ズームアップ 名作の響き合い! 2006年
メサジェの‘ふくらんだりしぼんだり’(部分 パリ ポンピドー)
奈良美智(1959~)の描く少女は不二家の可愛らしいペコちゃんと瞬間的に結びつくが、バリエーションのなかには目をつりあげ、過激な言葉をあびせ大人をタジタジにさせるキャラクターも登場する。‘パフ・マーシー’もそのタイプの作品。柿を連想させるお河童髪の少女は首も胴体もなく顔だけ、その表情はどうも不機嫌、こういうときは近づきすぎると厄介なことになるから遠くで眺めていた。
品川駅の近くにある原美、一度束芋(1975~)の回顧展(2006年)をみるため訪問した。普段はあまり関心のない美術館だが、このときは例外でEテレの番組‘トップランナー’で知った束芋の作品がみたくて出かけた。
‘真夜中の海’は4分の映像インスタレーション、髪のお化けみたいなものが波にすり替わったりする荒々しく呪術的な雰囲気の漂う映像だった。束芋の作品にはちょん切られた指とか不気味に変形した手などが登場するのが特徴。こうした自殺とか変死といった人生の影の部分も意識させる構成はアートが社会の実相を反映していること主張するためには必要なこと。この展覧会をみて束芋という女性作家が気になる存在になった。
吉岡徳仁(1967~)の‘パーネチェア’は‘ハニーポップ’同様、これまでの椅子の概念をごろっと変えた作品、柔らかい素材でもその構造の特性を利用してしったりと強度をもつ形に変えることができる。こうしたユニークな作品には海外のブランド美術館のMoMAやポンピドーなどもすぐ飛びつき永久所蔵品に選定した。
大きな枕や座布団、ぬいぐるみの手や足などがあちこちに置かれた部屋にしゃがみこんでいる女性はフランスのア―ティスト、アネット・メサジェ(1943~)、今年73歳だが創作意欲はますます盛んといったところ。
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