アートに乾杯! 虹を描いた画家たち(1)
ルーベンスの‘虹のある風景’(1635~38年 ウオーレスコレクション)
コンスタブルの‘牧草地からみたソールズベリー大聖堂’(1831年)
ルーウイン教授が行った虹の講義のなかにとても興味深い壁画がでてきた。6世紀頃のもので人々の上に青と赤が逆さまになった虹が描かれている。そしてはっとするのは虹の真ん中に上からにょきっとでてきた手、ジョット―の絵にもこういう神の手がみられるが、虹の絵にも描かれていたとは。
西洋絵画で虹が描かれたものはあまりない。だから、このモチーフで印象深かった作品は一列だけはすぐでてくる。バロックのビッグネーム、ルーベンス(1577~1640)が描いた虹の絵はこれまで3点くらいみた。そのなかでお気に入りはロンドンのウオーレス・コレクションにある‘虹のある風景’、ブリューゲルの風景画を彷彿とさせるこの絵にぞっこん参っている。この絵と出会ったことは生涯の財産!
そして、コンスタブル(1776~1837)にとっても虹はお好みのモチーフだった。何年か前ナショナルギャラリーでお目にかかった‘牧草地からみたソールズベリー大聖堂’では虹の美しさに見惚れてしまった。まさにこれぞ虹!という感じ。東京都美とか三菱一号館美あたりがコンスタブル展を開催しこの絵をもってきてくれると嬉しいのだが、常時帆だけは高く掲げておきたい。
ドイツロマン派のフリードリヒ(1774~1840)も‘虹のかかる山岳風景’で虹の姿全部を白で描いている。これは日本で行われた展覧会に登場した。‘白虹(霧虹)’のようにみえるが表現として白く描いたのだろう。
ミレイ(1829~1896)の虹も忘れられない一枚。12年前Bunkamuraであった‘ミレー3大名画展’で運よくみたのだが、主虹のほかに副虹もしっかり描かれている。だが当時はその知識がなかったので、二つあることがあまり気にとまらず虹の鮮やかな色だけが強く印象に残っている。盲目の少女を虹を背景にして描いたのは希望を表現したかったのだろうか。
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