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2015.03.26

わかるマグリットと謎のマグリット!

Img_0001      ‘光の帝国Ⅱ’(1950年 NY MoMA)

Img_0003     ‘白紙委任状’(1965年 ワシントンナショナルギャラリー)

Img     ‘透視’(1936年) 

Img_0002     ‘恋人たち’(1928年 NY MoMA)

シュールな作品で西洋絵画の歴史にその名を刻んだ画家は何人もいるが、マグリット(1898~1967)は表現の深い意味はかっこにいれるならまあわかりやすい画家。そして、みる者にとってマグリットの絵にはそこに描かれたものから勝手にイメージを膨らませられる自由さがある。作品が開かれていることがマグリットの人気を支えている理由のひとつかもしれない。

‘光の帝国’をマグリットは何点も描いた。このMoMAが所蔵するのは2作目のもの、これまで4点みたが、どれもシュルレアリスム絵画をみているという感じがしない。描かれているのは夜の屋敷とその前に広がる池、不思議なことといえば空が昼であること。

でも、今の時間が夕暮れ時だとしたら、こんな光景はよく目にする。空の白と家の周りの黒のコントラストを少しゆるくすると、いい風景に遭遇したという気分になる。このようにマグリットは現実の光景が時間の移行のなかでみせるよじれやずれの断面を大胆に表現し意表を突く空間を出現させる。だから、シュールな絵だといって構えてみないで素直に対面するとすっと入っていけることもある。

‘白紙委任状’も同じタイプの作品。タイトルは白紙委任状となっているが、マグリットとつきあうとき題名はかえって邪魔になることがあるから、あの絵にはそんな名前がついていたな、くらいの調子でいたほうがいい。心にとどめるべきは絵の内容とイメージ。

マグリットが好きな方はこの絵を何度もみられているはず。Bunkamuraのだまし絵展には2回ともやって来た。だから、2年連続の登場。女性の乗った馬が森のなかを疾走するとき、木々が数多く並んでいたら馬の胴体や足は一部がこの絵のように分断されてみえるかもしれない。まさに木の間をすりぬけるように移動していく感じ。

‘透視’はじっとみているとなるほどね、と得心がいく。卵がかえって鳥になる、マグリットは時間という要素を画面のなかに描き入れている。モチーフの形をキャンバスに写し取るのが画家にとって絵を描くという行為だが、マグリットがみているのは鳥がその姿になる前の卵。本当におもしろい作品。

画集では何度もお目にかかっている‘恋人たち’、ようやく本物に会えた。今回2点でている。わかりにくいのが2人が顔に布をまきつけて素顔を隠していること。これはなぜ?デ・キリコの影響を受けたマグリット、ひょっとするとデ・キリコの描いたマネキンから霊感を得たのかも。

お気に入りのマグリットがこれほど沢山みれて腹の底から喜んでいる。ミューズに感謝!

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コメント

私も、今週マグリット展に行きました。去年のBunkamura の『だまし絵展』でもマグリットの作品がありましたが、今回は大量の作品が一挙に集結という感がありますね。

確かにマグリット作品には、二つのタイプがあるように思われます。『光の帝国II』、『白紙委任状』、『透視』は、視覚的トリックの驚きをメインにした作品で、あまり意味を考えさせられません。

一方、『恋人たち』は、観念的な作品のように思われます。恋に夢中になると盲目で、お互いの本質が見えなくなってしまうから覆面を被っている?などと小説的な解釈もしてみたくなってしまいますが、さてどうなのでしょうか。

投稿: ケンスケ | 2015.03.27 21:58

to ケンスケさん
ビッグな回顧展に酔いしれました。お馴染みの
鈴、雲、大きな鳥、空中に浮く巨石、木目、、、
が次々に登場するので楽しい時間がすごせました。

恋人の覆面のナゾ、恋は盲目、そうですね!
恋だ愛だと熱くなっていたころをすっかり忘れて
ました。この二人の冷たくピリピリした雰囲気を
氷のようなマネキンとむすびつけてみたのですが、
ケンスケさんの解釈に乗るほうがよさそうですね。

投稿: いづつや | 2015.03.28 00:14

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