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2014.04.26

バルテュスの描く怖い顔の人物!

Img ‘トランプ遊びをする人々’(1966~73年 ボイマンス・ファン・ベーニンゲン美)

Img_0001_3 ‘トランプの勝者’(1948~50年 ティッセン=ボルネミッサ美)

Img_0002_2     ‘部屋’(1952~54年)

1993年に東京ステーションギャラリーでバルテュス(1908~2001)の回顧展が行われたことを以前Baroqueさんに教えてもらった。当時名古屋にいたが、仮にその情報が入ったとしても新幹線に乗って見に行くことはなかったと思う。それほどバルテュスは遠い存在だった。

その画家に関心をいだくきっかけになったのが2000年にNHKで放送された‘バルテュスの光の世界へ’、ビデオの一部が東京都美の展示室の一角に再現されたバルテュスのアトリエ(スイス・ロシニエール グラン‣シャレ)で流されている。番組で紹介された作品のうち今回‘16歳の自画像’、‘猫たちの王’、‘夢見るテレーズ’、‘窓、クール・ド・ロアン’を運よくみることができた。

この番組のあとバルテュスの情報を集め画業の一部を把握し、それらの作品をみたいという気持ちがだんだん強くなってきた。でも、実際にお目にかかったのは7点ほど、‘キャシーの化粧’、‘鏡の中のアリス(ポンピドー)、‘夏’、‘山’、‘目を覚ましたテレーズ’(MET)、‘トランプの勝者’(マドリード ティッセン=ボルネミッサ美)、‘街路’(MoMA)、バルテュスの作品はその多くを個人が所蔵しているので、7点もみれたのは上々かもしれない。

‘部屋’(個人蔵)が購入した美術本に現れたときは衝撃が走った。カーテンを開けている少女の顔の怖いこと!この絵が東京都美の回顧展にやって来ることを密かに願っていたが、やはりダメだった。この少女のように不気味な印象を与える目と鼻をもつ人物は‘トランプの勝者’にも描かれている。カードを持った手をうしろにまわしている右の男性。

今回同じような怖い顔をした人物が登場する作品が1点でていた。ロッテルダムにある美術館が所蔵する‘トランプ遊びをする人々’、描かれている2人の男女、彫刻のような目と鼻はまったく同じだから性差を感じない。この顔で睨まれたら体がちじみあがってしまう。図録の解説によるとこの絵はバルテュスが日本でみた歌舞伎に想を得たとある。そして、学芸員は‘人物は歌舞伎でいう見得をしているかのようである’と続ける。

これをさっと読むバルテュスは見得に刺激を受けて人物の目をこういう風にしたのかと思ってしまう。これは誤解を与える。バルテュスは1954年に‘部屋’を完成させており、日本にはじめて来たのは1962年のことだから、歌舞伎の見得は関係ない。ただ、見得のことをバルテュスが知っており‘部屋’にでてくる少女に見得をきらせたという話なら、間違ってないのだが。

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コメント

ええっと、ちょっと解らないのですが、歌舞伎の見栄に触発されて描いた絵は、トランプの絵ですよね。
トランプの絵の完成は、1966以降の完成とあり、部屋という絵の完成とは関係ないのでは?
すみません、揚げ足取りみたいなこと書いて。
今日、芸大美術館 法隆寺、行ってきましたが、展示にも余裕を持たせ、一点一点と向き合える素晴らしい展覧会でした。
改めて、祈りの心を思います。

投稿: oki | 2014.04.27 21:57

to okiさん
‘部屋’の少女の顔と今回でている‘トランプ
遊びをする人々’の二人の男女の顔はどちらも
怖い顔をしているでしょう。

‘トランプ’の二人は1954年に描いた少女の
顔をそのまま踏襲しているだけのことで、また
この描き方はすでに1950年の‘トランプの
勝者’ではじまっているということです。
だから、歌舞伎の見得をみてこの描き方が生ま
れたのではないですよ、といいたいわけです。

芸大の法隆寺展、今回はパスですね。

投稿: いづつや | 2014.04.27 23:29

そのBaroqueです。私も22日にいってきました。バルチュスの魅力は 不健康な怪しさ・頽廃的な危険な歓び・・・。そんなところにあるような気がしてなりません。上野はとても賑やかで、都美館は混んでました。みんながいいというのはやっぱりいいなあ。と思いました。(ただ今、私のインターネットの調子がわるく更新できない状態にあります。トホホ・・・)

投稿: Baroque | 2014.04.28 21:34

これは議論を呼びますね。
トランプの絵が、歌舞伎の見栄に由来する、と、バルテュスが何処かで発言しているのでしょう。
確かに、似たり寄ったりの顔の感じの作品は前にも描いた、しかし、バルテュスはその時は、歌舞伎の見栄を知らないで、日本にきて、初めて知って、ああ、自分の描く顔は歌舞伎の見栄、というものに似ている、と、気付き、インタビューか何かで、語った、と推測しますが、いかがでしょ?

今日、ブリヂストン美術館のチャイナドレスに行ってきましたが、図録の論文を読むと、藤島武二が描いた、横顔の女性の絵が、今文化村にきている、横顔美人の絵を藤島がそうきして描いたのではないか、とのこと、意外な繋がりがー。

投稿: oki | 2014.04.28 21:48

to Baroqueさん
はじめてのバルテュス展ですのでかなり興奮しま
した。光と影の表現に大変魅了されました。これ
ほどの光の画家だったとは!という感じです。
カラヴァッジョ、レンブラント、そしてバルテュス
ですね。これはスゴイです。

そして唖然としてみていたのが‘地中海の猫’。
このアイデアには参りました!

もうひとつわかったのはバルテュスがクールベを
すごく意識していることです。バルテュスのあの
ドキッとする少女の作品などはクールベの描いた
心をザワザワさせられる女性の絵を連想します。

投稿: いづつや | 2014.04.29 00:13

to okiさん
図録の解説文を書いていたのは学芸員ではなく
展覧会に学術協力した河本真理・日本女子大教授
でした。この方の意見なのか、バルテュスが歌舞伎
の見得について語ったことをここで述べているの
かわかりません。

バルテュスが語ったとしたらokiさんがおっしゃる
ようなことが考えられますね。後知恵というやつ
です。私も最初はこの怖い目は見得だったのか!
ととびついたのですが、作品を時間軸でならべてみ
ると、これは間違いだなと考え直しました。

藤島武二の横顔の話は知ってます。洋画家は西洋
画家のはしくれですから、古典絵画の影響を受け
ますね。

投稿: いづつや | 2014.04.29 00:30

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