近代日本美術の煌き! 1899年(明治32) その一
宮内庁の三の丸尚蔵館とのつきあいはかれこれ10数年になる。一度にみれる作品の数は多くないが、絵画にしろ工芸品にしろ一級品の折り紙つきが登場するので充実した美術展として長く心に刻まれる。
そのなかで強く印象に残っているのが2008年にあった‘帝室技芸員と1900年パリ万国博覧会’、パリで開かれた5回目の万国博覧会は過去最大の規模となり世界各国から国を代表する美術工芸品が展示された。日本も帝室(皇室)、宮内省が深くかかわり一級の美術品を出品した。
明治天皇の御下命により制作が依頼されたのは帝室技芸員をはじめとする23人、今風にいえばトップクラスの美術家からなるドリームチームをパリに派遣したようなもの。高い技がそそぎこまれてできあがった工芸品はいずれも名品揃い、その豊かな表現力におもわずうなってしまう。
七宝は並河靖之(なみかわやすゆき 1845~1927)の‘四季花鳥図花瓶’と涛川惣助(なみかわそうすけ 1847~1910)の‘墨画月夜深林図額’、霞のかかった山水画をみているような涛川の無線七宝に対して京都の並河の花瓶はその完ぺきな造形が心をとらえてはなさない。そして目を見張らされる絵付け、背景の黒に浮かび上がる緑の紅葉、白の桜、そして草木のなかを飛び交う鳥たち、まさに究極の七宝。
彫金や蒔絵も傑作、いずれも波の表現に目が点になる香川勝廣(1853~1917)の‘和歌浦図額’と川之邊一朝(1830~1910)の‘石山寺蒔絵文台硯箱’。こういう伝統の技に支えられた工芸品をみると、西洋における日本美術のイメージはこうした質の高い工芸の美によってつくりだされていたことがよくわかる。
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