勝ったのは誰れ?
レーニの‘アタランテとヒッポメネス’(1612年 プラド美)
ルーベンスの‘パリスの審判’(1635年 ロンドン ナショナルギャラリー)
プッサンの‘パンの勝利’(1636年 ロンドン ナショナルギャラリー)
ギリシャ神話にも日本のかぐや姫の婿さん探しと似たような話がでてくる。それを絵画にしたのがレーニ(1575~1642)の‘アタランテとヒッポメネス’。
男勝りの娘アタランテを早く結婚させたい両親、アタランテははじめは気が進まなかったが、‘それじゃ私の条件で男を選ばせて’、と山育ちで自分の得意とする走りで男とレースをすることに同意する。そして、‘私が負けたらその男と結婚するが、もし私が勝ったらその人死んでもらうからね’と厳しいことを口にする。
こんなレースだと求婚する男は命がけ、だからヒッポメネスはヴィーナスに作戦を授けてもらった。‘いいかい、ヒッポメネス、アタランテが近づいて来たら、黄金のリンゴを投げるんだよ、ほら3つあげるからね、頑張りなさいよ’。ヒッポメネスはすでにひとつ投げたが、またアタランテが迫ってきた。ゴールはもう見えている、‘えい、2つ目のリンゴだ’と後ろをふりかえり投げる。女性はやはり黄金に弱い、アタランテがリンゴを拾っているすきに一気にゴールにかけこんだ。
リンゴはパリスが審判を任された美人コンテストで優勝した美女を指名する際にも使われた。こういう審査には袖の下がものをいうのは常識、ヴィーナス、ヘラ、アテナの3人はそれぞれパリスの心をぐらっとさせるものをちらつかせるが、パリスが最後に選んだのは世界一の美女を約束してくれたヴィーナス、そのおかげでヘレネと結ばれたがこの結婚がトロイ戦争の引き金になる。ルーベンス(1577~1640)の絵はお気に入りの一枚。
ベラスケス(1599~1660)の‘織女たち’は高慢ちきな織女、アラクネ(蜘蛛の意味)を最強の女神アテナがぎゃふんといわせるというお話を絵画化したもの。‘私の技術は完璧だって、生意気な子だね、まったく’と機織りを競ったアテナは頭にきてアラクネを蜘蛛に変えてしまった。
ロンドンのナショナルギャラリーにあるプッサン(1594~1665)の‘パンの勝利’はとても賑やかな場面が描かれている。パンは理想郷アルカディアにゆかりの深い牧神。パンとかシノレス、サテュロスが登場するとお酒が入りかなり猥雑になってくる。
| 固定リンク
コメント