近代日本美術の煌き! 1905年(明治38)
青木繁の‘大穴牟知命(おおなむちのみこと)’(ブリジストン美)
青木繁(1882~1911)に惹かれる理由のひとつに神話画がある。西洋画にはボッティチェリの‘ヴィーナスの誕生’をはじめとしてギリシャ神話を題材にした傑作がいくつもあるが、青木はこれに霊感を得て古事記の物語を絵画化した。
ギリシャ神話が絵になっているのだから日本の神話を描いてもおかしくはないだろう、という発想がなんとも頼もしい。‘大穴牟知命’は因幡の白兎で知られる大国主命の話。大国主命にはいろんな別名があり大穴牟知命もそのひとつ。描かれているのは兄たちの陰謀によって命を落とした大穴牟知命が蘇生する場面。
英雄神を生きがえらせるために遣わされたのが蛤の女神(右)と赤貝の女神(左)、こちらをじっと見ている蛤貝比売(うむがいひめ)のモデルは‘海の幸’にも登場する恋人福田たね。目力のあるこの女性の存在感が際立っており、もうひとりの女性と頭をこちらにむけて横たわっている男性にはあまり視線が向かわない。
浅井忠(1856~1907)の‘鬼ヶ島’をみるとつい本当に浅井の作品?と思ってしまう。あの農民画を描いた画家はこんな戯画風の日本画にも手を染めていたのだから驚き。おむすびのような顔をした桃太郎の前で鬼たちが参りましたと降参している様子がじつにおもしろい。
板谷波山(1872~1963)が世にでてくる前、陶芸界の中心人物だったのが初代宮川香山(1842~1916)と三代清風與平(1851~1914)、與平の‘旭彩山桜図花瓶’は浮彫のように表現された山桜と鳥に魅了される。
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