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2014.09.30

チラシが立派すぎる東博の‘官窯青磁展’!

Img 国宝‘青磁下蕪瓶’(南宋時代・12~13世紀 アルカンシェール美)

Img_0001     ‘青磁輪花鉢’(重文 南宋時代・12~13世紀 東博)

Img_0002     ‘米色青磁瓶’南宋時代・12~13世紀 常盤山文庫)

Img_0003     ‘青磁刻花牡丹唐草文水注’(北宋時代・10~11世紀)

5月の終わりから東博の東洋館で行われている‘日本人が愛した官窯青磁’(10/13まで)は大きな勘違いがあった。パンフレットタイプの立派なチラシが作られているのでそこそこの青磁の展覧会だろうと思っていたら、実際は5階の展示室のほんの一角を使ったミニミニ青磁展だった。

チラシはその展覧会へ行くまえにはさらっと見る程度でどんな作品が目玉かは頭に入っても作品の数までイメージできない。陶片を除くと17点。やきものは小さいから動かなくても体をぐるっとまわせば全部みえる、ありゃー、これだけかい!拍子抜けした。

数の少なさには参るが、満足度が低かったということはない。10分ほどしかいなかったが青磁はやはり特別な中国陶磁だから、楽しむところはしっかり楽しんだ。その一番が国宝の‘青磁下蕪瓶’、この蕪を連想する丸い形に大変魅せられている。東博ではこの名品が平常展示に度々登場する。アルカンシェール美が展示依頼に気軽に応じてくれているのだろう。そのおかげでほかの美術館での公開を含めて都合7回くらいみた。何度みてもぐっと惹きこまれる。

東博蔵の‘青磁輪花鉢’と常盤山文庫から出張してきた黄色の青磁‘米色青磁瓶’もお気に入りの一品、色の違いはあるがガラスを思わせるつるつるした質感と貫入の美しさには昔から目を奪われている。日本だけにある米色青磁は4年前に根津美であった‘南宋の青磁’に4点全部揃ったが、今回は常盤山文庫の3点が存在感を発揮している。

収穫は胴に刻まれた浮彫り風の牡丹唐草文がとても印象深い‘青磁刻花牡丹唐草文水注’、以前ギメ美が所蔵する鳳凰の口をもつ同じタイプの水注をみて感動したことがあるが、そこにも牡丹が見事に彫られていた。今回チラシで気になっていた牡丹唐草文もなかなかの名品だった。

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2014.09.29

芹沢銈介のスーパーデザイン力!

Img     ‘布文字春夏秋冬二曲屏風’(1965年 静岡市立芹沢銈介美)

Img_0001     ‘飛の字のれん’(1968年 静岡市立芹沢銈介美)

Img_0004     ‘軒灯’(1964年 静岡市立芹沢銈介美)

Img_0003     ‘沖縄絵図軸’(1939年 日本民藝館)

1ケ月くらい前日曜美術館で取り上げられ芹沢銈介(1895~1984)の回顧展が横浜の高島屋にやって来たので足を運んだ。今回は生誕120年を記念して行われるものだが、2005年にはJR駅の反対側にある横浜そごうで110年記念展があった。だから、今回は半分はパスする気だったが、日曜美術館に出演した日本民藝館の館長や現代書家の話がおもしろかったのでやはりみることにした。

会期は9/25~10/6、2週間弱だからぼやっとしているとすぐ終了する。8階の会場には人気の美術番組で紹介されたのが効いているのか盛況、のれんや着物、帯といった女性の心をひきつけるものが多いのでみな夢中になってみている。

最も関心を寄せていたのが漢字のデザイン、とくに惹かれたのが布文字、そごうであったときは2文字しかなかったが、今回は‘春夏秋冬’の4文字。漢字をこのように細長い布を使って一筆書きのように表現する布文字、文字が立体的にみえるのですごく刺激的。

漢字を変形して模様あるいはデザインとしてみせることを日本で最初にやったのは空海だが、芹沢の文字にたいするデザインの感覚は突き抜けている。いろいろある、‘和’、すぐには読めない‘福’、‘晴雨’、‘寿’、‘山’、‘水’、‘飛’。

このなかでみた瞬間、アラビアの書が頭をよぎったのが‘飛の字のれん’、布が風に吹かれてまさに飛んでいるよう。この立体感、このやわらかさ、まさに芹沢銈介の書に対する造詣の深さが生み出した美しい形、みればみるほど惹きこまれる。

ひらがな、漢字、そして鳥や草花を図柄にした‘軒灯’の前にも長くいた。こういうものがある屋敷にいるといい気分になるにちがいない。余分なものをそぎ落として、花鳥をシンプルな造形で見せる芹沢のデザイン力はもう天才的としかいいようがない。

沖縄の島の光景を型染めで表現した‘沖縄絵図軸’は日本民藝館にある定番の芹沢作品、いつみても鮮やかな赤に心を奪われる。

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2014.09.28

足立美術館の春草と清方!

Img_0004     横山大観の‘紅葉’(1931年)

Img     菱田春草の‘紫陽花’(1902年)

Img_0002           菱田春草の‘猫梅’(1906年)

Img_0001         鏑木清方の‘紅’(1928年)

昨日の‘美の巨人たち’では制作スタッフは島根県安来市にある足立美へ出かけ、館の一番のお宝である横山大観(1868~1958)の‘紅葉’に大接近していた。美術好きで中国地方に住んでいる人なら一度は行ってみたいと思う足立美、広島にいたころ3度足を運んだので番組の頭から身をのりだしてみていた。

この美術館は大山や皆生温泉、出雲大社などの山陰観光では入館がツアーの行程に入っている。そのため、いつ行っても駐車場は大型バスでいっぱい。入館料は2500円くらい?と都内である展覧会の料金にくらべると高めだが、中に入って見事な庭園をまのあたりにし大観らの充実した日本画、そして河井寛次郎(安来市出身)と北大路魯山人のすばらしいやきものをみたらその金額にも納得するだろう。

‘紅葉’と2年前に描かれた‘夜桜’は2000年以降に開催された大観の大規模な回顧展(2004年京近美、2008年国立新美)にペアで展示された。だから、大観に関心のある方は安来まで遠出しなくて豪華絢爛の趣きの漂う‘紅葉’を楽しまれたかもしれない。

東京でこの絵が登場するのはまだ先のことだろうが、山陰の旅を計画すれば思いの丈はすぐ叶えられる。もちろん大観に感激するが、それだけでない。ほかの画家にもいい絵が揃っており、ここの日本画コレクションの質の高さに驚かれるはず。いくつかあげてみると、

菱田春草(1874~1911)は‘紫陽花’と‘猫梅’、東近美で行われている回顧展に‘紫陽花’がでている(全期間)。現地では‘猫梅’とはお目にかかったが、‘紫陽花’は不運にも縁のなさが続いた。20年近くかかってやっとみることができた。素直に嬉しい。

まだみていない鏑木清方(1878~1872)の‘紅’を千葉市美で期待したが、やはりダメだった。この美術館は大きな回顧展のときしか作品を貸し出さない方針を貫いている。また、こんな立派な回顧展なのにダメなのということもある。

例えばここには川端龍子の‘愛染’という鴛鴦を描いたすばらしい作品があるのだが、過去2回あったビッグな回顧展に2回とも出品されなかった。とにかくいい作品ほど特別な展覧会のとき以外は出したがらない。‘紅’は100%あきらめてはいないが、出かけない限り縁がないかも。

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2014.09.27

どうしても足がむかう‘鏑木清方展’!

Img_0001         ‘花見幕’(1938年 島根県立石見美)

Img         ‘春雪’(1946年 サントリー美)

Img_0003         ‘虫の音’(1947年 鎌倉市鏑木清方記念美)

Img_0002     ‘夏の武家屋敷’(1957年 ヤマタネ)

千葉市美はお気に入りの美術館のひとつ、何度もここへ足を運ぼうと思うのは江戸絵画、浮世絵で一世を風靡した絵師の回顧展をよく開催し、いい作品をどっさり集めてきてくれるから。期待に応えてくれる美術館が真のブランド美術館。

今年は4月に‘中村芳中展’があり、秋は‘鏑木清方と江戸の風情’(9/9~10/19)、鏑木清方(1878~1972)の回顧展ときけば開幕前から心が落ち着かなくなる。事前の情報だと作品の構成は鎌倉にある鏑木清方記念美の所蔵するものが軸、するとこれまで鑑賞したものとの再会が多くなるかもしれない、そのときは図録は買わないでおこうと思っていた。

ところが、予想とはちがい初見の美人画が結構あらわれてくれた。これは嬉しくなる。そのなかでぐっと惹きこまれたのが‘花見幕’、これを所蔵する石見美は広島に住んでいた時はまだ開館してなかった。8年くらい前にオープン?清方のこんないい絵をコレクションしているのならほかの画家もあるかも。いい美術館のような気がするが、、

清方の魅力あふれる美人画にはふたつのタイプがある、一つはフィギュアスケートの真央ちゃんのような目がくりっとして卵型の顔をしている女性、もうひとつのタイプは顔がちょっと細長く糸目の美人、‘花見幕’は後者の美人画、そしてサントリー美にある‘春雪’や‘虫の音’も糸目の美人の系譜。

今回おおいに楽しめるのは清方の作品を浮世絵の絵師たちが描いた美人画の見立て絵としてとらえているところ、そのため鈴木春信や勝川春章たちとのコラボが想像力を掻き立て江戸の風情をより身近なものにしてくれる。だから、‘夏の武家屋敷’もついじっとみてしまう。

ミュージアムショップで手に入れた図録はなかなかよくできている。お宝図録のひとつになりそう。

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2014.09.26

豪華なラインナップで魅了する東近美の所蔵作品展!

Img_0001         狩野芳崖の‘仁王捉鬼’(1886年)

Img_0004     加山又造の‘千羽鶴’(左隻 1970年)

Img_0002     東山魁夷の‘白夜光’(1965年)

Img     安田靫彦の‘伏見の茶亭’(1956年)

東近美で開催される展覧会へ足を運ぶのはここ5年くらいは年に1回か2回、このため以前はよくみていた所蔵品を楽しむことも少なくなった。菱田春草展をみたあといつものように4階と3階を気軽にまわってみた。

3年くらい前から展示の仕方が目を見張るほどよくなった。飾られている日本画や西洋絵画、そして洋画は見慣れた名画なのだが、上手なライティングと部屋の壁の色が紫がかった青になったため、絵がこれまで以上にすばらしくみえてくる。とにかくこの展示空間にいるときはすごくいい気分になる。

今出ている作品は11/3までの展示、3階にびっくりする絵があった。狩野芳崖(1828~1888)の‘仁王捉鬼’、この絵をみることが長年の夢だったのだが、8年前東近美で行われた展覧会でようやく対面が叶った。そのときは個人蔵だったのに今はなんと東近美のコレクション、秋田の奈良氏から購入していた!やったねー、これは拍手もの。これからは仁王に首をぎゅっとつかまれた漫画チックな鬼をときどきみることができる。楽しみがひとつふえた。

加山又造(1927~2004)の‘千羽鶴’や東山魁夷(1908~1999)の‘白夜光’も心をとらえてはなさない傑作、以前これらの作品は反対側の部屋にほかの作品と一緒にざざっと展示してあったという感じだが、今は展示の演出効果によりその名画ぶりが一際目を引くようになった。息を呑んでみていた。

東近美にある安田靫彦(1884~1978)で見ごたえがあるのは茶席の秀吉を大画面に描いた‘伏見の茶亭’と源頼朝、義経兄弟が登場する‘黄瀬川陣’。見事な秀吉の肖像画にいつも見とれてしまう。次ここへくるときは‘黄瀬川陣’に期待したい。

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2014.09.25

心に沁みる春草の‘落葉’!

Img     ‘落葉’(重文 左隻 1909年 永青文庫)

Img_0001     ‘武蔵野’(1898年 富山県近美)

Img_0002     ‘秋郊帰牧’(1909年 伊豆市)

Img_0003     ‘荒磯’(1907年 新潟市敦井美)

明治以降に活躍した日本画家で一生つきあっていこうと思っているのが6人いる。横山大観、菱田春草、上村松園、鏑木清方、東山魁夷、そして加山又造。その菱田春草(1874~1911)の大きな回顧展(9/23~11/3)にやっと遭遇することができた。これほど嬉しいことはない。

日本画がお好きな方はお気づきのように春草の絵で重文に指定されている作品は4点ある。今回幸運なことにこれらが全部でてくる。‘王昭君’(全会期)、‘賢首菩薩’(全会期)、‘落葉’(9/23~10/13)、‘黒き猫’(10/15~11/3)。

このなかでありがたいのが‘王昭君’、普段は山形県の鶴岡市にあるからこういう特別な回顧展が開かれなければほとんどみる機会がない。15年くらい前愛知県美であった回顧展は見逃してしまったが、この絵は出品された?
展覧会が終了するまででているから、後期のときも楽しめる。

春草で最も心に沁みるのはなんといっても‘落葉’、この絵が春草との結びつきを決定的にした。絵の前に立つといつもある絵を思い浮かべる。それは長谷川等伯の‘松林図’。とくに印象的なのが虫食いのある黄色の葉と晩秋を強く感じさせる無数の落ち葉。この落ち葉の重なり具合はじつに自然、公園を歩いているとこんな光景にでくわす。

富山県近美が所蔵する‘武蔵野’にも200%魅せられている。与謝蕪村の晩年の作に鳶と烏を描いたとてもいい絵があるが、蕪村のDNAを春草が引き継いでいるような感じ。細い草木にとまる一羽の雀が愛おしい。そしてこの日本人の琴線にふれるモチーフは東山魁夷もてがけている。

‘秋郊帰牧’は大観にもこんな絵があったなとすぐ思うが、春草の場合、ススキなどの描き方が驚くほど精緻。風が吹くなかを童子が牛と一緒に家に帰っていく様子は目にとても優しくうつる。

荒れ狂う波が切り立った崖を駆け上っていくようにみえる‘荒磯’は久しぶりにみた。20数年前に開催された敦井コレクション展でみて、‘動の春草’を発見した。新潟にある敦井美は春草を10点くらいコレクションしているが、一番の傑作がこの絵。迫力ある画面を生み出す春草の筆さばきに再度釘づけになった。

後期にも期待の作品がいくつも出てくる、楽しみは11月まで続く。

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2014.09.24

待望の菱田春草展!

Img_0001_2     ‘王昭君’(重文 部分 1902年 鶴岡市善ぽう寺)

Img_2           ‘月夜飛鷺’(1901年 岡山市林原美)

Img_0003     ‘松に月’(1906年)

Img_0004     ‘暮色’(1901年 京博)

待望の菱田春草展(東近美)が昨日からはじまったのでさっそく出かけてきた。会期は9/23~11/3、前後期あわせて108点が出品される大規模な回顧展、上村松園、竹内栖鳳のときと同様菱田春草(1874~1911)の名画を重文4点はじめ全部みせます、とくとご覧あれ!スタイル、流石東近美、すばらしい!

チケットはすでに2枚手配し、会期が終わるまではずっと春草モードですごすつもり。事前にHPで出品作はチェックしテンションのあがりそうな作品の狙いはつけてある。最も期待していたのが‘王昭君’、この場面は醜く描かれたばっかりに匈奴へ行くことになった美女の王昭君が悲しみのうちに旅立つところ。

左端にいるのが王昭君、後ろで泣いている二人は一緒についていくのだろうか、そのほか20くらいの女性たちが別れを悲しんでいる。目を奪られるのはうすくてやわらかい質感が胡粉で精緻に表現されている女性たちの衣装。よくみると王昭君の容貌が後ろの集団でもくりかえされている。だからみんな美形、美人が泣くのをみるのはつらい。

収穫はこの絵だけではなかった。鷺の飛ぶ姿に視線が釘付けになるのが‘月夜飛鷺’、これが岡山の林原美にあることは何年も前から知っていたが、やっとお目にかかれた。ちょっと丸っこい鷺たちの羽が月の明りで美しく輝いている。羽の縁に胡粉を巧みに使う春草の類をみない画才、この光の表現はスゴイ、参りました!

色をぼかして光や空気を表現した朦朧体、‘松に月’の月明りの見事な描写を長くみていた。斜めにのびる松の向こうに月が隠れその明るい光は松のあい間からこぼれ、松全体を浮かび上がらせている。なにか感動的なシーンをみているよう。

京博に‘暮色’があることは知らなかった。本当にいい絵、思わず足がとまった。細い木の枝に鳥を一羽とまらせるのは春草のお得意の構図。そして、水に木の影が映る情景がとてもいい感じ。実際こんな夕焼けに遭遇したら感激するだろう。

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2014.09.23

打撃好調のロイヤルズ青木!

Img     初回ヒットを放ち勝利に貢献した青木

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大リーグはレギュラーシーズン大詰め、残り5,6ゲームとなった。アリーグでまだ優勝が決まってない中地区はタイガースとロイヤルズが激しく争っている。今日の試合で首位のタイガースが敗れ、ロイヤルズがインデイアンスに2-0で勝ったため、ゲーム差は1に縮まった。

残りゲームはともに6、ここ6試合打撃絶好調の青木がいるロイヤルズに勝ってもらいたいが、相手チームの球場での試合が気になるところ。一方タイガースはホームに居座っての連戦、ホームの有利さを生かして4年連続地区優勝へ逃げ切るかもしれない。

青木は1週間前から突如として打ち出した、4打数4安打、5打数4安打、4打数3安打、全盛期のイチローを彷彿とさせるような見事なバッティング。今日も一本打ち、打率は.284まで上がり、チームのなかでは2番目の打率になった。

解説者の梨田が言っていた通り、打席に立つ青木にはなにかヒットが出そうな雰囲気がある。初回一死後コントロールのいいインデイアンスの先発カラスコからきれいにレフト前のヒット、そして盗塁。これがきき4番のタイムリーヒットでホームにかえってきた。まさに青木がロイヤルズを引っ張っている。

あと6ゲーム、青木のバットが火をふけば地区優勝がみえてくる。ロイヤルズはワールドシリーズを制した1985年以降ポストシーズンに進出していない。かりに優勝を逃しても現在アスレチックスとともにワイルドカードの2枠に入っているから、タイガースと争っているといい結果になりそう。ガンバレ、青木!

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2014.09.22

マー君 復帰戦で好投!

Img     ブルージェイズの強打者バティスタと対戦するマー君

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右ひじを痛めて戦列を離れていたヤンキースのマー君はホームでのブルージェイズ戦に登板、5回1/3を1失点でのりきり復帰戦を白星で飾った。

初回先頭バッターの当たっているレイエスにヒットを許し続くホームラン34本の主砲バティスタにもライトへぬけるゴロを軽く打たれたときは、悪いほうの予想があたり2,3点とられると正直思った。ブルージェイズには2勝しており、相性のいいチームではあるが、なにぶん久しぶりのマウンドだからボールがまだ狙ったところにいかない。

3番のエンカーナシオンも強打者だが、このバッターを3塁ゴロのダブルプレーに仕留めたのが大きかった。1点は失ったものの次のナバロをスプリットで三振させこの回を終わらせた。この流れはけがをする前まで勝ち続けていたスタイル。失点はしても最小にとどめ大崩れしない。2回以降はゼロに抑え、打たれたヒットは5本、失点は終わってみれば初回の1点のみ。上々のピッチングだった。

今日は70球でマウンドを降りることがわかっていたから、マー君は勝ち負けは気にせずいい投球内容をみせることだけを思って投げていたはず。勝ち投手になったのはオマケみたいなもの。あまり力まず一球々冷静に投げていた感じ。こういうピッチングができるのはコントロールされたいい球を投げられるフォームが身についているから。この能力は群を抜いている。

もう1試合、レッドソックス戦で投げることが決まっているが、次も70球までだろう。好投し、今シーズンをいい形で終わって欲しい。

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2014.09.21

ズームアップ 名作の響き合い! 1953年

Img_0001     スタールの‘楽士たち’(パリ ポンピドー)

Img     コクトーの‘眠る女’

Img_0003     ベーコンの‘ある肖像のための習作 7番’(NY MoMA)

Img_0002     アルプの‘雲の羊飼い’(パリ ポンピドー)

展覧会に足を運んでいると妙に惹かれる作品に出くわしそれを描いた画家にもっと近づきたいと思うことがよくある。1997年東京都現美であったポンピドーコレクション展で遭遇したド・スタール(1914~1955)もそんな画家。

心をとらえたのは力強い色使いと半分具象、半分抽象の画面構成。1955年に自殺したスタールは1952年からそれまでの幾何学的な抽象画をやめて具象へ戻っていく。モチーフはサッカーや音楽、船など、‘楽士たち’は目の前でにぎやかな音楽が繰り広げられる陽気な作品。とても印象的なのは画面の多くを占める赤。これで楽器を吹いている楽士の黒のズボンがひきしまり粋な感じがでている。

ジャン・コクトー(1889~1963)の回顧展が2005年の日本橋の三越であった。それまでまったく縁のなかったアーチストだったが名前だけは知っていた。展示されていたのは絵画のほか彫刻、陶芸、ジュエりー、なんでもやる芸術家だった。このほかコクトーには詩人、脚本家、演出家といくつもの顔がある。

絵画はピカソの影響を受けていることは明白だが、一点この感覚はピカソにはないなと思わせるものがあった。黒をバックに描かれた‘眠る女’、造形はピカソのキュビスムだが、色彩の使い方はマティスの人物画を連想させる。

昨年東京近美でベーコン展があった。アップはしなかったが足は運んだ。ベーコン(1909~1992)は今、クリスティーの主催するオークションではびっくりするような高値がつくビッグネーム、だから多くの作品を体験するとひょっとして気にいるものがあるかもしれない、そんなことを心に抱きながらみた。しかし、やっぱりダメだった。

人物表現が生理的に受けつけない。ホラー映画をみているようで顔が小さく一つ目小僧みたいな生き物に襲われる感じで長くはみたくないというのは正直なところ。そんなイメージのなかで2点だけはOK.、ゴッホを描いたものとベラスケスの描いた法皇インノケンティウス10世の肖像をベーコン流にデフォルメした‘ある肖像のための習作 7番’、大きく口をあけた法皇、これくらいの怖さだとまあ乗り切れる。

アルプ(1886~1966)のもこっとしてやわらかい造形が特徴の彫刻作品に魅了されている。この‘雲の羊飼い’をみているとときどきニュースで取り上げられる女性の下半身をイメージさせる大根がダブってくる。

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2014.09.20

ズームアップ 名画の響き合い! 1952年

Img     マティスの‘王の悲しみ’(パリ ポンピドー)

Img_0001     スタールの‘プランス公園’

Img_0003     デュフィの‘ヴァイオリンのある静物’(パリ ポンピドー)

Img_0002     デ・クーニングの‘女Ⅰ’(NY MoMA)

マティス(1869~1954)が晩年没頭した切り紙絵の最高傑作がポンピドーにある‘王の悲しみ’、絵の存在を知ってだいぶ時間が経つがまだ縁がない。この絵はポンピドーへ行けば必ず会えるというわけではない、こういう展示だと3度訪問しても願いがかなわないことがあっても不思議ではないかもしれない。

でも、東博へ出かけるのとはわけが違う海外の美術館でこうも残念な思いがつづくとさすがに心が萎える。次回パリにいくときは美術館のHPで展示スケジュールを確認することにしている。とにかく一度は本物をみたい。

マティスのような豊かな感性をもったカラリストは世の中に何人もいるわけではない。色に対するセンスというのはもって生まれた才能、だから、鍛錬をして身につくものではない。神はごく限られた人にしかその才能を授けてくれない。ニコラス・ド・スタール(1914~1955)もすばらしい色彩感覚をもった画家のひとり。

スタールの心をひきつける色使いにぞっこん参っているが、鑑賞した作品の数は少ない。ポンピドーにあるものを数点みる機会があったのと福岡市美で1点遭遇したくらい。あとはかなり前日曜美術館でスタール取り上げられとき解説された作品が記憶に残っている。スタールはサッカーが好きで1952年からサッカー選手を描いている。‘プランス公園’はその一枚。生き生きしした青や赤と動きのある描写に魅了されている。

今年あったデュフィ(1877~1953)の回顧展(Bunkamura)をパスしたが、赤の輝きが気をひく‘ヴァイオリンのある静物’を見逃したのはちょっと後悔している。ポンピドーではこの絵がみたことがなく、美術館の図録‘100選’には別の作品が載っている。だから、現地でのリカバリーは難しそう。

デ・クーニング(1904~1997)は待望の回顧展がブリジストン美で行われる。10/8~1/12、お気に入りの‘女Ⅰ’がまたやってくるだろうか。開幕がとても楽しみ。

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2014.09.19

ズームアップ 名画の響き合い! 1951年

Img_0001 ダリの‘十字架の聖ヨハネのキリスト’(グラスゴー セント・マンゴ美)

Img_0003     フロイドの‘女と白い犬’(テートブリテン)

Img     ブローネルの‘衝撃の意識’(ヴェネツィア グッゲンハイム美)

Img_0002     ニューマンの‘英雄的にして崇高なる人’(NY MoMA)

ダリ(1904~1989)が1940年代の後半から1950年代にかけて制作した宗教画のなかでとても惹きつけられる作品が3点ある。これまで幸運にもみることができた‘超立方体的肉体(磔刑)’(1954年 メトロポリタン美)、‘最後の晩餐の秘蹟’(1955年 ワシントンナショナルギャラリー)とまだ縁がない‘十字架の聖ヨハネのキリスト’。

これらはシュルレアリスムのイメージはまったく薄れ現代感覚の宗教画、そのため作品とはしっかり向かいあえる。‘十字架の聖ヨハネのキリスト’を所蔵しているのはグラスゴーのセント・マンゴ宗教生活・美術博物館。イギリスから離脱しないことになったスコットランドで訪問したことのあるのはエディンバラだけ、ダリのこのユニークな視点から描かれた磔刑図をみるためグラスゴーへもいつか行ってみたい。

現代リアリズムのビッグネーム、ルシアン・フロイド(1922~)の作品を体験したのはほんの数点。美術本に載っているものを含めても作品情報は片手くらいしかない。そのなかにはこんなところまでリアルに描くのかい、という人物描写があるので、もし回顧展に遭遇したら何度も心がザワザワするのではと余計な心配をしてしまう。

その精緻な描写が女性の不安定な心持ちを感じさせる‘女と白い犬’は東京都美であった展覧会でお目にかかったが、ずっと引っかかっている。それは人物描写の強い正面性のため、モデルをつとめる妻をソファーの右側に寄せて座らせ、正面から描く構図が印象的、足が真横に向くことは実際には痛くてありえないが、それが変な感じに思えないところがこの絵の魔力。

ブローネル(1903~1966)の‘衝撃の意識’にでてくる人間や鳥の造形はインカ帝国とかマヤ文明の壁画に描かれたものをすぐ連想させるが、じつはエジプト絵画にでてくるヒエログリフやモチーフを参考にしている。人物の腰あたりにピラミッドが二つみえる。

昨年MoMAに足を運んだとき期待していたニューマン(1905~1970)の‘英雄的にして崇高なる人’と対面した。川村記念美にかつてあった‘アンナの光’同様、大きな作品で力強い赤の色面に大きく包み込まれる感じだった。これまでみたニューマンではこれが最もいい。

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2014.09.12

お知らせ

拙ブログはしばらくお休みします。

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2014.09.11

ズームアップ 名画の響き合い! 1950年

Img_0002     ポロックの‘秋のリズム’(NY メトロポリタン美)

Img_0004     キスリングの‘花’(鎌倉大谷記念館)

Img     シケイロスの‘進歩の寓意’

Img_0001     レジェの‘建設現場の男たちとロープ’(NY グッゲンハイム美)

メトロポリタン美の絵画コレクションは傑作があまり多すぎて鑑賞時間の配分に苦労する。はじめてのときはどうしても評価の高い印象派の部屋にいる時間が長くなる。訪問を重ね印象派に目が慣れ少し余裕がでてくると近現代絵画のコーナーにも足が向く。

ここで最も心を奪われるのはポロック(1912~1956)の代表作‘秋のリズム’、縦2.6m、横5.3mの巨大なキャンバスのうえに黒、褐色、白の線が無数に絡み合い画面全体にリズミカルな調子を生み出している。線や色面は一見すると飛んだり跳ねたりしてカオスの世界にみえるが、画面から離れると白の細いフォルムは左方向に傾き横に連続しているのがわかる。たしかに秋の気配、抽象画だが実景の雰囲気につつまれる感じ。

鎌倉大谷記念館は最近すっかりご無沙汰しているが、以前は定期的に出かけていた。気になるコレクションはローランサン、キスリング、ビュフェ、そしてドンゲン、キスリング(1891~1953)は裸婦など4,5点みたが、一番魅せられているのは‘花’。花瓶がひっくりか返らないかと心配になるほど花々がテンコ盛り。横浜そごうであった回顧展に数点出品された花の絵よりこちらのほうが見栄えがする。流石、大谷コレクション。

メキシコはいまだ遠い国、20世紀美術史のなかでメキシコの壁画運動は重要な芸術運動であることは認識しているが、本物の絵にまったく縁がないのでその美とは距離感がありすぎる。一度はリベラ、シケイロス、オロスコの大壁画の前に立ちたいと思うが、今は過去みたシケイロス(1896~1974)の描いた‘進歩の寓意’やMoMAの図録に載っているリベラらの作品でメキシコ絵画を楽しんでいる。

シケイロスが進歩の象徴として夢のスーパー列車を描いたのに対し、レジェは戦後の都市再建が進むフランスの街の光景を活写した。頑丈な鉄筋の組み立てに精を出す男たち、明るい青い空が男たちの発する力強いエネルギーと建設現場の活気を浮き彫りにしている。

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2014.09.10

ズームアップ 名画の響き合い! 1949年

Img_0002     レジェの‘余暇’(パリ ポンピドー)

Img_0004     レンピッカの‘手と花’(メキシコ コントレラス財団)

Img_0001     バルテュスの‘地中海の猫’

Img      ビュフェの‘肉屋の少年’(神奈川県長泉町 ビュフェ美)

パリにあるポンピドーが所蔵する数々の名作のなかで最も魅せられているのは3つ、カンディンスキーの‘黄ー赤ー青’、レジェの‘余暇’、そしてまだ本物にお目にかかってないマティスの切り絵‘王の悲しみ’。カンディンスキーとレジェは1997年東京都現美で行われたポンピドー・コレクション展に出品された。

余暇をテーマにした作品は印象派の画家たちもセーヌ川沿いの店で食事を楽しんだり、ボート漕ぎを楽しむ人々の光景を描いているが、レジェ(1881~1955)の関心を引いたのはサイクリングやサーカスのパレードに目を輝かせる人たち。ここに登場する人物は彫刻のような形をし皆正面を向いている。こういう群像図はアンリ・ルソーのイメージと重なってくる。

フランスの女流画家レンピッカ(1898~1980)が戦後に描いた‘手と花’は忘れられない作品。ドキッとするのが手首から先が切断された手、この手と花を組み合わせるシュールな感覚はどこから生まれたのか、思い当たる絵が二つある。

ジョットがアッシジの聖堂の壁画に描いた‘聖フランチェスコ伝’の一枚には画面上部に神の手が描かれいる。そして、フィレンツェのサン・マルコ美にあるフラ・アンジェリコの一連の宗教画、その一枚‘キリストへの嘲笑’では空中に手が浮かぶ。レンピッカはアメリカからフランスへ戻ったあとイタリアを旅行している。ひょっとするとそこでこうした絵をみたのかもしれない。

今年大回顧展があったバルテュス(1908~2001)、抽象画やシュルレアリスムが隆盛を極める画壇のなかにあってもこの動きに関心を示さなかったバルテュスだが、すごいシュールな絵を残していた。東京都美で飛び上がるほどびっくりしたのが‘地中海の猫’、虹の先から魚が連続して飛び出してくる!バルテュスが本気でシュールな絵にとりくんでいたら、ダリやマグリットは焦っただろう。

行きつけの歯医者さんには複製の絵が数点飾ってあるが、その一枚がビュフェ(1928~1999)。17歳でその才能を高く評価されたビュフェが21歳のときてがけたのが‘肉屋の少年’、額にしわを寄せている少年はビュフェの自画像。

奥行きのない平板な空間描写とジャコメッテイの極端に細長い彫刻を連想させる人物がビュフェの特徴、ぶら下げられている牛の肉がボリューム感があるのにこの少年の存在感の薄さ、不安な心情をうかがわせる。

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2014.09.09

ズームアップ 名作の響き合い! 1948年

Img     ワイエスの‘クリスティーナの世界’(NY MoMA)

Img_0003     カーロの‘メダリオンをつけた自画像’

Img_0001     マリーニの‘町の天使’(ヴェネツィア グッゲンハイム美)

Img_0002      ポロックの‘サマータイム’(部分 テートモダン)

美術館には絶対外に出さないと決められている、いわゆる門外不出の作品、ないしはそれに近い扱いの作品がある。例えば、クレラー=ミュラー美だとゴッホの‘アルルの跳ね橋’。

アメリカの美術館ではボストン美にあるサージェントの‘エドワード・ダーリー・ポイトの娘たち’、ゴッホの‘郵便配達夫ルーラン’、日本でボストン美名品展が何度も開催されるのにこの2点はいまだにやって来ない。NYのMoMAはピカソの‘アヴィ二ョンの娘たち’、モンドリアンの‘ブロードウエイ・ブギウギ’、ウォーホルの‘ゴールド・マリリン・モンロー’、そしてワイエスの‘クリスティーナの世界’。

昨年、現地でクリスティーナと二度目の対面をしたが、やはりこの絵の前に立つとしみじみ名画だなと思う。クリスティーナは足が不自由だということを知ってるから、ついつい感情移入してしまう。ワイエス(1917~2009)の回顧展に遭遇することを夢見ているが、果たして。

2009年に世田谷美で‘メキシコ20世紀絵画展’が開催され、念願のフリーダ・カーロ(1907~1954)に出会った。それがメキシコの民族衣装に身を包んだ‘メダリオンをつけた自画像’、じつはカーロの作品はこの絵とMoMAでみた‘変化と私’、‘私の家族’の3点しか縁がない。これではカーロには全然近づけないのでいつかまとまった形でみる機会に出くわすことを祈っている。

イタリアの彫刻家、マリーノ・マリーノ(1901~1980)の作品はローマの国立近代美を2度訪問したので少し目が慣れている。また、ブリジストン美とヴェネツィアにあるグッゲンハイム美でもマリー二の彫刻体験した。そのなかで最も印象深いのがグッゲンハイムの‘町の天使’、部屋ではなく中庭に展示されている。

頭と胴体が水平に形づくられた馬に腕を真横にのばした天使がまたがっている。元気いっぱいの天使とだらっとした馬のコントラストがおもしろい。一目見たら忘れられない作品。

ロンドンのテートモダンにあるポロック(1912~1956)の‘サマータイム’は心が浮き浮きしてくる極上のドリップ絵画、画面に飛び散る黄色と青、そして少しばかり赤の色面が色彩美をこれでもかと主張している感じ。縦85cmだが、横はどーんと5.5mもある。理屈抜きで楽しめる抽象画の傑作。

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2014.09.08

ズームアップ 名画の響き合い! 1947年

Img_0001    デュビュッフェの‘アンズ色のドテル’(パリ ポンピドー)

Img  ブローネルの‘シュルレアリスト’(ヴェネツィア グッゲンハイム美)

Img_0002     ゴーキーの‘苦悶’(NY MoMA)

Img_0003        ポロックの‘五尋の深み’(NY MoMA)

1991年パリで美術館巡りをしたとき、オランジュリー美の近くにあったジュ・ド・ポーム国立美に立ち寄った。事前の情報はなかったのだが、できたばかりのような新しい美術館で開催中の企画展に興味を覚えた。それがデュビュッフェ(1901~1985)の回顧展。

人物描写が独特、まるで子どもが描いた絵のよう。だが、力強く存在感があるのでずっと記憶に残る。ポンピドーにある‘アンズ色のドテル’は誰かの絵と似ている。そう、歌川国芳の落書き画‘荷宝蔵壁のむだ書’、天保の改革で役者の舞台姿がNGになったので、それじゃと反骨精神をもつ国芳は落書きのかたちをとって描いた。

ブローネル(1903~1966)の‘シュルレアリスト’は女の前に置かれているテーブルの形はじつにおもしろい。薄青に彩られたものは一見頭が猫で胴体が魚、頭の先からは花が下に垂れ、水に浮かんだガラスの容器からでる光に照らされている。ブローネルのつくりだすへんてこな生き物をみていると、どこかボスの作品のなかでうごめいている怪物がダブってくる。ボスも発想源のひとつだろうか。

アルメニア生まれのゴーキー(1904~1948)の作品はまだ片手くらいしかていない。昨年少し増えた、ワシントンのナショナルギャラリーでは‘ワン・イヤー・ザ・ミルクウイード’、そしてメトロポリタンにあった‘花咲く水車小屋の水’、日本でみた‘苦悶’とはMoMAで再開するはずだったが、残念なことに展示されてなかった。‘苦悶’は造形的にはミロのユーモラスな形を彷彿とさせるものが熱い鉄板の上で踊らされている感じ。

ポロック(1912~1956)は全部の作品に魅せられているわけではないが、‘五尋の深み’などから密度をましていくドリップ絵画の美に200%魅了されている。オールオーヴァーな画面に何重にも絡まる細い黒の線、神秘的な雰囲気を醸し出す緑のグラデーション、宇宙の果てまで吸い込まれていきそうな気になる。

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2014.09.07

ズームアップ 名画の響き合い! 1946年

Img     マティスの‘ジャズ イカロス’

Img_0004     マティスの‘ジャズ 礁湖’

Img_0001     ダリの‘聖アントニウスの誘惑’(ブリュッセル ベルギー王立美)

Img_0003     バルテュスの‘美しい日々’(ワシントン ハーシュホーン美)

マティス(1869~1954)は晩年病気に苦しめられるが、それをきっかえにとり組んだ切り絵からすっきりした形と明快な色彩が見事に融合した傑作が生まれた。そのひとつが‘ジャズ、全部で20枚、心に響くものがいくつもある。

‘イカロス’はギリシャ神話を題材にしたもの、太陽に接近しすぎて落下するイカロスの様子が黒のシルエットからよく伝わってくる。‘礁湖’はマティスが1930年にオセアニアを旅行したときの思い出にもとづいている。黒の海草のほかに白と赤のミミズやひょうたんを連想させる生き物たちがゆらゆらと海面を漂っている。この切り絵、簡単にできそうだがこれほど秀逸なデザインにはとても仕上がりそうにない。

ダリ(1904~1989)の‘聖アントニウスの誘惑’はブルュッセルの王立美で2回とも姿を見せてくれなかった。海外の美術館へそう何回も行けるわけでもないのに、2回も足を運んだ王立美で不運を繰り返すとは、こういうときは心がひねくれてくる。ブリュッセルという街によほど嫌われている。

隣の方からは4度目のベルギーは無しと釘をさされているが、このダリの奇怪な象とはなんとしても会いたい。悪魔がアントニウスを誘惑するために美女や怪物に変身する。美女が登場するのはお話の通りだなと思うが、細く長い足をもった馬や象はちゃんとアントニウスの心を乱せるだろうか?怖さが足りないのでは。この絵の見どころはやっぱり4頭の象、クモのような足をもつ象をダリはどこから発想したのだろうか?

バルテュス(1908~2001)の回顧展を今年体験したのは一生の思い出になるかもしれない。‘美しい日々’も心を奪われた一枚。視線が向かうのは暖炉の激しく燃えあがる火と少女を後ろから照らす窓からの光。この見事な光の描写をみるとバルテュスがまさに光の画家であることを強く認識する。

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2014.09.06

青木の決勝打でロイヤルズ4連勝!

Img   ピネダの球をきれいにセンターに打ち返す青木

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今日のヤンキースとロイヤルズとの試合は青木の一打が決勝点となり、ロイヤルズが勝利した。これで連勝を4としタイガースに2ゲーム差をつけた。

ヤンキーススタジアム初登場の一番ライトの青木は3回表の2打席目でピネダからきれいなセンター前ヒットを放ちセカンドランナーを迎えいれた。ロイヤルズの得点はこの1点だけ。両リームともヒット3本という典型的な投手戦だったから、好機にヒットを打った青木の活躍が強く印象づけられる。

ロイヤルズは8月にタイガーズと入れ替わって中地区の首位に立っているが、残り試合は23。優勝の行方はまだわからない、タイガースとのし烈な争いが最後の最後まで続きそう。また6ゲーム差のインデイアンスも優勝をあきらめてないはず。このチームは昨年終盤驚異的な追い上げでワイルドカードを獲得しており、その粘り強さは侮れない。

日本人選手のうちポストシーズンでプレーできそうなのはロイヤルズの青木とマリナーズの岩隈の二人だけ。今年ロイヤルズに移籍した青木はチームが優勝争いをしているので毎日気合いが入るだろう。また、今日のレンジャーズ戦で14勝目(6敗)をあげた岩隈もワイルドカードでのポストシーズン進出を狙うマリナーズにあってはチームの勝利に欠かせない主力投手。

西地区3位マリナーズはこれで4連勝となり、2位のアスレチックスに2ゲーム差と迫っている。その投手力はリーグ一を誇り安定しているからワイルドカードを手にいれる可能性がだいぶでてきた。ロイヤルズ、マリナーズの試合から目が離せられない。

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2014.09.05

ズームアップ 名画の響き合い! 1945年

Img_0002     ルオーの‘ヴェロニカ’(パリ ポンピドー)

Img     レジェの‘大きなジュリー’(NY MoMA)

Img_0001     マグリットの‘凌辱’(パリ ポンピドー)

Img_0004     エルンストの‘聖アントニウスの誘惑’(レーンブルック美)

第二次世界大戦が終了した1945年、晩年のルオー(1871~1958)がこの年に描いたのが‘ヴェロニカ’、この麗しの聖女ヴェロニカに長いこと魅せられているが本物とはまだ縁がない。過去3回ポンピドーを訪問する機会があったのに、ヴェロニカはなぜか姿を現してくれなかった。一度はお目にかかりたいが、願いは叶うだろうか。

昨年NYのMoMAへ出かけとき、以前購入した美術館の図録(英文)に掲載されているレジェ(1881~1955)の‘大きなジュリー’も期待の一枚だった。ところが、不運なことに展示されていたのはこの絵ではなく、別の作品2点。また対面が遠のいた。花が咲き乱れ蝶が舞う田園をサイクリングをしながら楽しむジュリー、いつか会いたい。

ここ5年の間に日本でマグリット(1898~1967)をみたのは3回、2度の‘だまし絵展’(2009年、2014年 Bunkamura)とポンピドー所蔵作品で構成された‘シュルレアリスム展’(2011年 国立新美)、‘凌辱’は国立新美に展示された作品。

どぎつい‘凌辱’という名前がつけられているが、それほど心がザワザワする感じでもない。女性の目が乳房に、鼻がへそという具合に入れ替わっている。変な絵だが、こういう変容が意外と違和感を感じさせずじっとながめていると感心してしまうから不思議。マグリットはまさにイメージを変奏させるマジシャン。

エルンスト(1891~1976)の‘聖アントニウスの誘惑’はいつかみたい絵。絵の存在と制作の由来を知ったのは今から27年前、ブリュッセルの王立美にあるダリの同名の絵とセットで心に刻まれている。映画‘ホビット’の一シーンをイメージさせるような怖くてシュールな世界、聖アントニウスを誘惑する美女や怪物たちがあちこちでうごめいている。

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2014.09.04

黒田 5年連続二桁勝利!

Img     レッドソックスの主砲オルティスを完璧に抑えた黒田

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ポストシーズン進出に赤信号が灯りつつあるヤンキースにあって、最近の黒田のピッチングは輝きを放っている。今日ホームで行われたレッドソックス戦でも好投を続け7回をヒット4本しか許さず1失点に抑えた。黒田の気力あふれるピッチングによりヤンキースは5-1で勝利し4連敗を免れた。

この勝利で黒田は5年連続二桁勝利、35歳からずっと10勝以上の勝ち星をあげ39歳になってもまだこれほどの活躍をするのだから本当にスゴイ。8月から投球が安定し、思ったところに球を投げ込んでいる。今日の試合は初回からストライクがポンポンきまりすぐバッターを追い込む。

ストレートの切れがよく、決め球のスプリットやツーシーム、スライダーがいいところにきまれば打者は手が出ない。だから、奪った三振は8つと今シーズン2度目の最多、黒田を調子づかせたのが打線の援護、2回に昨日上原からホームランを放った捕手のマッキャンがまたもライトに2ランホームランを叩き込んだ。この効果的な一発で黒田のピッチングはますますさえ、危なげない内容で7回までマウンドにあがった。

昨年後半はチームがワイルドカードを争っていたときまさかの6連敗、今年も4月は調子が上がらず心配させたが、5月以降立ち直り投球内容はだんだんよくなり、今がベストの状態。年齢による衰えを指摘するメデイアの雑音をはねのけて、シーズン終盤になって好調をあげてくる精神力と鍛え上げた投球技術は称賛に値する。あと2勝くらいいけそう。

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2014.09.03

ズームアップ 名画の響き合い! 1944年

Img_0001   ダリの‘ミツバチにひきおこされた夢’(ティッセン=ボルネミッサ美)

Img     デルヴォーの‘眠れるヴィーナス’(ロンドン テートモダン)

Img_0002     マッタの‘エロスのめまい’(NY MoMA)

Img_0004     デュビュッフェの‘ジャズバンド’(パリ ポンピドー)

ダリ(1904~1989)にあるとき開眼し、追っかけがはじまった。そのなかで特別思い入れの強い作品が3つ、今のところ夢が実現したのは1点のみ。その絵がマドリードのティッセン=ボルネミッサ美にある‘目覚めさせる前の一瞬のザクロの周りに飛んでいるミツバチによりひきおこされた夢’。

長たらしい名前がついたこの絵、はじめて画集でみ瞬間、‘みたいー!’と思った。それが実現したのが3年前のスペイン旅行。魚の口から飛び出す虎を食い入るように眺めていた。ザクロから魚が生まれ、その魚から虎が誕生する、これなんなの?そのあと視線がむかうのが後にいる異様に細長い足をした象、虎や象ばかり追うとうっかり忘れてしまうのがミツバチ、裸婦の下に描かれたザクロのところに飛んでいた。

ロンドンのテートブリテンではどういうわけかデルヴォー(1897~1994)にふられ続けており、‘眠れるヴィーナス’とも‘レダ’とも会えてない。時間の移り変わりにより、観客のみたい作品も変化するのでデルヴォーは展示される回数が減っているのかもしれない。無表情で人形のような女性像は受けないのだろうか。

チリ生まれのシュルレアリスト、マッタ(1911~2002)、不安な空気が漂い落ち着かない‘エロスのめまい’は昨年MoMAでお目にかかった。絵のイメージはタンギーの絵とちょっと似たところがあり、全体を暗くし音を入れた感じ。マッタの作品で印象深いのはシュルレアリスム展(2011年 国立新美)に出品された横が7m、9mもある馬鹿デカい絵。マッタは若いころ建築をやっていたから、モチーフを大画面に建築的な発想で描き込んでいる。

フランスのデュビュッフェ(1901~1985)の作品はみてて楽しい。子どもが描いたような‘ジャズバンド’、左の男は立ってピアノを弾いているよう。同じテーマで3枚描かれ、NYのMoMAにもある。2点を比べると一人〃が生き生きとプレーしているポンピドーのほうに軍配が上がる。

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2014.09.02

ズームアップ 名画の響き合い! 1943年

Img_0001     モンドリアンの‘ブロードウエイ・ブギウギ’(NY MoMA)

Img_0002  ポロックの‘ポーリングのある構成Ⅱ’(ワシントン ハーシュホーン美)

Img_0003     ブローネルの‘パラデイスト’(パリ ポンピドー)

Img      ラムの‘ジャングル’(NY MoMA)

美術館を訪問しいろいろな作品を楽しんだあと、どれが一番心に強く残ったかを目をつぶって思い出してみると名作のひとつやふたつはすぐでてくる。NYにある近代美術館(MoMA)の場合、モンドリアン(1877~1944)が描いた‘ブロードウエイ・ブギウギ’は極めつきの一枚かもしれない。

昨年、この絵を20年ぶりにみた。正方形の画面に縦横に走る黄色の線はマンハッタンの夜景のイメージにピッタリ。人も車も軽快に動き華やかな雰囲気が満ち溢れている大都市、NY。リズミカルでウキウキするようなこの抽象画をみるたびにNYにまたやって来たことを実感する。

ポロック(1912~1956)の回顧展が2年前東近美で開催された。それまでポロックの作品をまとまった形でみることがなかったから、目に前に現れる作品に大興奮。とりわけ感動袋がパンパンに膨らんだのがワシントンのハーシュホーン美が所蔵する‘ポーリングのある構成Ⅱ’。

水を水槽に貯めそこに数種類の色のついた油を流すと色と色は互いに接触し絡み合い不思議な模様ができてくる。ポロックのこの作品はそんな偶然できた色彩の美を喚起してくれる。黒の自由奔放な線や点はそれだけでは重い感じがするが、緑や青や赤のなかにまじるとそれら色を引き立て、同時に黒自体の力強さが輝きだす。

ブローネル(1903~1966)とキューバ人のラム(1902~1982)の作品に登場する生き物あるいは人間は原始社会に存在するものにみえる。人体は思いきりひきのばされ、手足はくにゃっと曲がりなかには切断されたものもある。ラムの絵には仮面がみえるから中南米の古代文明、あるいはアフリカの原住民が目の前をよぎる。

ラムの描く人物は足が異常に大きいのに対し、ブローネルは顔にグロテスクな仕掛けをする。頭の後ろから手がのび、魚がでてくる。あまり長くみていると夢でうなされそう。

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2014.09.01

ズームアップ 名画の響き合い! 1942年

Img_0002     ホッパーの‘夜ふかしをする人たち’(シカゴ美)

Img     デルヴォーの‘人魚の村’(シカゴ美)

Img_0003     ポロックの‘月女’(NY グッゲンハイム美)

Img_0001     タンギーの‘岩の窓のある宮殿’(パリ ポンピドー)

2008年アメリカで美術館巡りの旅を楽しんだとき、飛び上がるほど嬉しい展覧会に出くわした。シカゴ美で開催されていたホッパー(1882~1967)の回顧展。入館するまで情報はまったくなし。だから、突然目の前に宝の山が現れた感じだった。

その宝のなかで強力な磁力を発していたのが代表作の‘夜ふかしをする人たち’、大都会の孤独が見事に描かれている。ここで登場する人物は4人、店の主人と客が3人。感心するのがその人物たちの計算されつくした位置関係。この絵と遭遇したことは一生の思い出。

シカゴ美には名画がたくさんあることは知っていたが、じっさい館内をまわってみると、ここにもあそこにも心を奪われる作品が展示されていた。必見リストに載せていた古典画、印象派、現近代画、アメリカ絵画はかなり高いヒット率でみることができたが、残念なことに一部姿を見せてくれないものがあった。

そのひとつがデルヴォー(1897~1994)の‘人魚の村’、通りを挟んで同じような顔をした女性たちが適当な間隔でおかれた椅子に座っている。ここは人魚が住む海辺に村。普段は海のなかにいる人魚も陸にあがると服を着た女の姿に変身。この村に男たちはいるのだろうか?

ポロック(1912~1956)が30歳のとき制作した‘月女’はピカソやミロの影響が強くみられる。女の背骨が黒の太い線で描かれ、黒い部分には横と正面向きの顔を合体させ、目玉はミロの絵に登場する目に似せている。使われている色は黒と背景の赤と緑、そして少しばかりの黄色と薄青。黒を引き立てる赤の色面が目に焼きつく。

パリがドイツ軍の侵攻で騒々しくなるといち早くアメリカに渡ったイヴ・タンギー(1900~1955)、アメリカで描いた‘岩の窓のある宮殿’は一目でタンギーとわかる静寂で不思議な世界。氷河にも冷ややかな触感の金属にも思える物体が地面に雑然と配されている。その筆致の精緻なこと、ぬめっとしたスーパーリアリズムの作品をみているよう。

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