近代日本美術の煌き! 1920年(大正9) その一
古賀春江(1895~1933)の絵ですぐ頭に浮かぶのは東近美に展示してある‘海’、画面の右に手を上にあげたモダンガールが立っているおもしろい絵。確かにシュルレアリスムの作品だがダリのように深くこみいってなく、小学6年生くらいの子がおもちゃや魚たちを気ままに並べたようにもみえる。
古賀というと当時のCMやデパートのポスターにシュール世界をとりこんだような作品を得意とした画家のイメージができていたが、あるとき茨城県近美にすごくまともな肖像画に出会った。それは古賀の姉さん女房がモデルをつとめた‘婦人’、以来しっかりもので頭がよさそうなこの女性をみ続けている。
古賀がモダンガールを絵のなかに登場させたのに対して、今でいうぐグラフィックデザイナーだった橋口五葉(1880~1921)が創業期の三越の宣伝ポスターに描いたのは浮世絵風の美人。女性らしさを強調する長い髪がこれほどどっさり描写されると忘れようにも忘れられない。
木版画家の山本鼎(1882~1946)の‘ブルトンヌ’や中村つね(1887~1924)の‘エロシェンコ氏の像’をみみているとヨーロッパの美術館にいるような気持になる。まさに西洋絵画そのもの。ゴーギャンが一時期住んでいたブルターニュで描いた作品にもこのブルトンヌ(この地方の女性のこと)がでてくるので、山本鼎の絵にはすっと入っていけるしとても魅了される。
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