ズームアップ 名画の響き合い! 1920年
キルヒナーの‘バラ色の二人の裸婦’(メルツバッハ―コレクション)
ドイツにある美術館の名品展が開催される場合、当然のことだがドイツ人画家の作品をみる機会に恵まれる。これがたび重なると関心の高いキルヒナー(1880~1938)やベックマンの絵に目が慣れてくるのだが、今のところその接近度は3割くらいにすぎない。
15年くらい前メルツバッハ―コレクション(ケルン?)が公開され、キルヒナーは3,4点出品された。その一枚が‘バラ色の二人の裸婦’、大胆な筆触とピンクと赤で表現された裸婦の姿が目に焼きついている。この絵をみるとキルヒナーがゴッホから多大な影響を受けたことがよくわかる。
2006年Bunkamuraで忘れられない展覧会があった。当時話題になったのでみられた方も多いかもしれない‘スーパーエッシャー展’、それまで版画でだまし絵を描いたエッシャー(オランダ人 1898~1972)にはまったく縁がなかった。だから、目の前に現れる不思議な模様や迷路のような階段を進んでいく人物、そして下から上昇していく水などが新鮮かつ大変刺激的だった。
エッシャーが二十代の美大生のときに制作した木版画が‘椅子に座っている自画像’、床の上に斜めにおかれた鏡に映るエッシャーが描かれている。こういう椅子に座っている人物を下から見上げるように描く肖像画はみたことがない。エッシャーのこの誰も思いつかない発想力はやがて数々のだまし絵を生み出すことになる。
シュルレアリストのマックス・エルンスト(1891~1976)がどれくらい好きかというと、正直言ってダリやミロ、マグリットの半分。でも惹かれている作品はいくつもあり、3,4点が追っかけリストに入っている。その一点が‘帽子で人もサマになる’。昨年MoMAを久しぶりに訪問したとき、この絵と対面することを期待したがダメだった。
赤や青などで彩られた円筒や円錐形の上に帽子がのっかっているのは部屋の中に掛けられている帽子をみてそれが増殖するイメージが浮かんだのだろうが、人がこんなトーテムに変容するとは。子どもが喜びそうな絵。
デュシャン(1887~1968)の‘なりたての未亡人’はワシントンのナショナルギャラリーでみた記憶がまだしっかり残っている。3回目の対面だったが、いつもポカンとして‘これが未亡人なのね?!’とわからないまま。
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