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2014.07.31

ズームアップ 名画の響き合い! 1929年

Img  ドランの‘ポール・ギョーム夫人の肖像’(パリ オランジュリー美)

Img_0001     レンピッカの‘私の肖像’

Img_0003     ノルデの‘汝らも幼子のようになるべし’(フォルクヴァング美)

Img_0004     ホッパーの‘トゥーライツの灯台’(NY メトロポリタン美)

アンドレ・ドラン(1880~1954)にはフォーヴィスム全開の風景画のほかに画風をがらっと変えた人物画がある。これが楽しめるのはパリのオランジュリー美、そのコレクションは美術館が改修工事をやっているときに日本にやって来た。

‘ポール・ギョーム夫人の肖像’はその一枚。この女性の前に立ったときすぐある日本の女優が浮かんだ、岩下志麻。ポール・ギョームはモディリアーニの作品が世にでるのを手助けした画商、その奥さんがおもしろいことに岩下志麻に変身していた。

2010年にBunkamuraでレンピッカ(1898~1980)の質の高い回顧展が開かれた。そのとき特別印象深かったのが‘私の肖像’、まさにファッション誌の表紙を飾るような肖像画。アメリカの黄金時代を象徴するアールデコの香り、こうした時代の空気を伝える絵画作品は古い映画のワンシーンをみているような気分にさせてくれる。

エミール・ノルデ(1867~1956)の回顧展に遭遇しないかと首を長くして待っているのだが、ドイツ人画家の作品を沢山集めてきてくれる美術館は出てきそうにない。‘さもなくば、汝らも幼子たちのようになるべし’はエッセンにあるフォルクヴァング美のコレクション。中央の真っ赤な唇と顔が黄色に塗られたキリストの生き生きした表情が忘れられない。

2年前に行われたメトロポリタン美展にポッパー(1882~1967)のいい絵が展示された。それは明るい光が眩しいほどに描かれている‘トゥ―ライツの灯台’、この灯台をモチーフにした作品を2008年シカゴ美であったホッパーの大回顧展で数点みたが、このMETにあるものが一番惹きこまれる。

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2014.07.30

連日日本人投手が好投 岩隈9勝目!

Img     岩隈も好投し9勝目をあげる

Img_0001

昨日のダルビッシュ、和田の好投に刺激されたのか、マリナーズの岩隈も対インディアンスとの試合で好投し、勝利投手になった。

前回の登板は本調子でなかった岩隈、今日は初回からテンポよく球を低めに集めいいピッチングが続いた。四球を出さず、球数が少ないから守っている野手はリズムよく飛んできた球をさばき、フライを追える。こういうときは打線の援護も活発、4回の表に最近好調のアクリーのヒットなどで4点が入った。そして、5回にも有望な若手、捕手のズニーノがレフトへのソロホームランで加点。

5点もらうと岩隈は余裕をもって打者と向かい合える。5回の裏ホームラン性の当たりを続けて打たれ2点を与えたが、6,7回も得点をゆるさず、2失点でマウンドを降りた。ヒット6本だから上々のピッチング。これで勝ち星は9つ(5敗)

マリナーズはオールスターゲームのあとは4勝7敗と敗けが先行している。西地区は1,2位のアスレチックスとエンゼルスが6割の高い勝率で走っているので、マリナーズの狙いは2枚目のワイルドカード。この目標にむかって東地区の2位ブルージェイズ、3位のヤンキース、そして中地区の2位ロイヤルズ(青木が所属)との激しい争いを勝ち抜けば13年ぶりのポストシーズン進出となる。

今季はエースのヘルナンデスが11勝(2敗)と好調で、若手のヤングも9勝をあげているので、岩隈がいいピッチングを保てればマリナーズのポストシーズンは十分ありうる。予想は五分五分だが、ブルージェイズも敗けだすともろいところがあるから、先発、抑えが安定しているマリナーズが一気に抜け出す可能性もある。はたしてどうなるか?

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2014.07.29

ダルビッシュ 3年連続二桁勝ち星達成!

Img      イチローにはヒットを許さなかったダルビッシュ

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本日、レンジャーズの本拠地で行われたヤンキースとの試合に先発したダルビッシュは7回を2失点と好投し、チームの勝利に貢献した。勝ち投手になるのはこれで10度目、野茂についでデビューから3年連続二桁の勝ち星を達成した。

2失点はガードナーに3回と5回に打たれたソロホームランによるもの、前回のヤンキーススタジアムでの試合でもガードナーにはホームランを食らい痛い目にあったが、今日もよもやの一打を2本も食らってしまった。ダルビッシュはガードナーとの相性が悪すぎる。ホームラン打者ではないのだからどんどん強気で攻めたらよかったのに慎重になりすぎた。

7回、ダルビッシュは意地のピッチングをみせた。2アウトをとりこの回を楽に終わらせると思ったが、またもガードナーにヒットを打たれ続くジータ―にも今日3本目のヒットで出塁され、2,3塁のピンチ。5回の裏打撃陣が4点をとってくれ2点リードしているが、3番のマキャンを抑えないと同点にされ勝ち星は消えていく。

身を乗り出してみたが、最後はインコースに鋭く落ちる球で三振に仕留めた。ダルビッシュは相当気合が入っており、投げ終わったとき何度も雄たけびをあげた。このバッターを絶対打ち取るんだというダルビッシュの強い思いがこめられた渾身の一球だった。こういうときは思わず拍手をしてしまう。

この試合の中継のなかで嬉しい情報がはいってきた。シカゴ・カブスの和田がロッキーズとの試合で7回1失点に抑え、勝ち投手になった。3Aから昇格して3試合目の登板で待望の勝ち星がついた。

3年前オリオールズに入団しながら肘の手術で2年半をリハビリとマイナーでの登板ですごしたが、ようやくメジャーでの先発の機会がめぐってきた。1勝するのにずいぶん遠回りしたが、和田のひたむきな努力がなんとか報われた。拍手々!

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2014.07.28

ズームアップ 名作の響き合い! 1928年

Img_0001     マグリットの‘偽りの鏡’(NY MoMA)

Img_0003     クレーの‘猫と鳥’(MoMA)

Img         ブランクーシの‘空間の鳥’(MoMA)

Img_0002     スーチンの‘ドアボーイ’(パリ ポンピドー)

マグリット(1899~1967)の作品を目にするときいつも思うことがある。TVのCFをつくっている人たちにとってマグリットは神様にみえるだろうなと。また、ア―ティストにも大傑作‘燃料補給のような食事’を描いた日本のマグリット、石田徹也がいる。

‘偽りの鏡’はみればみるほどイメージの重なりが快感に変わる作品。この絵の成功は画面いっぱいに目が描かれていること。まず、虹彩に空の雲があるのに目が点になる。でも、不思議なんだがこの雲に違和感を感じない。うん、目は空にむかっているのか、そして、黒の瞳はやはり太陽だろうな、、、こんな感じで絵の中にすっと入っていける。シュルリアスムの絵なのに頭が重くならないところがマグリットの大きな魅力。

クレー(1879~1940)の‘猫と鳥’も夢中にさせる一枚、この絵も‘偽りの鏡’と同じように猫の顔がどアップで描かれている。思わず笑ってしまうのが額のところにいる鳥、そして、鼻先の真っ赤なハート模様。この猫ちゃん、目の前にいる鳥を虎視眈々と狙っている。額の鳥は猫の集中力を表現しているのだろう、さらにクレーは遊ぶ、この鳥を食べられたら猫はどんなに幸せか、鼻先に赤いハートをつい描いてしまった。ユーモリスト、クレーに乾杯!

抽象彫刻というとすぐ思い浮かぶのがルーマニア生まれのクランクーシ(1876~1957)、はじめて‘空間の鳥’をみたときは体が震えた。そのシンプルで鋭い造形、そしてブロンズの磨きあげられた表面の質感の心地よさ、いつかブランクーシの回顧展に遭遇したい。

モディリアーニと仲の良かったスーチン(1893~1943)の作品をみたのは両手くらいだろか、パリのポンピドー、オランジュリー、そして日本にやって来たバーンズコレクション、そのなかで最も印象深いのが‘ドアボーイ’、スーチンはボーイの憂鬱な気分を表現するためにモデルに長い時間同じポーズをとらせたという。そりゃーしんどい、顔も疲れでゆがんでくるはず。

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2014.07.27

白鵬 30回目の優勝 豪栄道は大関昇進へ!

Img     日馬富士を上手出し投げで下した白鵬

Img_0001     琴奨菊に勝ち大関昇進をかちとった豪栄道

大相撲名古屋場所は大方の予想通り白鵬が日馬富士を破り30回目の優勝を果たした。結びの一番よりもわくわくしたのが2敗で白鵬と並んでいた琴奨菊と豪栄道の相撲。結果は豪栄道が立ち合いから自分の相撲をとり琴奨菊を寄り切った。

中継をみる前は琴奨菊の優勝を願っていた。今場所は大関にあがったころの馬力がもどり力強い相撲をとっていたから、決定戦で白鵬に勝てる感じがした。ところが、解説を聞いていたら審判部は豪栄道が琴奨菊に勝てば大関に昇進させることを決めたという。

こうなると豪栄道が燃えないはずがない。先場所は8勝というふがいない成績で今場所は大関昇進の話は一切なかったのに、白鵬を破ってから俄然相撲がよくなってきた。豪栄道は強いときは根性がある、だから、だんだん琴奨菊の勝ちがしぼんできた。予想通り、渾身の寄りでこの大一番を制した。

これで直近3場所は12勝3敗、8勝7敗、12勝3敗、通算32勝。先場所は何かが狂っていたがまた12番も勝ったのだから大関昇進に文句のつけようがない。豪栄道の強みは横綱、大関にたいしても互角に戦える実力を持っていること。大阪からは久しぶりの大関誕生。地元の寝屋川は大喜びだろう。豪栄道の頑張りに拍手々!

横綱3人は皆モンゴル出身で大関は来場所から日本人力士が占める。この3人のなかから横綱がでるだろうか?白鵬はまだまだ優勝回数を増やしそうだが、ほかの横綱や大関に優勝のチャンスがないわけではない。精進次第で賜杯を手にすることができる。来場所は巻き返しを狙う鶴竜か突進する力が復活した琴奨菊か、大相撲はおもしろくなりそう。

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2014.07.26

イチロー 今季1号ホームランは逆転3ラン!

Img     3回裏逆転3ランホームランを打ったイチロー

Img_0001       黒田4失点も7勝目

今日行われたヤンキース対ブルージェイス戦のヒーローは今季はじめてのホームランを放ったイチロー、1点差をひっくり返す効果的な3ランだったので4失点した黒田にとっては大援護射撃になった。

先発でライトを守るようになったイチローだが、このところ打撃の調子は下降中、体力面での疲れが影響しているのかなと心配していた。でも、この試合はちがった。バッターは相性のいい投手と対戦するときは調子が落ちていてもなんとかヒットがでる。

ブルージェイズの左腕バーリーに対し、イチローはこれまで4割を超える成績を残しているので自信をもって打席に入っていたのかもしれない。3回裏、ベルトランのソロホームランで1点差と迫ったあとランナーを2人おいてバーリーの投じた高めのスライダーを見度にとらえライトスタンド最前列へ運んだ。

今季イチローは先発で出場することが少なかったので、ここで打ってくれという場面でなかなかヒットがでず、打点をあげられなかった。だから、勝ちゲームのヒーローになったのは久しぶり、この活躍がきっかけになって期待通りの一打が続けてうまれてくるとイチローの打撃が再び輝きを取り戻す。熱く期待したい!

今日の黒田は悪い投球内容ではなかったのに、序盤にパワーヒッターのバティスタにやられてしまった。インサイドの球をレフトに2本もっていかれ4点失った。本来なら敗け投手だが、イチローの一発で救われた。これで7勝目。今のピッチングを維持していけばあと5つくらいは勝てそう。

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2014.07.25

ズームアップ 名画の響き合い! 1927年

Img_0002     マグリットの‘二重の秘密’(パリ ポンピドー)

Img_0003     カッサンドルの‘ポスター・北極星号’

Img     オキーフの青の抽象’(NY MoMA)

Img_0001     ベックマンの‘自画像’(フォッグ美)

シュルレアリスム絵画の鑑賞は印象派同様ライフワーク、そのため熱い思いを抱いて海外の美術館を訪問したり国内の美術館で開催される展覧会に何度も足を運んできた。お気に入りはダリ、ミロ、マグリット、デルヴォ―。

2年前府中市美でデルヴォ―の回顧展が開催されたが、マグリット(1898~1967)については2002年Bunkamuraが世界中から質の高い作品を集めてきてくれた。このあとだいぶ時間が経っているのでまたどこかの美術館が大規模なマグリット展を実施してくれないかと密かに期待している。

1927年に制作された‘二重の秘密’は日本にやって来た。ぱっとみると左の人物は女性の感じがするが、じつは男性。視線はどうしてもとっつきやすいこちらのほうにいく、そして横の顔の半分がはぎ取られた人物をじっとながめる。

この部分は医者が行う喉の手術のイメージがしてちょっとグロテスク、またここに沢山の鈴があるのも不気味。こういう風にみていると左の顔はこのはぎ取られた部分であることを忘れ、二つを別々の存在ととらえてしまう。慣れてしまえば、そういう仕掛けに気づくが最初はそうみれなかった。

カッサンドル(1901~1968)が鉄道会社のためにつくったポスター‘北極星号’をみたときは大きな衝撃を受けた。この大胆な表現は今でも十分通用するほど時代を突き抜けている。この天才ポスター・デザイナーの回顧展がもし開かれたら初日に出かけるつもり。

アメリカの女流画家オキーフ(1887~1986)の作品に大変魅せられている。昨年はワシントンのナショナルギャラリーやNYのメトロポリタンでいくつもの傑作と対面し天にも昇る気分だった。MoMAにある‘青の抽象’は色は違うが火山の噴火を連想する。

ベックマン(1884~1950)の‘自画像’ははじめてボストンへ行ったときハーヴァード大の中にあるフォッグ美でお目にかかった。ベックマンへの関心はこの絵からはじまった。

昨年はブリジストンがカイユボットにスポットをあて、今年はバルテュスやヴァロットンの回顧展が開かれた。この流れに乗ってベックマンとかキルヒナーあたりにもチャレンジする美術館がないものか、帆だけは高く掲げておきたい。

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2014.07.24

ズームアップ 名画の響き合い! 1926年

Img_0001     クレーの‘魚のまわりで’(NY MoMA)

Img_0003     グロスの‘社会の柱石’

Img     ディックスの‘ハルデンの肖像’(パリ ポンピドー)

Img_0002     キルヒナーの‘ヴィーゼン近くの橋’(ダヴォス キルヒナー美)

ひとりの画家に親しみを覚えるきっかえはいろいろある。クレー(1879~1940)の場合は、愛知県美であった大回顧展に出品された‘パルナッソス’とNYのMoMAが所蔵する‘魚のまわりで’がエポック的な鑑賞になった。

昨年訪問したMoMAではこの‘魚のまわりで’を20年ぶりにみることができた。ほかにも‘猫と鳥’などがあったがやはりこの絵の前にいる時間が長くなる。これはクレーがデッサウのバウハウスに移った年に描かれたもの。ミロのユーモラスな生き物が登場する漫画チックな絵が好きなのでクレーの描く魚にもぐっと心が寄っていく。

色彩で吸いこまれるのが二匹の魚が盛られた濃紺の大皿、そして黄色の円。こうした色がものすごく印象深く残っているのは背景が黒だから。何度見てもこの絵は心を打つ。

これまでグロス(1893~1959)の作品をみたのは片手くらいしかない。そのため、この画家が生涯に手がけた作品の全体像がつかめないまま。少ない体験だがグロスの政治や社会を痛烈に諷刺する作風は強いインパクトを放っているので、やわからぬ刺激をもらっている。

‘社会の柱石’に描かれた男性がどの人物でも忘れられないのは顔の漫画風ではあるがリアルな描き方のため。鼻の頭や頬に細い血管が浮き出ているのがじつに生々しい。道を歩いているとたまにこいういう赤い血管にドキッとさせられる老人に出会う。

ポンピドーにあるディックス(1891~1939)の‘ジャーナリスト、シルビア・フォン・ハルデンの肖像’、ぱっとみるかぎりこの人物は男性にみえる。ある時期まで女性とは思ってなかった。タイトルを読みじっくりみてみると、確かに物書きとか文化人にはこういう男性のような恰好をした女性がいることに気づく。

第一次大戦中の1917年にベルリンからスイスのダヴォスに移り住んだキルヒナー(1880~1938)はそれまでのとげとげして緊張感に満ちた画風をがらっと変え、装飾的な風景画を手掛けるようになる。Bunkamuraでみた紫色を多用した‘ヴィーゼン近くの橋’はなかなか見ごたえのある一枚だった。

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2014.07.23

ズームアップ 名作の響き合い! 1925年

Img_0001     ミロの‘アルルカンのカーニバル’(オルブライト=ノックス美)

Img     カンディンスキーの‘黄-赤―青’(パリ ポンピドー)

Img_0002  キスリングの‘モンパルナスのキキ’(ジュネーブ プティ・パレ美)

Img_0003     ラリックの‘シュザンヌ’(諏訪市 北澤美)

‘名作の響き合い!’シリーズをやっていると傑作同士が華麗に響き合っている年がある。1925年はそんな年。

ミロ(1893~1983)の‘アルルカンのカーニバル’は‘耕地’同様200%嵌り続けている作品。でも本物はまだみていない。日本にやってきたのに展示会場が違っていたのでみることが叶わなかった。その展覧会は2002年に世田谷美で行われた‘ミロ展:1918-1945’。

当時広島にいたが東京に出張があったおり世田谷美に寄り、楽しいミロワールドを存分に味わった。ところが、‘アルルカンのカーニバル’は巡回先の愛知県美のみの展示。だから、世田谷美で大好きな絵と出会えないめぐりあわせの悪さを恨んだ。

この絵はボスの‘快楽の園’のユーモラス版のようなところがある。ここで描かれたものはボスの絵にでてくる奇怪で不気味な生き物とはちがい、どれも愛嬌があってチンドン屋的、手前中央にいるのは犬で右が猫?左に目をやるとおもしろい奴がいる、一つ目小僧のように首が長くその顔は岡本太郎の‘太陽の塔’をイメージさせる。その横にはサイコロの箱の中に入った蜂のような生き物。いつか本物をじっくりみてみたい。

カンディンスキー(1866~1944)の‘黄-赤―青’はポンピドーを訪問した時の楽しみのひとつ。円や矩形などの幾何学的なフォルムの配置と重なり具合が目に心地よく、その形を生き生きさせている明るい純色の組み合わせにも目を見張らせる。とにかくこの抽象画には極上の美しさと明るさがある!

マン・レイが恋したキキをモデルにして描いたキスリング(1891~1953)の‘赤いセーターと青いスカーフをまとったモンパルナスのキキ’、7年前横浜そごうで会ったときは息を吞んでみていた。色の白い女性は赤が似合うとよくいうが、赤のセーターを着たキキも白子のように色が白そう。

1925年、パリで‘現代装飾美術産業美術国際展覧会’(通称アールデコ展)は開かれた。この年65歳になったラリック(1860~1945)はガラス部門の責任者をつとめ、ガラスデザイナーとして大活躍した。オパルセント・ガラスの魅力に惹きつけられる立像‘シュザンヌ’は北澤美でお目にかかった。いい気持で何度もぐるぐるまわってみた。

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2014.07.22

ズームアップ 名作の響き合い! 1924年

Img_0001     ミロの‘耕地’(NY グッゲンハイム美)

Img     マン・レイの‘アングルのヴァイオリン’(パリ ポンピドー)

Img_0002     シャガールの‘ヴァイオリン弾き’(NY グッゲンハイム美)

Img_0004  キルヒナーの‘コーヒーテーブル’(エッセン フォルクヴァング美)

シュルレアリスム運動がはじまったのは1924年、ブルドンの仲間になったミロ(1893~1983)がシュールな感覚をおおいに発揮して描いたのが‘農園’のシュールヴァージョン‘耕地’。

この絵を23年前セゾン美でみたことでミロ好きが決定的になった。じつに楽しい絵、右には目と耳をもった松の木が描かれ、そのまわりに三角の帽子を被ったとかげや大きなかたつむりがいる。ほかにも鶏、兎、牛、犬、馬がおりとても賑やかな農園の風景。

ここに場違いな新聞がある。一体誰が読むの?とかげの頭に帽子をのっけたはずみで新聞がでてきたのはピカソのコラージュの影響だろう。左で目と耳の木とバランスさせているのが前衛的な生け花を連想させる木と鋭く上にのびるギザギザの葉、赤塚不二夫はこの絵をみてニャロメを生み出したにちがいない。

マン・レイ(1890~1976)の‘アングルのヴァイオリン’が目の前に現れたとき、素直にすごい絵だなと思った。キキの後ろ姿を写した写真にインクでヴァイオリンのf字孔が描き入れられている。これがキキのお尻の形にぴったり合っている。こういうフォルムの親和性をぱっと思いつくマン・レイ、‘どお、違和感ないだろう!’といわれているよう。

NYにある美術館にはシャガール(1887~1985)の傑作がいくつもある。MoMAの‘私と村’、‘誕生日’、そしてグッゲンハイムには‘ヴァイオリン弾き’、‘窓から見たパリ’、‘お茶を飲む兵士’、‘画家の妹’、My‘シャガールベスト5’で外せないのは‘私と村’と‘ヴァイオリン弾き’

‘ヴァイオリン弾き’が目に焼きついているのは衣服の紫と緑の顔と手が印象深いから。緑の顔が強烈なイメージ、これほど強い緑をみるのはあまりないが、この緑一色だけで神秘的な夢の世界が伝わってくる。シャガールは‘ヴァイオリン弾き’の画題を繰り返し描いており、以前訪問した鹿児島市の長島美にもこの絵とよく似た別ヴァージョンが飾ってあった。

キルヒナー(1880~1938)の‘コーヒーテーブル’、細長いカマキリのような人物がインプットされているキルヒナーの作品とはうって変わってなんとも穏やかで心がほっとする絵。コーヒーを一緒する家族、ここには普通の家庭の小さな幸せがある。

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2014.07.21

ズームアップ 名画の響き合い! 1923年

Img     カンディンスキーの‘コンポジションⅧ’(NY グッゲンハイム美)

Img_0002     エルンストの‘ユビュ王’(パリ ポンピドー)

Img_0004     デュシャンの‘大ガラス’(フィラデルフィア美)

Img_0001     ホッパーの‘踏切’(NY ホイットニー美)

抽象画のなかで最も魅かれているのはカンディンスキー(1866~1944)の作品、カンディンスキーを多く所蔵しているのはミュンヘンのレンバッハハウスとパリのポンピドー、そしてNYのグッゲンハイム。レンバッハハウスにはまだ足を踏み入れてないが、ポンピドーとグッゲンハイムでは心を虜にする傑作の数々と遭遇した。

その抽象美に完璧に嵌っているのが‘コンポジションⅧ’とポンピドーにある‘黄色ー赤ー青’。明るい色彩で彩られた大小さまざまな円は心地いバランスで画面に配置され、横や斜めに伸びる線や安定感のある三角と絶妙に絡み合っている。そして、どこからともなく聞こえてくるのは軽快な音楽。これほど美しい抽象画に出会うことができたのは生涯の喜び。

エルンスト(1891~1976)の‘ユビュ王’は印象深い作品、シュルレアリストの発想には凡人の感性ではとてもついていけない。中央の人間独楽(こま)をみた瞬間もうお手上げ。顔の部分は横に傾いているが、これはピサのシ斜塔。独楽と斜塔でできたこの真っ赤なかたまり、強い権力の存在を感じさせるが同時にその権力が不安定なものであることもイメージできる。

昨年フィラデルフィア美を訪問し長年の夢を叶えることができたが、ひとつ残念なことがあった。よりによってデュシャンの部屋が改修工事のためクローズ。だから、必見リストで◎をつけていた‘大ガラス’と覗き穴からみる‘遺作’がパーになった。こういうことはよくあることとはいえ残念でならない。

‘彼女の独身者たちによって裸にされた花嫁、さえも’、通称‘大ガラス’のレプリカ(東大)は横浜美で開催された‘デュシャン展’でお目にかかったが、未完成に終わった本物をいつかみてみたい。だから、フィラデルフィア美にはもう一度でかけるつもり。

デュシャンよりも5歳年上のホッパー(1882~1967)は1923年に‘踏切’を描いている。この絵は8年くらい前府中市美で開かれた‘ホイットニー美展’で公開された。ホッパー独特の静かだがどこか淋しさの漂う風景画。

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2014.07.20

ズームアップ 名画の響き合い! 1922年

Img_0002     キスリングの‘オランダ娘’(大阪市立近美準備室)

Img     藤田嗣治の‘ジュイ布のある裸婦’(パリ市立近美)

Img_0003     ミロの‘農園’(ワシントンナショナルギャラリー)

Img_0001     クレーの‘ゼネツィオ’(バーゼル美)

芸術家がどんな道を歩み生涯にどれほどの作品を残したかを知るには二つの方法がある。ひとつは本屋に行き美術本を手に入れること。もうひとつはその作家の作品を集めた回顧展を体験する。

キスリング(1891~1953)の場合、本屋に足を運んでもモノグラフはみつからない。例えばTASCHENの美術家シリーズのなかに残念ながらキスリングは入ってない。だから、このポーランド生まれのユダヤ人画家は長いことその画業をトータルでつかむことができなかった。

それを解消してくれたのが7年前横浜のそごうで開かれた‘キスリング展’、ここでジュネーブにあるプティパレ美の所蔵する質の高いコレクションがどどっと展示された。それまでキスリングといえば裸婦や肖像のイメージしかなかったが、ほかにも静物や風景も描いており幅広い画題を手掛けた画家であることがわかった。

‘オランダ娘’は魅了された作品の一枚、息を吞んでながめていたのは若い娘のつるつるした顔や腕、無表情で人形みたいな感じだが、これほど色彩と質感が豊かだとつい見入ってしまう。また、猫のような目が忘れられない。この絵を所有しているのは大阪市、いまだに近代美術館はできないが、何年か先に美術館がオープンしたら‘オランダ娘’も自慢の作品として多くの美術ファンの関心を集めることだろう。

藤田嗣治(1866~1968)の代表作、‘ジュイ布のある裸婦’はかなり前に訪れたパリ市立近美でお目にかかった。このモデルがキキであることは知っていたが、描かれた女性は西洋人にはみえず日本人のイメージ。嗣治は乳白色の肌を描くことにエネルギーを集中させていたからキキのリアルな姿はどうでもよかったのだろう。

はじめてワシントンのナショナルギャラリーへ行ったときは好みの画家は今ほど多くなった。だから、記憶に残っている作品はすぐでてくる。そのひとつがミロ(1893~1983)の若いときの作品‘農園’、この絵を買ったのはヘミングウエイ、ミロは大好きな画家であり、しっかりインプットされているミロとヘミングウエイの交流話を思い浮かべながらみていた。

クレー(1879~1940)の‘ゼネツィオ(野菊)’は美術本でのつきあいは長いが本物にはまだ縁がない。バーゼル美めぐりをいつか実現させようと思っているが、そのとき用意する必見作品リストにこの絵はもちろん◎付きで入っている。

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2014.07.19

ダルビッシュ 9勝目!

Img     ブルージェイズ戦で好投したダルビッシュ

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大リーグはオールスターが終わり今日から後半戦に突入。現在8連敗のレンジャーズはトロントでブルージェイズと3連戦、その初戦にダルビッシュが先発した。

オールスターでは3番手でマウンドにあがり3人をアウトにとりはじめての登板を無事に投げ切ったダルビッシュ、今日の試合はダルビッシュの得意球のスライダーの切れがすごく良く、6回3分の2を12奪三振、1失点に抑えた。ダルビッシュがこういうピッチングをしてくれると大リーグ観戦は本当に楽しい。

レンジャーズは今、西地区の最下位、首位のアスレチックスから20.5ゲームも離されている。投手も野手もケガ人が多くチーム力はガタガタ、こういうチーム事情ではダルビッシュが勝ち投手になるのは容易ではない。

後半は同地区のチームとの試合は多くなるが、今年の西地区は昨年のアリーグ中地区のように上位のアスレチックス、エンゼルス、マリナーズが激しい戦いを繰り広げそうな感じ。マリナーズだってこのままくっついていくと2枚目のワイルドカードを手に入れる可能性は十分にある。

このため、この3チームはレンジャーズとアストロズと対戦するときは絶対取りこぼさないという思いで戦ってくる。とにかく目標を失いモチベーションの低下しているチームに不覚をとるわけにはいかない。だから、レンジャーズが勝利するのは大変、さらに悪いことにはダルビッシュはアスレチックスとマリナーズを苦手にしている。

となると、今シーズンのダルビッシュの勝ち星はあと5つ加え13、14勝くらいかもしれない。期待値は20勝だったのだが、残念だがこれだけチームが弱くなるとこういう結果も仕方がない。

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2014.07.10

お知らせ 

拙ブログはしばらくお休みします。

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2014.07.09

ズームアップ 名作の響き合い! 1921年

Img_0001     エルンストの‘セレベスの象’(ロンドン テートモダン)

Img     ハウスマンの‘機械的頭部’(パリ ポンピドー)

Img_0003     クレーの‘赤いフーガ’

Img_0002 クプカの‘線、平面、奥行き’(バッファロー オルブライト=ノックス美)

現在、テートギャラリーのコレクションはテートブリテンとテートモダンの二つの美術館に分けて展示されているが、この姿になる前はテートギャラリー(今のテートブリテン)で一緒にみることができた。

20数年前はじめてここを訪れたとき、心を奪われた絵が3点あった。ピカソの‘泣く女’、ダリの‘ナルシスの変貌’、そしてエルンスト(1891~1976)の‘セレベスの象’、この怪物のような象が描かれた絵によってエルンストというシュルレアリストの存在を知ることになった。

この象、確かに下の太い足をみれば象かなと思うが顔はどこにあるのか、しっぽの先に噛みついているのは角を出した牛。黒い胴体は冬の時期にたくストーブを連想した。この象がなにを表しているのか、わかりようがないけれどシュールな絵をみるときは難しく考えないことにしている。右下の頭のない裸婦は象にむかって‘さあー、行くわよついてきて!’とでも言っているのだろうか。

パリのポンピドーでみたハウスマン(1886~1971)のオブジェは頭から消えない作品。木の質感が印象深く感じられるマネキンには金属製のコップが頭の上に置かれ耳のところには物差しがくっつけられている。これも一種のコラージュ、ここでハウスマンは人間の没個性をダダ的精神で表現している。

クレー(1879~1840)の‘赤いフーガ’はヴァイオリンが得意だったクレーならではの作品。まだお目にかかってなくいつかこの目でという思いは強いが、これはクレー家が所蔵しているものだからこの先も縁がないだろう。繰り返し、反復、変奏を特徴とするフーガのイメージが薄ピンクのグラデーションで表現された形のリズミカルな変化とピタッと一致する。

抽象表現で名を成した作家でお気に入りはモンドリアン、カンディンスキー、クプカ(1871~1957)。クプカの魅力は宇宙的な抽象美。‘線、平面、奥行き’を日本で開催されたオルブライト=ノックス美展をみたときはスペースシャトルに乗って無限に膨張する宇宙空間をつき進んでいるような気分だった。

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2014.07.08

岩隈 ツインズ戦で好投 7勝目!

Img    安定したピッチングで復活した岩隈

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マリナーズの岩隈がホームのツインズ戦ですばらしい投球をみせチームの勝利に貢献した。

今日は初回から球が低めに決まり、三振の山を築いていく。一番の見せ場が7回、1アウトの後ヒットを2本続けられ2、3塁のピンチ、この状況でヒットを」許すと1-2と逆転されてしまう。が、岩隈は崩れる気配がない。続くバッターをまずサードゴロにしとめ、そのあとはフルカウント3-2から落ちる球で見事三振をとった。

味方打線が6回までにとってくれた点は2回捕手のズニーノがレフトに放ったソロホームランの1点だけ。追加点がなかなか入らなかったから、岩隈も毎回緊張の投球だったにちがいない。でも、今日の内容は昨年調子がよかったときを同じくらい安定していた。

ストレートがいつもより3,4キロ速く、球が低めにコントロールされているから長打をくらわない。結局7回を4安打奪三振10、無失点に抑えた。これで7勝目(4敗)、完全に復調した感じ。チームは地区の3位だが、ワイルドカー2位をキープしているから、後半戦でも勝ち星は期待できる。

今シーズンマリナーズはカノーの加入と先発陣の好投により、勝率5割をずっと上回っている。久しぶりに訪れたポストシーズン進出のチャンス、だから当然、戦力強化のため7月31日締め切りのトレード期間までに狙った選手の獲得に動くものと思われる。

5月の頃マリナーズはイチローを呼び戻すのではないかと勝手に妄想していた。ヤンキースでライトのポジションを昨日獲得したイチローではあるが、ヤンキースは地区優勝しないかぎりポストシーズンへは進めない。

だとしたら、イチローは7.8番しか打たせてもらえないヤンキースにいるよりマリナーズでプレーするほうが気分がいいはず。マリナーズで1番か2番を打つイチローのはつらつとした姿をまたみてみたい。

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2014.07.07

黒田6勝目 イチロー3安打!

Img      4失点も打線に援護されて6勝目をあげた黒田

Img_0001     久しぶりの3安打で全開のイチロー

今日ミネアポリスで行われたヤンキースとツインズの試合は大量得点したヤンキースが9-7で勝利した。前回の登板では8回を2点に抑えながら打線が1点しかとれず敗け投手になった黒田、この試合も不活発な打線が心配されたたが、これまでの傾向かとはうって変わってどうかしたのかと思うほど点が入った。

1回に2点、2回は3番エルズベリーの3ランホームランがでて4点、そして4回にも3点、4回までになんと9点、これほど点が入ると投手は楽なもの。監督も球数が100球くらいになる6回で黒田はお役御免と決めているはず。この展開は3回まではうまくいった。

ところが4回裏黒田の投球リズムが悪い、1アウトの後四球を与えたあたりから嫌な雰囲気になった。次の打者のときは不運だった、難しい投ゴロを一塁に悪送球、このあとホヒットが2本続き2点を入れられ、さらに2ランホームランを見事に放りこまれた。あっという間の4失点。めったうちにされたという感じではないから、黒田は次の5回と6回の2アウトまで頑張りゼロで抑えた。

これで6勝目、マー君の勝ち星の半分だが、ヤンキースの先発陣の主軸としてよく投げている。オールスター休みまであと1つ勝ちが欲しいところ。

今日はイチローが久しぶりにイチローらしいバッティングをみせた。4打数3安打、ヒットはいずれも初球をレフトに流し打ち。試合前に動きがあり、ライトのポジションを交互に出場していたソリアーノが戦力外になった。これによりイチローのライトでの先発が決まった。シーズンのはじめライトの守備についていたベルトランはまだ体の故障が完全に回復してないので当面はDHが続く。

そのためイチローはシーズンの後半は休養のためにベンチにいることはあるだろうが、それを除けば毎日レギュラーとして先発起用される。ようやくフルに活躍できる機会が与えられた。さあー、これから巻き返し、ヒットを量産して欲しい。

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2014.07.06

ズームアップ 名画の響き合い! 1920年

Img   キルヒナーの‘バラ色の二人の裸婦’(メルツバッハ―コレクション)

Img_0001     エッシャーの‘椅子に座っている自画像’(ハーグ市美)

Img_0003     エルンストの‘帽子で人もサマになる’(NY MoMA)

Img_0004     デュシャンの‘なりたての未亡人’(ワシントン国立美)

ドイツにある美術館の名品展が開催される場合、当然のことだがドイツ人画家の作品をみる機会に恵まれる。これがたび重なると関心の高いキルヒナー(1880~1938)やベックマンの絵に目が慣れてくるのだが、今のところその接近度は3割くらいにすぎない。

15年くらい前メルツバッハ―コレクション(ケルン?)が公開され、キルヒナーは3,4点出品された。その一枚が‘バラ色の二人の裸婦’、大胆な筆触とピンクと赤で表現された裸婦の姿が目に焼きついている。この絵をみるとキルヒナーがゴッホから多大な影響を受けたことがよくわかる。

2006年Bunkamuraで忘れられない展覧会があった。当時話題になったのでみられた方も多いかもしれない‘スーパーエッシャー展’、それまで版画でだまし絵を描いたエッシャー(オランダ人 1898~1972)にはまったく縁がなかった。だから、目の前に現れる不思議な模様や迷路のような階段を進んでいく人物、そして下から上昇していく水などが新鮮かつ大変刺激的だった。

エッシャーが二十代の美大生のときに制作した木版画が‘椅子に座っている自画像’、床の上に斜めにおかれた鏡に映るエッシャーが描かれている。こういう椅子に座っている人物を下から見上げるように描く肖像画はみたことがない。エッシャーのこの誰も思いつかない発想力はやがて数々のだまし絵を生み出すことになる。

シュルレアリストのマックス・エルンスト(1891~1976)がどれくらい好きかというと、正直言ってダリやミロ、マグリットの半分。でも惹かれている作品はいくつもあり、3,4点が追っかけリストに入っている。その一点が‘帽子で人もサマになる’。昨年MoMAを久しぶりに訪問したとき、この絵と対面することを期待したがダメだった。

赤や青などで彩られた円筒や円錐形の上に帽子がのっかっているのは部屋の中に掛けられている帽子をみてそれが増殖するイメージが浮かんだのだろうが、人がこんなトーテムに変容するとは。子どもが喜びそうな絵。

デュシャン(1887~1968)の‘なりたての未亡人’はワシントンのナショナルギャラリーでみた記憶がまだしっかり残っている。3回目の対面だったが、いつもポカンとして‘これが未亡人なのね?!’とわからないまま。

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2014.07.05

出光美の‘鉄斎展’!

Img_0003     ‘口出蓬莱図’(1893年)

Img     ‘放牛桃林図・太平有象図’(部分 明治時代)

Img_0002           ‘柳塘銷夏図’(1911年)     

Img_0001     ‘旭光照波図’(1922年)

久しぶりに出光美を訪問し‘鉄斎展’(6/14~8/3)をみてきた。ここが所蔵する富岡鉄斎(1836~1924)の作品をこれまで見たのは肩手くらい。だから、今回70点近くでてきたのはちょっと驚き、美術館との付き合いは長いのに、意外だが鉄斎の作品を多くみる機会がなかった。

出光コレクションで一番のお気に入りはとてもユーモラスな‘口出蓬莱図’、道士は後ろ姿という意表をつく姿で口から天にむけて理想郷の情景を吐き出している。夢でみた世界を頭からでた吹き出しのなかに描く浮世絵を数点みたことがあるが、ユートピアの世界がこのように口からでてくるというのがおもしろい。

出光にある日本画のコレクションは質の高いことで有名だが、流石に鉄斎もいいのを集めている。1996年愛知県美で開催された大規模な‘富岡鉄斎展’を体験し、鉄斎の画業全体がおおよそ頭のなかに入ったが、出品作は清荒神清澄寺、東博、京近美、京都市美、大和文華館などからやってきたものでどういうわけか出光のものは一点もなかった。そのため今回の回顧展にでている作品一点々に強く反応した。

見ごたえのあるのは六曲一双の屏風に描かれた桃の花と牛、量感あふれる牛たちは桃の香りに上機嫌の様子、肩の力がすっと抜ける一枚、しばらく心安らかにみていた。

理想的な山を鮮やかな群青と緑青で表した‘青緑山水’の作品には体がぐっと寄っていく。どの絵もつい画面の上から下までじっくりみてしまう。‘柳塘銷夏図’は足の指先みたいな形をした緑の山々のすぐ横に帆舟が描かれている。こんな高い所を流れる川を舟が進んでいるのをみるとなにかファンタジックな気分になるが、中央あたりでは東屋にいる文士に視線をやる男を乗せた川舟がさらに下って行く。

鉄斎が亡くなる2年前に描いた‘旭光照波図’に大変魅了された。下に描かれた川の波が飛び散るダイナミックな光景とは対照的に上部の山々はまわりに霞がたなびく静謐な世界。いい絵に出会った。

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2014.07.04

木版画家 ヴァロットンの魅力!

Img     ‘版画愛好家’(1892年)

Img_0001     ‘入浴’(1894年)

Img_0003     ‘怠惰’(1896年)

Img_0004     ‘有刺鉄線’(1916年)

三菱一号館美が所蔵するヴァロットン(1865~1925)の版画作品、全部で187点あるそうだが、今回の回顧展(6/14~9/23)には60点あまりが展示されている。このなかに過去みたものが4点あった。

そのひとつが‘怠惰’、ベッドでうつ伏せになっている裸婦が手をのばして猫の顔を撫でている。この手と猫の体、そして尾っぽを結ぶラインが目にどんと入ってくる。これはモノクロの版画だが、油彩の作品として制作されていたとしたらこの絵以上に足がとまるだろう。

色がついた作品を想像してみると、誰の絵が思い浮かぶか、その画家はズバリ、マティス! ベッドの平板でありながら奥行きがあるようにもみえる描き方はエルミタージュにあるマティスの‘赤の食卓’のテーブルとよく似ている。ヴァロットンの魅力はこの絵にみられるように対象を斜めに配置して動きをつくりだすところ。

ベッドが斜めに置かれ、裸婦の手と猫はもうひとつの斜めのラインをつくる。そしてこの光景は部屋の天井から斜めに見下ろすかたちで描かれている。だから、ぱっとみると平板なイメージだがじつは立体的な空間のなかにいることになる。こういう発想は並みの画家の頭の中からは生まれてこない。

今回はじめてみる版画に多く遭遇したが、ロートレック(1865~1925)のポスターや油彩を意識させるものがいくつかあった。ロートレックそっくりだなと思わせるのが‘版画愛好家’、これも通りが斜めに走っている。その左端、シルクハットを被った男の体の半分は画面からはみ出している。そして手前の男たちの描き方がうまい。右はでっぷりした男が横を向き、その後ろを急ぎ足の人物が通り過ぎようとしている。この静と動の対比が見事!

‘入浴’もロートレックが描く娼婦がダブってくる。この絵が印象深いのは画面の中央を横切るバスタブの曲線、女性がバスタブの縁に手をやっているのをみると入浴中というより小舟に乗っている感じ。タオルをもち横に立っているメイドの体の一部をカットするのはヴァロットンの常套手段。

最後の部屋に展示してあった‘これが戦争だ!’シリーズでは‘有刺鉄線’にぐっときた。これはまさに漫画、有刺鉄線にからまった二人の兵士、一人は太鼓腹をみせてひっくり返っている。顔をみせない兵士の死体を漫画チックに描くことで戦争のむごたらしさを浮き彫りにしている。

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2014.07.03

ヴァロットン サプライズは神話画!

Img ‘竜を退治するペルセウス’(1910年 ジュネーヴ美術・歴史博)

Img_0002     ‘立ち上がるアンドロメダとペルセウス’(1918年)

Img_0003 ‘引き裂かれるオルフェウス’(1914年 ジュネーヴ美術・歴史博)

Img_0005     ‘女性を連れ去るサテュロス’(1910年 ローザンヌ州美)

ヴァロットン(1865~1925)の作品でこれまでみたものは版画を数点とオルセーにある‘ボール’や男性の群像肖像画などの油彩を合わせて両手くらい。だから、三菱一号館美の回顧展(6/14~9/23)で神話を題材にした作品が目の前に現れたときは大げさにいうと仰天した。

アンドロメダを救うペルセウスの絵が2点あるがともに大変魅せられた。大作‘竜を退治するペルセウス’で強い存在感を放っているのは中央のペルセウスよりやっつけられているワニのほう。竜ではなくワニもありか、ヴァロットン、おもしろい発想をするじゃない、という感じ。

そして、左にいるアンドロメダ、顔から表情が消えているペルセウスとは対照的に鋭い目でペルセウスとワニの格闘をみつめている。恐怖におびえるアンドロメダのイメージではなく、‘ペルセウス、助けに来るの遅いじゃない、私は早く家に帰りたいんだから、このワニさっさとかたずけてよ’とでもいいたげな顔。

‘立ち上がるアンドロメダとペルセウス’は構図と色使いがすばらしい。感心しながらみていた。天の裂け目から現われるペルセウス、その姿を海を進む竜が睨みつける。まさに激しい戦いがはじまる寸前、そして左では岩を背にしたアンドロメダが‘早く助けて!’と声を震わせている。ここで使われている色は青(ペルセウス)、緑(竜)、赤(アンドロメダ)、赤茶色(岩)の4色、この色が黒と黄色で二分された画面に浮き上がり、いっそうの緊迫感を生み出している。

最後の部屋に飾ってあった‘引き裂かれるオルフェウス’を立ち尽くしてみていた。哀れ、オルフェウス、失意にくれて冥界から戻って来たというのに、何がトラキアの女たちの癇にさわったのか、石をぶつけられ、背中の皮を引き裂かれ血が吹きだしている。トラキア人は男も女も強いワインを水で割らずに吞んでいたから、女たちの気性も激しかったにちがいない。

‘女性を連れ去るサテュロス’をみた瞬時にピエロ・ディ・コジモの描く暴力的な人物描写が頭に浮かんだ。そして、背景のキラキラ光る海面にも目が吸いこまれた。

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2014.07.02

マリナーズ岩隈 6勝目!

Img     アストロズ戦で6回1失点に抑え勝ち投手になった岩隈

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ここ2試合調子を落とし敗けが続いていたマリナーズの岩隈、今日のアストロズ戦では打線が大量得点してくれたこともあり、6回を1失点とまずまずのピッチングをみせ勝ち投手になった。これで6勝目(4敗)。

これまで岩隈をとりあげる機会がなかなかめぐってこなかった。前回登板したレッドソックス戦はLIVE中継があり期待してみたが、結果は主砲オルティースに見事な3点ホームランを打たれるなど散々。このところ持ち味のコントロールは甘くなっているため、ここ一番でよく打たれる。球威で打者を抑え込む投手ではないから、球が低めに決まらないとゲームを支配できずチームの勝利に貢献できない。

今日の試合では制球力がどのくらいもとに戻るかがポイントだったが、1回のピンチを1点にとどめたのがその後のいいピッチングにつながり、5回を無得点でのりきった。ヒットは7本打たれているので本調子とはいえないが、この勝利が復調のきっかけになると思いたい。

マリナーズは長年続いた低迷から脱し、現在勝率.548と勝ち越している。西地区での順位は3位で首位アスレチックを5.5ゲーム差で追っている。アスレチックスが今アリーグで最も高い勝率(.614)で勝ち進んでいるため地区では3位となっているが、リーグのワイルドカード争いでみると西地区のエンゼルスとマリナーズが1、2位につけている。

2チームの勝率はヤンキースよりも高く、マリナーズだってこの調子を維持してシーズン終盤まで戦っていけばポストシーズンへの進出も夢ではない。今年は打撃の軸にヤンキースから移籍してきたカノーが座り高い打率でチームを引っ張ているので、エースのヘルナンデス(10勝)と岩隈の両輪がフル回転すれば、強いチームに生まれ変われる。そのためにも岩隈の完全復調が鍵を握っている。がんばって欲しい。

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2014.07.01

2014年後半 展覧会プレビュー!

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冬季五輪ソチ大会、W杯と2大スポーツイベントのあった今年前半がおわり、今日から後半。お楽しみの展覧会をいつものようにまとめてみた。

★西洋美術
7/9~10/20    オルセー美展       国立新美
8/9~10/5     進化するだまし絵     Bunkamura
9/17~11/24   ロイヤルアカデミー展   東京富士美
10/1~12/22   チューリヒ美展      国立新美
10/8~1/12    デ・クーニング展     ブリジストン美

10/9~11/24   ホドラー展        西洋美
10/11~12/14  ウフィツィ美       東京都美
10/17~1/12   ボストン美ミレー展    三菱一号館美
10/18~12/14  夢見るフランス絵画    Bunkamura
12/6~3/1     ホイッスラー展      横浜美

★日本美術
8/16~10/13   宗像大社国宝展      出光美
9/9~10/9     鏑木清方展        千葉市美
9/10~9/23    芹沢銈介展        日本橋高島屋
9/13~11/0    ボストン美北斎展     上野の森美
9/20~11/24   東アジアの華 陶磁名品展  東博

9/23~11/3    菱田春草展        東近美
9/26~10/6    竹久夢二展        日本橋高島屋
9/30~11/24   青磁のいま        東近美
10/4~11/24   東山御物の美       三井記念美
10/15~12/7   日本国宝展        東博

(注目の展覧会)
今年は日本とスイスが国交を樹立して150周年の記念の年。そのためスイス人画家の回顧展やスイスにある美術館の所蔵する名画を公開する展覧会が3度も開催される。第一弾が今三菱一号館美で行われている‘ヴァロットン展’

後半は‘チューリヒ美展’と‘ホドラー展’が10月からはじまる。印象派を扱った美術本によく登場するチューリヒ美、情報満載のチラシには印象派だけでなく、アンリ・ルソー、ピカソ、カンディンスキー、ダリらの作品も載っている。これらがみれるのならもうチューリヒへ行かなくてもいいのではと思うくらいの豪華なラインナップ。開幕が楽しみ。

Bunkamuraの‘だましえ絵Ⅱ’にも期待している。関心の深かったアンチンボルドの‘司書’がやって来るのだからたまらない。Bunkamuraは本当にいい絵をもってくる。いい美術館。そして、師走の楽しみは横浜美の‘ホイッスラー展’。

日本絵画でビッグな展覧会といえば東近美の‘菱田春草展’と東博の‘日本国宝展’、そして‘東山御物の美’にもワクワクする。追っかけ作品のリストに入れているものがこの3つで片手くらいはでてきそう。

今年の前半は浮世絵の名品が目を楽しませてくれた。3度でかけた‘大浮世絵展’(江戸東博)と箱根の岡田美で公開された歌麿の大作‘深川の雪’、そして秋にはもう一回期待の浮世絵コレクションがみれる。ボストン美の所蔵する北斎、場所は上野の森美。未見の北斎に何点会えるだろうか。

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