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2014.09.25

心に沁みる春草の‘落葉’!

Img     ‘落葉’(重文 左隻 1909年 永青文庫)

Img_0001     ‘武蔵野’(1898年 富山県近美)

Img_0002     ‘秋郊帰牧’(1909年 伊豆市)

Img_0003     ‘荒磯’(1907年 新潟市敦井美)

明治以降に活躍した日本画家で一生つきあっていこうと思っているのが6人いる。横山大観、菱田春草、上村松園、鏑木清方、東山魁夷、そして加山又造。その菱田春草(1874~1911)の大きな回顧展(9/23~11/3)にやっと遭遇することができた。これほど嬉しいことはない。

日本画がお好きな方はお気づきのように春草の絵で重文に指定されている作品は4点ある。今回幸運なことにこれらが全部でてくる。‘王昭君’(全会期)、‘賢首菩薩’(全会期)、‘落葉’(9/23~10/13)、‘黒き猫’(10/15~11/3)。

このなかでありがたいのが‘王昭君’、普段は山形県の鶴岡市にあるからこういう特別な回顧展が開かれなければほとんどみる機会がない。15年くらい前愛知県美であった回顧展は見逃してしまったが、この絵は出品された?
展覧会が終了するまででているから、後期のときも楽しめる。

春草で最も心に沁みるのはなんといっても‘落葉’、この絵が春草との結びつきを決定的にした。絵の前に立つといつもある絵を思い浮かべる。それは長谷川等伯の‘松林図’。とくに印象的なのが虫食いのある黄色の葉と晩秋を強く感じさせる無数の落ち葉。この落ち葉の重なり具合はじつに自然、公園を歩いているとこんな光景にでくわす。

富山県近美が所蔵する‘武蔵野’にも200%魅せられている。与謝蕪村の晩年の作に鳶と烏を描いたとてもいい絵があるが、蕪村のDNAを春草が引き継いでいるような感じ。細い草木にとまる一羽の雀が愛おしい。そしてこの日本人の琴線にふれるモチーフは東山魁夷もてがけている。

‘秋郊帰牧’は大観にもこんな絵があったなとすぐ思うが、春草の場合、ススキなどの描き方が驚くほど精緻。風が吹くなかを童子が牛と一緒に家に帰っていく様子は目にとても優しくうつる。

荒れ狂う波が切り立った崖を駆け上っていくようにみえる‘荒磯’は久しぶりにみた。20数年前に開催された敦井コレクション展でみて、‘動の春草’を発見した。新潟にある敦井美は春草を10点くらいコレクションしているが、一番の傑作がこの絵。迫力ある画面を生み出す春草の筆さばきに再度釘づけになった。

後期にも期待の作品がいくつも出てくる、楽しみは11月まで続く。

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コメント

菱田春草展に行ってまいりました。私も春草ファンですが、いい作品が多々出ていて、大変充実している展覧会ですね。

中でも、やはり『落葉』の美しさは圧巻ですね。空気遠近法を絵画に用いているのは、おっしゃる通り長谷川等伯の『松林図』を思い起こさせますが、遠景をぼかす技法では、そのカラーバージョンとも言える傑作だと思います。

『賢首菩薩』の点描画風の描写もじっくり見ました。補色を用いている点でも、西洋絵画の技法を取り入れて、新たな模索をしているのがよくわかりました。

それでも晩年になると、春草が江戸期以前の日本の絵画の伝統にもどるような作風になっているのは、「?」と感じずにはいられませんでした。金地にたっぷりと余白を残し、朦朧体を放棄した線描主体の作品群を見ていると結局、伝統に回帰したのかなと。。。

投稿: ケンスケ | 2014.10.09 22:52

to ケンスケさん
春草は晩年になるにつれてまさに抜群の
カラリストぶりを発揮しますね。

東近美にある‘四季山水’の造形のやわらかさ、
色の明るさ、優しさは目に心地いいです。
大観は装飾性を全面にだした‘夜桜’を残した
のに対し、春草は装飾性は控えめにして
落ち葉の自然の風景を描きました。ともに
傑作ですね。後半が楽しみです。

投稿: いづつや | 2014.10.10 00:59

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