近代日本美術の煌き! 1906年(明治39)
今月のシルバーウイークあたりから美術館では力の入った企画展がはじまり、展覧会でエンターテイメントという気分がだいぶ盛り上がってきた。
どんなタイプの展覧会にもっともひきつけられるかは人によってまちまちだが、お好みはなんといっても一人の美術家の作品をどっと集めた回顧展。この秋期待しているのはサントリー美の‘久隅守景展’(10/10~11/29)、森美の‘村上隆 五百羅漢図’(10/31~3/6)、そして千葉市美の‘杉本博司展’(10/28~12/23)。
2年前、横浜美で開催された下村観山(1873~1930)の回顧展も代表作がずらっと揃い、東近美スタイルの観山全部お見せします!展示が心を熱くした。回顧展のいいところは画集でもみたことのない名画がひょいと現れること。‘春秋鹿図’はそんな一枚だった。波のように描かれた藤袴のなかを進む2頭の鹿を立ち尽くしてみていた。秋の鹿の絵ではこれが一番いいかもしれない。
迎賓館が1909年(明治42)に完成したとき、部屋を飾る七宝額を制作したのが涛川惣助で図案の下絵を渡辺省亭(1851~1918)が描いた。‘雉’はそのひとつ。涛川とのコラボは完璧にうまくいき、無線七宝の傑作が生まれた。
女流画家の野口小蘋(のぐちしょうひん 1847~1917)の作品はまだ片手くらいしかみたことがないが、深い青緑が目に染みる‘青緑山水図’は三の丸尚蔵であった‘帝室技芸員と1900年パリ万国博覧会’(2008年)で強く印象に残った作品。小蘋は1904年に女性としてはじめて帝室技芸員に任命された。
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