近代日本彫刻の傑作が登場!
板橋区美に柴田是真(1807~1891)の‘果蔬蒔絵額’というすばらしい名品があり、2009年と2012年にあった回顧展で目を楽しませてくれた。東芸大美で開かれている‘ダブルインパクト 明治ニッポンの美’(4/4~5/17)には、これを上回る蒔絵盆がボストン美からやって来ている。題名はどこかで聞いたような‘野菜涅槃図’、正直これをみるためだけに出かけてもいいなと思った。是真のベスト3に入る傑作のような気がする。
東芸大が所蔵する絵画や彫刻、工芸にも目を配らないと片手落ちになる。是真が大根やかぼちゃなどを本物が目の前にあるように思わせるほどその質感を見事に写しとったのに対し、菱田春草(1874~1911)は潮の香りのするエビやさざえを生き生きと描いている。二人の卓越した描写力にはただただ感服させられる。
最後の部屋(地下1階)にとてつもなく大きい彫像が展示されている。それは一度東近美であった彫刻展でお目にかかった竹内久一(1857~1916)の‘神武天皇立像’、近代になってつくられた彫像でこれほど高さのあるものは他にみたことがない。台座まで入れると3mちかくある。天皇という存在が重きをなした明治という時代がこうした彫像をつくらせた。
久しぶりにみた作品がもうひとつあった。山本芳翠(1850~1906)の‘西洋婦人像’、この色白の婦人にぞっこん参っている。芳翠の描く女性の絵を画家の名前を伏せて日本にやって来るフランス人やイギリス人にみせたら、ほとんどの人がヨーロッパの画家が描いたとイメージするにちがいない。芳翠の技がまったく本場の画家たちと同じレベル、あるいはそれ以上であることをこの絵は証明している。
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