ズームアップ 名画の響き合い! 1969年
2006年、日本ではじめてフンデルトヴァッサー(1928~2000)の回顧展(京近美)が行われた。そのためわざわざ京都へ。この画家のことを知ったのはこの展覧会の6年前、NHKで放送されたミュージシャンの石井竜也がニュージーランドに住んでいるフンデルトヴァッサーを訪ねていくという美術番組。これでいっぺんにファンになった。
その思いをさら強くさせたのが2003年のウイーン旅行、喜び勇んで‘フンデルトヴァッサーハウス’に足を運び、ファンタジックな家や鮮やかな色彩や渦巻き模様にあふれる作品の数々を目いっぱい楽しんだ。‘バルカンの彼方のイリーナの国’は最も魅せられている作品。
この絵をみてミュージカル‘キャッツ’を思い浮かべる人が多いかもしれない。画家自身はどうイメージしているのか知らないが、猫のかぶりものをした人物がぴったり。おもしろいのはダブルイメージを思わせる顔のしわ。一体この猫顔はどこに浮遊しているのか?例えば湖の上にいて水の波文と連動して顔のしわが横にのびているのか。勝手に想像が膨らむ。
ウォーホル(1928~1987)はフンデルトヴァッサーと同じ年に生まれている。キャンベルスープ缶はウォーホルの代名詞、昨年国立新であった回顧展でも4点お目にかかった。生活のなかにある身近なものを作品にとりこみアートにしてしまうのは錬金術みたいなもの。これを最初に思いつくのが才能。こういう人しか芸術家になれない。
二度目のケルン行きがあるかわからないが、もし実現したらルートヴィヒ美に寄ってみたい。お目当てはリキテンスタイン(1923~1997)、ここにはいい作品がいくつもあり‘赤い納屋Ⅱ’はその一点。モネの‘積み藁’を題材にしたものやこうした風景画をみるとリキテンスタインの絵心は本当に豊か。鑑賞欲を強く刺激される一枚。
縦や横の大きな長方形の画面がすぐ頭をよぎるニューマン(1905~1970)、ポンピドーにあるこの作品はニューマンには珍しく黒の三角形、そして真ん中で垂直にのびる赤のジップ、この黒と赤の組み合わせがとてもいい。まだ縁がないので遭遇する幸運を祈っている。
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