豪華なラインナップの‘オルセー美展’!
現在国立新美で開かれている定番の‘オルセー美展’(7/9~10/20)は当初はパスのつもりだったので前売り券を買ってなかった。それがやはり行こうと思い直させたのはマネ(1832~1883)の絵。開幕後にネットで出品リストをみて驚いた。
チラシの表紙に使われているのはあの有名な‘笛を吹く少年’。マネはこの絵が目玉の作品としてやってくるのだからほかはないと思っていたら、今回なんと11点。この展覧会チラシ通りマネが主役だった! そのうちこれまでみたのは3点のみ。本場オルセーではほかの画家とのバランスで常時展示されているのは‘笛を吹く少年’だけと思われるが、美術本に載っているものがみれる貴重な機会がめぐってきたのだから、マネファンとしては見逃すわけにはいかない。
広い展示室のなかで多くの人が目を輝かしてみているのはやはり‘笛を吹く少年’、夏休み中なので親と一緒にみている子どもたちや学生風の男女が目立つ。母親は自分もみたいだろうが、子どもにも是非みせたいと思うのはよくわかる。名画を家族で一緒にみる、いい光景。
この絵で心に強く印象づけられるのは少年の上着にかけられている襷と靴下の白、粘り気のある白の油絵の具が厚く塗られており、上着の黒が白の美しさを浮かびあがらせている。そして、赤のズボンで目を引くのは縁取りに使われた黒の太い線、少年の顔に視線はあまり止まらず、この黒い線になぜか釘付けになる。
本物をいつかみたいと思っていたのがマネの夫人を描いた‘読書’と静物画の‘ガラスの花瓶の花’、‘読書’はふっくらとした丸顔の夫人が白いソファに安定感よく描かれている。どうも変なのはその横で手に本を持った男がちょこっと姿をみせていること。この男は一体誰?マネの息子という話だが、はたして。
静物画が4点あったが、静物画というと横長なキャンバスが普通だが、マネはガラスの花瓶の形を描きたかったのか縦長にしている。赤いカーネーションの配置がじつに巧み。ここでも白が画面に美しさを与えている。
‘婦人と団扇’をみるのは大昔に西洋美で行われた‘ジャポニスム展’以来のこと。背景に団扇がいくつも描かれているのはモネの‘ラ・ジャポネーズ’と同じ趣向、ソファに横たわる色白で目の大きい婦人、誰かに似ていると思ったら、4,5年前茶の間で話題になった女芸人のエド・はるみ、どうでもいいことだがまだタレントやっているのだろうか。
| 固定リンク
コメント
オルセー美術館展に先月行ってまいりました。有名な作品が多くて、びっくりしますね。前回オルセーに行ったのは、もう20年も前ですが、その時は両親を案内したので、ゆっくり見ることができませんでした。今回は、かなりいい作品をまとめて観賞することができ、うれしかったです。
さてマネの『横笛を吹く少年』は、私も大好きです。小学校5年のとき初めて見て以来、好きになりました!
『ガラスの花瓶の花』も大変いいですね。色は平面的に塗られているのですが、植物と水の美しさがなんとも言えません。
投稿: ケンスケ | 2014.08.22 23:30
to ケンスケさん
充実した内容のオルセー展ですね。これほどいい
作品がきているとは思いませんでした。
モローもあり、クールベ(2点)、ミレー、
ブーダン、マネ、ドガ、モネ、ルノワール、セザ
ンヌ、バジール、ピサロ、シスレー、カイユ
ボット、オルセーは本当にいい作品を貸し出して
くれますね。好感度200%です。
投稿: いづつや | 2014.08.23 00:53