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2015.08.30

サプライズ! 輪島塗の‘菊蒔絵貝桶’

Img       北村辰夫の‘菊蒔絵貝桶一式’(2015年)

Img_0001       貝桶の蓋の裏に施された貝の装飾

Img_0002              ‘菖蒲’

Img_0003             ‘合歓の木’

ここ数年TV局が制作する美術番組のなかで熱心にみているのは絵画ではなくて工芸品がとりあげられたもの。先月もBS朝日の‘アーツ&クラフツ’で輪島塗がでてきたので食い入るようにしてみた。

そして、28日金曜の深夜Eテレで‘よみがえる超絶技巧 輪島塗 貝桶プロジェクトの2年’が放送された。8月のTV番組ガイドを購入した際にこの番組が目にとまり気になっていた。一ヶ月前に輪島塗の職人たちがみせる熟練の技がしっかりインプットされているので、今回は一体どんな超絶技巧がでてくるのか、どんな輪島塗の絶品が登場するのか興味津々。

番組の冒頭は外国人コレクターが今年6月に完成した‘菊蒔絵貝桶一式’と対面する場面、720枚の貝とそれらをおさめる二つの貝桶、満足げな表情をみせていたのはこの貝桶を注文したオーストラリアの日本美術コレクター夫妻。この貝桶を2年かかってつくりあげたのは漆芸家の北村辰夫。はじめてお目にかかる人物で作品にはまったく縁がない。

番組をみていくうちにこの人が輪島塗に新風を吹き込み斬新な意匠と高度な技を結集させた作品を次々に生み出し海外でも高く評価されている凄腕の漆芸家であることがわかってきた。輪島に工房を構え2年前50人の職人たちからなる貝桶プロジェクトを立ち上げた。驚くのはこのなかに若い職人たちが多くいること。

北村のこの貝桶での新たな挑戦は蒔絵と沈金の融合。そのため番組の多くの時間が3人の女性沈金師の奮闘ぶりにあてられている。貝桶の蓋の裏側には蒔絵で貝が描かれ四季の草花がきれいに浮き上がっている。でも、これは最終の出来上がりの半分、ここに沈金師がノミをいれて削り金粉や金箔などを埋め込み模様を整え意匠に華麗さと深みを与えていく。

誰もこういうことをやったことがないので腕は確かな沈金師とはいえ大胆に細工をしていくことがなかなかできない。工房の棟梁である北村は出来栄えをチェックしひとことふたこと感想をいい3人の背中を押してやる。こういうリーダーのもとでは仕事がしやすい。そして、見事な‘菖蒲’と‘合歓の木’ができあがった。

手本にした江戸中期の貝桶の名品に施された職人たちの超絶技巧が平成の世によみがえり、さらに蒔絵と沈金を組み合わせた新たな技法も誕生した。なにかワクワクするような話。サプライズの職人たちの技と漆芸家北村辰夫の名前が強く心に刻まれた。

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