ズームアップ 名画の響き合い! 1929年
ドランの‘ポール・ギョーム夫人の肖像’(パリ オランジュリー美)
ノルデの‘汝らも幼子のようになるべし’(フォルクヴァング美)
アンドレ・ドラン(1880~1954)にはフォーヴィスム全開の風景画のほかに画風をがらっと変えた人物画がある。これが楽しめるのはパリのオランジュリー美、そのコレクションは美術館が改修工事をやっているときに日本にやって来た。
‘ポール・ギョーム夫人の肖像’はその一枚。この女性の前に立ったときすぐある日本の女優が浮かんだ、岩下志麻。ポール・ギョームはモディリアーニの作品が世にでるのを手助けした画商、その奥さんがおもしろいことに岩下志麻に変身していた。
2010年にBunkamuraでレンピッカ(1898~1980)の質の高い回顧展が開かれた。そのとき特別印象深かったのが‘私の肖像’、まさにファッション誌の表紙を飾るような肖像画。アメリカの黄金時代を象徴するアールデコの香り、こうした時代の空気を伝える絵画作品は古い映画のワンシーンをみているような気分にさせてくれる。
エミール・ノルデ(1867~1956)の回顧展に遭遇しないかと首を長くして待っているのだが、ドイツ人画家の作品を沢山集めてきてくれる美術館は出てきそうにない。‘さもなくば、汝らも幼子たちのようになるべし’はエッセンにあるフォルクヴァング美のコレクション。中央の真っ赤な唇と顔が黄色に塗られたキリストの生き生きした表情が忘れられない。
2年前に行われたメトロポリタン美展にポッパー(1882~1967)のいい絵が展示された。それは明るい光が眩しいほどに描かれている‘トゥ―ライツの灯台’、この灯台をモチーフにした作品を2008年シカゴ美であったホッパーの大回顧展で数点みたが、このMETにあるものが一番惹きこまれる。
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