ズームアップ 名作の響き合い! 1960年
アルマンの‘ホーム スウイート・ホーム’(パリ ポンピドー)
アメリカの国民画家、ホッパー(1882~1967)は84歳まで長生きした。亡くなる7年前に制作したのが‘二階の日差し’、ベランダでくつろぐ二人の女性に太陽の強い日差しが当たる光景がいかにもアメリカらしく描かれている。左端が欠けた2つの建物が前につきでる構図が印象深く、そしてホッパー絵画の真骨頂である光の描写が目に焼きつく。
リトアニア出身のベン・シャーン(1898~1969)と縁ができたのは広島にいるとき。県立美に‘陪審員席’、‘4人の検事’、そして‘強制収容所’は常設展示されており、この画家の名前と画風がインプットされた。でも、本物に接したのはこの3点のみ。
一度訪問したことのある福島県美が所蔵する‘ラッキー・ドラゴン’は1954年アメリカの水爆実験で被爆し死亡したマグロ漁船第五福竜丸の無線長、久保山愛吉さんを描いたもの。社会的なテーマに取り組んだシャーンはこの‘ラッキー・ドラゴン’シリーズを10点描いた。福島県美では残念ながらこの絵は展示されてなかった。機会があれば再チャレンジしたい。また、Bunkamuraがベン・シャーンの回顧展を開催してくれないかと密かに期待している。
1960年はヌーヴォー・レアリスムが誕生した年、イヴ・クライン(1928~1962)の‘人体測定 ANT66’をはじめてみたとき、ここになにが描かれているのかちょっとわからなかった。しばらくみていると体を動かす人物を4人イメージすることができた。これはパフォーマンスアート、体に絵の具を塗った女性のモデルが紙にボデイペインテイングをする。ポンピドーでも赤ちゃんの体を連想させる作品をみたことがある。
アルマン(1928~2005))の‘ホーム スウイート・ホーム’は作品に顔をよせてみると一瞬緊張する。なんと箱の中にガスマスクがびっしり詰め込まれている。こういう作品をみると芸術は社会の動きと密接にむすびついていることがよくわかる。
| 固定リンク
コメント