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2015.02.28

新発見!現代ア―ティスト オロスコ

Img     ‘ピン=ポンド・テーブル’(1998年 金沢21世紀美)

Img_0001     ‘サムライ・ツリー20H’(2014年)

Img_0002     ‘ブラック・ブーメラン’(2013年)

Img_0003     ‘アトミスト:ストライドを広げる’(1996年)

アートのつきあいはときどき偶然はじまることがある。そのきっかえとなるのはふと目にした作品、なにかの雑誌に載っていたX型になった二つの卓球台、その形が大変刺激的なのでぜひ見たいと思った。

今、東京都現美でこの作品が展示してある。つくったのはメキシコ人ア―ティスト、ガブリエル・オロスコ。1962年生まれで今年53歳。その名前と作品がポンピドーで購入したガイドブック(日本語版 2002年)に1点だけでてくるが、現地でみたという実感がない。だから、オロスコの作品をみるのは今回の回顧展‘ガブリエル・オロスコ 内なる複数のサイクル’(1/24~5/10)がはじめて。

作品の数は2013年にここで行われた‘吉岡徳仁展’同様、多くはないのでぐるっと回って終わり。でも、作品の多くはその色彩、造形から強い磁力がでているので心がすごく高揚する。新規のア―ティストでこれほど一点々に心地よい刺激を感じるのは久しぶり。

みた瞬間嵌ったのが最新作の‘サムライ・ツリー20H’、二色で半分々が彩られた円をじつに巧みに組み合わせる構成力に唖然としてみていた。大小の円を非対照的に連続させることで生まれるリズミカルな動きは爽快な気分にさせてくれる。この作品に対置して飾られているものもすばらしい模様。みてのお楽しみ!

この部屋の真ん中に置かれているのは‘丸石シリーズ’、川の底にある自然石に手をくわえたもので表面に彫られた不思議な模様はどこか古代のマヤとかインカの文明の遺物を連想させる。9個あり丸いへこみが目を惹く‘ブラック・ブーメラン’はそのひとつ。

X型の卓球台の周りにある作品も長くみていた。‘アトミスト(原子論者たち)-スポーツ’と呼ばれるシリーズは全部で7点。新聞のスポーツ欄の写真を拡大し、そこに赤、黄色、緑、青、白で彩色した円と楕円をいくつか重ねている。このサッカーやクリケット、ボートのダイナミックな動きと円のダイアグラムに不思議なくらい違和感がない。こんな写真と幾何学模様のコラボがあったのか、という感じ。この斬新な創作に乾杯!

いっぺんにオロスコのファンになった。

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2015.02.27

フランスの風俗画!

Img     ヴァトーの‘2人の従姉妹’(1716年)

Img_0001     ブーシェの‘オダリスク’(1745年)

Img_0002     シャルダンの‘買い物帰りの女中’(1739年)

Img_0004     シャセリオーの‘ハーレムの室内’(1854年)

ルーヴル美へはだいぶ足を運んだので絵画に限っていえば図録に載っているものはかなり目のなかに入った。だから、今回国立新美に展示されている作品はどのあたりに飾ってあったかはおおよそイメージできる。
 

ダヴィンチの‘モナリザ’などが楽しめるドゥノン翼2階はいつ行っても大勢の人であふれかえっている。ここが何といっても絵画のメインストリート、これに対しあまり混んでいないのが3階のリシュリュウ翼とロココ絵画などが展示されているシュリー翼。

ヴァトー(1684~1721)の‘2人の従姉妹’やブーシェ(1703~1770)の‘オダリスク’と会えるのはシュリー翼の一番奥まったところ。またシャルダン(1699~1779)の‘買い物帰りの女中’もここにある。ヴァトーの雅宴画に描かれる女性は必ず誰かが後ろ向きになっている。これが不思議な効果をもたらす。なぜか後ろ向きの女性に目がすわりそのあと画面全体をじっくりみてしまう。

‘オダリスク’をみて心臓が多少バクバクするだけでとどまっているのはこの絵があまり大きくないから、このポーズを1m以上のキャンバスに描くとみる者に過剰な興奮をおこさせることをブーシェは百も承知、だから、絵のサイズ(縦53㎝、横64㎝)で自主規制している。

3年前三菱一号館美でシャルダンの一級の回顧展があり、‘買い物帰りの女中’も出品された。‘今日はいろいろ買うものがあったから重たいワ。一服したいところだが、あれもやらないといけないから、そうもしてられない。あのねー、マリア、、、’

今回女性画の収穫はシャセリオー(1819~1856)の‘ハーレムの室内’、これは以前から画集で気になっている絵なのだが、所蔵しているのはストラスブール美だからみれる可能性はきわめて少ないと思っていた。ところが、目の前にひょいと現れた。ルーヴルに寄託されていた。オリエントの香りを漂わせる女の目力の強さがじつに印象的。

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2015.02.26

期待通りに名画が揃った‘ルーヴル美展’!

Img     ティツィアーノの‘鏡の前の女’(1515年)

Img_0002     マセイスの‘両替商とその妻’(1514年)

Img_0004     ムリーリョの‘物乞いの少年’(1647~48年)

Img_0003     カラッチの‘狩り’(1585~1588)

パリにある印象派の殿堂オルセー美と‘THE’美術館のルーヴル美はアメリカのボストン美とともに、日本で度々所蔵作品を公開してくれる。だから、とても身近に思える美術館。

そのルーヴルが今回会期中(2/21~6/1)に披露してくれるのは人々の日常生活の風景を描いたもの。大半は絵画だが古代ギリシャの壺などもある。作品の数は全部で83点。そのなかには美術館の図録に載っているものがかなり含まれている。やはりルーヴルは世界のブランド美術館。

画面に鏡が描かれた作品が2点飾られている。ティツィアーノ(1480~1576)の‘鏡の前の女’とクエンティン・マセイス(1465~1530)の‘両替商とその妻’、‘鏡の前の女’はルーブルの図録にしっかり載っているのにどういうわけかこれまでの訪問のとき姿をみせてくれなかった。そのため、白い肌を輝かせる女性をじっくりみた。

‘両替商とその妻’の前には多くの人がいる。視線の向かう先はたぶん同じはず。測りをもっている男の手の前にある銅の貨幣。その金属の質感描写がなんとも見事、目の前にお金があるよう。そして、もうひとつ、だまし絵をみている気分になる手前の鏡に写った家の窓と人物。こんな小さな鏡のなかにこれほど写実性豊かに緻密に描けるマセイスの技、参りました!

スペインの画家、ムリーリョ(1617~1682)の‘物乞いの少年’はお気に入りの一枚。現地ではじめてみたときから魅了され続けている。とくにいいのは左から入ってくる光、蚤をとる少年をあたたかくつつみこんでいる。子どもをやさしいまなざしでみつめるムリーリョの心根がそのままでている。‘絵は人なり!’とはこのこと。

アン二ーバレ・カラッチ(1560~1609)の‘狩り’は大変賑やかな森の光景、犬の吠える声が聞こえ、獲物をとろうとテンションがおおいに上がっている男たち。カラッチは初期の作品で川や森の情景を丁寧に描いている。日本でカラッチはほとんど縁がないので、この絵をまたみれたのは大きな収穫。

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2015.02.24

ズームアップ 名作の響き合い! 1989年

Img_0003         ウングワレーの‘エミューの女’

Img_0002     堂本尚郎の‘臨界:春’(セゾン現美)

Img_2     ブルース・ナウマンの‘吊るされた頭部’(NY MoMA)

Img_0001     アネット・メサジェの‘私の願い’(パリ ポンピドー)

オーストラリアにアボリジニという先住民がいることは前々から知っていた。驚いたのはそのアボリジニのお婆ちゃんが描いた素朴で生き生きした抽象絵画。画壇で話題をさらったお婆ちゃんの名前はエミリー・ウングワレー(1910~1996)。

ウングワレーの作品をはじめてみたのは2008年国立新美で開催された回顧展、ここに衝撃的な作品が待ち受けていた。そのひとつが79歳のとき描いた‘エミューの女’、赤や黄色、そして黒の小さな点を並べてつくられる形は大きな目をしたトンボのようでもあり、シダが沢山重なったようにもみえる。これには200%KOされた。

ウングワレーと比べると堂本尚郎(1928~2013)の抽象表現には隙がない。奥行きのある四角形の空間があり、中央の小さな穴から薄い青の紙切れが勢いよくこちらにでてくる感じ。春の到来を告げているよう。

ブルース・ナウマン(1941~)の意表をつくインスタレーションは11年前森美で行われた‘モダンってなに?’でお目にかかった。絵画作品にもバゼリッツのように人物を逆さまに描く作家がいるが、ナウマンは頭部をふたつ吊るしている。黄色と灰色で彩色されているので怖さが多少和らげられるが、肌色だったら心臓がバクバクしそう。

ぱっとみると蜂の巣から細い線がでているのかと思ってしまうのがアネット・メサジェ(1943~)の‘私の願い’、よくみると女性の顔や手など体の一部を撮ったモノクロの写真がびっしり張り付けられている。

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2015.02.23

ズームアップ 名作の響き合い! 1988年

Img_0003_2     舟越桂の‘冬の本’

Img_2     ステラの‘スフィンクス’(川村記念美)

Img_0001_2      リヒターの‘ジョンストリート’(ロンドン テートモダン)

Img_0002_2         ラインハートの‘抽象絵画’(東近美)

彫刻家 舟越桂(1951~)の回顧展を一度体験した。回顧展というのは作家との距離を一気に縮められる貴重な機会、これで多くの作品と出会い目を慣らすとそこから作家との付き合いが本格的にスタートする。

東京都庭園美でお目にかかった20点のうち、とても心が静まったのが‘冬の本’、今この女性像をみてふと連想するのは女優の杏さん。視点がどこか定まらない表情がやっかい。こちらと目が合わないのでじゃお別れしようとすると、何かうしろでじっとみられている感じ。だから、つい振り返ってしまう。

川村記念美にあるステラ(1936~)のオブジェは多くが3、4メートルもある大作なので、作品の前に立つとちょっと緊張する。まず思うことはいろんなパーツの組み立てられ方、曲線でつくるものと鋭角的にとがっもの、出来上がった造形は破天荒そのもの。

作品のタイトル、スフィンクスはそれに夢中になっているとすっと消えていく。無理やりスフィンクスと結びつけるなら、横からの姿だろうか。

リヒター(1932~)の描いた数々の色彩が画面の上から下に激しく流れていく作品に大変魅了されている。赤や黄色などの色がいくつも重なり合っているため、色彩のジャングルのなかを突き進んでいくような感じ。重厚さがありそして光にキラキラ輝く色彩は魔術的でもある。そんなイメージが頭から離れない‘ジョンストリート’。現地で再会したい。

黒の画家といえばスーラージュとともにラインハート(1913~1969)の名前がすぐ出てくる。色に対する感じ方はときどきの気分や世の中の空気によって変わる。毎日黒一色の作品をみているわけにはいかないが、赤や黄色をみている時間より黒の世界にずっと長く引きこまれることもある。

東近美でよくみる‘抽象絵画’はじっくりみると黒の色合いが微妙に違っていることに気づく。その黒のゆるーい変化に目が軽くつまづく。

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2015.02.22

大リーグ キャンプイン!

Img   4年目のキャンプをスタートさせたダルビッシュ

大リーグは投手陣がフロリダ州とアリゾナ州でキャンプインした。これからシーズン開幕へむかっての体づくりと実践で成果をあげる技術の向上に連日熱が入っていく。

NHKはアリゾナでキャンプをはるレンジャーズのダルビッシュを取材、早速ブルペンに入り豪快なフォームで投げ込んでいた。練習後のインタビューでは、いい球を投げられた、と口も滑らか。調子がよさそう。

今シーズン日本人投手の大リーガーはダルビッシュを含めて7人、先発はダルビッシュ、マー君(ヤンキース)、岩隈(マリナーズ)、和田(カブス)、そしてブルペンは上原、田沢(レッドソックス)、藤川(レンジャーズ)。

このなかで注目はシカゴ・カブスで先発陣のなかに加わりそうな和田、昨年5勝して自信がついただろうから、今シーズンは10勝を期待したいところ。チームはレイズのマトン監督を引き抜いただけでなく、左腕のレスターをFAで獲得し投手力を強化した。和田も活躍してほしい。

そのカブスからレンジャーズに移った抑えの藤川、肘の故障で出遅れたが今年は実力が発揮できるような気がする。藤川にとってダルビッシュが同僚になるのは心強いだろう。最初はセットアッパーで投げることになるが、目指すは最後を締めるクローザー、期待したい。

ちょっと心配なのがマー君、どうしても不安がつきまとう。昨年のように勝ち星が順調にあげられるか、まだわからない。今はオープン戦での投球を見守りたい。

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2015.02.21

ズームアップ 名作の響き合い! 1987年

Img_0004     新宮晋の‘大地の詩’(新三田駅前)

Img_0002     カルロ・ザウリの‘ターコイズ色のエロティシズム’

Img_0001     キース・へリングの‘グローイングⅠ’

Img     フンデルトヴァッサーの‘陽:木の魂ー陰:人間の家’

彫刻家 新宮晋(1937~)の創作活動についてはTVの美術番組で取り上げられることがあるのではずいぶん前から知っている。でも、本物を実際にみたのはほんの数点。また、美術館で回顧展を体験したということもない。

だから、時間をつくって野外彫刻が飾られている現場に足を運ぼうという思いに駆られる。兵庫県の三田市の駅前に風で動くオブジェ‘大地の詩’があることは4年前に放送された日曜美術館で知った。三田には2011年に制作された‘宇宙の鏡’もある。いつかみてみたい。

カルロ・ザウリ(1926~2002)は陶芸家だが、陶芸、彫刻の枠を超えて多様な造形表現が次々と生みだされていく。見た瞬間ドキッとしたのが‘ターコイズ色のエロティシズム’、そしてすぐ頭をかすめたのが12代三輪休雪がつくった‘古代の人・王妃墓’、二人をつなぐエロティシズム、心をザワザワさせる作品がたまにはあっていい。

31歳の若さで亡くなったストリートアーテイスト、キース・へリング(1958~1990)。もっとも気に入っているドローイングが‘グローイングⅠ’、この人間の形はわかりやすい。公園へ行くと子どもを肩車しているお父さんをよくみかける。描かれているのは3人だが、それはこの際どうでもいい。じつに楽しそうな光景!

フンデルトヴァッサー(1928~2000)に大変魅せられているのはMyカラーである緑&黄色が頻繁にでてくるから。この‘陽:木の魂―陰:人間の家’もゴッホのようにイエローパワーが全開、小さい子どものお絵描きと変わらない感じもするが、地の黄色の上に黄色の丸を三層に分けて丹念に置いていくところがフンデルトヴァッサー流。

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2015.02.20

ズームアップ 名作の響き合い! 1986年

Img_0001   ニキ・ド・サンファルの‘グウエンドリン’(ニキ美)

Img             ザウリの‘石碑’

Img_0002     堂本尚郎の‘正方形’(大原美)

Img_0003     ソル・ルウイットの‘四隅からの孤形’

ニキ・ド・サンファル(1930~2002)は‘ナナ’と名付けた女性像を数多くつくった。この‘グウエンドリン’もそのひとつ。使われている素材は頑丈で丸みのあるフォルムを出すのに適したポリエステル。友人の女性が妊娠し体の形が変わっていくのをみてこの作品を制作した。ここのどこかに顔をくっつければ人気のでるゆるキャラがすぐ誕生する。

ギリシャを旅行し、古代遺跡に出かけるといたるところで大理石の柱にお目にかかる。ザウリ(1926~2002)の‘石碑’はそんなギリシャでつくられた石柱を連想させる。そして、この柱の表面の水が流れるような模様をじっとみていると古代ギリシャで彫られた女性像へとイメージが膨らんでいく。この風景は女性が身に着けている衣装の襞。柱が女性に変身した。

堂本尚郎(1928~2013)の回顧展が世田谷であったとき、画伯が会場に来ておられたのでちょっと話をした。気さくで偉ぶったところがなく、心根がとてもやさしい感じ。作品には作家の人柄が現れるというというがその通りだなと思った。堂本の作品は画業の後半どんどん変化していく。‘正方形’では画面にドロッピングでつくった小さな点が目立つようになり洗練された瓢箪のような形と響き合って深遠で美しい世界をつくっている。

ソル・ルウィット(1928~2007)の作品をたくさんみているわけではないが、ぱっとみた印象はステラやケリーと似た作家。‘四隅からの孤形’、これは一種の錯視アート、コンセプチュアルアートとかミニマルアートとかをもちだすとアートがえらく難しくなるが、色彩と形への純化をシンプルに表現したと思えば気軽に楽しめる。

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2015.02.19

ズームアップ 名作の響き合い! 1985年

Img_0001     イサム・ノグチの‘2mのあかり’(イサム・ノグチ日本財団)

Img_0003  フンデルトヴァッサーの‘フンデルトヴァッサーハウス’(ウイーン)

Img_0002     ザオ‣ウーキーの‘07.06.85’(ブリジストン美)

Img     スーラージュの‘ポリプティックC’(パリ、ポンピドー)

イサム・ノグチ(1904~1988)は同じ日本人なんだ、と思わせるのが提灯、この‘AKARI’シリーズをノグチは35年間で200種類以上生み出した。‘2mのあかり’は2005年にあった回顧展(東京都美)で200%魅せられた作品。ノグチがこの光の彫刻をつくるきっかけとなったのは美濃和紙を使った‘岐阜提灯’、やわらかい光をつくりだす和紙の魅力がノグチの心をとらえ提灯の創作へと駆り立てた。

1985年ウイーン在住のフンデルトヴァッサーはお伽の国の建物のような‘フンデルトヴァッサーハウス’をつくった。このハウスの楽しみはその外観だけではなく、家の内部も遊び心に満ち溢れている。驚いたのは床の形、まっ平ではなくところどころ盛り上がったり少し斜めに傾いている。家の中なのに坂を上っている感じ、こんな床、みたことがない。

ブリジストン美にあるザオ・ウーキー(1921~2013)の作品、付き合いのある方がここの理事をされていたので購入の経緯を聞いたことがあるが、画商を通さず直接ウーキーから買ったそうだ。コレクションのなかでも最も気に入っているのが‘07.06.85’、青が心を揺すぶる。抽象画だが、上半分の青は波が打ち寄せる断崖のイメージ。だから、クールベやモネが描いたエトルタの海岸が自然と頭に浮かんでくる。

具体的な風景を想起させるザオ・ウーキーの抽象画とちがって、完璧に抽象の世界なのがピエール・スーラージュ(1919~)の‘ポリプティックC’、この黒の画家の作品をみたのはポンピドーコレクション展(1997年 東京都現美)、大きな作品で縞の入った帯状の黒のパネルが4枚重ねられていた。表面にあたる光が黒一色の画面にはりつく沈黙を破り細い々刺激に変わっていく。

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2015.02.18

ズームアップ 名作の響き合い! 1984年

Img_0001     ティンゲリーの‘地獄、小さな始まり’(部分、パリ、ポンピドー)

Img_0002     リチャード・ロングの‘キルケニー・サークル’(NY MoMA)

Img_0003     キーファーの‘天使たちの序列’(シカゴ美)

Img    ギルバート&ジョージの‘夢’(NY グッゲンハイム美)

子どものとき遊んだ玩具のなかには現代のア―ティストが生み出す作品の原点のようなものがある。それはいくつもつながったものが電動モーターによっていっせいに動きだすつくりもの。ムーブメントの中心となるのが大小の歯車、その動きと連動してクルマが直線道路を走り電車がゆるやかにカーブを曲がっていく。

そんなおもしろいジオラマのような世界を連想させるのがジャン・ティンゲリー(1925~1991)の‘地獄、小さな始まる’、1997年東京都現美で開催されたポンピドーコレクション展でこれをみたときは少年時代に戻ったような気分だった。一番ぎょっとしたのは剥製の動物の頭、回転する鉄製の輪やクルマの車輪などと一緒にこれも上下に動く。

リチャード・ロング(1945~)はサークルが好きなアーティスト、山へ行けばいくらでも拾うことのできる石ころが円のなかに隙間なく丁寧に置かれている。この場所は温かみのある木のフロア、自然のなかで土や石と木々はもともと相性がいいから、この石のサークルにもすっと入っていける。

ドイツ人のアンゼルム・キーファー(1945~)は縁の薄い作家だが、そのダーク系の色彩を基調にした深くて雑々した筆触が心に引っかかっている。これまでみた作品は数点、すぐ思い出すのはクレラー=ミュラー美に飾ってあったもの。シカゴ美にある‘天使たちの序列’は2008年訪問したときは展示されてなかった。気になる一枚。

ギルバート(イタリア人、1943~)とジョージ(イギリス人 1942~)の合作による‘夢’はウォーホルやジョーンズとは趣の異なるポップアート、どこかビートルズの匂いが漂ってくる。若い頃聴いたミュージシャンのアルバムにはこんな絵柄がよく使われていた感じがする。とてもイギリス的。

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2015.02.17

ズームアップ 名作の響き合い! 1983年

Img_0002     アネット・メサジェの‘キマイラ’(パリ ポンピドー)

Img_0001     ジョーンズの‘思念競争’(NY ホイットニー美)

Img_0003     有元利夫の‘雲を創る人’

Img     バゼリッツの‘信仰の人’(NY メトロポリタン美)

女性現代アーティストで心にとまっているのは3人、ニキ・ド・サンファル(1930~2002)、アネット・メサジェ(1943~)、そしてマリーナ・カポス(1972~)。個展をみていっぺんにファンになった。

メサジェの作品をはじめてみたのは2008年、森美でポンピドーのコレクションによる回顧展。新聞の切り抜きやぬいぐるみや動物の剥製を使ったインスタレーションなど刺激的な作品がいろいろ並んでいた。手法はピカソがはじめたコラージュをぐんと進化させたもの。

ここで表現されたキマイラはギリシャ神話本に載っているライオン、山羊、毒蛇の3つの顔をもつ怪物とは違って、コウモリ人間のよう。顔が覆面レスラーをイメージさせその不気味さがちょっと怖い。

ジョーンズ(1930~)の‘思念競争’もコラージュ作品。ジョーンズの浴室の壁に描かれているのは中央がモナリザ、左が髑髏、そして左の人物はジョーンズを世に送り出した画廊主の若いころの姿。ホイットニー美にでかけたとき展示してあればいいのだが。

有元利夫(1946~1985)が亡くなる2年前に描いた‘雲を創る人’はみた瞬間目が点になった。すぐ思い浮かんだのがマグリットの雲、手にもつガラスに映っているのは空に浮かぶ雲の一部。大きなガラスで覆われた空に飛んで行って素早く矩形に切り取ってきた感じ。静謐な画面のなかにシュールな気分を紛れこませた有元の創作力に200%感心した。

バゼリッツ(1939~)の逆さま画、モチーフは‘信仰の人’、慣れてくると絵をぐるっと回転させなくてもどんな人物が描かれているかアバウトにイメージできるようになってくる。灰色や薄青と黒の組み合わせがいいので絵に力強さがある。

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2015.02.16

光る鉱物とアートの響き合い!

Img珪亜鉛鉱 方解石(通常光)産地:米国ニュージャージー州フランクリン鉱山

Img_0001  緑色や赤色の蛍光を発する珪亜鉛鉱と方解石(紫外線照射)

Img_0003ポロックの‘収斂’(1952年 バッファロー オルブライト=ノックス美)

Img_0002     河井寛次郎の‘三色釉扁壺’(1963年 大原美)

国立科学博物館で行われている‘ヒカリ展’(2/22まで)を滑り込みでみてきた。昨年の10月末からはじまったこの展覧会、天文学に特別関心が高いわけではないが、絵画に求めているものが光と色彩なので、漠然とした動機ではあるがなかに入ってみることにした。

所々に設置してある4,5分のビデオ解説を見ながら進んでいくと光の正体(波か粒か)や宇宙から地球に降り注ぐ光のことをがわかるようになっている。そのなかで時間をかけてみたのが蛍光鉱物が並べられているコーナー、紫外線を照射すると蛍光を発する鉱物が全部で34もある。

10秒の通常光のあと紫外線照射が20秒、鉱物は赤、紫、緑、黄色などに美しく変化する。蛍石、オパール、方解石、珪亜鉛鉱、ルビー、、、このように光る鉱物をこれほど多くみたことがない。そのなかに一際鮮やかな色彩を放つ鉱物があった。

アメリカのニュージャージー州にあるスターリング鉱山から産出した珪亜鉛鉱と方解石、短波長の紫外線をあてると茶色の珪亜鉛鉱は強い緑色になり、白い方解石の部分が強烈な赤色に変わる。これは楽しい世界。じっとみていたらポロックの絵が浮かんできた。光る鉱物と抽象絵画が響き合っている。

そして、目に飛び込んでくる赤が河井寛次郎のやきもののなかでとくに魅了されている三色釉扁壺を思い出させてくれた。普通の光のなかではとりたてて関心をいだく石ではないのに、紫外線があたると鮮やかな色がでてくる不思議さ、ヒカリ展は忘れられない展覧会になった。

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2015.02.15

ワシントンナショナルギャラリーからまた印象派がやって来た!

Img_0004     ルノワールの‘猫を抱く女’(1876年)

Img     ゴーギャンの‘カリエールに捧げる自画像’(1889年)

Img_0001      マネの‘牡蠣’(1862年)

Img_0002     ボナールの‘革命記念日のパリ、パルマ街’(1890年)

東京都美で点描画をたっぷりみたあと、丸の内へ移動して三菱一号館美で現在行われている‘ワシントンナショナルギャラリー展 私の印象派’(2/7~5/24)を楽しんだ。
 

4年前国立新美でワシントンナショナルギャラリー(NGA)自慢の印象派コレクションが披露された。だから、これはパート2になる。こういう展覧会のときは主催者は作品の選定に気をつかうだろう。人気の高い印象派なのでビッグネーム画家のアベレージの作品を並べるだけでは美術ファンの期待に応えられない。となると、まだ日本で公開されてないものでみる者の心を打ついい作品を揃えないと客は集まらない。学芸員も気合の入るところ。

チラシに使われているルノワール(1841~1919)の‘猫を抱く女’が今回の目玉、これはNGAがつくっている図録(日本語版)にも載っている作品、ルノワールはこれと国立新美にやって来た‘バレリーナ’の2点、猫好きの女性はこの絵に釘付けになるにちがいない。

ゴーギャン(1848~1903)の自画像は大変うれしい絵、というのも5年前テートモダンで開催されそのあとNGAにも巡回したゴーギャンの大回顧展でこの絵と出会ったから。NGAにはこの回顧展にもでていた頭上に光輪を描いた有名な自画像があるが、もう一枚気を引く自画像があったのかと、びっくりした。だから、再会できたことを心から喜んでいる。

マネ(1832~1883)は4点、足が止まったのが国立新美でもみた‘牡蠣’、3日前牡蠣フライを食べたのですぐ反応する。レモンをかけて食べる牡蠣の美味しさは格別。犬の絵も和むが今回は牡蠣に軍配があがる。

最後の部屋に飾ってあったのがボナール(1867~1947)とヴァイヤール、、ボナールはどうしてもぐっとこない画家、だから、これまで取り上げたのは2点しかない。でも、例外的にいい絵と遭遇した。三色旗と女性が被る帽子と衣装の赤が目に焼きつく‘革命記念日のパリ、パルマ街’。

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2015.02.14

リュスの点描風景画に開眼!

Img_0003     スーラの‘セーヌ川、クールブヴォワにて’(1855年)

Img     シニャックの‘サン=トロペの松林’(1892年 宮崎県美)

Img_0002     リュスの‘サン=トロペの港’(1893年)

Img_0001     リュスの‘工場の煙突’(1898~99年)

新印象派を特徴づける点描画への馴染み度がこの5年でぐっとあがったのは、点描関連の展覧会を3度も体験したことが大きい。
★オルセー美展、ホスト印象派 (2010年 国立新美)
★印象派を超えて 点描の画家たち (2013年 国立新美)
★新印象派展 (2015年 東京都美)

おかげで新印象派に属する画家たちの画風の違いがよくわかるようになった。これからも気になる画家として関心をもちつづけることになりそうなのは4人、スーラ(1859~1891)、シニャック(1863~1935)、レイセルベルへ(1862~1926)、そしてリュス(1858~1941)。

スーラのプラスαの一枚は1885年に描かれた‘セーヌ川、クールブヴォワにて’、右に動きを感じさせる二本の太い幹が目をひく木を描き、左に川の傍を歩く女性と犬、そして川には白いヨットを一艘浮かばせている。音がまったく聞こえてこない画面はシカゴ美にある‘グランド・ジャット島の日曜日の午後’の習作をみている感じ。

シニャックの‘サン=トロペの松林’は図版でみて魅せられていたが、ようやくお目にかかれた。これだけ様々な小さな色の点が数限りなく積み重ねられていると一枚を仕上げるのに精根つきはてるのではないかと思ってしまう。光の美しさと明るい雰囲気がとてもいい気持にさせてくれる。

今回の収穫はリュス、2年前のクレラー=ミュラーのコレクションをみてなかなかいい絵を描くなという印象をもっていたが、ここに出品された11点をみて評価のランクを一段上にあげることにした。リュスに開眼したので新印象派はビッグ4になった。

なかでも長くみていたのは構図がすばらしい‘サン=トロペの港’と活気のある工場の情景を生き生きと描写した‘工場の煙突’。強い色彩で美しい点描画を描くリュス、これで好きな画家がまたひとり増えた。

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2015.02.13

シニャックの‘髪を結う女’と対面!

Img      シニャックの‘髪を結う女’(1892年)

Img_0001  レイセルベルへの‘マリア・セート’(1891年 アントワープ王立美)

Img_0002     リュスの‘若い女性と花束’(1890年 パリ プティ・パレ美)

Img_0003     レイセルベルヘの‘マルト・ヴェルヘーレンの肖像’(1899年)

東京都美で開催中の‘新印象派展’(1/24~3/29)をみてきた。この展覧会に強く関心をもつことになったのは昨年11月‘美の巨人たち’でシニャック(1863~1935)の‘髪を結う女’が取り上げられたから。

この番組で特別興味深かったのがシニャックがこの絵で色を鮮やかにするために使った蜜蝋、1世紀から2世紀のエジプトで死者の棺に描かれた蜜蠟肖像画というのは具体的にはこんなふうに描くのか、という感じ。シニャックが蜜蝋画にこだわったのは愛する恋人を描きその鮮やかな色彩を永久に残したかったから、このシニャックの恋物語は心を打つ。両手で整えている髪形と赤紫のコルセットの点描表現をとくにじっくりみた。

今回点描法で描かれた人物画が全部で12点でているが、長くみていたのがもう3点ある。レイセルベルへ(1862~1962)とリュス(1858~1941)。2013年国立新美で行われたクレラー=ミュラー美コレクション展でも、この二人の作品は目を楽しませてくれたが、今回の新印象派パート2でも風景画、人物画にいい絵がでている。

群を抜いて輝いているのがレイセルベルヘの大作‘マリア・セート’、すこし離れてみるとその神々しいほどの美しさが一際目立つ。立ち尽くしてみていた。また、隣に飾ってあるリュスの‘若い女性と花束’からも強いオーラがでている。これは大きな収穫。

最後のほうにでてくるレイセルベルヘの‘マルト・ヴェルヘーレンの肖像’は小さな色の点があまり気にならず普通の肖像画をみているよう。品のある顔立ちと落ち着いた衣裳がこの女性のもつやさしさをうつしだしている。忘れられない一枚になりそう。

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2015.02.12

ズームアップ 名作の響き合い! 1982年

Img_0002     バスキアの‘奴隷市場’(パリ ポンピドー)

Img_0001     フンデルトヴァッサーの‘建築の専制支配ー社会主義への道’

Img     ウォーホルの‘$9’

Img_0003     ジャコモ・マンズーの‘車に乗った子ども’(福島県美)

28歳の若さでなくなったジャン=ミシェル バスキア(1960~1988)の落書きのような絵をはじめてみたのは1997年に東京都現美で開かれた‘ポンピドーコレクション展’、左に描かれた白い骸骨が心に強く刻まれた。

そのあとバスキアとの距離が縮まることはなく作品をみる機会はほんの数回、ところが2年前BSで木梨憲武がNYのギャラリーをまわる美術番組があり、バスキアの作品が数多く現れた。現地では有名なカゴーシアンギャラリーでタイミングよくバスキア展(無料)が行われていた。日本で本物をまとまった形でみてみたいが、実現する可能性は20%くらいだろうか。

フンデルトヴァッサー(1928~2000)の絵もバスキア同様、子どもが色紙をペタペタ貼って出来上がった感じだが、フンデルトヴァッサーのほうが画面に奥行き感があり、手前で横にのびた2本の腕は広重の‘名所江戸百景’の描き方を連想させる。タイトルの意味は腕をつつむ衣服の模様となっている規格化された建物をみるとなんとなく理解できる。

ポップアートの旗手、ウォーホル(1928~1987)はウイーンで活躍したフンデルトヴァッサーと同じ年に生まれている。‘$9’は黄金時代のアメリカをイメージさせるとともにウォーホルがアートビジネスでも注文肖像画というアイデアを生み出しかっちり稼いだことも思い起こさせる。

福島県美を何年か前訪問したとき、企画展をみたあと時間がたっぷりあったので平常展示も楽しんだ。魅了された作品のひとつがジャコモ・マンズー(1908~1991)の‘車に乗った子ども’、穏やかな表情した子どもの顔がとてもいい感じ。ローマの国立近美でマンズーをいくつもみたが、日本の美術館では茨城県近美と松岡美でみた覚えしかない。もっとあるはずだから調べてみようと思う。

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2015.02.11

ビッグニュース! 今秋モネの‘印象、日の出’がやって来る

Img     ‘印象、日の出’(1872年)

Img_0001     ‘オランダのチューリップ畑’(1886年)

Img_0002      ‘手漕ぎボート’(1890年)

Img_0003     ‘サン=ラザール駅、ヨーロッパ橋’(1877年)

今日の散歩は‘犬も歩けば棒に当たる’だった。ぶらっと入った本屋で出版社の名前はよくみなかったが表紙のタイトルが‘大人の美術館’という雑誌が目に飛び込んできた。

今年行われる展覧会が西洋美術と日本美術に分けて結構詳しく紹介されている。そのなかに東京都美、やるねえー!と感心するものがあった。秋に開かれる‘マルモッタン美蔵 モネ展’(9/19~12/13)、目玉の作品はなんとあの有名な‘印象、日の出’!この絵が日本で披露されるのはもちろんはじめて、東京都美は本当にいい仕事をする。

パリ西方の閑静な住宅街の一角にあるマルモッタン美、これまで2回この美術館が所蔵するモネのコレクションが公開された。最初が1992年(三越新宿店)、二度目のときは2003年高知県美、島根県美、松本市美を巡回した。そして、今秋、12年ぶりのお披露目。しかも、印象派の象徴的な作品‘印象、日の出’が登場するというのだからすごい話。

ほかにもいい作品が展示される。オルセーに同じ題名のものがある‘オランダのチューリップ畑’、浮世絵の構図の影響がうかがえる‘手漕ぎボート’、そして12枚の連作を仕上げた‘サン・ラザール駅’、いずれも日本初公開。

マルモッタンにはモネだけでなくルノワールやカイユボット、モリゾなどもあり2回の展覧会でも一緒に展示されたた。今度はどの作品にスポットが当たるのだろうか。出品作は全部で90点くらいらしい。このラインナップ次第では二度目の訪問は必要なくなるかもしれない。とても楽しみ。

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2015.02.10

ズームアップ 名作の響き合い! 1981年

Img_0002  トニー・クラッグの‘北からみたイギリス’(ロンドン テートブリテン)

Img_0003     ローゼンクイストの‘火の家’(NY メトロポリタン美)

Img_0001     バゼリッツの‘自転車に乗る少女たち’(パリ ポンピドー)

Img     シュヴァンクマイエルの‘摘花’

ロンドンにあるテートブリテンはこれまで3度訪問する機会があった。最初は1990年、このころは今はテートモダンに移ったダリの絵などがロセッティやターナーと一緒に展示されていた。そして、展示作品がイギリスの画家が中心になり美術館の名前もテートギャラリーからテートブリテンに変わってからは2回足を運んだ。

だが、これだけの回数ではコレクションを十分みたということにはならない。5年前入館したときはタイミングが悪く建物の半分が大改装中、そのため作品をセレクションしたコンパクト展示に我慢するほかなかった。

次回の美術館巡りで見逃さないようにしようと思っているのがトニー・クラッグ(1949年~)の‘北からみたイギリス’、地図をみる位置を大胆に変えるとイギリスの国土のイメージががらっと変わる。国土を形づくるために使われているのはウエストロンドンで拾ってきた様々な色のついたプラスチックのがらくた。近づいてみたらがらくたひとつ々のリアリティに興味がそそがれるかもしれない。

これまでみたローゼンクイスト(1933年~)は数えるほどしかないが、200%スゴイ絵だなと感心したのはメトロポリタンが所蔵する‘火の家’、まず驚かされるのは右の部分、機関銃が沢山並んだようなイメージを連想する赤やオレンジの口紅。この化粧品会社のポスターはまさにポップアートを象徴するのにうってつけの素材。

左に描かれたのは食料でいっぱいになった茶色の紙袋、なぜか逆さま。モチーフを組み合わせるとき一つを逆さまにするのがローゼンクイスト流。そして中央は鋳造された鋼鉄のバケツ。日常生活でお馴染みのものが重厚な産業の生産物とドッキングする軽妙さ、このライブ感が目に心地いい。

さかさ絵とくればバゼリッツ(1938年~)の出番、パリのポンピドーにあるのは自転車をこぐ少女たち。一見すると男のような顔立ちだが、乳房があるので女性。背景の体の黄色と自転車の車輪の青緑の鮮やかなコントラストが強く印象に残る。

チェコのシュルレアリスト、シュヴァンクマイエル(1934年~)の‘摘花’はとても刺激的な作品、誰の作風と似ているかなと思いを巡らしたら、ひとり浮かんできた。この絵は花の画家オキーフの作品と同じくらい大きな魅力を秘めている。

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2015.02.09

ゴーギャンの‘いつ結婚するの’が360億円で落札!

Img     ‘いつ結婚するの’(1892年)

Img_0002     ‘市場’(1892年 バーゼル美)

Img_0003     ‘マンゴーをもつ女’(1892年 ボルチモア美)

Img_0001     ‘変わりはないの’(1892年 ドレスデン国立美絵画館)

今日ネットに驚く記事が載っていた。BBCによるとゴーギャン(1848~1903)が第一期タヒチ時代に描いた‘いつ結婚するの’が絵画史上最高額の3億ドル(360億円)で落札されたという。ゴ、ゴーギャン、スゴすぎる。

ゴーギャンの作品は画集に載っているものはコンプリートするのがライフワークだから、‘いつ結婚するの’にはすぐ反応する。手元のTASCHEN本をみるとこの絵があるのはスイスのバーゼル美。ただし、美術館の所蔵ではなく、ルドルフ・シュテヒリンコレクションから寄託された作品。

この情報が現在も正確なら今回のオークションでルドルフ・シュテヒリンコレクションが売りに出したということになる。では絵は一体どこに行くのか?中東カタールの美術館という報道もあるらしい。2011年これまで最高額の2億4000万ドルの値をつけてセザンヌの‘カード遊びをする人々’を落札したのもカタールのコレクター、カタールは絵画マーケットのブラックホール、西洋絵画の傑作が次々と吸い込まれていく。

これでTASCHENの表紙を飾るほど有名な‘いつ結婚するの’をみる可能性は消えうせた。間近な計画というのではないが、何年か先にスイスの美術館をまわろうと思っており、バーゼル美ではゴーギャンのこの絵と‘市場’をみるのを楽しみにしていた。でも、1点は追っかけリストから削除せざるをえない。

ゴーギャンがタヒチに渡った1891年の6月からフランスに帰る1893年の6月までの2年間に描いた作品は心を奪われる傑作がずらずらと揃う。済みマークの数がふえてきて満足度が上がっているが、まだ、いくつか残っている。

1892年に制作されたものでみたい度の強いのはここにあげた3点、これらを所蔵するバーゼル美、ボルチモア美、ドレスデン国立美絵画館は訪問する機会が将来あるかもしれなので帆を高くあげておきたい。いい風が吹き日本で美術館名品展が開かれ遭遇することだってありうる。絵画鑑賞は日本画も西洋絵画も長期戦。

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2015.02.08

ズームアップ 名作の響き合い! 1980年

Img  リチャード・ロングの‘赤いスレートの円’(NY グッゲンハイム美)

Img_0001     エドゥアルド・チリーダの‘土 XLI’

Img_0002     マッチンスキー&デニングホフの‘シュトルム’(彫刻の森美)

Img_0003     ローゼンクイストの‘無題’(NY MoMA)

リチャード・ロング(1945年~)はトニー・クラッグと同じイギリスの美術家、ともに床や地面の上にものを置いていき作品をつくっていく。ロングの場合、サークルのなかに敷きつめるのは形が不ぞろいの大小の赤いスレート。

ロングは自然の石なども用いてサークルをつくることが多いが、これは勝手な想像だがイギリスの南部にある古代の遺跡、‘ストーンサークル’とコラボさせているのかもしれない。日本の‘もの派’は理屈っぽいアートで固まっているが、ロングのスレートや石をならべる作品は自然とのかかわりを抽象的だがシンプルに表現している感じ。

2006年に神奈川県近美でスペインの現代彫刻のビッグネームであるエドゥアルド・チリーダ(1924~2002年)の回顧展があった。野外彫刻の分野で大変有名な人物であることは制作した作品を映したビデオをみて即納得。そして、それをみながら目を惹くオブジェをめぐるスペインの旅もおもしろいかなと思ったりした。

彫刻作品の展覧会ではもってこれるものは部屋の広さにあわせないといけないから、大きな作品に発展する原型のようなものが並ぶ。不思議な魅力を放っているのがテラコッタの‘土’、ピースとピースの組み合わせ方がキトラ古墳の外壁にみられるものと似ているのが興味深い。

存在感のある造形が目を見張らせる‘シュトルム(暴風)’はドイツの二人の彫刻家、マッチンスキーとデニングホフの合作によるもの。デニングホフは女流彫刻家、タイトルは暴風となっているが、そのイメージはあまり感じず、すぐ思いつくのは海の珊瑚。お土産屋で売っているサンゴの置物はよくこんな形をしている。

朝食に食べる卵かけご飯が嫌いな人が世の中にはいる。隣の方もこれがダメ、だから、ローゼンクイスト(1933年~)がボールに入った卵を半袖シャツと一緒に描いた作品への反応はとても悪い。

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2015.02.07

ズームアップ 名作の響き合い! 1979年

Img     トニー・クラッグの‘スペクトラム’(豊田市美)

Img_0001     ステラの‘アカハラシキチョウ’(川村記念美)

Img_0002     李禹煥の‘関係項 サイレンス’(神奈川県近美)

Img_0003     サンファルの‘蛇の木’(ニキ美)

がらくたを並べてアートにしてしまうイギリス人アーテイスト、トニー・
クラッグ(1949年~)、これまでそのインスタレーションに出会ったのは2回しかない。‘スペクトラム’は日本で行われた展覧会で体験した。ちょっと離れてみると色の組み合わせがきれいにみえる。

近づいて床に置かれたものがよくみると、ありゃりゃ!なんと町のなかで拾った廃品などのがらくた。これはこれらの壊れた破片を数種類の色で塗りわけて並べたものではなく、色の似たものを集めそれを色の順番に置いているだけ。手間のかかる作業を要する作品だが、できあがるとみる者の想像力をかきたてる。単純な自由さがあればアートはひょいと生まれる。

川村記念美は何年か前に展示室を改修してからはステラ(1936年~)の大きな作品が常時みれるようになった。ステラはお気に入りの作家なので平常展示は前の倍楽しめる。ステラのオブジェはいろんな材料がダイナミックに曲げられ重層的に重なりあって形づくられる。だから、じっくりみると時間がかかる。‘アカハラシキチョウ’の複雑な造形をいつも15分くらいながめている。

ステラと同じ年に生まれた李禹煥(リウファン)は今年79歳、昨年日曜美術館で久しぶりに顔をみたが、創作意欲の衰えはみじんも感じられず元気いっぱいだった。神奈川県近美蔵の‘関係項 サイレンス’をはじめてみたときの印象は難しいアートのイメージ、硬そうな丸い石と厚みのある矩形の鋼板、確かにふたつのものは厳粛に関係し合ってそこに存在している。

ニキ・ド・サンファル(1930~2002)の‘蛇の木’は子どもも大人も楽しめるオブジェ。木からいくつも出ている蛇の頭はまるで多面多臂の仏像をみているよう。じつにおもしろい。

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2015.02.06

驚愕の邸宅美術館 ウォーレス・コレクション!

Img_0002  ティツィアーノの‘ペルセウスとアンドロメダ’(1553~62年)

Img_0001      ルーベンスの‘虹のある風景’(1636年)

Img_0003     レンブラントの‘ティトゥス’(1657年)

Img     カナレットの‘ヴェネツィアの風景’(1735~44年)

海外の美術館のなかには人々の日常生活の場である屋敷がそのまま美術品を一般に公開する場所になったものがある。いわゆる邸宅美術館。

イギリスでこの邸宅美術館を体験したのはロンドンにあるコートールド美とウォーレス・コレクション、ケンウッド・ハウスの3つ。このなかでコートールド美が所蔵する有名な印象派の絵画は日本で2回(1995年、1997年)披露された。マネやルノワールの傑作が今でも目に焼き付いている。

ロンドンで美術館めぐりをしていて楽しいのは珠玉の名画がナショナルギャラリーのような広い展示スペースをもった美術館で鑑賞できるだけでなく、邸宅美術館へ行くとかつては貴族が屋敷で毎日ながめていた絵を主と同じようにくつろいだ気分でみることができるから。

コートールド美が印象派コレクションで多くの美術ファンの目を楽しませているのに対し、ウォーレス・コレクションの自慢はブーシェやフラゴナールのロココ絵画とルーベンスやレンブラントなどのフランドルやオランダの絵画とティツィアーノ、カナレットといったヴェネツィア派の作品。

5年前訪問したときは目を惹く名画の数は予想以上に多く事前に用意していた必見リストの3倍あった。そしてびっくりしたのがセーブル磁器、その美しさは言葉を失うほどだった。こうしたすばらしいコレクションなのにここはなんと無料!好感度は極上のマル。

2012年、国立新美でリヒテンシュタイン侯爵家のコレクションが披露された。出品された美術品はルーベンスの傑作をはじめとする絵画ややきもの、家具、装飾品など目を奪われるものが数多くあった。それらはウォーレス・コレクションとダブらせる。

リヒテンシュタイン展があったのだから、ウォーレスコレクション展をついつい期待したくなる。どこか実現してくれないかな。

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2015.02.05

気になるイギリス王室コレクション!

Img     ヴァンダイクの‘マーガレットレモンの肖像’(17世紀)

Img_0001     レンブラントの‘アガサ・バス’(1641年)

Img_0002     フェルメールの‘音楽のレッスン’(1662~65年)

2010年ロンドンで美術館めぐりをしたとき、ひとつ誤算の美術館があった。それはバッキンガム宮殿の隣にあるクイーンズギャラリー。

ここで事前に作成した必見リストに載せているレンブラント(1606~1669)の‘アガサ・バス’とフェルメール(1632~1675)の‘音楽のレッスン’をみて、あわよくば2000年に発見されたカラヴァッジョ(1571~1610)の‘ペテロとアンデレの召喚’との対面をはたすはずだった。

ところが、全然あてがはずれ、お目当ての絵はいずれも展示されてなかった。このギャラリーは歴代の国王が蒐集した絵画をはじめとする美術品を展示する場ではあるが、ナショナルギャラリーのように名画を常時展示しているのではなくて、一年のうち期間限定で公開することになっている。

だから、質の高い作品が揃うヴァンダイク(1599~1641)や見損なったレンブラントやフェルメール、そしてカラヴァッジョの傑作をしっかり目のなかに入れようと思ったら展示の情報を前もって押さえておく必要がある。ロンドンをまた訪問することがあれば、同じ失敗は繰り返さないようにしたい。

もちろん一番いいのは日本でこのクイーンズコレクションがみれること。夢のような話だがフェルメールやカラヴァッジョがやって来るようなことはないだろうか?東京都美とか西洋美あたりが動いてくれるとおもしろいことになるのだが、やはり無理かな。

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2015.02.04

日本で名品展が行われないロンドンナショナルギャラリー!

Img      ロンドンナショナルギャラリー

Img_0001    質の高い美術館図録

Img_0002     ビジターガイド本

日本の美術館が実施する展覧会でお馴染みなのが海外の有名美術館から名品をもってくる特別展。浮世絵の里帰り展を横におくと今年は昨日取り上げたリバプール国立美を含めて6回ある。

★ワシントンナショナルギャラリー展 (2/7~5/24 三菱一号館美)
★ルーヴル美展 (2/21~6/1 国立新美)
★大英博美 (4/18~6/28 東京都美)
★ウィーン美術史美 (9/9~12/6 Bunkamura)
★プラド美 (10/10~1/31 三菱一号館美)

毎年こうした美術館ものの展覧会が多く開かれるので西洋美術好きならしっかりインプットされているヨーロッパやアメリカにある人気の美術館はほとんど紹介されたと思ってしまう。ところが、まったく実現しない美術館がひとつある。お気づきのとおり、ロンドンのナショナルギャラリー!

ナショナルギャラリーが超一流の美術館であることはここを一度でも訪れたことのある人ならすぐ納得してもらえるはず。とにかく西洋絵画史における傑作がここにもあそこにもあるという感じで、絵画の魅力に満ち溢れた展示空間ですごす時間は特別な思い出として胸に強く刻みこまれる。

この美術館は所蔵する作品が充実しているだけでなく、ミュージアムショップで販売されている図録などもじつによくできている。一流の美術史家が執筆している‘コンパニオンガイド’と名画の見どころをコンパクトにまとめた‘ビジターガイド’。

好感度の高いこのナショナルギャラリーはそのコレクションをまとまった形で日本で公開したことがない。同じロンドンにあるテートやパリのルーヴルやマドリードのプラドは何度も名品展を開催してくれてるのに、なぜかナショナルギャラリーは実現しない。

ハードルが高い理由は?展示してある作品がどれもレベルが高いのでナショナルギャラリー物語をつくっているワンピースが長期間消えるのは嫌なのかもしれない。映画‘ナショナルギャラリー’が公開され、美術館への関心は高まっている。一度でいいから日本でナショナルギャラリー名品展をみてみたい。

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2015.02.03

Bunkamuraの‘リバプール国立美蔵ラファエロ前派展’に期待!

Img_0001     ロセッティの‘ダンテの夢’(1871年)

Img     ロセッティの‘シビュラ・パルミフェラ’(1866~70年)

Img_0003     バーン=ジョーンズの‘受胎告知’(1876~79年)

Img_0002     バーン=ジョーンズの‘欺かれるマーリン’(1870~74年)

ちょうど1年前、森アートセンターギャラリーにテート美が所蔵するラファエロ前派作品がどどっとやって来て目を楽しませてくれた。その感動がまだ強くのこっているのに今年またラファエロ前派展が開かれる。

今度は渋谷のBunkamura、12月22日から2016年の3月6日7まで開かれる。展示されるのはリバプール国立美のコレクション。Bunkamuraの企画展情報にはウォーターハウスの作品が載っているだけで、どんなラインナップのラファエロ前派になるのかはまだわからない。チラシはもう作成されている?

ロセッティ(1828~1882)やバーン=ジョーンズ(1833~1898)、ミレイ(1829~1896)がまた日本にお出ましいだだけるとなると、もう胸が高まってくる。3人の追っかけ画はしっかりリストアップされているのでリバプール国立美の名前を聞くとにわかに色めき立つ。

現地で手に入れたテート発行のロセッティとバーン=ジョーンズの画集にはリバプールのものが4点でている。そのなかでみたくてしょうがないのがロセッティの‘ダンテの夢’、これが出品されたら最高。どうだろうか。ロセッティは‘ダンテの夢’を2度描いている。最初の絵を1856年に、そしてその15年後の1871年に第二ヴァージョンを描いている。リバプールにあるのは2作目のもの。

昨年森アーツセンターでバーン=ジョーンズのすばらしい絵と対面した。大作の‘愛に導かれる巡礼’、これはエポック的な鑑賞体験。そして、年末に幸運の連鎖の可能性がある。‘受胎告知’と‘欺かれるマーリン’が目の前に現れてくれたらいうことなし。

さて、この4点のうち何点やって来るだろうか、Bunkamuraは期待に応えてくれる愛すべきブランド美術館。だから、2点はみせてくれるだろう。

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2015.02.02

ズームアップ 名画の響き合い! 1978年

Img_0002     堂本尚郎の‘宇宙Ⅰ’(部分 森英恵ファッション文化財団)

Img_0003     マザウェルの‘和解の哀歌’(ワシントンナショナルギャラリー)

Img_0001     バゼリッツの‘落穂ひろい’(NY グッゲンハイム美)

Img     リキテンスタインの‘金魚鉢Ⅱ’

堂本尚郎(1928~2013)の抽象絵画に導かれたのは好きな日本画家堂本印象(1891~1975)とのつながりから。印象は尚郎の叔父さん。この堂本印象の絵が日本画のなかではかなり異色で作品のなかには相当抽象ぽいのがある。だから、尚郎にとって身内の画家の存在は心強かったにちがいない。

世田谷美で開催された回顧展で200%心を奪われたのが‘宇宙Ⅰ’、画像は右の部分、水が流れるような模様を背景に斜めにのびる太い帯で意匠化されたピラミッドが置かれている。真ん中では同じ模様の背景に緑の帯が陽炎のようになびく円がうっすらと描かれている。そして、左は右の三角形に対して正方形、なかの模様は同じ太い流れが赤で彩られている。画面に最接近してみると、水の流れは細い線も太い帯も小さな斑点が散らされているのがみえる。完成度の高さではこの作品がNO.1かもしれない。

これまで数点お目にかかったマザウエル(1915~1991)の‘和解の哀歌’、スペインの内乱をモチーフにしているが、黒の形がどれも大きな鳥が羽を広げて飛んでいるようにみえる。抽象画でもこういう具体的な対象が浮かんでくると強く惹きつけられる。

1969年からさかさま絵画を描きはじめたバゼリッツ(1938~)、全部で何点あるのか知らないが回顧展に遭遇するといろんなヴァリエーションが楽しめる。グッゲンハイムにあるものは作品をぐるっとまわしてみると確かに落穂ひろいをする人が描かれている。まだ縁がないので、NYへ行く機会ができたらミューズの御心にすがりたい。

リキテンスタイン(1923~1997)の‘金魚鉢Ⅱ’がマティスが何点か描いた金魚鉢を意識していることは明らか。金魚を入れた鉢が一部壊れているように描くところがいかにもポップ調。これはいつかみたい。

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2015.02.01

ズームアップ 名画の響き合い! 1977年

Img_0003_2     堂本尚郎の‘月蝕’

Img_0002_2     李禹煥の‘線より’(東近美)

Img_0001_2     有元利夫の‘花降る日’

Img_2     シュヴァンクマイエルの‘雌鳥’

日本が生んだ抽象画家のビッグネーム、堂本尚郎(1928~2013)に開眼したのは2005年に遭遇した回顧展(世田谷美)、若い頃の写真をみるとびっくりするほどのイケメン。ところが、初期に描かれた抽象絵画はとても激しい、嵐がビュウビュウ吹いている感じ、そのあとはピアノの鍵盤をイメージさせるもの。

お気に入りはこういう作品ではなく1970年代から登場する丸や水の流れを連想させる形を神秘的な色を使ってキャンバスに緻密に並べていく作品。その一枚‘月蝕’は深遠な宇宙空間のなかにいる感じ。カンディンスキーがこの絵をみたら裸足で逃げるにちがいない。

昨年日曜美術館でとりあげられた李禹煥(リ・ウファン 1936~)、その作品をはじめてみたのは東近美にある‘線にて’、川で小さな生き物が横一列になって泳いでいる様子を連想した。抽象画にはさまざまなタイプがあるが、生き物を直感させるものは少ない。李にはほかに水すましを思わせる作品もある。

有元利夫(1946~1985)の回顧展を2度体験した。この豊かな才能をもった画家は38歳の若さで亡くなった。残念でならない。その画風はルネサンスのフレスコ画をおもわせる独特なもの。‘花の降る日’は女性がダンテの煉獄界の7つの環状を進んでいるみたいで強く印象に残る。

チョコのシュルレアリスト、ヤン・シュヴァンクマイエル(1934~)は2005年に葉山の神奈川県近美ではじめてお目にかかった。プラハは神聖ローマ帝国の時代皇帝ルドルフ2世が都にした街、ここでアンチンボルドのあのへんてこな人物画が生まれた。だから、シュヴァンクマイエルもその前衛精神をしっかり受け継いでいる。このドキッとさせられる‘雌鳥’もそのあらわれ。

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