ズームアップ 名作の響き合い! 2002年
アメリカ西海岸のカリフォルニア州パサデナ生まれの女流アーテイスト、マリーナ・カポス(1972~)は今年43歳、9年前展覧会で出会って嵌ってしまった。作家との縁は不思議なものでその1年後には渋谷のギャラリーで最新作が披露された。これでカポスとは一生つきあっていくこと決めた。
カポスの画風はグラフィックな平面的描写が特徴、日本の浮世絵などにも影響を受けているのですごく親しみを覚える。‘ロニー’は30歳のとき描いたお茶目な自画像、パンダの帽子がカワイイ。彼女はアートの勉強をしたあとイエール大学で学び修士号を取得した。優秀な人物はいつの時代もマルチな才能を発揮する。
パリのオルセー美が展示室を新装した際、部屋に備えつけるベンチを吉岡徳仁(1967~)がデザインした‘ウォーターブロック’を採用した。光の美しさを追求した印象派の作品との親和性を考えると、光が屈折して静かなさざ波のような模様が生まれているこのガラスのベンチはベストマッチだった。
杉本博司(1948~)の写真作品をはじめてみたのは森美で開催された開館記念展‘ハピネス’(2003年)、写真は今でもそうだが、絵画や彫刻、やきものに比べると関心は薄い。だから、長くみていることはないが、杉本の‘北太平洋、大黒崎’はちがった。腹の底からつき動かされる感じ。目の前に静寂な大海原が広がっている。写真をみているという印象ではなくゆっくり動く映像をみているようだった。
神聖ローマ帝国の首都をプラハに移した皇帝ルドルフ2世は美術収集家としても有名な人物、そのなかにはドキッとするグロテスクな生き物の置物などもある。そのDNAを受け継いだシュヴァンクマイエル(1934~)、皇帝へのオマージュとして河豚と鳥を合体させた‘食虫動物Ⅱ’をつくったのかもしれない。
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