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2014.03.09

歌麿本ならこの二冊!

Img_0001_2       ゴンクール著‘歌麿’(2005年 東洋文庫 平凡社)

Img_0002_2 近藤史人著‘歌麿 抵抗の美人画’(2009年 朝日新書 朝日新聞出版)

歌麿のすごい大作肉筆画が日本で見つかったというビッグニュースに出くわし、今心の大部分は歌麿に占領され、いろいろなことに脳が反応している。

まずは箱根の岡田美で行われる‘深川の雪’の特別展示(4/4~6/30)にいつでかけるか、GWは相当込みそうだからこれは避けてその前に訪問することにしている。次はそのあとのこと、この絵が貸し出される場合、すぐ思いつくのは2011年からはじまったという栃木市の‘歌麿まつり’。

まつりが行われる時期については‘歴史ヒストリア’ではふれてなかったが、例えば、来年市内の美術館とか特別会場で‘深川の雪’が展示されれば‘歌麿まつり’はおおいに盛り上がるはず。すでに‘品川の月’と‘吉原の花’の精巧な複製ができているようなので、‘雪月花’の三部作がつくりだす歌麿ワールドはほかのイベントと連動し大勢の人を巻き込む浮世絵エンターテイメント空間と化す。これは楽しそう!栃木市が所蔵している‘女達磨図’の一緒に展示されるだろうから、これが実現したらクルマを走らせようと思う。

歌麿の‘雪月花’は浮世絵の本などで存在は知っていても、これまでは遠い存在なので作品との距離がどうしてあった。でも今はちがう、‘雪’が近々みれるので3点が描かれた経緯や栃木と歌麿とのつながりにも関心が及ぶ。また、これまで読んだ歌麿本の頁をまためくってみようという気にもなる。

いい本が二冊ある。2005年に平凡社から出版されたゴンクール著‘歌麿’、‘ヒストリア’に登場した。これを訳したのはモローの研究者として有名な隠岐由紀子さん。今この本は書店では手に入らないかもしれない、神田の古本屋でもすぐみつかるかどうか。

もう一冊、とても読み応えのあるのが元NHKのディレクターだった近藤史人氏が書いた‘歌麿 抵抗の美人画’、情報量も多く、歌麿が生み出した美人大首絵と三部作の技法上の関連性や2007年に栃木で発見された‘女達磨図’の話もでてくる。

‘ヒストリア’がゴンクールの‘歌麿’(1891年)にでてくる‘深川の雪’の来歴を引用していたので、その前に書かれている絵の感想について全文を紹介したい。

‘肉筆画についての章を終わるにあたり、ビング氏の店で見せられた幅3.5m、高さ2.4mという巨大な掛け軸にも言及しておきたい。軸いっぱいに26人の女が集う有様が描かれている。

そこには、雪をかぶる灌木が植わった庭の前に、一軒の‘青楼’内部の廊下の曲がり角が描かれている。素足に豪華な着物をまとった遊女たちは、さまざまに集い、美しく並んで、物憂そうに立ち止まったり、階段を足早に登っていったりしている。

子犬と戯れる女、軽食を運ぶ女、欄干に身を乗り出して雄弁な手つきで階下と会話を交わす女たち、階段の支柱に手を回して寄りかかるように立ち、ぼんやりと物思いにふける女、音曲を奏でる女、湯の沸く鉄瓶がかかった火鉢の周りに寒そうにうずくまる女、奥の方に通りかかった女は緑色の袋に入った寝具を背負って運んでいる。

ここには、歌麿風の優雅な仕草、姿態、女のタイプなどが認められる一方で、その素早い筆致の中に少々大仰な装飾性や絵具の透明性のなさも感じられる。署名のない作品ではあるが、来歴からしてたしかに歌麿の作と思われる。伝えられる来歴は以下のとおりである。

ある諷刺的な版画を刊行した後、投獄されるかもしれない危険を感じた歌麿は、しばらく遠い地方の友人宅に身を潜めた。この巨大な掛け軸は、そこで受けたもてなしの返礼として描いたものだという。’

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