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2015.04.30

アートに乾杯! 虹を描いた画家たち(4)

Img_0001     川合玉堂の‘雨後’(1924年 宮内庁)

Img     菱田春草の‘雨後’(1902年 新潟市 敦井美)

Img_0002           横山大観の‘雨後’(1911年 伊豆市)

Img_0004     岩澤重夫の‘虹(天地創造)’(1977年)

明治時代以降でみると3人の画家が‘雨後’というタイトルで虹を描いている。川合玉堂(1873~1957)、菱田春草(1874~1911)、そして横山大観(1868~1958)。

最も心を打たれるのが川合玉堂、過去に大きな回顧展を3度体験したがこの宮内庁にある虹の絵の前ではいつも息を呑んでみてしまう。こういう雨上がりの山の風景のなかに出現する虹と実際に遭遇したら、虹の美しさが目に沁みるにちがいない。虹は全体をみせるのでなく左の部分のみ、まわりの木々や岩とうまく融合させる構図はコンスタブルの作品を思わせる。

菱田春草の虹は中国の嶮しい山々のイメージ、細長く切り立った岩と岩の間からでてきた虹は向こうの岩とをつなぐ太鼓橋のよう。中国でこういう光景をみてみたいと10年くらい前は思っていたが、この桃源郷のような場所までたどり着くまでが大変だということを知り、今はもう山水画をみるだけでいいという心境になっている。

人物が出てくる大観の虹はよくみると赤と青の順序が逆になっている。橋の上から振り返って虹をながめる人物や馬は輪郭をとって描いているが虹は朦朧体風に表現している。もやっとした空気のなかにできる虹がモチーフだから、大観にとって青と赤のどっちが外側かはどうでもいいのだろう。

岩澤重夫(1927~2009)は大分県日田市出身の日本画家、5年前あった回顧展でこのすばらしい虹の絵に出くわした。虹という光の現象に最接近している今、こうして絵画化された虹をいろいろみるとこの画家の才能の高さに感服させられる。

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2015.04.29

アートに乾杯! 虹を描いた画家たち(3)

Img_0001  歌川広重の‘名所江戸百景 高輪うしまち’(1857年 太田記念美)

Img_0002  歌川国芳の‘東都名所・するがだい’(1830~36年 ホノルル美)

Img_0003  北斎の‘行徳塩浜より、登戸の干潟を望む’(1804~07年)

Img     小林清親の‘橋場の夕暮’(1880年 静岡県美)

日本の江戸時代や明治時代以降に描かれた絵画で虹をモチーフにしたものをみたのは両手とちょっと。まずは浮世絵版画から。

すぐ虹を思いつくのは歌川広重(1797~1858)が描いた‘名所江戸百景’の一枚‘高輪うしまち’、右手前に牛車がクローズアップで描かれ、その丸い輪と空にかかる半円の虹の形が見事に響き合う。虹を印象付けるためによく考えられた構図、大きい車輪の力を借りて巨大な虹はその存在感をみせつけている感じ。

歌川国芳(1797~1861)の‘東都名所・するがだい’も虹を描いた傑作。雨上がり突然姿を現した虹を侍と従者が眩しそうに眺めている。美しい虹に思わず見惚れるのは江戸時代も今もかわりない。自然の風景を愛する日本人の心がこの絵によく現れている。

葛飾北斎(1760~1849)にも虹を描いた絵がひとつある。‘行徳塩浜より、登戸の干潟を望む’、虹が描かれているのはこの初刷りだけ、後摺りでは消えている。勝手な想像だが、虹はしっかり半円に描かなくては虹らしくない。そうするとこの形と塩田や陰影をつけた段丘部分などの形がどうも画面のなかでとけあわない。だから、虹は消すことにしたのだろう。

記憶に新しい小林清親(1847~1915)の風景版画にもいい虹の絵がある。感想記でもとりあげた‘橋場の夕暮’、真ん中に描かれた虹は全体のごくわずかな部分だが、この垂直的にのびていく描写によってこの虹が相当大きことを想像させる。そして、横に広がる水面、川舟に乗っている人たちと一緒にこの虹を眺めている気分になるのがとてもいい。

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2015.04.28

アートに乾杯! 虹を描いた画家たち(2)

Img_0003 パオロの‘世界の創造と楽園追放’(15世紀 NY メトロポリタン美)

Img_0002 ハントの‘キリストと二人のマリア’(1897年 南オーストラリア州美)

Img_0001     ミレーの‘春’(1868~73年  パリ オルセー美)

Img シニャックの‘オンフルールの港口’(1899年 インディアナポリス美)

古典絵画の宗教画に虹が描かれたものはこれまでみたことがないが、明らかに虹をイメージしたものが一枚だけある。それはNYのメトロポリタン美にあるパオロ(1400~1482)の‘世界の創造と楽園追放’。

左でケルビムの雲に乗っている神が指さしているのは新しく創造した天地、山や川をとりかこんでいる太陽や火、星などが赤や青の円で囲まれている。虹が描かれているのではないが、宇宙の太陽や星が地球を回る様子を虹を借りて表現している。

同じく虹を宗教画に取り入れたのがラファエロ前派の画家ハント(1827~1910)、‘キリストと二人のマリア’ではキリストの後ろの光背を円に変えた壮大な虹で表している。ちょっと戸惑うくらい大げさな光背、これは誰がみても虹。この図案化された虹の印象は強烈で今でも目に焼きついている。

まだ縁のないのがミレー(1814~1875)の‘春’、何度も訪れたオルセーでどういうわけか二重虹が描かれた絵に会うことができない。不思議なのだが、常時展示されてないのだろうか?次にオルセーへ行くことがあったら、真っ先にこの絵に突進することを決めている。

印象派の画家たちはほとんど虹を描いていない。例外はシニャック(1863~1935)、一点あった。今年1月東京都美で開催された‘新印象派展’に出品された‘オンフルールの港口’。海の上の空にかかる虹が力強く描かれている。

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2015.04.27

アートに乾杯! 虹を描いた画家たち(1)

Img_0001      ルーベンスの‘虹のある風景’(1635~38年 ウオーレスコレクション)

Img_0003 コンスタブルの‘牧草地からみたソールズベリー大聖堂’(1831年)

Img_0002     フリードリヒの‘虹のかかる山岳風景’(1810年)

Img   ミレイの‘盲目の少女’(1854~56年 バーミンガム美)

ルーウイン教授が行った虹の講義のなかにとても興味深い壁画がでてきた。6世紀頃のもので人々の上に青と赤が逆さまになった虹が描かれている。そしてはっとするのは虹の真ん中に上からにょきっとでてきた手、ジョット―の絵にもこういう神の手がみられるが、虹の絵にも描かれていたとは。

西洋絵画で虹が描かれたものはあまりない。だから、このモチーフで印象深かった作品は一列だけはすぐでてくる。バロックのビッグネーム、ルーベンス(1577~1640)が描いた虹の絵はこれまで3点くらいみた。そのなかでお気に入りはロンドンのウオーレス・コレクションにある‘虹のある風景’、ブリューゲルの風景画を彷彿とさせるこの絵にぞっこん参っている。この絵と出会ったことは生涯の財産!

そして、コンスタブル(1776~1837)にとっても虹はお好みのモチーフだった。何年か前ナショナルギャラリーでお目にかかった‘牧草地からみたソールズベリー大聖堂’では虹の美しさに見惚れてしまった。まさにこれぞ虹!という感じ。東京都美とか三菱一号館美あたりがコンスタブル展を開催しこの絵をもってきてくれると嬉しいのだが、常時帆だけは高く掲げておきたい。

ドイツロマン派のフリードリヒ(1774~1840)も‘虹のかかる山岳風景’で虹の姿全部を白で描いている。これは日本で行われた展覧会に登場した。‘白虹(霧虹)’のようにみえるが表現として白く描いたのだろう。

ミレイ(1829~1896)の虹も忘れられない一枚。12年前Bunkamuraであった‘ミレー3大名画展’で運よくみたのだが、主虹のほかに副虹もしっかり描かれている。だが当時はその知識がなかったので、二つあることがあまり気にとまらず虹の鮮やかな色だけが強く印象に残っている。盲目の少女を虹を背景にして描いたのは希望を表現したかったのだろうか。

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2015.04.26

MITルーウィン教授著 ‘これが物理学だ!’

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Img_0002  ‘二重虹’ ニューメキシコ州超大型干渉電波望遠鏡群の上空

Img_0001   ‘白虹’ コロラド州パイクス・ピーク 

大の本好きなのでいい本に出会うと脳からドーパミンがどっと出てくる。本との長い付き合いのなかで‘求めよ、さらば与えられん’ということがよくある。それがつい最近起こった。

いいタイミングで手に入ったのはMITウォルター・ルーウィン教授著‘これが物理学だ!’(2012年 文芸春秋)、昨年4月Eテレの人気番組‘白熱教室’でルーウイン教授の物理学講義が放送された。全部で8回あったが、そのうち関心の高い6つの講義をビデオ収録、以来ときどき再生して理解を深めている。

地球科学にのめりこむとどうしても物理の知識も必要になってくる。縁遠くなって久しい物理や化学だが、このところ脳が本気になっており、このMITの講義をみたり科学雑誌‘ニュートン’にでてくるわかりやすい解説図を理解することに多くの時間を費やしている。

そんなとき、この物理学講義が本になっているかもと思い立ちネットで調べてみた。ありました、3年前に出版されていた。これをメモり4/20美術館めぐりをしたときOAZOの丸善で購入しようと思っていた。ところが、おもしろいことに前の日散歩の途中に寄った本屋でこの本がひょいと現われた。こういうときは本当に嬉しい。

昨年放送された講義内容とは構成が違っているが、講義にでてきた話が7割くらいでてくる。番組をみないでこの本を読むとかなりしんどいが、映像化された講義の内容が頭のなかにインプットされているので理解も進む。教授のプロフィールをみてわかったのだが、このユーモアにとむルーウィン教授はオランダ出身のユダヤ人。そうだったのか、頭がいいはず。

教授がしてくれた新鮮な物理の話のなかで、とりわけ理解が進んだのが上空にできる虹、虹ができるときその後ろにもうひとつ虹ができることを知った。そして、白い虹の存在も、絵画を楽しんでいるから色彩と光のことは頭から離れず生涯のテーマ、だから、虹やレイリー散乱の話がでてくると強く反応する。ルーウイン教授のおかげで物理に対する興味が俄然湧いてきた。

    


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2015.04.25

わくわくワールドツアー! イラン ザグロス山脈

Img     ペルシャ湾にそびえる長さ1500㎞のザグロス山脈

Img_0001       グランドキャニオンを思わせる壮大な光景

Img_0003     2000年前から燃え続ける山

Img_0002      赤い棘が無数に連なる塩の山

昨年からBSプレミアムの‘体感!グレートネイチャー’をみることが多くなった。それは3年前から関心をもちだしたプレートテクトニクスや火山活動、地震などの地球科学についての知識を増えてきて、世界各地にある風景にたいする興味がますます大きくなっているから。先月放送されたイランのザグロス山脈の探索も大変おもしろかった。

イラン政府が海外メデイアの取材を許可することになったため、このペルシャ湾にそびえるザグロス山脈の実態を知ることができるようになった。1500㎞にもおよぶザグロス山脈は4000m級の山々がつらなる。それは石灰岩でできた山脈。驚かされるのはグランドキャニオンを思い起こさせる壮大な光景、ええー、こんな絶景がイランにもあったの!という感じ。こういう光景は旅心を駆り立てる。

草木のみあたらない山肌では地中から吹き出すガスがあちこちで燃えている。春の野焼きとは全然イメージが異なり、まさに山が燃えてる。2000年も前から。赤く燃える夜の光景は人々にはどんなにみえただろうか、恐ろしい地獄の呪いか、それとも燃えたぎる神々の強大なパワーか

ザグロス山脈には山全体が塩でできた丸い形した山が100以上あるという。目が点になったのは赤い棘のよう塩のかたまりが無数に連なった山。まさに塩の剣山、この針のような形は雨水によってつくりだされ、赤は塩にふくまれる鉄分の色。こういう光景はほかでもみられるのだろうか。真近でみてみたい。

番組のなかでハラハラドキドキものだったのがペルシャ湾に浮かぶ島にできた塩洞窟の探索、塩の鍾乳石が姿を現したが、狭い隙間を腹這いになって目的地まで進むスタッフやカメラマン、その緊張感は相当なものだったろう。途中、上から塩のかたまりが落ちてくる可能性だってゼロではなかったはず。こういう映像をみると頭が下がる。

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2015.04.24

わくわくワールドツアー! アメリカ デスバレー

Img カリフォルニア州南部とネバダ州の一部にまたがるデスバレー(拡大で)

Img_0001     モザイクキャニオン

Img_0002     ユビヒビクレーター

Img_0003     赤い大聖堂

BS1で大リーグの中継をよくみるので、アメリカの地図をみてどこにどんな街があり観光名所となっている大自然がどのあたりにあるのかおおよそイメージできるようになった。

1週間前、BSプレミアムの‘体感!グレートネイチャー’にでてきたデスバレーは一度訪れたことのあるラスベガスから西へ230㎞のところに位置する。ここは‘死の谷’という名前だけはかなり前からインプットされている。でも、すぐ思い浮かぶのはクレーターくらいで一体全体どんな場所かはほとんど知らない。だから、ピックアップされたポイントはどこも強く引きつけられる。

‘モザイクキャニオン’のような美しい光景をみると気持ちがぐっと乗ってくる。右のしま模様が大理石で、左は小石や砂利でできた岩、このくねくね曲がる狭い道を一緒に歩いてみたくなる。また、水が岩壁を貫いてできた大きな橋‘ナチュラルブリッジ’にも圧倒される。

ほかの番組でみたことのある大クレーター‘ユビヒビクレーター’、標高790m、直径は500mあるそうだ。その深さは200m、ここへ連れていってくれるツアーがあるのだろうか、この穴の底に立ってみたい。

もうひとつ気になる光景がでてきた。それは‘ゴールデンキャニオン’のなかにある‘赤い大聖堂’、その名のとおり赤いレンガでつくられたような岩の聖堂、高さは100mあり、横幅は400mにもおよんでいる。TVをみているだけでうわー!となるのだから実際ここに来たら相当興奮しそう。岩の形がどこかミラノの大聖堂を連想させる。

ガイドブックをみるとラスベガスに‘デスバレー1日観光’があるようだから、その気になればこうした壮大な光景を楽しめる。気持ちだけはすでにスイッチが入っている。

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2015.04.23

好ゲーム ドジャース vs ジャイアンツ戦!

Img_0001     打撃好調のジャイアンツ青木

Img      ドジャースのエース、カーショー

サンフランシスコで行われたドジャースとジャイアンツの一戦は両エースが投げ合う好ゲームだった。勝ったのはジャイアンツ、9裏3-2でサヨナラ勝ちした。これでジャイアンツはホームで2連勝。

今日のゲームは秋に今シーズンを振り返ったとき思い出に残る戦いのひとつになるかもしれない。先発は両エースが登板、ドジャースは昨年のサイヤング賞に輝いたカーショー、ジャイアンツはワールドシリーズで大活躍したバムガーナー、ともにリーグを代表する左腕。

好投手カーショーから先取点をたたきだしたのは打撃好調の青木、今日もレフト一番で先発出場した。3回満塁で打席に立った青木はカーショーの投げた外角のストレートを強くショートにはじき返し、三塁ランナーをかえした。一回にも青木はアウトにはなったがカーショーの足にあたる痛烈な打球を放っており、バットが思いっきりふれている。だから、球もいいところにとんでいく。

このあとジャイアンツはもう1点追加し2点リードしてゲームを優位に進めた。ところが、ドジャーズも簡単にはひひきさがらない。7回表100球をこえたバムガーナーから代打ででた選手が2ランホームランを放ち同点に追いつく。延長戦になる予感がしたが、ジャイアンツは9回裏パニックの犠牲フライでゲームを終わらせた。

今青木は打撃だけでなく守備、走塁の面でも乗りに乗っている。6回の守備では難しいライナーを前で回転して好捕、そしていい足の動きもあった。カーショーから内野安打をもぎとり1塁にでた青木、カーショーの牽制球に引っかかりほとんどアウトと思われたが、なんとイチローのように巧みに身をかわし帰塁しセーフ。青木のワンプレー、ワンプレーはファンの目を釘づけにする。

ジャイアンツは敗戦の数が勝ちの数より上回っているがこのライバルドジャースとの3連戦でスイープするとチームは一気に上昇機運になる。明日も勝ってほしい。

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2015.04.22

あらためて雪舟!

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Img_0002       国宝‘秋冬山水図’(15世紀 東博)

Img      国宝‘山水長巻’(部分 1486年 山口・防府市 毛利博)   

Img_0003     国宝‘破墨山水図’(1495年 東博)

今年一月、日曜美術館に雪舟(1420~1506)が登場した。このタイミングでなぜ雪舟なの?という思いで番組をみているとだんだん番組スタッフの狙いがわかってきた。それから3ヶ月が経ち、つい最近同じタイトル‘中国でよみがえる雪舟’をつけてEテレでも流された。これは番組づくりではよくやる‘一粒で二度美味しい’という編集方式だが、情報量はこちらのほうが多かった。

二つの番組からいくつか新情報が入ってきた。そのひとつが中国で開かれるオークションで水墨画や書の人気が高まっていること、中国人コレクターが高値で競り落とし、うん億円という落札価格が飛び交っている。このため、美術商たちは世界中にでかけ水墨画を集めているという。4,5年前、中国人が日本の寺などをまわり中国の古い絵を探しているという話を聞いたことがあるが、こういう動きはオークションでの人気を反映したものだった。

そして、とても興味深かったのが昨年6月杭州の大学で開かれた雪舟のシンポジウム、番組はこのシンポジウムを主導した書道家と水墨画家二人に密着取材し、なぜ今雪舟が中国美術界のなかで高く評価されているかを浮き彫りにする。彼らが関心を寄せているのは雪舟だけでなく、日本に数多く存在する夏珪や牧谿などの南宋絵画。二人が訪れた鎌倉の円覚寺で牧谿の猿の絵を興奮してみていたのが印象的だった。また、書道家は山口県の防府市まで足を運び、待望の国宝‘山水長巻’を息をのんでみていた。

広島にいたとき毛利博へクルマを走らせたからこの絵には特別な思い入れがあるが、このときは横に中国人がいることは想像もできなかった。それから17年くらい経ち、雪舟を研究する中国人がこの絵をみるためにわざわざ杭州からやって来る。日本で画聖とたたえられた雪舟に水墨画の本場中国で熱い視線が注がれる。そんな時代になった。日中で雪舟をめぐって画家や研究者の交流が盛んになるのはとてもいいこと。実りある成果を期待したい。

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2015.04.21

横浜高島屋でも琳派展!

Img_0001     尾形光琳の‘宇治橋図団扇’(18世紀)

Img_0002     酒井抱一の‘鹿楓図団扇’(19世紀)

Img     中村芳中の‘白梅小禽図屏風’(18~19世紀)

Img_0003           神坂雪佳の‘金魚玉図’(20世紀)

今年は琳派イヤー、1月日本橋三越で箱根の岡田美の琳派コレクションが公開され、根津美では4/18から‘燕子花と紅白梅’(4/18~5/17)がはじまった。そして、横浜でも高島屋で今‘細見美 琳派のきらめき’(4/15~4/27)が行われている。

京都の細見美が所蔵する俵屋宗達や尾形光琳、酒井抱一らの作品はかなりみているが、美術館がつくった琳派だけの図録に載っているものでまだみてないのが少し残っている。たぶん、ここにある作品をどっともってくるのだろうとふんで出かけてみた。果たして、読みはズバリあたった。おかげでかぎりなくコンプリートに近づいた。

一番のお目当ては尾形光琳(1658~1716)の宇治橋を絵柄にした団扇、橋の下には国宝‘紅白梅図屏風’で見慣れた流水が描かれている。だから、なにか特別な絵のように思えてくる。じつはこれをみるのが目的だった。だから、隣にあった‘栁図香包’はさらっとみてほかのところへ移動した。

細見コレクションでお気に入りの一枚が酒井抱一(1761~1828)の鹿と楓の団扇、表が鹿で裏が楓、いつも魅せられているのが鹿の首からおしりまでのびる墨の線。この曲がり具合がなんともいい。一見すると鹿のシールを団扇にぺたっと貼った感じだが、この曲線により立体的な鹿になっている。

酒井抱一と鈴木其一、そして中村芳中(?~1819)を沢山もってることで有名な細見の琳派コレクション、だから、抱一ファンで千葉市美で開催された‘酒井抱一展’(2011年)を見逃した人にはこの展覧会は楽しいかもしれない。抱一のお宝全部見せますという感じだから見ごたえがある。そして、芳中も代表作の‘白梅小禽図屏風’をはじめいいのがずらっとでている。

神坂雪佳(1866~1942)のユーモラスな金魚の絵が心をとらえてはなさない。琳派のDNAを受け継ぐ雪佳の絵はそのソフトでやさしい琳派の趣が特徴、真正面から描かれた金魚の姿はじつに可愛らしく、若冲の河豚の絵とも強く共振する。

デパートで行われる展覧会は会期がとても短い、4/27まで開かれている。

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2015.04.20

二度目の‘若冲と蕪村’展!

Img 伊藤若冲の‘河豚図’(1793年)  与謝蕪村の‘鯉図’(18世紀)

Img_0001     伊藤若冲の‘双鶴・霊亀図’(18世紀 MIHO MUSEUM)

Img_0002           与謝蕪村の‘双馬図’(1760年)

Img_0003     与謝蕪村の‘倣銭貢山水図’(1766~68年)

サントリー美で二度目の‘若冲と蕪村’(3/18~5/10)を楽しんだ。出品作を全部みるためには三回の出動が必要だが、今日は二回目のタイムリミット。朝10時半くらいに入館すると、すでに大勢の人がいた。伊藤若冲(1716~1800)、そして与謝蕪村(1716~1783)、江戸絵画のスター絵師の絵が一緒にみれるのだからこれほど贅沢な展覧会はない。誰だって足を運んでおこうという気になる。

図録で狙いの作品はあたりをつけていた。一番みたかったのは若冲の‘河豚図’、府中市美で河豚と蛙が相撲をとっている絵にお目にかかったばかりなので、この河豚にもぐっと引き込まれる。河豚がどんな泳ぎ方をするかは水族館に縁がないためイメージがわきにくいが、河豚は上のほうへ泳いでいる。こういう丸い形だから、ゆらゆらと動くのだろう。隣に飾ってある蕪村の‘鯉図’もなかなかいいので、二つを交互にみていた。

すでにみたことのある若冲で思わずじっくりみたのは‘双鶴・霊亀図’、視線が集中するのは正面を向いた亀の鋭い目と鶴の卵型の胴体、亀はみどころが多い。目のほかにも尻尾の黒の強さ、甲羅の六角形、内側はどれも筋目描きにより無数の六角形ができている。そして、指をつつんでいる皮膚の描写がなんとも細かい。丸い墨の点は手前は大きくし奥にいくほど小さく描いている。若冲は感心するほど生き物をしっかりみている。

蕪村は複数の馬がたわむれるところをよく描く。はじめてお目にかかった‘双馬図’は二頭の馬と木々を造形として響き合わせるというおもしろい絵。じっとみていたら誰でも気づくが、首を互いに絡み合わせている馬の上では二本の木はX字のようにクロスしている。そして、左に立っている木でも一部の枝を無理やり曲げ枝と枝が交差する形をつくっている。蕪村は形の面白さを馬と木でコラボさせてみせたかったのかもしれない。これははっとさせるほどモダンな発想。

何年か前京博でみた‘倣銭貢山水図’にも大変魅せられた。とくに見入ってしまうのは何か安心してみていられる構図のよさと木々の細かな筆致、そして目に心地いいい濃淡のきいた緑。何度みても足がとまる。

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2015.04.19

マー君、レイズ戦で快投!

Img    レイズ打線をヒット2本無失点に抑えたマー君

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敵地のレイズ戦に登板したマー君、前の2試合とは打って変わって7回を2安打無失点というすばらしいピッチングをみせた。これで2勝目。

初回の先頭打者に低めの球をうまくセンターに運ばれたので今日の試合も厳しいかなと思ったが、後続をぴしゃりを抑え点を与えなかった。そのあとアウトを重ねていく。変化球のコントロールがとてもよくレイズの打者に的を絞らさず完璧に沈黙させた。

カーブ、スライダーを主体に組み立て得意のスプリットはあまり投げなかった。ピッチングスタイルは明らかに昨年とは違う。左右にテンポよく投げ分けストライクをとっていく。ストレートばかり投げると目が慣れてくるとロングを食らうのでバッターの予想を狂わせるためにいろいろな変化球を投げカウントをかせぐ。

マー君はダルビッシュ同様、いろんな球を高いクオリティで投げられることをこの試合で証明した。やはり投球の基本は制球力、どんな球でも投げたいところに正確に投げる。その精度をあげれば150キロのストレートを投げなくても打者は打ちとれる。

今日のピッチングでマー君は新しいピッチングスタイルのリズムをつかんだはず。この配球に磨きをかけれは昨年前半の力強さが戻ってくる。期待したい。

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2015.04.18

千住博と杉本博司の光琳アート!

Img     千住博の‘Ryujin’(部分 2014年)

Img_0001      拡大

Img_0002     杉本博司の‘月下紅白梅図’(2014年)

2週間前に放送された日曜美術館の‘光琳は生きている’を興味深くみた。琳派に大接近する特別展‘燕子花と紅白梅’が熱海のMOA美で開催されたのは2/4~3/3、そして今日からは根津美でパート2(4/18~5/17)がはじまった。出動はもう少したってからにする予定だが、初日から多くの美術ファンが押し寄せたにちがいない。

光琳の代表作、‘燕子花図屏風’と‘紅白梅図屏風’が向かい合わせになってみれるのだから究極の琳派展であり大アートイベント。だから、日本人だけでなく日本の美術に熱い視線をよせている外国人もこの展覧会に注目しているのではなかろうか。琳派が好きな人がとにかく多いから根津美では入場規制も予想される。

日曜美術館に登場した千住博(1958~)もMOAで開かれた展覧会をみるためNYからわざわざやって来たらしい。‘燕子花図’を意識して制作した新作‘Ryujin’は24mの大きな屏風、千住はおもしろいことをいう、‘光琳が今生きていたらこの美しい蛍光塗料を使っていた!’、光琳の美意識は千住のアート魂のなかにしっかり受け継がれている。

MOAに出かけなかったことをちょっぴり後悔させたのが、写真家杉本博司(1948~)の‘月下紅白梅図’、これは鑑賞欲を刺激する。リカバリーする機会がないものだろうか、例えば今秋千葉市美で開催される‘杉本博司展’(10/28~12/23)、ここに出品されると嬉しいのだが、ミューズにお願いすることにした。

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2015.04.17

ズームアップ 名画の響き合い! 2014年

Img     草間彌生の‘富士山’

Img_0001     原画をもとにした浮世絵版画‘富士山’

Img_0002     浮世絵版画‘富士山 別ヴァージョン1’

Img_0003     浮世絵版画‘富士山 別ヴァージョン2’

ここ5年くらいの間に草間彌生(1929~)をとりあげた美術番組を3度みた。最初が2011年のBSプレミアム、2009年からはじめた‘わが永遠の魂’シリーズをアトリエで毎日描きつづける草間に密着し作品をとおして浮かび上がる草間の芸術家魂に迫っていた。そして、海外のオークションにクサマ作品を求めて集まるコレクターたちやこの年マドリードの美術館でスタートした回顧展についても熱く取材。

2度目は2013年?BS朝日かどこかの番組であの松岡修造が大胆にも草間とおしゃべり。このときは笑っちゃうくらい話がかみ合わなかった。修造、ご苦労さんという感じ。そして今年の正月、BSプレミアムで放送された‘わたしの富士山~浮世絵版画への挑戦~’、確か2時間くらいやっていた。

草間が富士山を描き、その原画をもとにアダチ版画研究所の彫り師、摺り師が浮世絵版画を制作した。一番上が草間が完成させた‘富士山’で、続く三枚が浮世絵版画の‘富士山’、版画は原画を忠実に再現したもの(二番目)とアダチ研究所の独自の判断で色彩を変えた‘富士山’がつくられた。

草間は版画の出来具合に大満足で、そのうえアダチが提案した色の違う別ヴァージョンの色彩の輝きに感激していた。青や黄色、そしてピンク色の富士山に摺りあげたのは若手の摺り師、すばらしい色彩感覚の持ち主で今のの時代にふさわしいポップな富士山の浮世絵版画に仕上がった。昨年新宿に完成したプライベート美術館、草間美に現在も飾ってあるかわからないが、時間をつくって出かけようと思っている。

1874年からスタートした‘ブームアップ 名画・名作の響き合い!’は2014年をもって終了いたします。お楽しみいただけたでしょうか。数々の名作を皆さんと共有できたことを心から喜んでいます。

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2015.04.16

ズームアップ 名作の響き合い! 2013年

Img     北岡明佳教授の‘ガンガゼ’

Img_0001_2     須藤玲子の‘幕 和紙垣’

Img_0003     吉岡徳仁の‘蜘蛛の糸’

Img_0002     オロスコの‘ブラック・ブーメラン’

オランダの画家エッシャーの作品をみたことがきっかけとなって錯視アートに興味をもつようになった。そして、昨年この思いをさら刺激するおもしろいTV番組にでくわした。その番組は美術関連のものではなくれっきとした教育番組、放送大学で年2回行われている‘錯覚の科学’という講座。

これをみて立命館大の北岡明佳教授(1961~)が創作した錯視デザインが注目を集めていることを知った。この先生のつくった‘蛇の回転’は3年前にインプットされていたが、あのレデイ・ガガが‘ガンガゼ’を自分のアルバム‘アートポップ’のデザインに使っていたことはノータッチ。中心から矢が飛び出してくる感じがするこのデザイン、確かにすごく美しいし造形の感性がじつにシャープ。今年は明治大学にある錯視美術館へ出かけてみるつもり。

昨年その存在を知ったテキスタイルデザイナーの須藤玲子(1954~)、東近美で開催された展覧会に出品された‘幕 和紙垣’を見逃したのは痛いが、日本の布の魅力を世界に伝えようと新作をどんどん手がけているので、また作品に接する機会があるかもしれない。とりあえずの目標はANAインターコンチネンタルホテルとマンダリンオリエンタルホテル東京に飾られている作品。とても楽しみ!

吉岡徳仁(1969~)も今心の中にどんと入りこんでいるデザイナー。自然結晶から生み出された‘蜘蛛の糸’は東現美であった個展で刺激の強かった作品。意図した造形ではなくて自然の力にゆだねてできる美の形、日常生活のなかにこういうデザインをとりこんでいくというのは日本人の自然観とはぴったり合う。吉岡徳仁の新作から目が離せない。

今年出会ったオロスコ(1962~)にいっぺんに嵌った。メキシコ人で知っている画家はオロスコとかフリーダ・カーロなど片手くらいしかいないが、豊かな才能に恵まれたオロスコがそのど真ん中に入ってきた。とくに魅せられるのは‘ブラック・ブーメラン’のような柔らかい曲線から生み出されるシンプルな造形。余計なものがカットされ原始的な生命力そのものが表現されている。

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2015.04.15

イチロー ブレーブス戦に先発出場!

Img     6打席目に三塁線に内野安打を放ったイチロー

Img_0001

今シーズンはナリーグのフロリダ・マーリンズでプレーするイチローは今日のブレーブスとの一戦でレフト2番で先発出場した。2日前もセンターで最初からでており、イチローの打席が多くみられる試合が増えてきた。

イチローは外野手では4番手の扱い。だから、毎試合でるというポジションではないが、開幕してからずっと打席には立っている。ナリーグはアリーグとちがい指名打者がないので投手が打席に立つ。このため投手交代のとき代打としても出番が回ってくる。監督は代打の一番手としてイチローを起用することを決めているようだ。

そして、3人のレギュラー選手が故障に見舞われたり打撃の調子を落としているときはイチローに声がかかる。今日のブレーブズ戦はレフトの選手が昨日ちょっと故障したため先発が実現した。打順は2番だからヤンキースにいた3年間よりは気分がいいだろう。

レフトの守備も相変わらずかたい守りだし、元気いっぱいという感じ。今日は6回打席がまわってきて1四球1安打で2度出塁、もう1本ヒットが欲しいところだが、2回も塁に出れば十分。先発で出場する機会が増えれば複数安打の回数がふえるのは間違いない。

イチローがマーリンズに入団したので昨年ホームラン王に輝いたスタントンの打席がみれることになった。今日の試合は3安打の大当たり。そのバッティングスタイルをほとんどみることはなかったが、バッターボックスに立つ姿は大物の雰囲気。まだ26歳、昨年のオフ、球団と10年370億円という大型契約を結び球界の話題をさらった。

これから大リーグを象徴するような選手と一緒にプレーすることになったイチロー、大きな刺激をもらって天才的な打撃の技がまた復活するかもしれない。

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2015.04.14

ズームアップ 名画の響き合い! 2012年

Img_0002     村上隆の‘五百羅漢図 白虎’

Img          ‘朱雀’

Img_0004           ‘青龍’

Img_0001     奈良美智の‘春少女’

絵画や彫刻などの美術品をみて強く印象に残るものはどんな要素が突出していたかと考えてみると、作品のサイズが大きく関係していることも多い。
 
日本画で大きなもので思いつくのを挙げてみると、長谷川等伯の‘涅槃図’、高野山にある‘両界曼荼羅図’、昨年東博の‘日本国宝展’に出品された‘阿弥陀聖衆来迎図’、竹内栖鳳の‘ベニスの月’、横山大観の‘蓬莱山’、、、こうしたビッグサイズ作品の仲間入りしそうなものがこの秋公開される。

それは村上隆(1962~)が制作した‘五百羅漢図’、天地3m、長さはなんと100m、展覧会が開かれるのは六本木の森美(10/31~3/6)。これが2012年中東カタールの首都ドバイで展示されたとき、日本ではその様子が‘芸術新潮 5月号’で紹介された。そのタイトルが刺激的、‘まだ村上隆が、お嫌いですか?’

村上ワールドの魅力がつまった‘玄武’、‘朱雀’、‘白虎’、‘青龍’がどんな風に表現されているかは図版で一応頭に入ったが、さて、本物の前に立ったときどんなことになるだろう。描かれている羅漢や四神がどーんと迫ってきそう。画面の隅から隅までじっくりみるつもりだが、アドレナリンが出っ放しになるのはまちがいない。

3年前横浜美で回顧展が開催された奈良美智(1959~)、目と目の間がびよーんと離れたぺこちゃん風の‘春少女’、この顔の少女はたくさんみたが、この春少女は特注おしゃれヴァージョン、瞳が宝石のような輝きを放ち着ている服にもぼかしが入っている。無垢な可愛さに神秘的な香りが加わったペコちゃん。女性らしくなって魅力がました。

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2015.04.13

ズームアップ 名作の響き合い! 2011年

Img     草間彌生の‘ミラールーム 生命の輝きに満ちて’

Img_0002     ミヤケマイの‘知恵の実’

Img_0003     植木寛子の‘愛と音楽の神イシス’

Img_0001     新宮晋の‘宇宙の鏡’

草間彌生(1929~)が80歳をこえてなお精力的に創作活動を続ける様子が正月のBSプレミアムに映し出されたとき、ひとつ驚くことがあった。2011年の5月マドリードからスタートした最新作の回顧展はNYのホイットニー美で終了したものと思っていたら、なんとさらに続き南米6都市を巡回していた。

サンパウロの美術館では多くの美術ファンが無限に繰り返される水玉模様や赤や青や黄色の鮮やかな原色が目に飛び込んでくる画面を釘付けになってみている。今やクサマの絵画や彫刻は世界中のアートシーンに浸透しつつある。

‘ミラールーム 生命の輝きに満ちて’のような鏡や電飾を使ったインスタレーションをはじめて体験したのは2004年東近美で行われた回顧展、3mのミラーボールがまわる部屋はラスベガスのショーを楽しんでいるような感じだった。

普段はほとんど縁のない女性現代アーティストのなかで関心を寄せている数少ない作家が束芋とミヤケマイ。4年前留学先のパリから帰ってきたミヤケマイの作品を偶然、Bunkamuraのギャラリーでみつけた。目玉が‘知恵の実’、お河童髪の少女が左の角っこに顔を出し、右上には林檎がみえる。そして、落下した林檎は絵の前の床にいくつも転がっている。可愛くてちょっと思索的。また、ミヤケマイの作品をみたくなった。

ガラスア―ティストの植木寛子(1978~)は才能にあふれている。サントリー美で開催された‘あこがれのヴェネチアン・グラス’に大変魅力的な作品が飾られていた。ガラスでつくったイシスの像、目が慣れているコップとか皿、杯の横にこうした人物の像が姿を現すと思わず足がとまる。しげしげとみていた。

田んぼをわたる風が新宮晋(1937~)の‘宇宙の鏡’を動かしている。宇宙や自然を映す鏡がこうしたのどかな景色のなかで自然と一体となった人々の暮らしを実感させてくれる。

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2015.04.12

近代日本彫刻の傑作が登場!

Img     柴田是真の‘野菜涅槃図蒔絵盆’(1888年 ボストン美)

Img_0002     菱田春草の‘海老にさざえ’(1891年 東芸大)

Img_0003     竹内久一の‘神武天皇立像’(1890年 東芸大)

Img_0001     山本芳翠の‘西洋婦人像’(1882年 東芸大)

板橋区美に柴田是真(1807~1891)の‘果蔬蒔絵額’というすばらしい名品があり、2009年と2012年にあった回顧展で目を楽しませてくれた。東芸大美で開かれている‘ダブルインパクト 明治ニッポンの美’(4/4~5/17)には、これを上回る蒔絵盆がボストン美からやって来ている。題名はどこかで聞いたような‘野菜涅槃図’、正直これをみるためだけに出かけてもいいなと思った。是真のベスト3に入る傑作のような気がする。

東芸大が所蔵する絵画や彫刻、工芸にも目を配らないと片手落ちになる。是真が大根やかぼちゃなどを本物が目の前にあるように思わせるほどその質感を見事に写しとったのに対し、菱田春草(1874~1911)は潮の香りのするエビやさざえを生き生きと描いている。二人の卓越した描写力にはただただ感服させられる。

最後の部屋(地下1階)にとてつもなく大きい彫像が展示されている。それは一度東近美であった彫刻展でお目にかかった竹内久一(1857~1916)の‘神武天皇立像’、近代になってつくられた彫像でこれほど高さのあるものは他にみたことがない。台座まで入れると3mちかくある。天皇という存在が重きをなした明治という時代がこうした彫像をつくらせた。

久しぶりにみた作品がもうひとつあった。山本芳翠(1850~1906)の‘西洋婦人像’、この色白の婦人にぞっこん参っている。芳翠の描く女性の絵を画家の名前を伏せて日本にやって来るフランス人やイギリス人にみせたら、ほとんどの人がヨーロッパの画家が描いたとイメージするにちがいない。芳翠の技がまったく本場の画家たちと同じレベル、あるいはそれ以上であることをこの絵は証明している。

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2015.04.11

‘明治ニッポンの美’ 圧倒されるボストン美蔵の日本画!

Img     狩野芳崖の‘谿間雄飛図’(1885~86年)

Img_0003              柴田是真の‘雪中鷹図’(19世紀後半)

Img_0002             河鍋暁斎の‘地獄太夫’(19世紀後半)

Img_0001     下村観山の‘臨済僧’(1912年)

今月4日から東芸大美ではじまった‘ダブルインパクト 明治ニッポンの美’(4/4~5/17)はチラシに載っている8つの作品のうち5点をすでにみているので今回は図録の購入はやめにし、ボストン美から里帰りした河鍋暁斎の絵をお楽しむだけでいいと思っていた。

ところが、ボストン美からやって来た絵画と工芸品をみてびっくり仰天、ええー、こんなにすごい日本画が含まれていたの!、CM の台詞ではないが‘それ、早く言ってよ!’という感じ。はっきりいって展覧会のPR戦略がまったく下手くそ、このチラシでは人は集まらない、キャッチコピーは‘明治ニッポンの美 ボストンから芳崖、暁斎、大観、春草の傑作が里帰り!’とかなんとかにしたほうが美術ファンの心をとらえる。じっさいすばらしい傑作が来ているのだから。

サプライズの極みは狩野芳崖(1828~1888)の‘谿間雄飛図’、この絵を一度みたいと思っていたがボストンにあるので見れる可能性は10%くらいと大方は諦めていた。その絵がひょいと現れた、なんという幸運、興奮した。そして、背景の雄大な滝を斜めに横切るように配置された三羽の鷹を息を呑んでみた。この大胆な構図は200%痺れる。

もうひとつ鷹の絵がでている。描いたのは天才漆職人の柴田是真(1807~1891)、太い幹の上にとまっている鷹を下に垂れる細い枝で挟み込むように描くところは是真の鋭い表現力の現れ。とにかく是真の絵はいつもはっとさせられる。

チラシに載っていた河鍋暁斎(1831~1889)の‘地獄太夫’、この絵は別ヴァージョン(福富太郎コレクション)をみたことがある。二つを比べてみるとボストンのものは一休が頭に載っていたり太夫のまわりにいる骸骨たちは黒っぽく描かれているので骸骨の印象がちょっと弱い。みどころは精緻に描写された太夫の衣装の文様。暁斎の魅力がこの衣装に凝縮されている。

横山大観の朦朧体で描かれた‘月下の海’などは回顧展があったときに出品されたが、菱田春草の‘月の出’と下村観山(1873~1930)の3点ははじめてお目にかかった。立ち尽くしてみていたのが観山の‘臨済僧’。これは大きな収穫だった。

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2015.04.10

若冲の‘河豚と蛙の相撲図’にご機嫌!

Img     伊藤若冲の‘河豚と蛙の相撲図’(18世紀後半)

Img_0001     谷文晁の‘猿蟹図’(1836年)

Img_0002     司馬江漢の‘猫と蝶図’(18世紀後半 府中市美)

Img_0003     長沢蘆雪の‘遠望松鶴図’(18世紀後半)

練馬区美のあと目指したのは‘動物絵画の250年’の後期(4/7~5/6)がはじまった府中市美。この日はとても寒く雨も降っていたのでバスがよかったのだが、乗り継ぐタイミングが悪かったため美術館まで歩いた。

お目当てはズバリ伊藤若冲(1716~1800)の‘河豚と蛙の相撲図’!図録で200%KOされみたくてしょうがなかった。がっぷり四つに組んだ蛙と河豚、力士が相撲をとっている姿と変わらない。若冲がこんなユーモラス動物戯画を描いてくれた、拍手々!この絵は2013年ここで開催された‘かわいい江戸絵画’がはじまる直前に発見され、急遽出品されたらしい。そして今回再登場となった。府中市美は本当に愛すべき美術館。

谷文晁(1763~1840)の‘猿蟹図’も夢中にさせる一枚、猿蟹合戦は桃太郎などとともに小さい頃インプットされた定番の物語。肥満児のように太った猿はこれから蟹とずる賢い交渉をするのだろう。蟹はいかにも気が弱そう。

司馬江漢(1747~1818)は後期に府中市美にある3点が出品されたが、‘猫と蝶図’を長くみていた。振り返る猫がじっと見ている蝶の細密な描き方に視線が集まる。中国や朝鮮で猫が蝶との組み合わせで描かれた理由がつかめないが、女性のイメージからきたのだろうか。じっとみていると加山又造の猫の絵にも蝶が舞っていたのを思い出した。

長沢蘆雪(1754~1799)がよく描いた動物や鳥というと、仔犬、虎、亀、雀、鶴。後期のお目当てはグライダーのような鶴を描いた‘遠望松鶴図’、立っている鶴はどうもぐっとこないが、飛翔する鶴の形は爽快感がある。でも、二羽はちょっと寂しい、もう一羽いてもよかったかなと思う。

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2015.04.09

視線を釘づけにさせる清親の風刺画・肉筆画!

Img     ‘眼を廻す器械’(1885年 京都国際マンガミュージアム)

Img_0001     ‘獅子図’(1884年 千葉市美)

Img_0002          ‘親子龍之図’

Img_0003     ‘那須与一 扇の的’

天才と呼ばれる画家はいつの世でもその作品の幅がとても広い、つまり画風がひとつにとどまってなくいろいろ変わっていく。小林清親(1847~1915)の作品は一世を風靡した光線画の風景版画だけでない。風刺画、動物画、戦争画、肉筆の歴史画、戯画、なんでも描ける。

清親のポンチ絵はこれまで何点かみたことがあるが、視線が釘づけになったのがはじめてお目にかかった‘眼を廻す器械’、この絵のアイデアはスゴイ!仕事が目が回るほど忙しいことは誰しも経験することではあるが、自分の目が器械によってぐるぐる回されているとは思わない。収税、学校教育など仕事が山ほどある下級官吏、こんなに目をぐるぐる回されたらストレスがたまって発狂してしまうのではないかと心配になってくる。

久しぶりにみた‘獅子図’、今回この正方形の画面に描かれたライオンをみてある絵が瞬間的に目の前をよぎった。それはNYのMoMAにあるアンリ・ルソーの‘眠るジプシー女’(1897年)にでてくるあの怖くないライオン、清親が描いたライオンも獰猛さは感じられない。清親とルソーがコラボしていることが不思議でならない。

清親が高い技を持っていることがより印象付けられたのはずらっと並んでいた肉筆画、‘親子龍之図’も思わず夢中になってみた一枚、龍の絵はこれまで数多くみてきたが、この絵のように親子が見つめ合うモチーフははじめてみた。感心するのは胴体が雲のなかに入ったり出たりしている様子がじつにリアルに描写されていること。この表現が光の画家、清親の真骨頂。

そして、最近発見されたという屏風絵‘那須与一 扇の的’(六曲一双、左隻)にも目を見張らされた。海はサントリー美の‘若冲、蕪村’に出品されている蕪村の‘山水図屏風’と同じ銀地。こんなすばらしい絵をみるとますます清親に惚れてしまう。

今回300点ちかくでてくる作品は前期(4/5~4/26)と後期(4/28~5/17)に分けて展示される。図録をみると後期にも気になる作品がいくつも登場する。また、足を運ぶことにした。

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2015.04.08

待望の‘小林清親展’!

Img     ‘東京新大橋雨中図’(1876年 渡邉木版美術画舗)

Img_0001     ‘高輪牛町朧月景’(1879年 練馬区美)

Img_0002     ‘今戸夏月’(1881年 千葉市美)

Img_0003     ‘橋場の夕暮’(1880年 静岡県美)

今日は冬がもどったような寒い一日だったが、予定通り‘小林清親展’(4/5~5/17)をみるために練馬区美を訪問した。西武池袋線の池袋駅は地下ができており改札を通って上の電車乗り場へ階段で上がるようになっていた。2年前くらいにできた?

小林清親(1847~1915)の光線画をはじめてみたのは横浜美、数点展示してあったがとくに印象に残っているのは舟や人物の影と揺らめく水面に視線が釘付けになる‘東京新大橋雨中図’、広重の‘名所江戸百景’に刺激を受けた清親は文明開化が急ピッチで進む明治の東京の光景を光と影と使って描き新しい風景版画を生み出した。5年にわたって描き続けた‘東京名所図’は全部で93点、今回傑作が数多くでている。

‘高輪牛町朧月景’は日本の鉄道史を語るときに必ずでてくる絵。2月小林清親をとりあげた日曜美術館でここに描かれている蒸気機関車はアメリカのもので実際に新橋・横浜間を走っていたイギリス製の機関車ではないことを知った。見栄えのする機関車のほうを清親は選んで創作していた。

光の描写がなんといっても清親の魅力、日曜美術館で紹介された作品のうちチェックしていたのが‘今戸夏月’、石油ランプで照らしだされた女性の顔をじっくりみた。絵画の楽しみの源は色彩の輝きと光の表現なので、この絵は即お気に入り絵画の仲間入りをした。

また‘橋場の夕暮’も心を揺すぶる。構図がすばらしく、虹が空にかかる角度が独特で構図のよさをいっそう引き立てている。そして、その虹がでている方向に向かって進む舟、横にのびる水平線が広々とした光景を生み出し、斜めに動く舟と円を描く虹が奥行きをつくっている。長いことみていた。

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2015.04.07

大リーグ開幕!

Img    2安打を放ちいいスタートをきったジャイアンツ青木

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大リーグが開幕した。今日のBSで中継されたのはマー君が投げたヤンキースとブルージェイズの試合と今シーズン、ナショナルリーグのサンフランシスコ・ジャイアンツに移籍した青木が出場したダイヤモンドバックスとの一戦。

明暗が分かれた。明のほうは青木。1番レフトで5回打席に立ち2安打。初回はアウトになったもののレフトへいい当たりの流し打ち、そして、センター前とライト前にクリーンヒット。広角に打ち分ける青木の打撃技術は名将ボウチー監督の信頼を確かなものにしたにちがいない。スモールベースボールによる戦いを目指すジャイアンツにとって青木の加入は大きなプラス。今年は3割を是非やりとげてほしい。

暗はマー君、4回5失点は痛い。スプリットを多投しない投球スタイルで相手打線をどのくらい抑え込めるか、まだはじまったばかりだから過剰に心配することはないが、コントロールの良さだけでは勝っていけないのが大リーグの野球。ストレートの球速が少し落ちているのが気になるところ、当面は新投法をためしながらのマウンドとなりそう。

レンジャーズのダルビッシュの登板がみれないのは残念でならないが、地区優勝を狙うマリナーズの岩隈が20勝近く勝ってくれてマー君が復活を果たせば楽しみは倍増する。そして、フロリダのマーリンズへ移籍したイチロー、ヤンキースよりはイチローが活躍するチャンスは確実に多い。BSの中継がどうなるのかわからないが、青木とイチローの移籍でナショナルリーグの野球をみる機会が増える。これは楽しみ!

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2015.04.06

ズームアップ 名作の響き合い! 2010年

Img_0002     村上隆の‘大仏オーヴァル’

Img_0001     草間彌生の‘自画像’(フィレンツェ ウフィッツイ美)

Img_0004     崎山隆之の‘花器 聴涛’

Img_0003     隠崎隆一の‘時の光景 結界Ⅰ’

数年前、フランスのヴェルサイユ宮殿に村上隆(1962~)が制作した巨大な彫刻‘大仏オーヴァル’が展示されたときは一部の人がクレームをつけた。美術品がこうした騒ぎを引き起こすのはアートの歴史には昔からあることだが、作品のもっているパワーがそれだけ強烈だということの証。河童のような頭をした大仏さん、太陽王ルイ14世は‘朕は黄金は大好きじゃが、このカエルみたいな顔はなんとかならないのか’と言っているかもしれない。

スーパーおばあちゃんの草間彌生(1929~)、今年86歳、正月に放送された美術番組では毎日エネルギッシュにキャンバスにむかって描き続けていた。この元気さをみれば90歳になっても今のようにスピーディに手を動かしている姿を想像したくなる。フィレンツェ、バザーリの回廊に展示してある‘自画像’からは美を求める草間彌生の心意気がよく伝わってくる。

現在活躍している陶芸家の作品が並ぶ展覧会では伝統的な茶陶だけでなく、自由な発想がその抽象的な造形に深みと力強さを与えるオブジェ的な作品も数多くでてくる。﨑山隆之(1958~)の‘花器 聴涛’はアフリカのサハラ砂漠を進んでいたらこんな光景に出くわしそうなイメージを与える作品。

備前焼の隠崎隆一(1950~)は鋭い感性の持ち主、‘時の光景 結界Ⅰ’は一見するとアンフォルメルの画家、タピエスの抽象画を思い起こさせる。備前焼で魅せられているのは隠崎隆一と‘聖衣’などをつくった金重晃介、古田織部が愛した備前のアヴァンギャルドの精神をこの二人がしっかり受け継いでいる。

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2015.04.05

ズームアップ 名作の響き合い! 2009年

Img_0003     束芋の‘団地層’

Img_0002     束芋の‘悪人’

Img     十二代三輪休雪の‘龍人伝説 花園’

Img_0001     十二代三輪休雪の‘掌器’

元来人と話すことが好きなので、はじめて会う人でも気軽に話しかける。だから、アートフェアとかギャラリーへ出かければ今現在活躍中のア―ティストたちとも話がはずみ最新の美術事情についての情報が増えることはわかっている。

だが、今はそういう習慣がないので現在誰が美術界で注目されているのか、よく知らない。そういう人に遭遇するチャンネルはもっぱらTVで放送され美術番組。才能のある作家は自分が売り込まなくても周りがほっておかない。TV各局の腕利きプロデューサーが必ずフォローしてくれるので、毎年3,4人くらいは気になる作家としてインプットされる。

束芋(1975~)もTVで知ったア―ティスト。2009年横浜美で回顧展‘断面の世代’が開催されたときは、会場にいた彼女と遠慮もなくしゃべってしまった。小柄で感じのいい人、‘団地層’は3分弱のアニメのインスタレーション、団地という集合住宅は昭和の時代の風景、だからこれに焦点を当てるというのはノスタルジックな感覚、1970年代生まれの束芋はそこに昔住んでいたように団地の断面を切り出し、同じ間取りの部屋の中をなめつくすように細かく描き出す。まるで弁当箱は同じなのになかに入っている具が違う弁当をみているよう。

束芋は朝日の新聞小説‘悪人’の挿絵を描いた。新聞では縁がなかったのでその原画が非常に刺激的だった。言葉を失ってみていたのが女性の長い首をいくつかの手が重なり合うように絞めているもの。顔は唇以外は無く、右では気持ちの悪い口のお化けがなにかぶつぶつ言っている。シュール的でもあるしアンチンボルドが生み出した花や果物で顔を造形するグロテスクな人物画の香りもする。毒気がたっぷり入っており、‘悪人’のイメージにはピッタリ。

同じ手の描写でもぐっとエロチックなのが十二代三輪休雪(1940~)の‘花園’、これは‘龍人伝説’シリーズ(17点)のひとつで、龍人の手は愛欲のはじまり。休雪の陶芸における中心のテーマであるエロスがドキッとするほど生々しく表現されている。

‘掌器’はダブルイメージが使われた作品。手びねりで茶碗をつくる様子が想起され、そしてできあがった器を手に持って愛でている。シュルレアリスム感覚に誘われるといつも強く反応する。

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2015.04.04

ズームアップ 名作の響き合い! 2008年

Img_0003     ミヤケマイの‘秘密’

Img  安田侃の‘意心帰’(イタリア トッレ・デル・ラーゴ・プッチーニ)

Img_0001     パトリック・ヒューズの‘水の都’

Img_0002     オロスコの‘ブギ・フルッティ’(部分)

7年前横浜高島屋で開かれたミヤケマイの個展、‘ココでないドコか’、どういうきっかっけでこのア―ティストに遭遇することになったか記憶がうすれているが、作品のイメージは強く心に刻まれている。その後、2011年にBunkamuraへでかけたとき、ここのギャラリーで行われていた‘膜迷路’というタイトルのついた個展にもでくわした。

2回とも会場にいた彼女と少し話をした。構えたところがなく気軽に話せる人だったのでまわりから好かれるタイプのア―ティストにちがいない。作品の構成には浮世絵の影響が強く出ている。‘秘密’はお気に入りの一枚。女性を忍者のように天井に張りつかせ、そこから下に置かれたバラを見させている。しかも顔の一部は画面からはみ出している。蜂が二匹顔の近くに飛んでいるのも憎い演出。ところで彼女は今40歳くらい?

イタリアにアトリエをもち魅力あふれる彫刻をつくり続けている安田侃(1945~)、存在感のある白大理石の丸い作品‘意心帰’はプッチーニの生誕150周年を記念してつくられたもので、この街の湖畔に永久設置されている。モチーフはプッチーニが作曲した‘蝶々夫人’、こういう作品は現地でみると感激は倍増するだろう。

イギリスのパトリック・ヒューズ(1939~)は人を楽しませる術に長けたア―ティスト、‘水の都’はBunkamuraでで開催された‘だまし絵’展(2009年)で多くの人の目を釘づけにした作品。正面から見ると遠近法のきいた絵をみている感じだが、左右に動くと途端に建物がぐにゃっと動きこちらにむかってくる。だから、何回も右に左に体を移動させたくなる。

今年の2月、東京都現美でオロスコ(1962~)の回顧展をみたとき、最も魅せられたのが大作‘ブギ・フルッティ’、ここでオロスコは円や半円、そしてきれいにカットされたガラスの破片のようなものをエレガントな調子で複雑かつ緻密に配置している。その心をとらえて離さない造形のひとつ々を生き生きと輝かせているのは赤と緑を基調とする明快な色彩。これはカンディンスキーが生み出した究極の抽象美にもひけをとらない傑作。

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2015.04.03

ズームアップ 名作の響き合い! 2007年

Img_0003     束芋の‘ドールハウス’

Img     マリーナ・カポスの‘築地の魚’

Img_0002     北川宏人の‘ワンピース・花柄’

Img_0001     高見澤英子の‘セルリア’

娯楽にはいろいろあるが、映画は10年ぐらい前までは劇場でみたりレンタルビデオを借りたりして結構見ていた。ところが、そのなかにアニメはあまり入ってこない。楽しんだものは宮崎駿のヒットした作品を4作くらい。

アニメとの密着度は弱いのに束芋(1975~)がつくるアニメのインスタレーションにはすごく引き込まれている。6年前銀座のギャラリー小柳でみたのは‘ドールハウス’、大画面に3階建てのミニチュアのドールハウスが現れる。しばらくするとなぜか手が出てきて家具などを置いていく。一体この手は何なの?ここで皮膚をかきむしらなくての、そして外からタコが侵入してきた。6分の短い映像だが、みた後も長い時間心に居座っていた。

マリーナ・カポス(1972~)は日本にやって来て東京をモチーフにした作品を制作、その12点がトーキョーワンダーサイト渋谷で展示された。魚の絵は築地へ出かけたときのイメージがもとになっている。ほかにもタコが画面全体で暴れているのもある。どれも魅力いっぱい、マリーナは日本が好きなようで名前を‘加甫州麻理奈’と漢字書きにしている。いつか大きな回顧展に遭遇できたら嬉しいのだが、はたして?

東京の渋谷や新宿などの賑やかな場所にでかけたときすれ違った若者が目の前に立っているという感じなのが北川宏人(1967~)がテラコッタでつくった人物像。表情の描写や衣装の色合いはリアルな現実をそのまま映している。感心するのは‘ワンピース・花柄’でもみられる北川のイタリアテイストの色彩。

ガラス・ア―ティストの高見澤英子(1969~)の作品、‘セルリア’に大変魅了されている。花器と花のバランスがじつにいい。視線が集中するのは横にぐるっと曲がった花の姿。この意表をつく造形は一度みたら忘れられない。

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2015.04.02

ズームアップ 名作の響き合い! 2006年

Img_0001     奈良美智の‘パフ・マーシー’

Img_0003     束芋の‘真夜中の海’

Img_0002     吉岡徳仁の‘パーネチェア’

Img     メサジェの‘ふくらんだりしぼんだり’(部分 パリ ポンピドー)

奈良美智(1959~)の描く少女は不二家の可愛らしいペコちゃんと瞬間的に結びつくが、バリエーションのなかには目をつりあげ、過激な言葉をあびせ大人をタジタジにさせるキャラクターも登場する。‘パフ・マーシー’もそのタイプの作品。柿を連想させるお河童髪の少女は首も胴体もなく顔だけ、その表情はどうも不機嫌、こういうときは近づきすぎると厄介なことになるから遠くで眺めていた。

品川駅の近くにある原美、一度束芋(1975~)の回顧展(2006年)をみるため訪問した。普段はあまり関心のない美術館だが、このときは例外でEテレの番組‘トップランナー’で知った束芋の作品がみたくて出かけた。

‘真夜中の海’は4分の映像インスタレーション、髪のお化けみたいなものが波にすり替わったりする荒々しく呪術的な雰囲気の漂う映像だった。束芋の作品にはちょん切られた指とか不気味に変形した手などが登場するのが特徴。こうした自殺とか変死といった人生の影の部分も意識させる構成はアートが社会の実相を反映していること主張するためには必要なこと。この展覧会をみて束芋という女性作家が気になる存在になった。

吉岡徳仁(1967~)の‘パーネチェア’は‘ハニーポップ’同様、これまでの椅子の概念をごろっと変えた作品、柔らかい素材でもその構造の特性を利用してしったりと強度をもつ形に変えることができる。こうしたユニークな作品には海外のブランド美術館のMoMAやポンピドーなどもすぐ飛びつき永久所蔵品に選定した。

大きな枕や座布団、ぬいぐるみの手や足などがあちこちに置かれた部屋にしゃがみこんでいる女性はフランスのア―ティスト、アネット・メサジェ(1943~)、今年73歳だが創作意欲はますます盛んといったところ。

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2015.04.01

ズームアップ 名作の響き合い! 2005年

Img_0002     奈良美智の‘あおもり犬’(青森県美)

Img     中島晴美の‘WORK-0506’

Img_0003     植木寛子の‘向日葵の蕾’

Img_0001     舟越桂の‘戦争をみるスフィンクス’

村上隆とともに注目している日本人ア―ティストは青森の弘前市出身の奈良美智(1959~)。その作品に最接近したのは9年前弘前で行われた大規模な展覧会‘A to Z’、美術というのは時々好奇心をどっと突き上げ、鑑賞のために多くのエネルギーを使わせる。勢いにまかせてクルマで青森まで行ってしまった。

青森県美で出会ったのが大きな立体作品‘あおもり犬’、高さは8.5m。地下2階の野外トレンチに設置されており、美術館の名物作品となっている。これほど大きな犬の像はこれまで国内でも、またよその国でもつくられたことはないのではなかろうか。この作品は奈良美智が青森が誇る芸術家のひとりであることを物語っている。

中島晴美(1950~)は水玉模様がトレードマークの陶芸家、女性のような名前だがじつは男性。以前から柔らかく丸みのある造形に魅せられてきた。下にのびる丸い突起物は深海を探索していたら突然姿を現した新発見の海中生物のような感じ。磁土という素材からこんな作品を生み出す中島の造形感覚と技の高さ、視線が釘付けになる。

2011年サントリー美で行われたヴェネチアン・グラスの展覧会で才能豊かな日本人グラス・ア―ティストに遭遇した。2002年からムラーノ島にアトリエを構えて制作している植木寛子(1978~)、今年37歳。‘向日葵の蕾’の前ではドキッとした。シュールな感情を抱かせる女性の足、その色がいかにもイタリア的、そして装飾として使われた向日葵の蕾。参りました!

舟越桂(1951~)の‘戦争をみるスフィンクス’は衝撃的な作品。スフィンクスが両性具有であるのはアングルの絵などでイメージできるが、顔はだいたい女性と決まっている。ところが、このスフィンクスの顔と体はエジプトの神官を連想させる男性。だから、得体の知れないこの怪物をじっとみていると体がちょっと強張る。

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