ズームアップ 名作の響き合い! 1956年
ジャコメッティの‘ヴェネツィアの女 Ⅴ’(パリ ポンピドー)
ロスコの‘タンジェリン色の上の緑と赤’(フィリップスコレクション)
だまし絵を集めた展覧会ではエッシャー(1898~1972)はとても人気がある。階段を上がったり下がったりする人物がいてぶつかりそうなイメージだがそれもなくぐるぐる回っていく。また、滝は下に流れていくのが普通だが、なぜか上のほうに上がっていく光景にでくわす。一体どうなっているのか?
‘版画画廊’は手前に版画が飾られた画廊が描かれ、その上に幾段にもかさなる建物が大きくカーブして走る列車からみる光景のように広がっている。画廊のなかと外からみる風景がぐにゃっと曲りひとつながりになっているのだが、これが不思議なことにあまり違和感なくながめられる。なにかよくわからない球体構造のなかにいる感じだが、進んでいくとどこかに出口がありそう。
ブラック(1882~1963)が晩年に描いた鳥の絵に関心を寄せているが、ポンピドーにある‘鳥と巣’は現地でお目にかかった。一見すると子どものお絵かきのよう。ブラックの鳥の絵というと、ルーヴル美の‘アンリ2世 控えの間’の天井の描かれている‘鳥’があるが、これはまだみていない。自由や解放の意味がこめられた鳥のモチーフ、パリにまた出かけたとき会えればいいのだが。
ジャコメッティ(1901~1966)は極端に細長い女性の立像を15点石膏で完成させ、そのうち9点をブロンズでもつくった。これまでそのブロンズは3点みた。変な話だが、これをみてふと思ったのが、東名高速の浜名湖ICで売っているうなぎパイ。このイメージがこびりついている。
昨年ワシントンのフィリップスコレクションを訪問したとき期待していたのがロスコ(1903~1970)の部屋。画面が鮮やかな色面で上下に分割された作品が4点あった。どれもぐっとくる色の組み合わせ、1956年に制作されたのが‘タンジェリン色の上の緑と赤’、ロスコに大接近したという思いが強くなった。
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