ズームアップ 名画の響き合い! 1905年
ピカソの‘サルタンバンクの一家’(ワシントンナショナル・ギャラリー)
20世紀の初頭、ヨーロッパの絵画界には若い才能が台頭してきた。その筆頭がピカソ(1881~1973)、ピカソの初期の作品が好きだという人は多いが、24歳のとき描いた‘サンタンバンクの一家’はなかなかの傑作。昨年ワシントンへ行ったとき再会した。
ピカソは1905年ころから青一色の画面から多くの色を使う画風に転換していく。ここでは太った道化が身につけた赤の衣装が目にとびこんでくる。人物の視線が交錯する画面構成が秀逸、中央の男の子二人と右の女は右のほうへ視線をやり、道化はその逆の左をみている。そして背の高い若者は真横のほうを鋭く眺めている。
マティス(1869~1954)の‘緑の筋のある女’をはじめて画集でみたとき、半端ではない衝撃が走った。なんと女性の顔に緑の太い線が額の中央から鼻にかけてのびている! この絵こそがフォーヴィスムというものを認識させてくれた絵、顔が緑色ということはないが緑で表現したいと思ったら絵筆に緑色をつければいい。色彩を自由に使い色彩の美しさをストレートにだす。こうして色彩の革命がはじまった。
ルドン((1840~1916)に開眼したのは二度目のオルセーのとき。瞑想する女性、色彩鮮やかな花の絵、ギリシャ神話から題材をとったもの、そしてなんと仏陀まで描いていた。黄金に彩られた仏ではないから、こんな仏もありかな、という感じだが、照明を落とした部屋に展示してあったのでしばらくすると不思議と心が穏やかになった。
ヴラマンク(1876~1958)の色鮮やかな風景画はマティスの絵同様まだ縁がない。一度ヴラマンクの回顧展をみたことがあるが、これほど色彩が踊っている絵は少なくだいたいが空の曇った激しく重たい絵だった。ヴラマンクはゴッホに心酔していたから色彩に力強さが感じされる。アムステルダム市美はまだ訪問していない美術館、2年前新装なったというから、次のオランダ旅行では足を運ぶつもり。そうするとヴラマンクのこの絵にも会える。
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