心を揺すぶるシャガールとバルラハ!
国立新美で開催中の‘チューリヒ美展’は12/15までの会期、今、まわりにいる美術好きに大PRしている。美術館から手当をもらっているわけではないが、若い頃ジュネーブに住んでいた縁もありおしゃべりが過剰なほど弾む。
語りたい作品はいくつもあるが熱が入るのがシャガール(1887~1985)、シャガールは西洋絵画ファンなら誰でも知っているビッグネームだから話が通じやすい。昨年NYのMoMAで‘私と村’が展示されてなくちょっと落ちこんだが、今回久々にシャガールのファンタジックな色彩美に酔いしれた。
展示されている6点どれも足がとまるが、とりわけ心を奪われたのが‘婚礼の光’、TASCHEN本に載っている‘戦争’、そして眩しいくらい黄色が輝いている‘パリの上で’。こんないいシャガールがチューリヒ美にあったのか!という感じ。
小さいころベルンに住んでいたクレー(1879~1940)は4点、最晩年の作‘狩人の木のもとで’は惹かれたがほかの3点はアベレージだった。ベルン美のクレーコレクションが以前日本で公開されたが、これとくらべると落差がありすぎた。チューリヒ美も同じスイスの美術館だが、クレーに関してはベルン美にいいのが集結しているのだろう。
表現主義の部屋に目を惹く作品があった。それはドイツの彫刻家エルンスト・バルラハ(1870~1938)の‘難民’、どこかでみた覚えがある、そう、2006年東芸大美であった‘バルラハ展’でお目にかかった。この体を足の前に大きく出し何かを訴えるような人物像を忘れるわけがない。でも、前にみたのはブロンズでこれは木彫。こちらのほうがぐっとくる。彫刻好きの隣の方も興味深そうにぐるぐるまわってみていた。
最後の部屋はあのジャコメッティ(1901~1966)、5点どんと展示されている。流石チューリヒ美、どれもぐっとくる。はじめてみたのが横向きの‘広場を横切る男’、こういうヴァリエーションがあったとは。それにしても足の大きいこと、まるで泥んこの道を歩いているうちに靴が雪だるま式に大きくなったよう。
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コメント
私もシャガールの色彩にとても惹かれているので、今回のチューリヒ美術館展では、シャガールを重点観賞の一人にしました。
『婚礼の光』は、輝くばかりの青の地に明るい色が映えて、いいですね!それに幸福感みたいなものが満ちて、しばらく見とれました。
『戦争』は、シャガールのロシアの故郷が戦災に見舞われたとのことで、ちょっと重い気分になって見ましたが、それでも絵にはとても惹きつけられました。
バルラハの『難民』の単純化されたポーズには、必死さが現れていますね。
ジャコメッティのフォルムについては、まだ自分では共感できるところまでいっていませんが。
投稿: ケンスケ | 2014.10.28 22:52
to ケンスケさん
いいシャガールに出会い幸せを感じています。
‘婚礼の秋’の深い青、そして大作‘戦争’の白い
馬?の存在感、そして黄色が眩しい‘パリの上で’、
本当にすばらしいコレクションですね。
バルラハはまさに表現主義全開の造形という感じ
です。心を打たれる彫像ですね。
投稿: いづつや | 2014.10.29 00:39