ズームアップ 名作の響き合い! 2010年
数年前、フランスのヴェルサイユ宮殿に村上隆(1962~)が制作した巨大な彫刻‘大仏オーヴァル’が展示されたときは一部の人がクレームをつけた。美術品がこうした騒ぎを引き起こすのはアートの歴史には昔からあることだが、作品のもっているパワーがそれだけ強烈だということの証。河童のような頭をした大仏さん、太陽王ルイ14世は‘朕は黄金は大好きじゃが、このカエルみたいな顔はなんとかならないのか’と言っているかもしれない。
スーパーおばあちゃんの草間彌生(1929~)、今年86歳、正月に放送された美術番組では毎日エネルギッシュにキャンバスにむかって描き続けていた。この元気さをみれば90歳になっても今のようにスピーディに手を動かしている姿を想像したくなる。フィレンツェ、バザーリの回廊に展示してある‘自画像’からは美を求める草間彌生の心意気がよく伝わってくる。
現在活躍している陶芸家の作品が並ぶ展覧会では伝統的な茶陶だけでなく、自由な発想がその抽象的な造形に深みと力強さを与えるオブジェ的な作品も数多くでてくる。﨑山隆之(1958~)の‘花器 聴涛’はアフリカのサハラ砂漠を進んでいたらこんな光景に出くわしそうなイメージを与える作品。
備前焼の隠崎隆一(1950~)は鋭い感性の持ち主、‘時の光景 結界Ⅰ’は一見するとアンフォルメルの画家、タピエスの抽象画を思い起こさせる。備前焼で魅せられているのは隠崎隆一と‘聖衣’などをつくった金重晃介、古田織部が愛した備前のアヴァンギャルドの精神をこの二人がしっかり受け継いでいる。
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