花火を描いた画家!
ホイッスラーの‘黒と金のノクターン’(1877年 デトロイト美)
浮世絵には花火の絵が数多くあるのに、明治以降に描かれた日本画、洋画で花火をモチーフにしたものは極めて少ない。だから、選ぶのに苦労することはない。
日本画でぱっと思いつくのは山種美にある加藤栄三(1906~1972)の絵。加藤は岐阜の人でこれは長良川の花火を描いている。夜空と川の青と花火から飛び散る火のこのコントラストが目に焼きつく。
3年ほど名古屋で仕事をしたことがあり、岐阜市生まれの人とよく麻雀をした。この先輩の叔母さんというのが長良川のそばで旅館を経営しており、ここで遊び好きが集まり麻雀&酒宴を楽しんだ。花火の季節ではなかったが、夏に出かけていればさらに盛り上がっただろう。
竹久夢二(1884~1934)にもいい花火の絵がある。一瞬見とれてしまう。これは‘三味線草’というタイトルのついた木版装画の一枚、夢二の絵からは時代の空気、季節の情感がよく伝わってくる。この風俗画をみると夢二は天性のカラリスト。本当に印象深い一枚。
西洋画家で花火とすぐむすびつくのは昨年横浜美で回顧展があったホイッスラー(1834~1903)、花火が描かれた作品が数点あるが、この‘黒と金のノクターン’は物議をかもしだした有名な作品。いちどみてみたいがまだ縁がない。所蔵しているのはアメリカのデトロイト美。
最近、嬉しい展覧会情報が入ってきた。といってもだいぶ先の展覧会だが、2016年秋に上野の森美で‘デトロイト美展’(10/7~1/22)が開催される。ホイッスラーの絵が入っていれば申し分なかったが、これはなく印象派の作品が中心、ゴッホの自画像とかモネやルノワールがやって来る。
以前古本屋をまわったとき日本で行われたデトロイト美展の図録をみたことがあるので、作品が公開されるのは2度目。楽しみがひとつ増えた。
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