎は虎ではなく猫。ちっとも怖くない。
‘白虎’に対置されているのが‘青龍’、ここは大海原。羅漢の数は少なく、白鯨と青龍がどんといる。でもこの鯨と青龍の出来はよくない、顔がわかりにくいのが致命的、そのため視線は明るい色彩と渦巻の文様が印象的な波と羅漢の横にいる北斎漫画を連想させる小さな人物のほうに向かう。
次は‘玄武’、ここに描かれた龍も造形的にはパットしない。とにかく頭や顔のまわりがごちゃごちゃしすぎ。また、赤鬼、青鬼もまったくダメ、まっく鬼らしくない。雲の表現も稚拙。もうちょっとすっきりできないのかという感じ。これに対して、最後の‘朱雀’はとてもいい。中央の鳳凰が美しいし地面に座っている羅漢たちの表情のつくりかた、そして奥行きを感じさせる宇宙的な空間構成もすばらしい。
龍と鯨と鬼の表現は不満だがほかは200%感動した。さすが‘世界の村上隆’とおもわせる記念碑的な傑作、拍手々!
| 固定リンク
コメント
村上隆の『五百羅漢図』を見てまいりました。現代アートに関心が高くないので、村上隆の作品は初めてでしたが、圧倒されました!
プラチナ板の上にアクリル絵の具の輝き、そして明るく華やかな色彩の多用。個人的に国際ゴシック様式の明るい色彩が好きなので、すぐに惹きつけられました。
五百羅漢の連作の中では、宇宙の画像を取り入れた『朱雀』がお気にいりでした!
伝統的な日本の絵画からアニメに至る様々なインスピレーションを受けていながら、統一感ある独自の様式を作り上げていますね。ビデオで村上氏が『絵画には、テレビにはない非日常をの要素が求められる』云々と言っていましたが、他のメディアでは表現しえない世界を堪能しました。
投稿: ケンスケ | 2016.01.25 22:37
to ケンスケさん
画面の大きな作品はやはり見ごたえがありますね。
白虎と朱雀がいいですね。
日本絵画の歴史をみてみますと、鳥獣戯画のDNAは
村上隆にもしっかり引き継がれているのが印象的
です。現代アートも古典とコラボするとモニュメ
ンタルな作品が生まれることを村上隆が実証して
くれました。
投稿: いづつや | 2016.01.25 23:41