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2014.04.16

歌麿の‘深川の雪’と対面!

Img     歌麿の‘深川の雪’(1802~06年 箱根 岡田美)

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箱根の岡田美で公開されている歌麿の‘深川の雪’(4/4~6/30)をみてきた。13日の日曜美術館で紹介されたことでさらに関心が高まっている感じで平日なのに大勢の人がいた。10時半頃に着いたとき段々畑風につくられた駐車場の下から3つ目を案内された。75台のキャパがあるが、土日はかなり混みそう。

お目当ての‘深川の雪’は2階に展示されている。部屋の中は照明を落としているため大きな絵が発光体のように輝いてみえる。これまでこれほど大きな喜多川歌麿(1753~1806)の絵にお目にかかったことがない。縦199㎝、横341㎝。この大きな画面に描かれている人物は27人。左下の坊やを除くとみな女性。大半は深川芸者であとは女中たち。

絵としては一枚だが、描かれた女性たちを単独あるいは数人のかたまりとして切り離して鑑賞しても十分楽しめる。だから、歌麿の作品を何点もみたような気分。さらに嬉しいことに絵全体の色の具合がなかなかいい。これは発見されたとき絵の部分はそれほど痛んでいなかったことと修復を念入りに行ったため。

じっくりみて気がついたことをいくつか。これは芸者を描いたものだから当然のように一人々の容貌や体のポーズ、手の動きに視線が集中する。とても印象深いのが下唇の緑の笹色紅、芸者は全員この化粧をしている。緑の口紅ですぐ思い浮かべるのは渓斎英泉の絵に登場する遊女。英泉の女が笹色紅でそのくずれた妖艶さが増幅されるのに対し、歌麿が描く芸者たちはそんなイメージはなく流行に敏感な女性の気持ちがそのまま現れている。

歌麿の細やかな描写がみてとれるのは一番手前で背をこちらにむけ腰をまげながら火鉢のまわりにいる女たちをみている芸者。腰のところに右手の一部を小さく描いているのがじつにいい感じ。鳥居清長の絵に同じようなポーズで料亭の二階から海のほうを眺めている女が描かれているのを思い出した。歌麿はホイッスラーのように清長の絵を意識したのかもしれない。

女性たちの顔の表情で思わず口元が緩むのが庭の向こうの座敷にいる女中ふたり。眉毛がハの字に描かれ顔はまさにお多福、なにか可笑しいことがあったのか口元に手をやりほほほっと笑っている。外は雪が降り寒む寒むとしているのに、この座敷のなかには笑い声があり、また隣では女たちが拳の遊びに夢中になっている。歌麿の女たちをみつめる目は本当に優しい。

三部作‘雪月花’のうち最晩年に描かれ最も大きな‘深川の雪’が日本で奇跡的に発見され66年ぶりにここ箱根で公開されている。体が熱くなるくらい嬉しい。この絵の次は‘吉原の花’(ハートフォード ワズワース・アセニアム美)、東博で数年のうちに‘大歌麿展’が開催され、‘深川の雪’と‘吉原の花’が並んで飾られることを確信している!

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コメント

おはようございます。
私はまだ『深川の雪』を実見していないのですが、昨日土曜日の『美の巨人たち』で『深川の雪』が取り上げられていたのを興味深く見ました。いづつやさんもご覧になられましたか。

深川の辰巳芸者の特徴や風俗などの文化史的説明から、歌麿が最後の作品として、以前に描いた作品から同じ姿を繰り返し描いたという事実まで、とても興味をそそる内容でした。

投稿: ケンスケ | 2016.01.17 08:05

to ケンスケさん
美の巨人たちはみました。2年前この‘深川の雪’は
NHKの独占取材でしたからほかのTV局は取り上げら
れなかったですが、それから時間が経ったので
TV東京は看板番組でということになったのでしょう。

アクセスのよくない箱根の美術館だと気軽にみれない
のが難点ですね。こういう日本の宝ともいえる作品は
東博でどーんと‘大歌麿展’を開いて公開すべきですね。
そうするともっと多くの人が楽しめる。東博に期待し
てます。

投稿: いづつや | 2016.01.17 21:31

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