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2015.07.31

花火を描いた画家!

Img     加藤栄三の‘流離の灯’(1971年 山種美)

Img_0001     竹久夢二の‘花火’(1915年)

Img_0002  ホイッスラーの‘黒と金のノクターン’(1877年 デトロイト美)

浮世絵には花火の絵が数多くあるのに、明治以降に描かれた日本画、洋画で花火をモチーフにしたものは極めて少ない。だから、選ぶのに苦労することはない。

日本画でぱっと思いつくのは山種美にある加藤栄三(1906~1972)の絵。加藤は岐阜の人でこれは長良川の花火を描いている。夜空と川の青と花火から飛び散る火のこのコントラストが目に焼きつく。

3年ほど名古屋で仕事をしたことがあり、岐阜市生まれの人とよく麻雀をした。この先輩の叔母さんというのが長良川のそばで旅館を経営しており、ここで遊び好きが集まり麻雀&酒宴を楽しんだ。花火の季節ではなかったが、夏に出かけていればさらに盛り上がっただろう。

竹久夢二(1884~1934)にもいい花火の絵がある。一瞬見とれてしまう。これは‘三味線草’というタイトルのついた木版装画の一枚、夢二の絵からは時代の空気、季節の情感がよく伝わってくる。この風俗画をみると夢二は天性のカラリスト。本当に印象深い一枚。

西洋画家で花火とすぐむすびつくのは昨年横浜美で回顧展があったホイッスラー(1834~1903)、花火が描かれた作品が数点あるが、この‘黒と金のノクターン’は物議をかもしだした有名な作品。いちどみてみたいがまだ縁がない。所蔵しているのはアメリカのデトロイト美。

最近、嬉しい展覧会情報が入ってきた。といってもだいぶ先の展覧会だが、2016年秋に上野の森美で‘デトロイト美展’(10/7~1/22)が開催される。ホイッスラーの絵が入っていれば申し分なかったが、これはなく印象派の作品が中心、ゴッホの自画像とかモネやルノワールがやって来る。

以前古本屋をまわったとき日本で行われたデトロイト美展の図録をみたことがあるので、作品が公開されるのは2度目。楽しみがひとつ増えた。

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2015.07.30

目を楽しませてくれる花火の絵!

Img_0003    歌川豊国の‘両国花火之図’(部分 1804~17年)

Img     歌川広重の‘両国納涼大花火’(部分 1850年)

Img_0002     歌川国芳の‘東都名所 両国の涼’(1830~43年)

Img_0001     渓斎英泉の‘東都両国橋夕涼図’(1830~44年)

2日前‘所ジョージのニッポンの出番’(TBS)で花火にスポットを当てていた。おかげで日本と外国では花火の楽しみかたが違うこと、そして日本の花火はそのヴァリエーションが格段に多いことがわかった。

10年くらい花火大会をじかにみたことがない。そのため楽しむ花火はTV画面のなかだけ。どこの花火大会でも例年大混雑、席の確保はもう大変だろう。屋台がありみんなビールを飲んだり弁当を食べながらみているの?花見と同じようなイメージをもっているがあたっている?

江戸時代、隅田川で行われる花火は人々にとって夏の最大の娯楽だった。多くの浮世絵師たちが大賑わいの両国の花火を描いている。そのなかで歌川豊国(1769~1825)の‘両国花火之図’は臨場感あふれる傑作、両国橋の上は打ち上げられる花火を見上げるひとたちでいっぱい。橋が崩れおちるのではないかと心配されるほどの人数だが、花火の前に欄干、橋脚などを入念にチェックしたにちがいない。

歌川広重(1797~1858)の絵もお気に入りの一枚。納涼舟を乗り降りする女性が描かれている。画面の手前に人物を大きく描き背景には花火の飛び散る火の粉がみえる。この構図がなかなかいい。花火は二か所から上がっているが、分散しているのは珍しい。たぶん広重はコンパクトな花火が一つでは寂しいのでふたつ描いたのだろう。

タイのバンコクへ出張で2度ほど訪問したことがあるが、水上マーケットを観光すると果物などの食べ物を積んだ小舟がすぐよってくる。歌川国芳(1797~1861)や渓斎英泉(1791~1848)の絵をみるたびにその光景を思い出す。国芳の‘両国の涼’では酒宴真っ最中の納涼舟の横に物売り舟がよっていき果物をさしいれている。

英泉の夕涼図は橋には人がむらがり、隅田川は多くの舟がひしめきあっている。こんな大イベントの花火を一度体験してみたい。

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2015.07.29

夏の風物詩 蝉の声!

Img_0002           速水御舟の‘晩蝉’(1926年)

Img     歌川国芳の‘准源氏教訓図絵 空蝉’(1830~43年)

Img_0001         河鍋暁斎の‘布袋の蝉採り図’(1870年以前)

このところ散歩をしていると鳴り響く蝉の声で体がとりかこまれている感じ。とくに大きく鳴いているのがミンミンゼミ、‘ミーンミンミン、、、ミーンミンミン’がずっと聞こえている。アブラゼミも負けじと鳴いているが‘ジージー’と一本調子だから、耳へのインパクトは弱い。

8月の後半になるとにぎやかなツクツクボウシが登場、この蝉のリズミカルな鳴き声は小さいころから心を奪われてきた。ところで、蝉の声がうるさくてイライラしてくるという人がどのくらいいるだろうか。10人に3人くらい?
もし夏に蝉の鳴き声が消えたとしたらどんなことになるか、たぶん、猛暑に体も精神も相当まいるにちがいない。ときおりミンミンゼミの声が聞こえてくるから暑さから気がまぎれる。だから、蝉はありがたい存在なのだと思う。

円山応挙でも速水御舟(1894~1935)でも写生の達人は家のまわりでみかけるアブラゼミをじつに上手く描く。二人のスケッチブックにはいろんな角度からとらえた蝉の姿がいくつも載っている。

歌川国芳(1797~1861)も河鍋暁斎(1831~1889)も同じような構図で蝉を採るようすを描いている。子どもが網でとろうとしているアブラゼミを今日手で素早くつかまえた。アブラゼミはのんびりしているから手がとどくくらいの木の高さにとまっていれば楽にとれる。コツは時間をかけずさっと手をのばすこと。

布袋さんが大きな腹をつきだして蝉採りに挑戦。これはたぶん失敗に終わる。跳び上がったとしても逃げられてしまいそう。このユーモラスな絵を三菱一号館美で現在開催中の‘河鍋暁斎展’(~9/6)でニヤニヤしながらみていた。

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2015.07.28

サプライズ! 冥王星と彗星の姿

Img_0004    ニューホライズンが撮影した冥王星

Img_0002     3500m級の氷の山脈

Img    太陽の熱をうけ尾をのばすチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星


Img_0001     彗星に着陸したフィラエ(想像図)

7月14日に無人探査機ニューホライズンズが最接近した冥王星、いずれ‘コズミックフロント NEXT’(BSプレミアム)が科学者たちが豊富な撮影データをもとに明らかにした冥王星の正体を特集すると思っていたが、予想よりずっと早くこのプロローグのような番組が25日(土)にライブであった。

しかも冥王星探査と同じくらいすごい話が一緒に取り上げられた。それはこれまでまったく知らなかったチュリュモフ・ゲラシメンコという名の彗星探査、驚くことにこの彗星になんと探査機ロゼッタから切り離されたフィラエが着陸に成功したという。ええー、彗星に降りちゃったの!という感じ。

宇宙ファンにとっては昨年11月12日になしとげられた世界初の彗星着陸はわくわくするような出来事だったにちがいないが、そのころは宇宙はまだ遠い存在だったので知る由もない。番組は冥王星をショコタンが、そして彗星をお笑い芸人のカンニング竹山が紹介する形で進められた。

ニューホライズンズから送られてきた画像により冥王星の姿がいろいろとわかってきた。ハートマークができていたり、3500mの氷の山脈が連なっていた。地球から遠い遠いところにある冥王星を月の画像のようにはっきりみることができるのだから、いい時代に生きている。

冥王星と4㎞ほどの大きさのチュリュモフ・ゲラシメンコ彗星を衝撃度でくらべると彗星のほうが大きい。太陽の熱で彗星に尾ができそれがだんだんのびていく様子に200%興奮する。彗星というと尾っぽが長くのび生き物のように猛スピードで進んでいくイメージ。その尾っぽの姿がこれほどリアルに映し出されるのだから、目が釘づけになる。

この彗星は8月13日に太陽にもっとも接近する。ロゼッタ、フィラエが貴重な画像やデータをまた送ってきてくれるだろう。とても楽しみ。

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2015.07.27

番組の魅力が低下している日曜美術館!

Img クレーの‘グラス・ファサード’(1940年 パウル・クレー・センター)

Img_0001     画面の裏側に現れた絵

2年くらい前からNHKの名物美術番組‘日曜美術館’に対して魅力を感じなくなっているが、ここ1か月に放送された内容をみて、テレビ東京の‘美の巨人たち’に完全に追い抜かれたなと思った。

とくにひどかったのは昨日のクレー、じつは番組の後半にでてきた‘グラス・ファサード’の裏側に現れた少女の絵の話は2008年11月に放送された‘迷宮美術館’をそっくりそのまま使っている。こんなイージーなやり方で番組をつくるのだからここのスタッフの神経は相当いかれている。7年前の話をあたかも最近の研究成果のようにナレーションする厚かましさ。日曜美術館も質が落ちたものである。

そして、前の週の‘与謝蕪村 無限の想像力 西洋美術とあう?!’は最悪、ピント外れもはなはだしい。北川なにがしという美術家の本に惑わされてよくもこんなつまらない与謝蕪村ものがたりをつくってくれたな、という感じ。
与謝蕪村の俳句にマグリットやデュシャンの絵を横にならべてどこがおもしろいの?この番組のディレクターのセンスはBクラス。‘美の巨人たち’の優秀なスタッフには遠く及ばない。

そして前々から気になっているのが司会の井浦新の存在。はっきりいってこの人の司会はもういい。長すぎる。もっともおもしろくないのが井浦新の興味を満足させてやり知識を増やしてやるために番組をつくっているように思えること。今この時期に‘円山応挙の傑作10選’もないだろう。どこかで回顧展をやっている?井浦新の勉強のために番組の予算を使って大乗寺までみんなで取材旅行に出かけること自体がズレている。これまで応挙は何度もこの番組でとりあげられたしプラスαはありゃしない。井浦新は応挙の鯉の滝登りの絵をみたかったらプライベートで行けばいい。

江戸絵画が今人気があるといって公共放送で司会者の個人的な日本美術への関心を満たすために番組を制作されてはかなわない。大乗寺でも芦雪の傑作がある串本でも勝手に自分一人で行ってちょうだい。何度もこういうとってつけたようにビッグネームである応挙、芦雪、、蕪村、蕭白、若冲がとりあげられると興ざめる。今感覚のない番組は間延びする。早く司会者、デイレクターを別の人にしたほうがいい。

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2015.07.26

白鵬 35回目の優勝!

Img     鶴竜との横綱決戦を制した白鵬

Img_0001     賜杯をだく白鵬を祝福する旭天鵬

大相撲名古屋場所は横綱白鵬が鶴竜を破り35度目の優勝をはたした。成績は14勝1敗。2場所全休のあと復活した鶴竜に勝ってもらい優勝決定戦を期待していたが、白鵬は本割で決着をつけた。やはり白鵬は強い!

今日の一番は力のはいるいい相撲だった。鶴竜にも勝機はあったが、がっぷり四つになると白鵬の攻めのほうが力強い。鶴竜は優勝こそ逃したものの、これだけ白鵬といい相撲をとれば横綱の責任は十分はたしたといえる。横綱になってからまだ優勝してないので、来場所に期待したい。

終わってみると白鵬がまた賜杯を手にしていたが、ほかの力士で注目を集めたのは新大関の照ノ富士、11勝4敗なら立派な成績。終盤まで優勝争いに絡んでいたのは立派。関脇の栃煌山は両横綱に土をつけたところまでは目を見張らせる相撲だったのに、そのあとはガタガタ、この力士は稀勢の里と同じで緊張すると体が動かなくなる。これほどプレッシャーに弱いと大関は難しいような気がする。

今場所目立った活躍をしたのは13勝もあげた尾車部屋の嘉風。前頭8枚目でこれだけ勝つと来場所は三役に昇進するかもしれない。以前から応援しているので大拍手!

ケガのため万全ではない遠藤が久しぶりに10勝し、大砂嵐も11番勝った。逆に期待外れなのが逸ノ城、4番しか勝てず大敗け、稽古をしないことをどの解説者も口にするから稽古嫌いで知れ渡っているのだろう。今の取り口ならスピードがあり動き回る相手にはいいようにあしらわれる。この調子だと体が大きいだけの並の力士になってしまう。奮起するだろうか。

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2015.07.25

近代日本美術の煌き! 1877年(明治10)

Img_0001           高橋由一の‘鮭’(重文 東芸大美)

Img_0003     小林清親の‘猫と提灯’(太田記念美)

Img_0002     柴田是真の‘果蔬蒔絵額’(板橋区美)

Img     鈴木長吉の‘水晶置物’(ボストン美)

3年前東芸大美で開催された高橋由一(1828~1894)の回顧展で絵の前に大勢の人が集まっていたのは、これぞ‘THE洋画’の象徴‘鮭’、一番有名なのはこの東芸大美にあるものだが、このとき別ヴァージョンが2点並んだ。なんだか年末賑わうアメヤ横丁で新巻鮭を売る店に来ているような気分だった。

この鮭の写実表現にはいつも200%KOされる。とくに本物そっくりにみえるのがしわのよった皮の部分、高校生のころ画集でこれをみて日本の油絵はこんなにすごいのか、と大きな衝撃を受けた。

小林清親(1847~1915)と河鍋暁斎、そして江戸の浮世絵師歌川国芳を結びつけているのが猫、清親の‘猫と提灯’も大変おもしろい絵。提灯をよくみるとここへ逃げ込んだネズミが紙を破って外へ出ようとしている。まるでディズニー映画のワンシーンをみているよう。

柴田是真(1801~1891)の神業的な技が冴える蒔絵の名品の数々、最も惹かれているのが‘果蔬蒔絵額’、描かれているのは手前の大きな南瓜、葡萄、梨、柿、そして栗。あじわい深い趣向は柿に蟻をはわせているところ。これにより柿のイメージがぐっとリアルになる。

4月に行われた‘ダブルインパクト 明治ニッポンの美’(東芸大美)にボストン美からすばらしい絵画や工芸品がたくさん里帰りした。鈴木長吉(1848~1919)の‘水晶置物’もそのひとつ。目を奪われたのが彫金の超絶技巧を駆使して表現された波と水しぶき。‘美の巨人たち’で作品の一部を東芸大の教授が再現してくれたので長吉の技量のスゴさがよくわかった。

ところで、5年前BSプレミアムで鈴木長吉の傑作を所有しているハリリコレクションが紹介されたが、日本で公開するという話は進展しているのだろうか。来年あたりに実現すると嬉しいが、果たして。

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2015.07.24

鰻の絵!

Img_0002   土用丑の日で大忙しの鰻屋

Img     葛飾北斎の‘北斎漫画’(1814~1878年)

Img_0001     歌川国芳の‘龍宮遊さかなげいづくし’(部分 1847年)

今日は土用丑の日、TV各局は鰻屋で鰻重や鰻丼を美味しく食べる人々の様子を映しだしていた。調理場にただよう香りがこちらまで匂ってきそう。わが家はわざわざ外に出かけることはなくいつも通りスーパーで買ってきた普通の鰻。

今年はちょっとした変化がおきていた。鯰を鰻の代用として売る店が登場、‘鯰丼’という名前なのかわからないが、客の反応は‘油の量が少ない’ということだった。日本産の鰻を確保するのが難しくなり値段も高いので店としてはこういう苦肉の策も考えつく。鰻をやめて鯰を食べる人がどのくらいいるだろうか。

江戸時代の後期、鰻飯の値段は200文、今の価値に換算すると3300円くらい。当時もやはり高い食事だった。ちなみに蕎麦やうどんは一杯16文、264円。

浮世絵に描かれた鰻は3点しか確認していない。葛飾北斎(1760~1849)が北斎漫画に描いた魚シリーズのなかに鰻もでてくる。鰻はこの1点だけでほかの作品には登場しない。思わずニヤッとしてしまうのが歌川国芳(1797~1861)の‘龍宮遊びさかなげいづくし’。

これは国芳お得意の戯画、龍宮にやってきた浦島太郎と乙姫を楽しませようと海の生き物たちが自慢の芸を披露しているところ。右端が鰻で木登りのパフォーマンスの真っ最中、その下では河豚の腹芸、蛸の三味線弾きがみえる。まったく愉快な絵。

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2015.07.23

近代日本美術の煌き! 1876年(明治9)

Img_0001     小林清親の‘東京新大橋雨中図’(渡邉木版美術画舗)

Img     高橋由一の‘江の島図’(神奈川県近美)

Img_0002     河鍋暁斎の‘恵比寿大黒豆撒図’

美術館で働く学芸員にとって名画をあらたに購入して平常展示で披露することも大事な仕事なのだろうが、それにはあまり関心がなく美術館へ足を運ぶのはひとりの作家の作品をどっと集めた回顧展をみるため。ここ数年、関心はとても強いのにまとまった形で作品をみる機会がなかった画家が何人も登場した。

2013年はカイユボット、2014年はバルテュス、シャヴァンヌ、ヴァロットン、ホイッスラー、今年はグエルチーノ、そして日本の画家については2012年は高橋由一、2013年が竹内栖鳳、そして今年は4月に練馬区美で回顧展があった小林清親(1847~1915)、田能村竹田、久隅守景も秋の展示でスタンばっている。

美術の楽しみは才能あふれる画家や彫刻家、陶芸家たちになるべく多く遭遇すること。ところがこれは犬も歩けば棒にあたるというようにはいかない。向こうからやって来てくれるのをひたすら待つだけ。辻に立っていてお目当ての作家と会い頭を下げるようなもの。

小林清親の‘東京新大橋雨中図’に大変魅了されている。はじめてこの絵をみたのはたしか横浜美の平常展示、このとき清親は数点でていたが、この傘をさして川のそばを歩いていく女性の後ろ姿に目が釘づけになった。日本は明治という新しい時代に入り近代国家への道を急ピッチで進んでいくが、人々の心づもりや生活の実態にはまだ江戸の面影が色濃く残っている。広重が描いた‘名所江戸百景’と深くつながっている清親の東京物語。回顧展を体験して清親がいっそう好きになった。

高橋由一(1828~1894)の‘江の島図’をみるたびに頭をよぎるのがフランスの人気観光スポット、モン・サン・ミッシェル、このころの江の島は満潮になるとこの道は海の下に消え島にわかることはできなくなったのだろうか?江の島が強く印象づけられるのは画面が横に長いから。お気に入りの風景画。

ユーモラスな絵を描かせると右にでるものがいない河鍋暁斎(1831~1889)、大黒さんに豆を撒かれて打出の小槌が手に入らず退散せざるをえなくなった赤鬼と青鬼、この光景を後ろでお多福が微笑みながらみている。動きをつくる斜めの構図にも納得。

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2015.07.22

海のイベント 潮干狩り、鮑とり!

Img_0001    葛飾北斎の‘潮干狩図’(重文 1808~13年 大阪市美)

Img_0003     歌川国芳の‘汐干五番内、四・五’(1818~30年)

Img      喜多川歌麿の‘鮑とり図’(1789~1801年 大英博)

Img_0002  鈴木春信の‘三十六歌仙権中納言敦忠’(1767~68年 ギメ美)

週末の水泳はもう長いこと続いている。暑い夏が少しはしのげるのは毎週水のなかにいるからかもしれない。小さいころも夏休みになると海やプールで泳いでばかりいたから、水泳とのつきあいはライフワークになっている。

江の島へふとでかけてみたい気持ちがあるが、隣の方の賛同が得られないのはわかっているので誘ったことは一度もない。熱海のMOA美へ行くときよく湘南海岸をクルマで走るが、道路の幅が広くなったとはいえこの時期は相当渋滞するのだろう。クルマは一体どこへとめるの?

山へ出かけることが好きな山派は大勢いると思うが、これに劣らず海で遊ぶのが楽しくてたまらないという人も多い。実際海へでかけことは今はないに等しいが、昔から200%海派。だから、浮世絵に描かれた潮干狩りなどは夢中になってみてしまう。

この海のイベントで一番気に入っているのは葛飾北斎(1760~1894)の‘潮干狩図’、これは重文に指定されているため普通の浮世絵展にはなかなかでてこない。だからお目にかかったのは2回だけ。構図のとりかたがじつに見事。近景、中景に人物の大きさを変えて巧みに配置し、遠景には船、そしてその先に山々を横に連ねている。北斎のこの画面の構想力は誰も真似ができない。

女性が大きく描かれている歌川国芳(1797~1861)の絵も強く印象に残っている。左の女性は着物の裾をたくしあげて‘さおー、あさりをたくさんとるからね’、気合十分といったところ。とったあさりは夜のご飯のおかずになるにちがいない。潮の香がしておいしそう。

喜多川歌麿(1753~1806)の‘鮑とり図’は昨年開催された‘大浮世絵展’で大収穫だった一枚。熟練の海女たちが鮑とりをする様子が生き生きと描かれている。変身の術を使ってこれをみている子どもになれれば楽しさはぐっと増す。

鈴木春信(1725~1770)も涼しい海の絵を描いている。これも大浮世絵展に出品された。少年が母親になにかしゃべっている。‘ほら今日は海藻や貝殻がいっぱいとれたよ、僕の腕もあがっただろう’とどや顔になっている感じ。

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2015.07.21

滝を見に行こう!

Img     円山応挙の‘青楓瀑布図’(18世紀 サントリー美)

Img_0002     渓斎英泉の‘日光山名所之内 素麺之滝’(1843~46年)

Img_0003     鈴木春信の‘やつし許由’(1765~70年 パリ ギメ美)

Img_0001     柴田是真の‘鯉の瀧のぼり’(1848~59年)

夏の暑さをしのぐには水分を体のなかにいれたり、水のあるところへいくのが一番。そこで、滝を見にいくことにした。といっても絵のなかでの話だが。

サントリー美に円山応挙(1733~1795)が描いたすばらしい滝の絵がある。これまで3回くらいみた‘青楓瀑布図’、リアルに表現された水しぶきが涼しさを運んでくれるから、猛暑のときは目から涼しさを感じるにはうってつけの絵。こういう暑さ対策もある。

浮世絵で滝の絵でお気に入りなのは北斎と渓斎英泉(1791~1848)、北斎の滝めぐりシリーズと同じくらい魅せられているのが英泉の‘日光山名所之内 素麺之滝’、水と一緒にそうめんがどっと流れてくるのを想像すると体温はすっと下がっていくような感じ。本当にいい絵。

鈴木春信(1725~1770)は水の描写に長けた絵師。二人の娘が川に入って網でめだかをすくう様子を描いた一枚など思わず見入ってしまうものはがいくつもある。ギメコレクションの‘やつし許由’も目を楽しませてくれる。滝のそばい岩場から女性が流れる水を手ですくおうとしている。その横に座って手を水のなかにいれたら暑さはふっとぶ。

絵画はちょっとした筆使いでその場の空気が伝わってくることがある。柴田是真(1807~1891)の‘鯉の瀧のぼり’はそんな一枚。鯉の頭にぶち当たって飛び散る水しぶきをみるだけでひんやりとした空気が感じられる。こんな絵をさらっと描く是真の技量にはほとほと感服させられる。

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2015.07.20

涼しさをよびこむ金魚!

Img_0002          鳥居派の‘金魚と童’(1751~1763)

Img         歌川国芳の‘金魚にめだか’(1838~44年)

Img_0001     歌川国芳の‘似たか金魚’(1840~44年)

梅雨があけて連日猛暑が続いている。熱中症になることを過度に心配しているわけではないが、家にいるときでも水はがぶがぶ飲んでいる。

昨日のニュースに涼しげな光景がでてきた。‘ECO EDO日本橋2015’(7/10~9/23)というイベントが行われているようで、その目玉が木金土曜に隅田川をクルーズする‘日本橋納涼金魚ちょうちん船’、屋形船のなかに置かれた水槽に金魚が何匹も泳いでいた。

夏祭りの屋台で定番の遊びといえば‘金魚すくい’、小さい頃この金魚すくいは夏の楽しみのひとつで沢山すくってやろうと薄い紙のはられた針金の道具を夢中で操った。紙の大半が破れているのにうまく金魚をすくったときはアドレナリンがどばっとでる。まわりから‘坊や、上手だね!’なんてほめられるともう天下をとったような気分。

夏祭りにこのところすっかり縁がないが、いまでも金魚すくいは定番?そしてその金魚は奈良県産のもの?久しく本物の金魚にでくわしてないので、今は涼しさは浮世絵からいただいている。鳥居派が描いた金魚の絵は子どもたちのはしゃぐ声が聞こえてくるよう。

金魚というとすぐ思いつくのは歌川国芳(1797~1861)、‘金魚にめだか’が普通の動物画なのに対して‘似たか金魚’は国芳お得意の戯画、ここに描かれた金魚や亀は実在の役者の似顔絵、天保の改革で役者絵が禁止されても度胸のすわっている国芳はこんな風に生き物に形を変えて役者の顔を描いている。国芳のこのとどまることを知らない表現意欲は半端じゃあない。

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2015.07.19

カズオ・イシグロの文学白熱教室!

Img     作家カズオ・イシグロ

Img_0001     映画‘日の名残り’(1993年)

10日(金)に放送されたEテレの‘文学白熱教室’で講師を務めたのは作家
カズオ・イシグロ、この作家の名前は以前ビデオでみた映画‘日の名残り’(1993年)でインプットされていたが、どんな風貌の人でどうしてカタカナの日本人になっているのかについてはまったく情報が入ってなかった。勝手にイメージしていたのは細身で女性的な作家。

実際の印象は大ハズレ、長崎県人のもっている優しいイメージとちがい、ちょっと薩摩隼人を連想させる意志の強そうな人だった。番組のおかげで作家の年齢やこれまで書いた作品のことがひととおりわかった。1955年生まれで今年60歳、生まれたのは長崎市(たぶん)、5歳まで長崎で育ち、そのあと両親、一人の姉とともにイギリスに移住。また日本に帰ると本人は思っていたようだが、再度日本の地を踏むことなくイギリス人になった。

カズオ・イシグロの本をこれまで読んだことがない。だからどんなスタイルの小説なのか想像しようがない。ただ、世界的にその名が知られるようになった‘日の名残り’は映画で観たので、名優アンソニー・ホプキンスが演じた執事の物語であることは強く心に刻まれている。イシグロは多作の作家ではないらしく、今年3月10年ぶりに出版された長編小説が欧米で話題になっている。本のタイトルは‘忘れられた巨人’、日本でも早川書房から翻訳本がでている。

この日本語版の発売に合わせて本人が来日したので、番組のスタッフがすばやく動き白熱教室に引っ張り出したのだろう。このところ白熱教室は充実した内容を連発しているが、プロデューサーは相当優秀な人物にちがいない。

イシグロが語ってくれた小説論はとても刺激的だった。新作の‘忘れられた巨人’を読んでみようと思う。

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2015.07.18

近代日本美術の煌き! 1875年(明治8)

Img_0001     高橋由一の‘花魁図’(重文 東芸大美)

Img         富岡鉄斎の‘三津浜漁市図’(清荒神清澄寺)

Img_0003     十二代沈壽官の‘錦手菊花浮上総飾三足花瓶’

絵画が普通に好きな人に明治時代に活躍した画家を尋ねたら、高橋由一(1828~1894)の名前のほうが黒田清輝より先にでてくるかもしれない。そうおもわせるのは美術の教科書に載っている‘鮭’のインパクトがとても大きいから。

ところが、由一の場合‘鮭’のイメージが突出しすぎてほかの作品はなんだっけ?というところがある。‘花魁図’がさっとでてきてこれは重文指定だよね、なんていう人は相当な絵画好き。この絵を10年くらい前はじめてみたときは正直言ってそれほどぐっとこなかった。

でも、東芸大美へ何度も通うようになり、対面を重ねるにつれこの女性から伝わってくる生感覚の雰囲気が感じられるようになってきた。この女性、花魁という匂いがしない、街を歩けばこういう顔をした女性には何人もでくわす。花魁というイメージが放つゾクッとした色気に惹きつけられるのではなく、まわりを見渡したらすぐみつかるような女性が絵のモデルになっていることに関心がむかっていく。ここには肖像画の神髄がある。

西洋画でも日本画でも村や町に暮らす人々の姿を生き生きと描いた風俗画に大変魅了されている。だから浮世絵同様、富岡鉄斎(1896~1924)の‘三津浜漁市図’を画面の隅から隅までじっとみてしまう。絵のいいところはこういう早朝の漁市をそのときの空気と一緒に伝えてくれること。過去の時代のことをこういう風俗画をみていろいろ想像するのはじつに楽しい。

薩摩焼で神様みたいな存在の十二代沈壽官(1835~1906)のつくったもので最も魅了されているのが‘錦手菊花浮上総飾三足花瓶’、貝殻がくっつけられたように盛り上った菊の装飾は磁力がかなり強く一度みたら忘れられない。

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2015.07.17

日本刀ブームという現象!

Img    アニメに刺激されてつくられたオリジナルの刀

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Img_0002  若い人たちもおしよせる日本刀の展覧会

NHKの‘歴史秘話ヒストリア’(水曜よる10時)はときどきみているが、7/8は日本刀がテーマだったのでチャンネルを合わせてみた。番組に期待していたのは刃文の詳しい解説だったが、これはごく初歩的なガイダンスだった。情報として大きなサプライズはイベント感覚で演出された日本刀の展覧会が行われていたこと。

日本刀のブームがじわじわおきていることは知っていたが、それは海外の刀剣愛好家たちが日本刀を熱心に求めているという話。ところが、日本刀のブームに火をつけているのは日本の若い世代だった。2年前上野の森美で開催された‘エヴァンゲリオンと日本刀展’が日本各地を巡回しており、アニメ世代の人たちが日本刀に熱い視線をおくっているという。

漫画やアニメにまったく縁がないので‘エヴァンゲリオン’はイメージできない。この展覧会では現在の刀鍛冶が‘エヴァンゲリオン’に登場する刀剣に刺激をうけてつくったオリジナルの刀がいくつも展示されている。そのひとつはこんな刀があるの?というくらい鍔の形はアヴァンギャルド全開、若い刀鍛冶はこういう刀づくりにもチャレンジ、刀の世界にも新しい風が吹いている!

さらに興味深かったのは美術館などで行われる日本刀関連の展覧会やイベントに若い女性が足を運んでいること。日本刀の魅力が女性の心をとらえているとは思ってもみなかった。名古屋の徳川美でおこなわれた刀剣類の展示にやって来ていた人たちは男性より圧倒的に女性のほうが多い。学芸員の話を熱心に聞いている若い女性の姿が印象的。最近ご無沙汰している東博の平常展示でも刀剣のコーナーには女性客がふえているのかもしれない。

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2015.07.16

フェルメールの‘水差しを持つ女’が来年1月やって来る!

Img_0001

フェルメールがお好きな方はすでに情報を得られていると思うが、来年1月メトロポリタン美が所蔵する傑作‘水差しを持つ女’がやって来る!

この名画が披露されるのは森アーツセンターギャラリーが主催する‘フェルメールとレンブラント 17世紀オランダ黄金時代の巨匠たち’。期間は1/14~3/31、入手したチラシには主要な作品が載っており、もう一人の主役のレンブラントは同じMETにある‘ベローナ’が目玉。

フェルメールの‘水差しを持つ女’は全作品のなかでベスト3にいれている最愛の一枚。この絵が日本でみられるのだから夢みたいな話。森アーツセンターに大きな拍手を送りたい!この絵に描かれた女性のあのやさしさ、静かな部屋のたたずまい、心をとらえて離さないフェルメールの名画と日本で向かいあえる。もうワクワクしてくる。

手元にあるMETのガイドブック(英語版)の表紙に使われているのが‘水差しを持つ女’、METの至宝がやってくるのでレンブラントのほうはちょっとランクダウンの作品になるのはやむをえない。7年前この美術館を訪問したとき、レンブラントは幸いにも15点みることができた。

だから、レンブラントの画集には必ず載っている‘アリストテレス’や‘自画像’、そして日本で公開された‘フローラ’や‘旗手フローリス・ソープ’などはほとんどお目にかかれた。‘ベローナ’も入っている。このなかで抜きんでていいのはやはり‘アリストテレス’、体が震えるくらいすごい絵だった。

チラシの情報ではフェルメールとレンブラントの作品に魅力の点で差がありすぎるので1点豪華主義のにおいがする。でも、フェルメールが人気抜群の‘水差しを持つ女’であれば、これだけで大勢の人が足を運ぶのはまちがいないだろう。開幕が待ち遠しい。

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2015.07.15

メトロポリタンから里帰りした暁斎!

Img     ‘大和美人図屏風’(1885年 河鍋暁斎記念美)      

Img_0001     ‘蛙を捕まえる猫図’(1888年 NY メトロポリタン美)

Img_0003       ‘群猫釣鯰図’(19世紀 河鍋暁斎記念美)

Img_0002         ‘柳に白鷺図’(19世紀 河鍋暁斎記念美)

三菱一号館美で行われている河鍋暁斎(1831~1889)の回顧展(6/27~9/6)をみてきた。強烈なインパクトを放つチラシ、‘画鬼 暁斎’ 黒の地に踊る赤ピンクで書かれたキャッチコピーは‘狂っていたのは、俺か、時代か?’さて、どんな作品がでているのか。

関心のある画家の場合、一度大きな回顧展を体験すると作品への思い入れがかなり強くなる。7年前京博でいい絵がどっと集まった暁斎展があった。それまで画集をみてなんとかお目にかかりたいと願っていたものがおおよそ揃った完璧ともいえる回顧展、流石、京博!

今回の期待は当然このときみたものとは違うプラスα、その目玉がちゃんと用意されていた。その前にまず最も魅せられている暁斎の最高傑作‘大和美人図屏風’から。視線が釘づけになるのが右の女性が身に着けている着物の柄、赤の生地に様々な紋様が金泥や鮮やかな色で精緻に描かれている。こんなに目を見張らせる美人画はそうそうない。だから、とてもいい気持になる。

2013年、メトロポリタン美を訪問したとき日本美術の展示室で印象深い作品に出くわした。暁斎の激しい花鳥画4点、鷹が兎や山猫、猿を襲うものと白鷲におそわれる猿と猫を描いたもの。これとよく似た絵が目の前に現れた。全部で12点、デジャブが起きているよう。

これらはアメリカのコレクターが明治のころ蒐集したもので100図を集めた画帖のなかの一部。ほかの画家のものの含まれており暁斎の絵が何点あるのかわからないが、現地で展示されていた4点を加えると16点あることは確か。勝手な予想だが25点くらいある?

3年前同様緊張感が走ったのが蛙を捕まえている猫。この猫はまるで虎のよう。もう一点、ぎょっとするのが蜥蜴を食べる兎、腹がすけばあのおとなしいう兎だってなんでも食べることは頭では理解できるが、こういう絵はみたくない。

暁斎は国芳と同じくらい猫が好きだったのかもしれない。作品には猫が何度も登場する。はじめてお目にかかった‘群猫釣鯰図’、この猫たちが上から鯰を狙っている構図に思わず足がとまった。暁斎の戯画はどれも本当に楽しい。鳥獣戯画を描いた昔の絵師たちの魂がのりうつったような感じがしてならない。

水墨の‘柳に白鷺’や山水画の‘秋冬山水図’の前にも長くいた。プラスαが予想より良かったので満足度は高い。なかでもメトロポリタンのコレクションが大きな収穫だった。

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2015.07.14

ニュー・ホライズンズ 冥王星に最接近!

Img     7月12日に撮影された冥王星

Img_0001     無人探査機 ニュー・ホライズンズ

Img_0002     2015年の準惑星探査計画(ニュートン2015年3月号より)

無人探査機 ニュー・ホライズンズは今夜8時49分、冥王星に最接近した。拍手々!昨年だったら、こうした宇宙に関するニュースをブログで取り上げることはなかったが、今は宇宙の話に強い関心をもっているので冥王星探査にも敏感に反応する。

冥王星はずっと太陽系の第9番目の惑星というイメージだったが、2006年に準惑星の位置づけになった。アバウトに惑星から外れたのだなという感じがしていたが、9年前のことだったということをしっかり認識したのは今年にはいってから。太陽系の惑星誕生物語を聞く機会が増えるのにともない、冥王星という天体の特徴がぼやっとではあるがつかめてきた。

ニューホライズンズは2006月に打ち上げられてから9年半の歳月をかけて冥王星まで1万2000万キロという最接近ポイントに到達した。時速5万キロの猛スピードで移動しているため冥王星を観察するチャンスは1回だけ。すでにどんどん離れている。

冥王星は小さな天体で直径は2370㎞くらい、これは月の3分の2ほど。この準惑星が太陽の周りをまわる時間は気が遠くなるほど長い、なんと248年かけて一周する。地球からこの近くまでやって来るのに9年半もかかるのも納得。

これから何か月にわたってニューホライズンズが撮影した冥王星の姿が地球にとどいてくる。そうしたデータを解析して研究者たちがいろんな謎を解き明かしてくれることだろう。‘コズミックフロント NEXT’が制作する冥王星特集がとても楽しみ。

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2015.07.13

近代日本美術の煌き! 1872年(明治5)

Img_0002_2     河鍋暁斎の‘横たわる美人と猫’(河鍋暁斎記念美)

Img_0001_2     柴田是真の‘富士田子浦蒔絵額’(部分 福富太郎コレクション)

Img_0004        柴田是真の‘瀑布群猿図’(フォートワース キンベル美)

Img     富岡鉄斎の‘月ヶ瀬梅渓図’(出光美)

絵画や彫刻、オブジェなどの西洋美術のなかからとくにお気に入りの作品を作家ごとに5点をめどに選び出し、それらを‘名画・名作の響き合い’として1874年から2014年まで一年4点ずつ並べてみた。これが4月に終了したので、その続編として近代日本美術に焦点を当てた‘近代日本美術の煌き!’を今日からスタートさせたい。

西洋絵画は第一回印象派展が開かれた1874年からはじめたが、日本美術は2年早い1872年(明治5)から美術界のスターたちが登場する。大の歴史好きであるが、‘日本史図表’をそらんじているわけではない。この年の‘一言歴史メモ’は福沢諭吉の‘学問ノススメ’が出版され、12月に太陽暦が採用されたこと。

今三菱一号館美で回顧展が開催されている河鍋暁斎(1831~1889)、今週出動の予定だが、‘横たわる美人と猫’はたぶん展示されているだろう。幕末の浮世絵師歌川国芳は猫好きで有名だが、暁斎もよく猫を描いている。だから、短期間の師であった国芳同様猫を可愛がったのかもしれない。

柴田是真(1807~1891)の蒔絵や絵画を沢山あつめてきた回顧展をこれまで三井記念美と根津美で体験した。そのなかで圧倒的な存在感を放っていたのが福富太郎コレクションの白眉である‘富士田子浦蒔絵額’、漆でひかれた波の線がいまでも鮮明に目に焼きついている。

アメリカのテキサス州フォートワースにあるキンベル美が所蔵している‘瀑布群猿図’も鑑賞欲を掻き立てる一枚、いつか里帰りしてくれることを祈っている。東芸大美でボストン美蔵の‘雪中鷹図’が4月公開されたが、暁斎のいい絵がアメリカの美術館に結構ある。全部みてみたいが、夢は叶うだろうか。

富岡鉄斎(1836~1924)が37歳のとき描いたのが横長の‘月ヶ瀬梅渓図’、出光であった展覧会ではじめてみたが、薄緑の山々がとても心地よかった。

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2015.07.12

マリナーズ岩隈 初勝利!

              順位    勝率    ゲーム差
 ヤンキース(東地区)   1位    .540    0
 レッドソックス〈〃 )  5位    .477   5.5
 マリナーズ(西地区)   4位    .466    7

 マーリンズ(東地区)   4位    .420    11
 カブス (中地区)    3位    .535    9
 ジャイアンツ(西地区)  2位    .511   4.5 

今日の大リーグ中継はマリナーズとエンゼルスの試合はなかったが、先発した岩隈は8回を3安打無失点に抑える快投をみせ今季初勝利をあげた。最近調子がよく首位のアストロズを激しく追い上げているエンゼルス打線にヒット3本しか許さなかったのはナイスピッチング、ケガから復帰した前回の登板では4本もホームランを食らい、復帰に暗い影をおとしていたから今日の勝利はまずは一安心。

先日好投したマー君に続き岩隈もいい状態でオールスター休暇に入れる。心配なのはもう一人の先発投手、和田(シカゴ)、ケガの回復はまだ時間がかかりそうだから後半戦に先発の機会がもらえるかどうかは微妙。

今上位を争っているチームのGMは7月31日が締め切りのトレード期間にどの選手をとってくるかで頭をめぐらしているところ。調査をかけられるのは各地区の4,5位のチームにいる選手、日本人選手が所属するチームでこれに該当するのはイチローのいるマーリンズ。

アリーグ東地区のレッドソックスは現在最下位だが、首位のヤンキースとの差はまだ5.5ゲームしか離れておらず、もし明日レッドソックスがヤンキースに勝てばさらに差が縮まる。レッドソックスは投手の補強に動くだろう。

青木のいるジャイアンツもドジャーズに追いつくためには先発投手の強化が喫緊の課題。中地区のシカゴは首位カージナルスと9ゲーム離されているが、勝率が高いので調子を維持していけばワイルドカードによりポストシーズンに進出する可能性もある。だから、このチームもいい投手がほしいところ。そうなると、ケガで休んでいる和田は先発から外されるかもしれない。どのチームが後半に向けての戦力アップに成功するだろうか、興味津々。

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2015.07.11

小林古径のとっておきの女性画!

Img_0003         ‘花’(1919年 コスモ石油)

Img_2        ‘河風’(1915年 山種美)

Img_0001_2      ‘琴’(1927年 京近美)

2年前、沢山たまった展覧会図録の大整理を行い、複数ある日本画家の図録を一冊ないし二冊に集約しここにダブってない作品を貼り付けていった。だから、今は‘Myベスト図録’がずらっと本棚に並んでいる。

この図録づくりにはひとつ副産物がある。それは余分になった図版からとくにお気に入りの女性画をぬきだしこれをまとめたファイル。称して‘MYベスト女性画ファイル’の出来上がり、心をときめかせる浮世絵、近代日本画、洋画、西洋絵画がずらっと並んでいる。

その近代日本画、洋画のとっておきの女性画は6人の画家の作品、上村松園、鏑木清方、小林古径、小倉遊亀、竹久夢二、岸田劉生が描いたもの。お気に入りの絵には図録から切り出せないものもあるが、これらがベストラインナップに近い。

意外かもしれないがここに小林古径(1883~1957)が2点入っている。‘花’と‘河風’、どちらも真っ赤な口紅に目が釘付けになる。とにかくこの二人にぞっこん参っている。そしてもう一点、はっとさせられるのが‘琴’、若い女性が着た衣装の赤い柄が強く印象に残る。

いずれも2005年東近美で開催された‘小林古径展’に出品された。2年後の2017年は古径の没後60年にあたる。だから、どこかの美術館が回顧展を企画してくれないかとひそかに期待している。回顧展は2回みるのが理想、夢が叶うと嬉しいのだが、はたして?

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2015.07.10

宇宙論とエッシャー!

Img       エッシャー美(デン・ハーグ)

Img_0003     エッシャーの‘相対性’(1953年)

Img_0004     科学雑誌‘ニュートン別冊 みるみる理解できる相対性理論’より

Img_0001     エッシャーの‘滝’(1961年)

最近熱心にみているBSプレミアム‘コズミックフロント NEXT’(木曜よる10時~11時)、ここ2回は大変充実した内容だった。この番組は以前は海外の放送局が制作したものも使っていたが、4月からは一新しNHKが自ら企画制作しものを流している。これがなかなかいい。

先月末のタイトルは‘宇宙の果てのミステリー’、びっくりしたのは冒頭にデン・ハーグにあるエッシャー美がでてきたこと。宇宙の話にエッシャーがどう関係しているの?という感じだったが、番組をみているうちにプロデューサーの狙いがわかってきた。

使われたエッシャー(1898~1972)の作品は4点、‘円の極限Ⅳ’(1947年)、‘別世界’(1947年)、‘相対性’(1953年)、‘滝’(1961年)

最後のパートにエッシャーとの縁でその名を知ったイギリスのロジャー・ペンローズ(1931~)が登場した。この人物はだまし絵の本などにでてくる‘ペンローズの三角形’や‘ペンローズの階段’を生みだした数学者とみていたが、宇宙物理学の分野でも活躍しており相当な学者だった。

大学院生のときでかけた展覧会でエッシャーの‘相対性’に衝撃を受けたという。そして、展覧会からの帰り道自分もこんな絵を描いてみたいと思ったそうだ。その思いが実際に‘ペンローズタイル’となって結実した。‘相対性’をはじめてみたときはいろんな方向に重力がはたらいているため階段を上がる男性をみるためには顔を横にしたり首を斜めに傾けたりしなければならず心が落ち着かなかった。

ところが、今はアインシュタインの相対性理論の話を‘ニュートン’のわかりやすいイラストで教えてもらっているのでこの絵のようなへんてこな画面の組み合わせにも目が耐えられるようになった。何事も関心があれば臆せず扉をあけてみるのが一番、いい先生と本との出会いがあれば理解はどんどん進んでいく。

ペンローズはエッシャーに‘ペンローズの三角形、階段’を送ったそうで、その影響で‘滝’が生まれた。そして、ペンローズはエッシャーの描いた悪魔と天使が体のサイズを縮めながら果てしなく続く‘円極限Ⅳ’から霊感を得て、宇宙が誕生と死を永遠に繰り返していくというアイデアにたどり着く。

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2015.07.09

来年3月 東近美で‘安田靫彦展’!

Img_0001         ‘花の酔’(1912年 宮城県美)

Img     ‘飛鳥の春の額田王’(1964年 滋賀県近美)

Img_0002     ‘菊慈童’(1939年 五島美)

わが家ではどの展覧会へ出かけるかはだいたい一年先までを念頭にいれて決めている。だから、美術館のHPなどを定点チェックしこれから開催される展覧会の情報を入手するようにしている。また、美術館においてある展覧会のチラシも関心のあるものはバッグのなかにしまいこむ。

ここ数年日本画家の回顧展を開催して美術館の評価をさらに高めているのが東近美、来年は安田靫彦(1884~1978)をやることが決まっている。会期は3/23~5/15、近代日本絵画で大観、春草、観山らが第一世代のビッグネームだとすると、そのあと日本画壇を引っぱった第二世代の中心が安田靫彦、小林古径(1883~1957)、前田青邨(1885~1977)の3人。

小林古径の回顧展は2005年に東近美で開催された。当然、前田青邨もここでやってくれるものと期待していたが、その回顧展は翌年島根県美、岐阜県美、浜松市美で行われた。そのため、新幹線に乗って岐阜と浜松まで足をのばした。

これまで体験した安田靫彦展は1993年の愛知県美と2009年の茨城県立近美の2回。また中規模のものもみたので回数では古径、青邨を大きく引き離している。そして来年は近代日本画の殿堂である東近美で開催される。上村松園、竹内栖鳳、菱田春草で質、量ともに超一級の回顧展をみせつけられたら否が応でも多くを期待してしまう。はたしてプラスαが何点でてくるか。

また、再会が楽しみな作品も多い。お気に入りの筆頭が‘花の酔’、これは宮城県美自慢のお宝だろう。そして、近代日本画の古典のひとつに数えられる‘飛鳥の春の額田王’、これをみるたびに安田靫彦は本当にすごい画家だなと思う。五島美にある‘菊慈童’も忘れられない一枚。

来年の3月は西洋美でカラヴァッジョ展がはじまるが、安田靫彦のあの濁りのない色彩の美しさにも魅了されるにちがいない。

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2015.07.08

不振のイチロー、好投の田沢、上原!

Img     イチローを2塁ゴロにうちとった田沢

Img_0001

今日のレッドソックスとマリーンズの交流戦は日本人選手の明暗がはっきり分かれた試合だった。暗は試合に逆転敗けしたマリーンズのイチロー、このところヒットがでないイチロー、先発メンバーのけがで急遽レフトで出場したが、2打席連続見逃しの三振のあと、田沢との対戦では2塁ゴロにうちとられ、いいとこなし。これでイチローは33打席無安打、打率は.246まで低下した。

4,5月は新しいチームで活躍したイチローだが、6月後半から急に打撃が不振になり、まったくイチローらしくない打席が続いている。見逃し三振はあまりないのに今日のゲームでは2つも食らった。どうも開幕してから2ヶ月張り切りすぎたためエネルギー切れをおこしているような感じがする。40歳をすぎるとちょっとした疲れが打撃の調子を大きく狂わす、だからバットが思いように球をとらえきれない。オールスターの休暇が復活のきっかけになることを信じたい。

明はレッドソックスのブルペン陣の柱、田沢と上原、7回マーリンズ2点入れられピンチでマウンドにあがった田沢はここで追加点を防ぎ続く8回も3人をしっかりうちとった。この監督の采配が勝利を呼び込んだ。レッドソックスはその裏3点をもぎ取り逆転に成功、この1点差を守護神の上原が難無く守りチームを勝利に導いた。

上原はこれで3年連続20セーブ、これはマリナーズで活躍した佐々木と並ぶ快挙。チームは最下位だが首位ヤンキースとのゲーム差は5になった。東地区はまだまだ混戦が続きそうなのでオールスターまで今の調子を維持すれば、レッドソックスも終盤の上位争いに食い込める。田沢、上原がいるので応援にも力が入る。レッドソックスの後半戦の戦いに期待したい。

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2015.07.07

七夕 星に願いを!

Img         歌川広重の‘市中繁栄七夕祭’(1857年)

Img_0001      歌川国芳の‘雅遊五節句之内七夕’(1839年)

今日は七夕、2,3日前散歩をしていたら短冊をつけた笹をもっている40代の男性とすれちがった。それで、ああもうすぐ七夕なんだと気がついた。

季節を彩る伝統の行事に小さい頃ほど心がむかわないのは仕方がないが、笹の葉につけられた短冊をみて一年に一度のことだから星に願い事を聞いてもらおうかとも思った。すぐ頭に浮かんだのが来年国立新美で開かれる‘カラヴァッジョ展’、出品作のなかに追っかけ画が一枚でもいいから入ってますようにと。もうひとつ手持ちのアメリカの会社の株がもっと上がってくれることも一緒にお願いしておいた。

このところすっかり宇宙の話に心を奪われているので、天の川銀河にもすぐ反応する。半年前は天の川銀河のことは頭のどこにもなかったのに今ではこの銀河が棒渦巻銀河であることや直径が10万光年ありわれわれの太陽系は中心から2万8千光年のところにあるといったこともイメージできるようになった。

‘求めよ、さらば与えられん!’ではないが、BSプレミアムの‘コズミックフロント NEXT’とEテレの‘宇宙白熱教室’のおかげで宇宙についての理解が進み、インフレーション理論や宇宙の謎のひとつであるダークマター、ダークエネルギー、ブラックホールの話もだんだんわかってきた。そして、こうして得た知識をどさっと買い込んだ科学雑誌ニュートンの別冊シリーズを読むことで肉付けしている。1年くらいこれを続ければ現代物理学と宇宙論の概論くらいはマスターできるだろう。

七夕の浮世絵ですぐ思いつくのは歌川広重(1797~1858)が描いた‘名所江戸百景’のひとつ‘市中繁栄七夕祭’。歌川国芳(1797~1861)の絵は子どもたちが手習いやおけいこ事が上達することを願って短冊を竹に飾っている場面。肩の力がすっとぬけるとてもいい子ども絵。

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2015.07.06

祝 明治日本の産業革命遺産 世界文化遺産への登録決定!

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Img_0001     長崎・グラバー邸

Img_0002      萩・松陰神社

明治の産業革命遺産が世界文化遺産に登録されることが決まった。拍手々!これで日本は世界文化遺産に3年連続で登録されることになった。

今回は数が多く、8県にまたがる23資産。NHKのニュースでは長崎のグラバー邸と萩の松陰神社にある松下村塾がとりあげられていた。どちらも訪問したことがある。幕末から明治時代にかけてつくられたこの23のなかには歴史の教科書にでてくるものがある。

幕末では一度行ったことのある鹿児島の集成館、まだ縁のない韮山反射炉。そして、明治時代になってからつくられたものではなんといっても官営八幡製鉄所、ここが近代日本を象徴する工場。また釜石の橋野鉄鉱山・高炉跡が世界遺産になったのも嬉しい話。

一度行ってみたいなと思っているのが軍艦島と呼ばれている端島炭坑。以前長崎を旅したときはこの軍艦島のことは知らなかった。気になりだしたのはここ数年、ときどきTVに登場する炭坑跡と軍艦をおもわせる島の形が旅心をいたく刺激する。

明治以降、日本の経済の発展を製鉄とともに支えたのが石炭産業、そのシンボル的な存在なのが三池炭鉱、歌にもでてくるこの三池炭鉱には地元の人間ではないがすごく愛着をおぼえる。こういうところにもぶらっと寄ってみたくなる。


 


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2015.07.05

光琳コンプリートへの道!

Img     ‘大黒天図’(17世紀 MIHO MUSEUM)

Img_0001     ‘梅図’(17世紀 大阪市美)

Img_0002     ‘千羽鶴図香包’(18世紀)

Img_0003     ‘松島図屏風’(18世紀 大英博)

滋賀県の信楽にあるMIHO MUSEUMへ横浜からクルマで行くには休憩をいれて7時間くらいかかる。往復すると大きなエネルギーを消費することになるから気合が入らないと行けないが、この美術館で行われる企画展は伊藤若冲、長澤芦雪、与謝蕪村の回顧展のように見逃せないものばかり。だから、すでに7回も訪問した。

尾形光琳(1658~1716)の‘大黒天図’はこのくらいクルマを走らせたのだからお目にかかれてもよさそうな作品、ところがまったく縁がない。平常展示の作品をチェックしていたが姿を見せてくれなかった。いつになったらこの愛嬌のある大黒天に会えるのだろうか?

大阪市美にある‘梅図’にもなかなか遭遇しない。光琳の墨で描かれた花鳥画はそののびやかな筆使いが魅力、梅でも竹でも本当に光琳の線は形を柔らかくすうーっとひいていくので思わずみとれてしまう。

香包はこれまで画集に載っているものを片手くらいみたが、まだ縁がないのが個人蔵の‘千羽鶴図’、宗達の千羽鶴をイメージさせるこの作品は心をわくわくさせる。宗達つながりでは‘松島図屏風’も一度みてみたいもの。これは大英博のコレクションだが、日本に里帰りし鑑賞の機会に恵まれることがこの先あるだろうか。

大英博にはもう長いこと足を運んでいない。日本美術を展示する部屋ではお目にかかれる可能性はある。いつかロンドンを再訪することがあったらこの絵のことを忘れないようにしようと思う。

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2015.07.04

復調のペースが上がらないマー君!

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今日のレイズ戦に登板したヤンキースのマー君は6回を投げて3失点と復調を印象づける内容とはいかなかった。4敗目をきっするところだったが、8回タシエラが同点を3ランホームランを放ってくれたので、敗戦投手は免れた。

シーズンは半分をこえたところだが、マー君の成績は4勝3敗、防御率は3.97。これではとてもエースの仕事とはいえない。今年は後半頑張っても10勝にとどかない可能性もでてきた。調子が上がらないのはやはり決め球のフォークが長いイニングを投げたときコンスタントに落ちてないから。

1回に2点失点したあと、5回にも1点とられた。先頭のバッターが一塁線をぬき3塁打にした。次は8番の捕手。ポンポンと2つ空振りさせ楽に三振をとれると思ったが、決め球のフォークがダメでライトに犠打を打たれてしまった。ここで三振を取れないのが今のマー君の力。

マー君の投手としての能力の高さはコントロールの良さにあらわれているが、コントロールがいいことが逆にバッターにつけいられる原因になることもある。ボールが上下左右にばらつく幅が狭いので打者はヒッテイングゾーンを絞り込めバットを思い切り振れる。マー君は常時150キロ台のボールを投げるわけではないから、甘いストレートや変化しないフォークは難なく打ち返せる。

前の2試合ともホームランを3本くらって大量失点したのは打者のほうが優位に立っている証拠。ストライクゾーンのギリギリにうまくコントロールできているときはこんなには打たれない。平凡にコントロールのいい投手は打者にとっては対戦しやすくガンガン打てる。

だから、再度ワンランク上のコントロールをとり戻さないとマー君は復活できない。試行錯誤しながら昨年とは違う投球スタイルを懸命に目指しているマー君、その努力はいつか実をむすぶと思うがまだ時間がかかりそう。

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2015.07.03

なかなか会えない乾山の絵画!

Img_0001     ‘八橋図’(重文 18世紀)

Img  ‘定家詠十二ヶ月和歌花鳥図 薄・鶉図 九月’(18世紀 根津美)

Img_0002     ‘蔦紅葉図’(18世紀 メトロポリタン美)

Img_0003          ‘紅葉に菊流水図’(18世紀 東博)

今年は企画展のなかに琳派展を加える美術館が多いので、手元の‘琳派追っかけリスト’に載せているものが少しは消えるかなとひそかに期待している。だが、そう思い通りにはいかないもので、尾形乾山(1663~1743)については今のところゼロ。

サントリー美の乾山展で登場することを願っていた2点ともダメだった。個人が所蔵する‘八橋図’(重文)と根津美にある‘定家詠十二ヶ月和歌花鳥図 薄・鶉図 九月’、このあとの展覧会で乾山がみれることがわかっているのは同じくサントリー美で行われる‘藤田美名品展’だけ、光琳と合作でつくった角皿が一点展示される。

そして、可能性がちょっとあるのは11月京博で開催される琳派展、どんな構成になるのかわからないが宗達や光琳が軸になるのは間違いないので乾山の作品が何点も入り込む余地はないような気がする。だから、乾山の収穫は一点だけに終わり、また長いウエイティングタイムにはいることになりそう。

名品との対面には概して長い時間がかかる。‘八橋図’は2006年京博であった‘京焼展’に出品されたが、京都へ出かけたときは展示替えでみれなかった。11月の琳派展にでてくるだろうか?そして、‘薄・鶉図 9月’、この絵を長いこと追っかけているが、根津美はよほど大事にしているのかなかなか展示しない。

出光美の‘乾山の芸術と光琳’(2007年)にも東博で行われた‘大琳派展’(2008年)にもでてこなかった。また、根津美の企画展で関連するものには期待しながら足を運んでいるがまだ姿をみせてくれない。なぜ展示されないのか不思議でならない。

NYのメトロポリタン美にある‘蔦紅葉図’もいつかこの目でという思いが強いが、海外の美術館のコレクションだから遠い存在。運に恵まれることもある。METを再訪したとき日本美術の展示室に飾られているのを夢見ることにした。

サントリーにでていた‘紅葉に菊水流図’は東博でこれまで数回みたのだが、絵葉書は残念ながら用意されてなく記憶が薄れがちだった。でも、図録を手に入れたからじっくり楽しめる。今小さな喜びを噛みしめている。

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2015.07.02

待望の‘田能村竹田展’!

Img_0001           ‘梅花書屋図’(重文 1832年)

Img           ‘山陰訪戴図’(1826~30年)

Img_0002     ‘琵琶行図’(部分 1833年)

Img_0003          ‘春園富貴図’(1801~1818年)

帝国劇場の隣にある出光美はサントリー美同様、今年から来年にかけて訪問する回数が多くなる美術館。2月‘小杉放菴展’を楽しんだが、回顧展の第二弾は‘田能村竹田展’(6/20~8/2)。

田能村竹田(1777~1835)の作品が出光に沢山あることは昔から知っているが、これまでは散発的な鑑賞にとどまっていた。だから、18年ぶりに開かれる回顧展は竹田に最接近する絶好の機会となった。作品は全部で54点でている。頁替えは数点あるが会期中いつ行ってもすべてみられる。こういう展示方法は美術館への好感度が増す。

竹田の絵は中国の文人画を踏襲している。そのため縦長の掛け軸が多い。最初に展示されているのが代表作の‘梅花書屋図’、亡くなる3年前の作品。縦に長い画面だから視線は当然下から上にあがっていく。S字をふたつくらい意識するともこっとした山に遭遇する。

この絵で圧倒的な存在感をみせているのは騾馬に乗った3人の旅人が進んでいく道を覆うようにのびる木々、丁寧に描かれた細い枝が変幻自在に曲がる姿はまるで生き物が小さく暴れているような感じ。このちくっと痛みを覚えるような木の動きが穏やかな山村風景にうまく溶け合っているのがこの絵の最大の魅力。

もう一点画面に惹き込まれるのがやはり木が主役になっている‘山陰訪戴図’、雪が降り積もった切り立った山々を背景にして力強く立つ木が雄々しく縦にバランスよく配置されている。

池大雅(1723~1776)の愛嬌のある人物像を彷彿とさせる‘琵琶行図’の前にも長くいた。そして、波を表す小さな山形が繰り返されるのをみてふと思い出したのが今村紫紅の‘熱国之巻’に描かれた海、紫紅は文人画に惹かれていたから大雅や竹田の画風からも影響を受けたにちがいない。

異色の作品が一枚あった。それは極彩色で描かれた‘春園富貴図’、中国の絵にでてくるモチーフ、牡丹と太湖石がうすピンクと強い緑青で彩られている。描くのが難しいといわれる牡丹をこれほど質感豊かに表現できるのだから竹田の画技は抜きん出ている。

待ち続けた田能村竹田の回顧展、それが叶い満ち足りた気分で館を後にした。

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2015.07.01

2015年後半展覧会プレビュー!

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今年も今日から後半、7月以降に開催される展覧会で足を運ぶ可能性の高いものをまとめてみた。
★西洋美術
 ニキ・ド・サンファル展  9/18~12/14     国立新美
 マルモッタン美蔵モネ展  9/19~12/3      東京都美
 シスレー展        9/20~11/15     練馬区美
 プラド美展        10/10~1/31     三菱一号館美
 
 ルオー展         10/24~12/20    出光美
 杉本博司展        10/28~12/23    千葉市美
 ゴーギャン展       10/29~12/20    汐留ミュージアム
 ラファエロ前派展     12/22~3/6      Bunkamura

★日本美術
 河鍋暁斎展        6/27~9/6       三菱一号館美
 瓷華明彩         6/27~8/9       五島美
 歌川国芳展        8/1~8/30       そごう美
 九谷焼の系譜と展開    8/1~9/6       東京ステーションギャラリー
 
 藤田美の至宝       8/5~9/27       サントリー美
 春画展          9/19~12/23     永青文庫
 琳派展          10/10~11/23    京博
 久隅守景展        10/10~11/29    サントリー美
 
 村上隆 五百羅漢図展   10/31~3/6      森美
 金銀の系譜        10/31~12/23    静嘉堂文庫美
 肉筆浮世絵 美の競艶   11/20~1/17     上野の森美
 石黒宗麿展        12/8~1/31      松濤美

(注目の展覧会)
西洋美術にははじめてというのがなく、関心の高い作家のヴァリエーションを増やすために出かけることが多くなりそう。期待しているのは日本にはじめてやって来るボスの絵が含まれている三菱一号館美のプラド美展とリバプール美自慢のラファエロ前派が結集するBunkamura。

日本美術の注目はなんといっても村上隆の五百羅漢図、待望の公開だから存分に楽しみたい。回顧展では久隅守景と陶芸家の石黒宗麿。

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