日本の美! 紫陽花
酒井抱一の‘立葵紫陽花に蜻蛉図’(1823年 三の丸尚蔵館)
梅雨時になると立ち止まってしみじみ見てしまうのが紫陽花、我が家の周りでも2,3か所でメロンパンのような愛嬌のある丸い花を咲かせている。色はうす青の花と白の花があるがお気に入りはうす青のほう。
紫陽花をよく描いた画家ですぐ思い出すのが山口蓬春(1893~1971)、過去にも何度かとりあげたが、東近美、山種美、そして葉山の山口蓬春記念館に心を奪われる作品がある。この紫陽花の画家、蓬春についで紫陽花好きなのが江戸琳派の酒井抱一(1761~1828)。
三の丸尚蔵館が所蔵する絶品の花鳥画のひとつを飾る‘立葵紫陽花に蜻蛉図’をはじめとても品のいい紫陽花が数点ある。生き生きとした立葵の赤とちょっと控えめな紫陽花のうす青が見事に融和しすっきりとした花鳥画に仕上がっている。
抱一よりひとつ年上の葛飾北斎(1760~1849)が描いた傑作が‘紫陽花と燕’、これは天保初年(1833~34)頃描いた大判花鳥シリーズのなかでもとくに惹きつけられる一枚。中央にどんとおかれた大きな紫陽花の脇に燕が急降下してくるいう意表を突く構図が心をとらえて離さない。
速水御舟(1894~1935)の紫陽花の描き方も忘れられない。北斎とはちがって御舟は紫陽花を兎と組み合わせた。御舟は兎が好きだったのだろうか?モチーフはともかくこの絵には琳派的な装飾性を狙った表現が強くでている。平面的に描かれた紫陽花はデザインのような印象をうける。
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