ズームアップ 名画の響き合い! 1896年
ロートレックの‘ボレロを踊るマルセル・ランデ’(ワシントン国立美)
来年の話だが三菱一号館美でワシントンのナショナルギャラリーが所蔵する印象派コレクションをお披露目する展覧会(2/7~5/24)が開催される。3年前、国立新美にマネやモネ、ルノワールなどいい絵がどっとやってきて多くの美術ファンを楽しませてくれた。それからあまり時間がたってないのにアゲイン印象派展。
さて、三菱一号館はどんな名画をみせてくれるのだろうか?期待したいのは前回数が少なかったロートレックとゴーギャン。ここにはロートレック(1864~1901)のいい絵がいくつもある。過去2回の訪問で運よく10点くらいみることができた。昨年は追っかけ画の‘シルぺリック劇場でボレロを踊るマルセル・ランデ’との対面が叶ったからいうことなし。
もし、この絵あるいは‘ムーラン・ルージュのカドリール踊り’、‘ムーラン・ド・ラ・ギャレットの片隅’が展示されたらご機嫌になる、はたして?ついでにいうとゴーギャンの狙いは‘自画像’、‘悪魔の言葉’、‘ファタタ・テ・ミティ’のどれか。
モロー(1826~1898)の最晩年の傑作‘ユピテルとセメレー’が生まれたのが1896年、今から23年前パリのモロー美を訪問した。だいぶ前のことなのでみた作品の記憶が一枚を除いてすっかり消えている。目に焼きついているのは‘出現’、これがみたくて足を運んだのだから忘れようがない。
ところが、大きな絵‘ユピテルとセメレー’についてはみたぞ!という実感が消えている。でも、当時のアルバムをみたらちゃんとこの絵の絵葉書も張り付けられているからみたことはみている。おそらく、‘出現’があまりに衝撃的な絵だったので、鑑賞エネルギーが全部そこに吸い取られ‘ユピテル’を保存する場所がなかったのだろう。だから、もう一度美術館へでむきこの絵をじっくりみようと思っている。
アメリカの美術館でラファエロ前派の作品をみる機会は極めて少なく、3点しかない。バーン=ジョーンズ(1833~1898)の‘希望’(ボストン美)と‘愛の歌’(メトロポリタン美)、そしてロセッティの‘ベアタ・ベアトリクス’(シカゴ美)。‘希望’がどんな経緯でボストン美のコレクションに加わったのか知らないが、白い花をいっぱい咲かせた枝を右手にかかえ上のほうを見つめているこの女性に大変魅了されている。
バーン・ジョーンズの画風に影響をうけたベルギー象徴派のクノップフ(1858~1921)が43歳のときえがいたのが代表作‘愛撫’、この絵をブリュッセルではじめてみたときはいつになく興奮した。視線が向かうのが右のスフィンクスの女、その体は誰でも豹を連想するにちがいない。左の人物は男性のようでもあり女性のようでもある。つまり両性具有、この絵でいっぺんにクノップフに嵌った。
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