画家たちの夏!
画家が人物を描くとき季節をどこに設定するかということは作品の出来上がりに関係してくる。日本人は四季の移り変わりに敏感だから、みてる絵でもその季節感を感じとる。
日本画家の小倉遊亀(1895~2000)が亡くなったのは2000年。105歳の長寿を全うして天国へ旅立った。その2年後に東近美で大規模な回顧展が開催された。これを体験したので小倉遊亀がぐっと近くなった。作品は人物画と静物画が半々くらい。
身近な人物が描かれたもののなかにお気に入りの一枚がある。心がとても和む‘径’、お母さんの後を女の子、そして犬が同じような歩き方で続いている。母親は日よけの傘をさしているから、季節は暑い夏。横断歩道でこういう親子の光景をよくみる。そしてこの絵がすぐ目の前をよぎる。
小倉遊亀にはもうひとつ、夏らしい絵がある。浴衣をきたモダンガール風の女性が藤椅子に座っている。これが描かれたのは終戦から6年後の昭和26年、この年東博でマチス展がありマチスやピカソに傾倒していた小倉はマチスの作品に大きな衝撃を受けた。この‘娘’にはマチスの影響が色濃くでている。
最近ネットで知ったのだが朝丘雪路(72)が老人性うつ病になっているらしい。この女優の父親がご承知のように伊東深水(1898~1972)、‘宵’は親しみを覚える絵。暑い夏、人々が家にいるときはこんな恰好、横になっているときが一番気持ちがいい。
竹久夢二(1884~1934)の‘日本の夜’は夢二がアメリカとヨーロッパを旅行していたときに描いた作品。夜空には花火が勢いよくはじけているのに川面や団扇をもった女性がいる橋の上はいたって静か。ついいろんな物語を想像してしまう。
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