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2015.06.30

作品の数が少なすぎるサントリー美の‘乾山展’!

Img_0003     ‘銹絵山水図四方鉢’(1705年)

Img_0002     ‘色絵花唐草文水注’(18世紀 妙法寺)

Img     ‘色絵龍田川図向付’(18世紀 MIHO MUSEUM)

Img_0001     ‘銹絵百合形向付’(18世紀 MIHO MUSEUM)

今年はサントリー美へ何度も足を運ぶことになっている。今行われている‘着想のマエストロ 乾山 見参!’(5/27~7/20)も期待していた展覧会。だが、今回は消化不良の感が強い。

展覧会へ出かける回数が増えてくると、どうしても過去に行われたものを基準にして出品作をみてしまう。尾形乾山(1663~1743)のようなビッグネームの陶工の場合、回顧展は見逃さずみてきたから作品の揃え方や構成の切り口が好みに合っているかで満足度は変わってくる。

今回の乾山ははっきりいって絵画を含めて作品の数が少なすぎる。乾山の名品、もっともっと集めてきてよ!サントリーに期待しているのはそこなんだから、というのが率直な感想。乾山の回顧展に志野や織部(いずれもサントリーの所蔵)はいらないし、また、二代目乾山とか三浦乾也をぞろぞろならべることはない。こうした余計なものがやたら目立ち肝心の乾山は全部で60点しかない。これくらいの数だと回顧展に重厚感がなく乾山の世界へどぼっと入ったという感じがしなくなる。

2007~2008年にかけて出光美とMOA美で開催された‘乾山の芸術と光琳’には乾山だけで118点もでてきた。今回はその半分。だから、期待していたプラスαが少なく、追っかけリストにあるものとの遭遇もなし。例えば京博であった‘京焼展’(2006年)のとき展示替えで見逃した重文の絵画‘八橋図’も夢が叶わなかった。

思い出に残る展覧会というのはやはり作品の質が高く、数もそこそこ多いもの。この乾山展を質的なことで注文をつけているのではない。新規にお目にかかった‘銹絵山水図四方鉢’はみごたえ十分の傑作だし、定番の重文指定の蓋物、‘白泥染付金彩芒文’(サントリー美)も‘銹絵染付金銀白彩松波文’(出光美)も揃っている。

そして、中国のやきものを彷彿とさせる色彩の鮮やかさと丸い形の良さが魅力の‘色絵花唐草文水注’もどんとある。向付の形がモチーフそのものになっている‘色絵龍田川図’や‘銹絵百合形’も目を楽しませてくれる、このユニークな向付をみるたびにデザイナー、乾山のすごさを思い知らされる。

こんな発想が豊かな乾山だから、作品をもっとみたいのである。作品の構成に濃淡をつけて乾山の真髄をみせつけるところは作品を厚くしないと大きな感動はえられない。チラシのコピーはハッとさせるが、実際は周辺部分が多すぎてコアの乾山の印象が薄められている。同じ感想をもっている人も多いのではないかと思う。

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コメント

いづつやさんは数が少ないと思われたようですが私は陶磁器をあまり見ていないので、乾山の作品をこのようにまとめて見たのは初めてでした。

説明書きをよく読みながら作品を見たので、結構疲れてしまい、私にはこのくらいの数でよかったかな、と。(笑)

で、ご紹介の向付などデザインが現代の目で見ても、いかにも斬新で楽しいですね!

描かれるものに合わせて、器の形体をこんなに自在に作ってしまうなんて、やはり当時としては革命的だったのでしょうか。 


投稿: ケンスケ | 2015.07.03 21:18

to ケンスケさん
この乾山展は定番の名品が揃ってますから質的に
はいい回顧展です。問題は数です。サントリーが
60点しか乾山を集めてこれないのはちょっと情
けないですね。厚みのない回顧展は長く記憶に
残りません。

志野や織部がなんで必要なの?という感じです。
数が揃わないから自分の所にあるやきもので補って
ます。出光美や五島美のやきもの展とくらべると
パワー不足は否めません。

乾山の卓越したデザインセンスが最も発揮されて
いるのが紅葉や百合をそのまま形にした向付です。
ほかにもまだいいのがありますから、どっと集め
てきて欲しかったですね。

投稿: いづつや | 2015.07.03 23:51

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