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2014.12.13

謎だらけのデ・キリコの世界!

Img_0001     ‘謎めいた憂愁’(1919年 パリ市近美)

Img     ‘不安を与えるミューズたち’(1974年 デ・キリコ財団)

Img_0002     ‘神秘的な動物の頭部’(1975年 パリ市近美)

Img_0003     ‘田園風景のなかの静物’(1948年 パリ市近美)

汐留ミュージアムで行われている‘デ・キリコ展’(10/25~12/26)、出かけるかどうか迷ったが、日曜美術館でおもしろい話が聞けたので訪問することを決めた。

デ・キリコ(1888~1978)の絵というと人気のない街の一角に建物の影が長くのびている作品というイメージがこびりついている。描かれているのはものだけ、人物は一人もでてこない。街のモデルとなったのがトリノ、一度訪問したことがあり街中につくられているアーケードも体験した。絵とはちがって通りを進むと多くの人に出会った。

ところが、日曜美術館に登場した地元の美術史家が興味深いことをしゃべっていた。デ・キリコがトリノに滞在していたころは街にはフィアットなどのいくつもの工場がつくられれ工業都市をして発展していた。多くの人は工場に働きに行き昼間街には人がほとんどいなかったという。

だから、デ・キリコの絵に人が登場しないのは街の静寂さをつくるためにそうしたのではなく当時の実際の光景だった!そういうことだったのか、という感じ。これだから美術番組はやめられない。これまで読んだデ・キリコ本にはこんな話は一切出てこなくて形而上絵画についての理屈っぽい解説ばかり。

4年前ローマを旅行したとき幸運にも大規模なデ・キリコ展に遭遇し、分厚い図録(イタリア語)もしっかり手に入れた。今回の回顧展は数こそ少ないが展示されている作品の質の高さは同じレベル。じつはチラシに大きく使われている‘古代的な純愛の詩’や初期の作品‘謎めいた憂愁’、そして画業の後半に描かれた‘エブドメロスの帰還’、‘神秘的な動物の頭部’などはローマでもお目にかかった。

初見で収穫だったものが予想外に多かった、これはこの展覧会が一級の回顧展であることの証、だからものすごく得した気分。ローマでみたと完璧に思ったのが‘不安を与えるミューズたち’、初期の作品とほとんど変わらないから、日曜美術館をみていなければこれ前みたよ、となったにちがいない。50年後に描かれたリメイク版からは地面に遠近法を示す線が消えている。

静物画は3点、どれも長くみていた。お気に入りは風景を背景にして果物を描いた‘田園風景のなかの静物’。これも一種のシュールな絵。また、デ・キリコの作品?というくらい写実性豊かな風景画もある、みてのお楽しみ!

日曜美術館に背中を押された格好になったが、出かけたのはいい選択だった。

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