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2014.04.27

バルテュスのユニークな風景画!

Img_2     ‘崖’(1938年)

Img_0001_2      ‘樹のある大きな風景’(1960年 パリ ポンピドー)

Img_0003_2     ‘コメルス・サンタンドレ小路’(1952~54年)

Img_0004_2‘モンテカルヴェッセの風景(Ⅱ)’(1994~95年 バルテュス財団)

バルテュス(1908~2001)の描いた風景画でこれまで体験したのは‘夏’(今回出品作)と‘山’(ともにメトロポリタン美)の2点のみなので、回顧展で新たに遭遇した8点がいずれも新鮮にうつる。

‘崖’の前に立ったときすぐ頭をよぎったのはクールベの絵。大きな岩の塊をどーんと描いた作品をクールべは何点も描いており、この崖の感じとよく似ている。造形的な点からはそういえるが、光の描写はバルテュスのほうが明らかに強い。

9点のなかで最も長くみていたのが‘樹のある大きな風景’、この絵で連想したのはセザンヌ、ピカソ美にある‘レスタックの海’では手前の左右に大きな木が描かれているから、ひょっとするとバルテュスはこの絵を構図の参考にしたのかもしれない。

セザンヌ的なのは家々がコの字のように配置されたところだけ、地面にあたる光の輝きや画面の多くを占める影の部分の描写は光の画家バルテュスならではのもの。また、家の向こうの山は平面的な表現なので山の高さはあまり感じられない。

この絵ではっとすることがあった。それは左に描かれている後ろ向きの男性の姿。じつはこの人物は長いこと見慣れている。図録にも参考の絵として載っている‘コメルス・サンタンドレ小路’にこの人物がおなじ姿で登場する。

この絵の存在を知ったのは27年前、わが家における西洋絵画のバイブル‘世界 名画の旅(朝日新聞日曜版)’(全5冊 1987年 朝日新聞社)にバルテュスのこの絵が載っている。回顧展に‘部屋’同様、展示されることを密かに祈っていたが、儚い夢だった。でも、バルテュスの自画像といわれる後ろ姿の人物が‘樹のある大きな風景’に登場してくれたのでもって瞑すべしといったところ。

晩年の作‘モンテカルヴェッセの風景(Ⅱ)’にも足がとまった。目が釘付けになるのが右に描かれている細い川、図版では十分に色がでてないのだが、白と薄青がほかの色と比べて異様と思えるほど輝いている。バルテュスは自然の美しさや力強さを水の流れに強く感じたのだろうか。

回顧展に連動してバルテュスに関する美術番組が2つ制作されている。これも楽しみ!
・5/17 BSプレミアム ‘バルテュスと彼女たちの関係’(PM9時)
・5/25 日曜美術館 ‘バルテュス 4つのアトリエ’(AM9時)

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コメント

今日、バルテュス展に行ってまいりました。幸い、あまり混んでいなかったので、ゆったり観賞できました。

おっしゃる通り、『崖』はクールベのエトルタを描いた絵を想起させますね。さらに絵具のねっとりとした塗り方が、とてもクールベ的です。

『樹のある大きな風景』は、私もすぐにセザンヌを連想したましたが、近景の影、遠景の光と鮮やかな対照ですね!

『モンテカルヴェッセの風景(II)』は、山水画にインスピレーションを受けて描いたそうですが、確かにこういう風景画は西洋の伝統と違っていて、バルテュスが絶えず探求し続けたことがわかりました。

投稿: ケンスケ | 2014.05.01 20:45

to ケンスケさん
展覧会の感想を5回書いたのですが、バルテュス
は西洋絵画史のなかでは大きな存在であることを
今じわじわ感じています。

バルテュスの母親はユダヤ人ですから、優れた
科学者や芸術家がごまんといるユダヤ人のこと、
バルテュスがそのなかのひとりになっても驚きは
しませんが、これだけいい作品をみますとやはり
、すごい才能だなと思ってしまいます。

西洋画の古典に通じているだけでなく日本や中国
の美術への造詣が深いですから、山水画をかりて
新しい風景画を追い求めていきます。これからも
プラスαの作品に出会うことをミューズにお願い
するつもりです。

投稿: いづつや | 2014.05.01 23:58

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