ズームアップ 名作の響き合い! 1961年
2ヶ月前Bunkamuraで開催された‘だまし絵展’のパート2では一回目と同じ顔触れが登場した。こういうテーマのときにはどうしても欠かせないシュルレアリストのダリとマグリット、そしてエッシャー(1898~1974)。
‘滝’は水の循環をじっくり見るとじつに不思議な絵。日本各地にはお化け坂とか幽霊坂とよばれる不思議な場所がある。目の前の道路は降ってみえるのに実際はこちらに登っていたりする。この‘滝’ではこうした目の錯覚が表現されている。
滝つぼのところから水はなぜが上のほうへ登っていく。少しずつあがって最後は滝になって落下する。この循環は永久に繰り返される。変な光景だが、曲がりながらスムーズに流れてるから水は下っているようにも上昇しているようにもみえるため、これでいいのかなとついだまされる。
ビュフェ(1928~1999)の画風は1957年あたりから明るい色彩に変わってくる。‘ピエロ’は背景の赤とピエロの帽子や衣装を彩る黒の対比が強烈に印象づけられる作品。そして、人物の体つきは初期のころにくらべるといくぶん厚みが増しその表情にも力強さがでてくる。このピエロは忘れられない一枚。
昨年、ウォーホルの大きな回顧展があったので、次の期待はリキテンスタイン(1923~1997)。ポップアートで先に開眼したのはリキテンスタインのほう。昨年、ワシントンのナショナルギャラリーで予想外に多くのリキテンスタインに出くわしたから鑑賞作品の総数は増えたが、まだ相当見足りない。
NYのMoMAにある‘ボールをもつ少女’、昨年対面する予定だったが姿をみせてくれなかった。手元にあるMoMAの図録(英語版)に載っているのは‘溺れる少女’だが、ミュージアムショップで現在販売されているものではこの絵が表紙に使われていた。次はリカバリーしたいが、果たして。
セザール(1921~1998)の圧縮された自動車を作品にした‘黄色いビュイック’はMoMAの追っかけリストに入れていたが、不運なことに展示されてなかった。MoMAでもポンピドーでもセザールとの縁は薄いが、スクラップ工場にある金属の圧縮物は映像でみることがあるから作品との距離はあまりない。
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