ズームアップ 名作の響き合い! 2003年
昨年の12月たまたま入った本屋で出版されたばかりの‘大人の錯視入門’(宝島社)を手に入れ、以来錯視アートに嵌っている。京都の立命館大学にこの分野で大活躍されている先生がいる。北岡明佳教授(1961~)、オプアートを次々を生み出し、アーティストからも注目されている。
‘蛇の回転’はじつに不思議なデザイン、宗達が描いた雷神の持物である連鼓を何重にも巻いてこしらえたような円盤が沢山重なりあっている。これ自体は静止画、だがじっとみるとひとつひとつの輪はぐるぐる回転している。だから長く見ていると目がまわりそう。
Bunkamuraで行われた‘だまし絵展 パート2’、ここにヴィック・ムニーズ(1961~)の‘自画像’がでていた。タイトルが絵とピッタリの‘話すには悲しすぎる’、映画では俳優のこういう表情をアップでよくみせるが、驚くのは人物の描き方、鮮やかさがすごく目立つ赤や青は日常生活のなかにある様々なものをそのままあるいは断片を置いたもの。こんなユニークな発想は普通の頭からはでてこない。才能に恵まれたアーテイストは目のつけどころがちがう。こうした自由なものの見方が芸術を進化させていく。
北岡教授とムニーズは同い年の54歳、村上隆(1962~)は53歳。‘とんがり君’ははじめてお目にかかった村上隆の作品。六本木ヒルズの横にある毛利庭園池に出現した高さ7mのとんがり君、やっと思いの丈が叶ったので夢中でみていた。
堂本尚郎(1928~2013)の‘連鎖反応ーモネに捧ぐ’は大変魅了されている作品。回顧展(2005年)があった世田谷美、初日でセレモニーがあったので画伯が来ておられた。滅多にない機会だから少し話した。‘お仲間のザオウーキーにもモネに捧げた作品がありましたね’というと、優しい眼でニヤッとされた。その笑顔が今も忘れられない。
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